森の生活

紀州犬物語191　白毛の紀州犬と胡麻毛の紀州犬について（横田俊英）
第191章　ホッキョクオオカミの被毛は白い極地動物の被毛は白いものが多い　執筆横田俊英

紀州犬物語191　白毛の紀州犬と胡麻毛の紀州犬について（横田俊英）
第191章　ホッキョクオオカミの被毛は白い極地動物の被毛は白いものが多い。執筆　横田俊英

紀州犬物語191　白毛の紀州犬と胡麻毛の紀州犬

紀州犬のオスの3歳。下のメス犬とは同胎である。

紀州犬物語191　白毛の紀州犬と胡麻毛の紀州犬

紀州犬のメスで生後19日の子の母親。3歳。

紀州犬物語191　白毛の紀州犬と胡麻毛の紀州犬

生後6カ月の紀州犬のメス犬。家の中で飼われている。
室内灯でストロボを焚かないためにベージュ色に写る。

紀州犬物語191　白毛の紀州犬と胡麻毛の紀州犬

生後19日の紀州犬のオスの子犬。母親は上の胡麻毛。

紀州犬物語191　白毛の紀州犬と胡麻毛の紀州犬

生後19日の紀州犬のオスの子犬。母親は上の胡麻毛。

紀州犬物語191　白毛の紀州犬と胡麻毛の紀州犬

アラスカに生息するシンリンオオカミの顔貌。

紀州犬物語191　白毛の紀州犬と胡麻毛の紀州犬

ホッキョクオオカミと胡麻毛の子犬。やがて白になる。

紀州犬物語191　白毛の紀州犬と胡麻毛の紀州犬

ホッキョクオオカミとその子犬。やがて白に変わる。

紀州犬物語191　白毛の紀州犬と胡麻毛の紀州犬

現代紀州犬の元犬になったオス犬「那智の市」号
那智の市号は現代紀州犬の元犬になったオス犬だ。
那智の市号の写真は年老いたころのもの。
那智の市号の背丈は49センチメートルとされてる。
タケゾウは52cm、ジュウベエは53cmだ。祖母犬は49cmである。
首と背筋の境目、つまり肩甲骨の上部で背丈を計測する。
49センチメートルの背丈は現代の紀州犬の標準では下限である
背丈を求めて那智の市号の子のメスに大ぶりな犬を掛けるという交配がなされた。
那智の市号の右耳の先がないのはイノシシを追いかけているときに誤射されたことによる。

紀州犬物語191　白毛の紀州犬と胡麻毛の紀州犬

紀州犬5歳の姿。メスとして体格中庸。
５歳になって身体が充実した。良い感じの身体表現をする。
背中も真っ直ぐ、肩胛骨の付き方もよい。動作は敏捷だ。

紀州犬物語191　白毛の紀州犬と胡麻毛の紀州犬について（横田俊英）
第191章　ホッキョクオオカミの被毛は白い極地動物の被毛は白いものが多い。執筆　横田俊英

　日本犬の紀州犬には白毛の胡麻毛（有色）がある。どのような犬にも白毛がいるから紀州犬が白毛として特別かというとそうではない。紀州犬というと白毛ということで、白毛が代名詞のようになっているから、このことに触れて考察する。

　シャパードの白毛が2020年には目につくようになった。黒か茶かその中間かというのがシェパードの毛色であったところに、白毛が増えているからそのことが気にかかる。犬科動物のキツネは腹の部分が白い。裏白（うらじろ）と呼ばれるものである。キツネの被毛は剛毛と綿毛でできている。綿毛の上に剛毛が突き出て外被を覆う。綿毛は白もしくは薄い色をしており柔らかい。水鳥の綿毛に似たものであり保温にも役立つ。裏白の毛色が表に回り込むようになると被毛は白くなる。

　オオカミには白毛をしたのがおり亜種を形成する。ホッキョクオオカミやツンドラオオカミには白毛が多い。ホッキョクオオカミとツンドラオオカミの違いは知らないが、寒冷地にして氷雪の地域で生息していることが共通する。ホッキョクキツネは白毛である。キツネは犬科である。ホッキョクギツネがなぜ白毛であるのか知らないが、ホッキョクギツネの大概は白毛である。シロクマの被毛は白い。雷鳥は積雪期には白い羽に変わる。白毛は身を隠すために役立つ。ホッキョクオオカミとツンドラオオカミの被毛が白いのは何故なのか。極地の動物の被毛や羽の色は白いものが多い。

　動物の白い被毛はアルビノによっても出現する。アルビノ（albino）は先天的にメラニンが欠乏することによって発生する。メラニンの生合成の遺伝子がないためにこのようになる。人では皮膚の色と髪の毛などにアルビノによる白色化がおこる。白い被毛のホッキョクオオカミとツンドラオオカミでは鼻鏡は黒い色をしている。皮膚の色は白ではなく茶色か黒である。したがってホッキョクオオカミとツンドラオオカミはアルビノの結果として白い被毛になったのではない。

