紀州犬物語【紀州犬メス犬シロ(白)の物語】(7)(執筆 横田俊英)

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第7章 子犬を飼うと人は必ずノイローゼになる(子犬とは飼い主の思うがままにならない生き物なのだ)

散歩の途中で腹ばいになって一休みするタフちゃん


紀州犬メス犬シロ(白)の物語(7)(執筆 横田俊英)


第7章 子犬を飼うと人は必ずノイローゼになる(子犬とは飼い主の思うがままにならない生き物なのだ)



1、子犬が散歩ができるようになることはは革命的なこと

 子犬が散歩ができるようになることはは革命的なことである。なぜそこまで言い切るかというと散歩ができない犬がいるからだ。

 私が訓練してきた子犬で散歩に出ることができない子はなかったとはいえ、散歩がまっとうにできるようになるまで1年以上かかった子は何頭かいる。

 とくに駄目だった子犬は性格が臆病で人が手を出すと隅に引っ込んでさらに手を出すと噛み付くのである。このような犬には2度であった。つまり2頭いた。


2、極度に臆病で飼い主を噛む母犬の子犬は散歩ができない

 そのうちの1頭は生後4カ月の子犬を訓練のために預かってきて散歩できる状態にするのに1月ほどかかった。この子の母親は極度に臆病で飼い主を噛む犬であった。このようなメス犬は繁殖から除外するのが普通であるのだが飼い主の身勝手ということで子供を生ませたのである。案の定、産まれてきた子犬は極度に臆病で飼い主の手を噛むし首輪を付けるのに骨が折れ、散歩に出ようとリードを付けようとしてもそれを許さないのである。


3、ある臆病な子犬はリードを付けても腰を踏ん張って散歩などしない

 もう1頭も同じような状態であったが小さなタイプの犬であったので扱いは何とかなった。首輪は付けさせてもリードなど付けさせないし、リードを付けても腰を踏ん張って散歩などしないのであった。この犬は繁殖者の農家の主人に返されて庭につながれていたが何ヶ月かする間にその子犬でもいいから欲しいという人が現れた。散歩ができるようになったかどうか確認しなかったが、農家の主人はちゃんと暮らしているよ、と話している。


4、子犬を飼うと人は必ずノイローゼになる

 子犬が散歩に出られるようになるまでを含めて子犬を飼うと人は必ずノイローゼになる。まずはこの子犬は良いと偽られて駄目犬をつかまされたのではないかと思う。私を良く知っている人でも犬に対する知識が不足しているということと生半可な知識だけであれこれ考えるものだからすべてを疑ってしまう。知識が不足していると闇が深くなる。「信ずる者は救われる」のだが、疑いの固まりになると人は不幸になって救われない。「なんじ明日をわずらうことなかれ」と旧約聖書にイエス・キリストの言葉があるのに、くよくよとつまらないことばかり考えている人は救われない。


5、子犬の生ませると人は重篤なノイローゼになる

 自分のところで生まれた子犬を人に渡すということは、疑われることから始まってノイローゼのお相手をさせられることであるから非常に大変なことだ。生まれた子犬を抱えて飼い主探しをするということは、子犬を譲り受ける人以上に精神の負担は大きく大概は重篤なノイローゼにかかる。


6、子犬を飼うと人は悩みを抱えて夜も寝られなくなる

 子犬を譲り受けた人は余程のんきな人でない限り悩みを抱えて夜も寝られなくなる。これは当然で子犬の夜鳴きに悩まされるからである。連れて行った最初の日に夜鳴きされ、これが3日も4日も1週間もつづくと、未来永劫に夜鳴きされるような気になって大変に動揺するする。夜鳴きは1週間ほどで収まることが多く、どんなに長くても2週間ほどだ。人が子犬をそばを離れると夜鳴きするのでずっと抱いている人がいる。そんなことを1週間も2週間もつづけると人は必ずノイローゼになる。朝起きてみたら私の家の玄関に渡した子犬が置かれていたことがあった。


7、子犬とは飼い主の思うがままにならない生き物なのだ

 子犬の排泄のこともそれが外でできるまでは悩みの種である。ある人の子犬は散歩に出られるようになったと喜んだのもつかの間のことで、散歩には出るけれども大便と小便の排泄は家に帰って犬舎に入ってからシャーとしドバドバとやってしまう。
 私がいま育てている紀州犬のメス犬のシロも同じで、外を回ってきてウンチが出なかったなと犬舎に入れるとまもなくドバドバと大きくとぐろを巻いたのを排泄するのである。
 排泄するまでじっくりと歩いてやるぞ、と決意して長い時間歩いてきた後でこれだから飼い主はギャフンとなってしまう。
 子犬とは飼い主の思うがままにならない生き物なのだということをわかっていた方が良い。


