紀州犬物語192 紀州犬の胡麻毛のメス犬 生後11カ月(横田俊英)
第192章 戦前の紀州犬の被毛色は8割が有色であった。戦後になって有色と白毛が逆転した。 執筆 横田俊英
紀州犬の胡麻毛のメス犬 生後11カ月。動画。YouTube。
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紀州犬物語192紀州犬の胡麻毛のメス犬生後11カ月
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紀州犬物語192紀州犬の胡麻毛のメス犬生後11カ月
写真は紀州犬胡麻毛メス11カ月の母親。
紀州犬物語192紀州犬の胡麻毛のメス犬生後11カ月
写真は紀州犬胡麻毛メス11カ月の母親と同胎のオス。
紀州犬物語192 紀州犬の胡麻毛のメス犬 生後11カ月(横田俊英)
第192章 戦前の紀州犬の被毛色は8割が有色であった。戦後になって有色と白毛が逆転した。 執筆 横田俊英
胡麻毛の紀州犬の「ゴマ」は生後11カ月で発情した。それ以前の発情には気付かなかったのだが恐らく初発情である。デカちびの先輩犬はゴマの発情の匂いを知っていて玄関の中にいれているゴマの匂いを嗅ぎつける。道に残っているゴマのオシッコの匂いを執念深く嗅ぐこともする。ところで「デカちび」はどうであろうか。玄関のゴマを意識することはなく、オシッコの匂いにも無頓着である。デカちびはまだ子供なのだ。
柴犬のオスより少し大きな身体をした紀州犬の胡麻毛のメスの「ゴマ」は意識しいていない間に11カ月になっていた。柴犬のオスと同等の体格かも知れない。1歳過ぎても少しずつ大きくなれば並の紀州犬の体格になる。恐らくそのようである。胡麻毛の紀州犬には口吻に黒い毛が長く残る。柴犬も子犬のころには黒いマスクがある。柴犬のマスクは生後6カ月ころになると消える。紀州犬では3歳過ぎまでマスクが残ることがある。ゴマのマスクは11カ月になると薄くなった。意識しなければマスクがわからない。ゴマの換毛期と発情が一緒になった。発情期を迎えるころに犬は被毛の状態がよくなる。ゴマは換毛期と重なったためにこれといった良さを認めなかった。生後10カ月ころが被毛の状態は頂点であった。
戦前の紀州犬の被毛色は8割が有色であった。戦後になって残された祖犬が白毛であったことから有色と白毛が逆転した。有色(胡麻毛)の紀州犬は100頭に1頭ほどの割合になっている。少ないからといって胡麻毛の紀州犬の血筋に不都合が生じているのではない。胡麻毛好きの愛好家が然るべき血筋を残すべく丹念に繁殖している。そうした事情がある。だけれども私には胡麻毛の紀州犬への見識は乏しい。キツネやタヌキなど犬科動物の被毛のようすをみ、オオカミの被毛を観察して、紀州犬が犬として望ましい被毛がどうあるべきか考える。胡麻毛であっても日本犬の綿毛と剛毛の生え方、剛毛における毛の色の三段被毛の状態と色調、毛の剛さなどを考察する。
胡麻毛は白毛に比べて皮膚の色素は明らかに濃い。爪の色は黒く、肉球も黒い。白毛の紀州犬には肛門が肉色であるのが少なくない。肉球は白いことがある。鼻鏡は肉色であったり、鼻筋の皮膚の色が白いものがある。胡麻毛には白の被毛の紀州犬にみられる上に述べた幾つかのことはほとんど出現しない。体格、顔貌などでは被毛色で区別するものはない。胡麻毛など被毛色は顔貌ならびに雰囲気に影響する。紀州犬のほとんどが白の被毛になったために被毛色によって醸される或る種の雰囲気ということが除去されたに等しいことは不幸であった。だけど心配ご無用だ。胡麻毛の紀州犬は確かな状態で生存し愛好家に慈しまれているのだ。
ホッキョクオオカミの被毛は白い。生まれたての子供は黒毛の勝った灰色であり時に胸に横や縦に走る白毛が混じる。紀州犬の子犬は生まれたときから白い。胡麻毛の紀州犬の子犬は生まれたときにはホッキョクオオカミの子供と同じように黒毛の勝った灰色である。ただし大きくなると黒胡麻、赤胡麻、胡麻毛、灰胡麻などに変わる。灰胡麻でも白毛が勝ち気味であれば白にもみえなくはない。灰胡麻を白毛と拡大解釈すれば紀州犬の胡麻毛の勝った灰色の子犬の被毛は白毛に変色する。
柴犬と紀州犬で何が違うか、ということになると明瞭に語るべき言葉を私は知らない。体格を語れば柴犬メス、柴犬オス、紀州犬メス、紀州犬オスの順になる柴犬オスと紀州犬メスには体格の開きが大きい。紀州犬のメスと紀州犬オスでも体格には大きな開きがある。このことは明瞭なのだが、私の飼い犬の紀州犬メスの「ゴマ」の生後10カ月では柴犬のオスとでは体格の開きがない。
紀州犬のオス犬の背丈の標準は52cmである。49cmから55cmの範囲にあることが望ましい。「デカちび」と呼んでいる紀州のオス犬の生後7カ月に背丈を測ったら49cmであった。背丈は肩甲骨から下に伸ばした距離のことである。背筋が伸びていて首の骨にかかる部分に肩甲骨がある。大まかには伸びた背筋から地面までの長さと考えればいい。
姉弟のようにして一緒に飼っている紀州犬のメスの胡麻毛は11カ月が過ぎたのに背丈は45cmほどである。45cmに届いていないかも知れない。49cm以下の背丈を測る定規がないから大きな物差しを当ててあとは目見当である。メスの胡麻毛は小さな紀州犬である。愛玩するには大きくなくてとてもよい。紀州犬の性質を備え賢くもある。人を攻撃する気配はないし犬に対しても同じだ。紀州犬の背丈は46cmから52cmの間にあることが望ましい。生後11カ月の胡麻毛の紀州犬「ゴマ」は望ましい背丈にまだ届いていない。
デカちびという白毛の紀州のオス犬は小さいころは月齢に対して大ぶりの犬だった。大きくなりそうな気配の犬であるから、大きくなりすぎないようにと祈りながら警戒していた。生後5カ月、6カ月のころには大きくはならない犬であることの見当がついた。52cmほどに落ち着いてくれよ、と思うようになった。このために生後5カ月ころからは大きくなれよ、大きくなれと願い込めてデカちびに接している。
体格が同じだとすると柴犬と紀州犬を区別するものは何であるか。言葉を探すが言葉にならない。言葉にならないのだけれど私は紀州犬が好きだ。ゴマが好きでデカちびが好きなのである。紀州犬の何たるかを文筆を業とする芥川賞作家の近藤啓太郎氏や安岡章太郎氏が紀州犬を語っているから、それを読むとよい。
(誤字、脱字、変換ミスなどを含めて表現に不十分なことがある場合はご判読ください。)
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