　先天的なメラニンの欠乏により体毛や皮膚は白い。瞳孔は毛細血管の透過により赤色をおびる。ノウサギは夏は茶か黒かの胡麻色であるが冬になると白毛になる。シロヘビは瞳孔が赤い。シロネズミの眼も赤い。アルビノによるからである。

　ホッキョクオオカミの子犬は始めは黒い。胡麻毛であるか黒い色をしている。成長するにつれて被毛は白に変化する。タイリクオオカミほ被毛は黒い色のものから淡くなって行き白い色に近いものまで全域にわたっている。平均すれば黒毛から灰色といった状態である。タイリクオオカミはこのためにハイイロオオカミとも呼ばれる。タイリクオオカミは欧州の大陸に分布するためにヨーロッパオオカミと呼ぶこともある。

　ホッキョクオオカミの被毛は白い。生まれたての子供は黒毛の勝った灰色であり時に胸に横や縦に走る白毛が混じる。紀州犬の子犬は生まれたときから白い。胡麻毛の紀州犬の子犬は生まれたときにはホッキョクオオカミの子供と同じように黒毛の勝った灰色である。ただし大きくなると黒胡麻、赤胡麻、胡麻毛、灰胡麻などに変わる。灰胡麻でも白毛が勝ち気味であれば白にもみえなくはない。灰胡麻を白毛と拡大解釈すれば紀州犬の胡麻毛の勝った灰色の子犬の被毛は白毛に変色する。

　ある研究は、オオカミの毛色は他の動物が毛色を決める遺伝子によるものではないことを明らかにしている。北米のオオカミの毛色のでかたと遺伝子の働きを調べた結果である。オオカミの黒、灰、白の毛色は、他の動物で毛色を決めている遺伝子とは異なる独自の遺伝子の働きであった。この遺伝子の働きにによりオオカミの毛色は黒くなった。

　黒い色の遺伝子は野生のオオカミが昔からもっていた遺伝子ではなく、アメリカ大陸に人間と一緒にやってきた飼い犬から持ち込まれたものであった。野生のオオカミの被毛は白い色であったことをアメリカのスタンフォード大学の研究グループが突き止めた。オオカミは人が飼う犬との間で生まれた子供を通じて黒い被毛の色素の遺伝子を獲得したのであった。

　黒い被毛はオオカミが森に身をひそめるのに有利に働いた。黒い被毛によって森林で生き残ることができたと推定される。アメリカでは現在も森林の多い地域では被毛の黒いオカミが多い。森林の少ない地域では灰色から白色にかけてのオオカミが多く分布することが観察されている。黒い被毛を獲得したことによってオオカミはその繁殖領域を広げることができたというのがスタンフォード大学の研究グループの考えである。（この項の参考文献。Druzhkova AS et al. Ancient DNA analysis affirms the canid from Altai as a primitive dog.PLoS One. 2013;8(3):e57754. doi: 10.1371/journal.pone.0057754。Anderson TM et al. Molecular and evolutionary history of melanism in North American gray wolves。Science. 2009 Mar 6;323(5919):1339-43. doi: 10.1126/science.1165448。）

　オオカミは人の飼い犬との交雑によって黒い被毛の遺伝子を獲得した、という調査研究と様々なオオカミの事例をどのように折り合わせるか。ホッキョクオオカミの子供は始めは黒い灰色をしていて成長すると白に変わる。アメリカ大陸、北米に住む黒い被毛の遺伝子を獲得したオオカミが北極圏に移動したことになる。シロクマはヒグマの類縁である。ヒグマは黒い被毛をしている。キツネは黒と茶の混じり合った被毛をしている。ホッキョクギツネは白い被毛だ。ホッキョクギツネの白い被毛は冬の被毛色であり、夏にはキツネ色をしている。ホッキョクギツネの子供は濃い灰色の被毛である。

　スタンフォード大学の研究グループの調査ではオオカミは白毛の遺伝子しかもっていなかったのが人の飼い犬との交雑によって黒毛の遺伝子を手に入れたことになっている。犬はオオカミから分かれたことが定説になっている。オオカミから分かれた犬がオオカミに黒毛の遺伝子を与えたという遺伝子研究の結果の受け止め方は難しい。犬がどのようにして発生したかの謎解きに新たな要素がもたらされて困惑する。科学は軽々と前節を否定し世間に流布され、また新設も新たな説によってなぎ倒される。根拠の置き方が薄いか軽々しいことからこのようなことがおこると考えている。