8、犬は犬舎では粗相をしてはならぬと思っていることは確だ

 物事を潔癖に考えて例えば犬のシツケの本をそのままに信じ込んでよい犬悪い犬の判別基準にする。それを飼い犬に当てはめるとすべての犬は悪い犬になってしまう。犬によっては犬舎のなかでオシッコもウンチもするものもいる。私が飼っている犬でもオシッコはしたい放題というのがいる。ウンチも我慢の限界にくるとお構いなしである。もちろん散歩のときにオシッコとウンチをするのだが、散歩の時間を待ちきれないと粗相(そそう)する。車に積んだケージに入れているときには我慢できる時間ははるかに延びる。だから犬舎は粗相をして構わないところと考えているのだろう。犬も犬舎では粗相をしてはならぬと思っていることは1日に2回ほど散歩に連れ出すとそれがないことで確認できる。


9、甘噛みは子犬と遊んでやっているときに起こる出来事

 子犬を飼うと甘噛みするということでこれも悩みの種になる。甘噛みが本噛みになると書いている飼育書があるから気にするなとはいえない。しかし子犬と遊んでいれば甘噛みは避けて通れない。口と歯とベロは子犬の通信手段であり、人とのコミュニケーションの道具になっているからである。
 甘噛みのことを結論から言ってしまうと、甘噛みはさせないことである。甘噛みしてきた手を引っ込めること、そしてそれがしつこかったら子犬と遊んでやることをその場でやめてしまうことでだ。甘噛みは子犬と遊んでやっているときに起こることだからだ。


10、人の子と同じように子犬は落ち着きがないものなのだ

 子犬に落ち着きがないということで悩む人は多い。元気な子犬はじっとしていることがないのが普通である。犬は5歳、6歳になると放っておいても落ち着いてくるものだ。子犬に待てだの伏せだのの行儀を教えても全体としてはガチャガチャと騒がしいものである。子犬は散歩に出られるように訓練することが一番で、次にオシッコとウンチが外でできるようにすることだ。子犬は育った親犬などのミニュチュアではない。子犬には子犬の精神世界があって肉体も同様である。飼い主は子犬は子供なのだということを何時でも問い返していなくてはならない。
 飼い犬のシロは生後4カ月を過ぎたばかりである。この子の住まいは玄関先にあるためか、見知らぬ人が来るとワンワンと吠え立てる。その声は紀州犬のメスの子犬とは思えないほどに太く大きいから飼い主は大いに戸惑うのである。シロはほかならぬ犬の子であっただ。



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紀州犬物語【シロの学校とその生徒のポチとミーとブンの物語(4)】(59)(執筆 横田俊英)
紀州犬物語【シロの学校とその生徒のポチとブンの物語(5)】(60)(執筆 横田俊英)
紀州犬物語(61)【日本在来犬と紀州犬(その1)】(執筆横田俊英)
紀州犬物語(62)【日本在来犬と紀州犬(その2)】(執筆横田俊英)
紀州犬物語(63)【日本在来犬と紀州犬(その3)】(執筆横田俊英)





紀州犬物語(63)【日本在来犬と紀州犬(その3)】(執筆横田俊英)
日本列島に古くからいた犬たちと縄文遺跡の犬骨
(純粋日本犬という言い方をする犬たちのこと)
(縄文期は犬は人の友だち、だった)


紀州犬物語(62)【日本在来犬と紀州犬(その2)】(執筆横田俊英)
縄文遺跡から犬の骨は出ており、旧石器時代の遺跡から犬の骨は出ていない
野尻湖で犬は人と伴にナウマン象を追ったか
(野尻湖のナウマン象の発掘調査では犬の骨は出ていない)


紀州犬物語(61)【日本在来犬と紀州犬(その1)】(執筆横田俊英)
遺跡からでてきた犬の骨とそのもっとも古い年代
(人と犬は利用し利用される共存関係にあった)


紀州犬物語【シロの学校とその生徒のポチとブンの物語(5)】(60)(執筆 横田俊英)
第60章 紀州犬メスシロの学校とその生徒のポチとブンの物語(5)
(紀州犬の大人のメス犬のシロの学校で、生後5カ月の紀州犬のオス犬のポチと生後6カ月の紀州犬のオス犬のブンが教育を受け、訓練を積んでいるのです。ポチもブンも散歩を楽しみにしていて、綺麗な姿態と歩様で散歩ができるのです。)


紀州犬物語【シロの学校とその生徒のポチとミーとブンの物語(4)】(59)(執筆 横田俊英)
第59章 紀州犬メス シロの学校とその生徒のポチとミーとブンの物語(4)
(詫びや寂などまだ先のことですから、対象外です。しかしブンより一月遅く産まれている紀州犬オス犬の「ポチ」のほうにそれを感じることがあります。三つ子の魂百まで、ということが言えるのでしょうか。)


紀州犬物語【シロの学校とその生徒のポチとミーの物語(3)】(58)(執筆 横田俊英)
第58章 紀州犬メス シロの学校とその生徒のポチとミーの物語(3)
(私は紀州犬のメス犬のシロの学校と題してお伽の国のような話しをしております。書いていることはすべて事実ですが、すべての紀州犬がこのようにできる訳ではありません。たまたま性質のよいシロというメス犬の大人がいて、たまたま、或いはこの時期に限って喧嘩をしない2匹の子犬がいて、それにもう1頭加わったということであります。子犬同士の折り合いがあって、幼児組と小学生組の2クラスに分けての学校運営になりました。)


紀州犬物語【シロの学校とその生徒のポチとミーの物語(2)】(57)(執筆 横田俊英)
第57章 紀州犬メス シロの学校とその生徒のポチとミーの物語(2)
(今で飼い主が寛いでいるときに、また夜にテレビを見ながらビールを飲んでいるときにポチとミーはその気配を全身で受けとめていて、声を掛けると犬舎の格子に顔を挟んで応えます。)


紀州犬物語【シロの学校とその生徒のポチとミーの物語(1)】(56)(執筆 横田俊英)
第56章 紀州犬メス シロの学校とその生徒のポチとミーの物語(1)
(子育てを終えたシロ(白)には生後3カ月ほどのオスとメスの子犬の学校の先生の新しい役目が与えられ、シロはこの仕事を喜んでしております。シロが先生を勤める学校の生徒はオスの子犬が「ポチ」で、メスの子犬が「ミー」です。シロとポチとミーの3頭は喧嘩とも見えるレスリング風の遊技を嬉々として演じております。)


紀州犬物語【紀州犬オス ぽち(ポチ)の物語(4)】(55)(執筆 横田俊英)
第55章 紀州犬オス ぽち(ポチ)の物語(4)
(ポチは生後76日に子育てを終えた白を母親代わりに暮らすことになりました。白は不思議なことにポチを自分の子犬と同じように遊技をしてやります。ポチもまた実の母親と思っているようです。あるいはただの犬の仲間と思っているのかも知れません。)


紀州犬物語【紀州犬メス犬シロの出産と子育て物語(6)】(54)(執筆 横田俊英)
第54章 紀州犬メス犬シロの出産と子育て物語(6)
(子犬は母親に徹底的に遊んでもらって、身体をうんと使い、手も足も腰も胴も身体を鍛えることになるのです。その遊びたるや人間の子どもが身体を動かすのを厭わないのと同じです。)


紀州犬物語【紀州犬オス ぽち(ポチ)の物語(3)】(53)(執筆 横田俊英)
第53章 紀州犬オス ぽち(ポチ)の物語(3)
(生後70日ころのポチは乗車訓練に取り組み、またリードをつけて60メートルほどの散歩の練習もします。家の向こうの畑で遊ぶポチはモンシロチョウやツバメを眼で追いかけて外界の様子を知っていくのです。)


紀州犬物語【紀州犬オス ぽち(ポチ)の物語(2)】(52)(執筆 横田俊英)
第52章 紀州犬オス ぽち(ポチ)の物語(2)
(子犬の喉につかえないことを前提に生後70日の頃にはパピーのほかに、ラン・ミールも少しだけ与えます。生後5カ月、6カ月、7カ月、8カ月になるに従ってラン・ミールの割合を増やして、生後8カ月過ぎにはラン・ミールを中心にします。一家の主人が紀州犬に惚れていないのなら紀州犬を飼ってはなりません。一家の主人と思いを同じにする家族のもとで飼われる紀州犬は仕合わせであり、その一家も仕合わせであることになります。)


紀州犬物語【紀州犬オス ぽち(ポチ)の物語(1)】(51)(執筆 横田俊英)
第51章 紀州犬オス ぽち(ポチ)の物語(1)
(チビの子どもの白と黒は母親と別れ、母親と別れてきた紀州犬オス犬のポチはこの家でずっと過ごしてきたように振る舞います。)


紀州犬物語【紀州犬メス犬シロの出産と子育て物語(5)】(50)(執筆 横田俊英)
第50章 紀州犬メス犬シロの出産と子育て物語(5)
(生後30日ころから母親は子犬が乳を吸いにくるとグワーと吠えて拒絶することがしばしばです。夜中にもこの声が聞こえます。犬の親と子の自然がここにあるのです。)


紀州犬物語【紀州犬メス犬シロの出産と子育て物語(4)】(49)(執筆 横田俊英)
第49章 紀州犬メス犬シロの出産と子育て物語(4)
(駐車場横の畑では菜の花が黄色い色を見事に周囲に放っております。この先一週間して春が進むと新緑の美しい季節になります。もう雑草むしりを余儀なくされました。)

紀州犬物語【紀州犬メス犬シロの出産と子育て物語(3)】(48)(執筆 横田俊英)
第48章 紀州犬メス犬シロの出産と子育て物語(3)
(子犬たちが生後三週間を迎えたこの日、遅れていた春が進んで、この地は梅の花とサクラの花と水仙とツツジに似た花が一斉に咲きました。)

紀州犬物語【紀州犬メス犬シロの出産と子育て物語(2)】(47)(執筆 横田俊英)
第47章 紀州犬メス犬シロの出産と子育て物語(2)
(子犬を身体をまるめて抱いて、お尻をなめて排泄を促してそれをなめてやってと健気な子育てがつづきます。)

紀州犬物語【紀州犬メス犬シロの出産と子育て物語(1)】(46)(執筆 横田俊英)
第46章 紀州犬メス犬シロの出産と子育て物語(1)
(シロが2匹の子犬を産んだその夜、空には金星が燦然と輝いておりました。)






紀州犬物語【紀州犬を連れて散歩し紀州犬と暮らす】(39)(執筆 横田俊英)
第39章 子犬のさまざまな行動への対応(紀州犬の躾け(シツケ)に関する考察)

(子犬は飼い主が思うようにはしつからない)


紀州犬物語【紀州犬を連れて散歩し紀州犬と暮らす】(40)(執筆 横田俊英)
第40章 安岡章太郎さんは紀州犬の気性の美しさを物語にした
(近藤啓太郎さんは飼い犬の健康美あるいは紀州犬特有の美しさに魅せられた)

紀州犬物語【紀州犬を連れて散歩し紀州犬と暮らす】(41)(執筆 横田俊英)
第41章 紀州犬が内に秘めている特性
(紀州犬の正しい理解のために近藤啓太郎さんと安岡章太郎の小説を読むことをお奨めします)

紀州犬物語【紀州犬を連れて散歩し紀州犬と暮らす】(42)(執筆 横田俊英)
第42章 泣かない騒がいのが紀州犬が美徳

(安岡章太郎さんのコンタは家に来た夜に、「ウォー」と一声あげただけでした)

紀州犬物語【紀州犬を連れて散歩し紀州犬と暮らす】(43)(執筆 横田俊英)
第43章 犬を飼うときに人の側の力量は何時でも不測しております

(紀州犬は歩く速度があるいはリズムが波長が人の散歩に調和しております)

紀州犬物語【紀州犬を連れて散歩し紀州犬と暮らす】(44)(執筆 横田俊英)
第44章 素直な、素朴な、賢い、格好いい紀州犬に育てたい
(藤井聡さんの『シツケの仕方で犬がどんどん賢くなる』を読めば人も犬も賢くなる)

紀州犬物語【紀州犬を連れて散歩し紀州犬と暮らす】(45)(執筆 横田俊英)
第45章 子犬を怪我させないことが一番大事
(子犬は親から離されるとしばらく夜泣きを含めてなくものだと考えていたらよいでしょう)


紀州犬物語【紀州犬メス犬シロ(白)の物語】(37) (執筆 横田俊英)

紀州犬物語【紀州犬を連れて散歩し紀州犬と暮らす日々】(38)(執筆 横田俊英)
紀州犬物語 第38章 紀州犬に主従関係を教える、そして犬の性質を知る
(その問題は子犬の問題ではなく飼い主がつくっている問題なのです)




 

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