　ホッキョクオオカミを飼育し観察したのがドイツ人のヴェルナール・フロイントである。著書「オオカミと生きる」では生後42日のホッキョクオオカミの子供が黒毛の強い灰色であることを写真とともに示している。オス2頭、メス2頭のホッキョクオオカミをベルリンの動物園から譲り受けて飼育した。ホッキョクオオカミはヨーロッパオオカミよりも身体が大きい。性質はヨーロッパオオカミほど荒くはない。ホッキョクオオカミは交配から63日で出産する。

紀州犬の白毛と胡麻毛を観察した事例を列挙する。

1、白毛の紀州犬であっても腹部にみえる皮膚の色が茶色や茶褐色であるのは普通である。
1、胡麻毛の紀州犬の多くは爪の色は黒もしくは茶褐色であり、ときに1本か2本は白い。
1、白毛の紀州犬の爪の色は概して白であるが、茶褐色の場合もある。黒い爪の白毛の紀州犬はみていない。
1、白毛の紀州犬には足裏の皮膚が日本人の肌色に近い状態のものがよく見られる。胡麻毛の紀州犬にはこの状態は見られない。
1、白毛の紀州犬には肛門の色素が日本人の肌色に近い状態のものがよく見られる。胡麻毛の紀州犬にはこの状態は見られない。
1、鼻鏡の色素は白毛の紀州犬には人の肌色状のものがよく出現する。胡麻毛の紀州犬ではこの状態をみない。
1、眼淵の色素が人の肌状のものは白毛の紀州犬では頻繁にみられる。胡麻毛の紀州犬ではこの状態はみない。
1、眼の色素ということで虹彩の色について。白毛の紀州犬と胡麻毛の紀州犬に大きな差異を確認できない。紀州犬は一般の日本犬と同様に生後20日ほどでは虹彩が青くみえる。やがて茶褐色に変化していくのであるが、青みが残ったままの紀州犬がいる。胡麻毛の紀州犬でも生後20日ほどでは虹彩が青くみえる。やがて茶褐色に変化していく。茶褐色がどのような状態であるかは薄いものから濃いものまで広がる。概して胡麻毛の紀州犬の虹彩は濃いが断定しがたい。

（誤字、脱字、変換ミスなどを含めて表現に不十分なことがある場合はご判読ください。)

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紀州犬物語142　白毛の紀州犬の由来を探る。（横田俊英）
（タイトル）
白毛の紀州犬の由来を探る。
（サブタイトル）
ロシアにおけるベリャーエフのキツネの「人間馴化」実験によって白キツネが生まれた。
「人間馴化」実験8代目から10代目で顔面に白毛が多く現れ白毛のキツネも出現した。
狼（犬）や牛や馬などでも家畜化によって白毛への変化が生じることが知られている。
第142章　白毛の紀州犬の由来を探る。　執筆　横田俊英

紀州犬物語141　犬を飼う楽しみ、そして紀州犬とサラブレッドの姿にみる美しさの共通事項。（横田俊英）
（タイトル）
犬を飼う楽しみ、そして紀州犬とサラブレッドの姿にみる美しさの共通事項。
（サブタイトル）
知り合いに紀州犬を飼っていたので紀州犬を飼うようになった。
（犬が居てその紀州犬の世話をしている、それだけのことだと自分に言い聞かせる）
第141章　犬を飼う楽しみ、そして紀州犬とサラブレッドの姿にみる美しさの共通事項。　執筆　横田俊英

紀州犬物語139　生後10カ月になったタケゾウは毎日8キロメートルのランニングをする。（横田俊英）

（タイトル）
後10カ月になったタケゾウは毎日8キロメートルのランニングをする。
（サブタイトル）
兄のジュウベエは2歳になった。2歳のジュウベエは発情が成熟したメス犬と交尾をした。
同じメス犬と生後10カ月のタケゾウを引き合わせたがタケゾウは交尾行動を起こさなかった。

第139章　後10カ月になったタケゾウは毎日8キロメートルのランニングをする。　執筆　横田俊英

紀州犬物語138　成長が2カ月遅れている「土用の一つ子」の紀州犬白のオス犬「タケゾウ」（横田俊英）
（タイトル）
紀州犬物語138　成長が2カ月遅れている「土用の一つ子」の紀州犬白のオス犬「タケゾウ」
（サブタイトル）
生後8カ月に対して2カ月遅れて生後6カ月の状態にある紀州犬のオス犬「タケゾウ」
第138章　成長が2カ月遅れている「土用の一つ子」の紀州犬白のオス犬「タケゾウ」　執筆　横田俊英

紀州犬物語137　生後9カ月直前に記念撮影をした「土用の一つ子」の紀州犬白のオス犬。（横田俊英）
（タイトル）
紀州犬物語137　生後9カ月直前に記念撮影をした「土用の一つ子」の紀州犬白のオス犬。
（サブタイトル）
なかなか大きくならないタケゾウの背丈は50センチメートルだって怪しい。
第137章　生後9カ月直前に記念撮影をした「土用の一つ子」の紀州犬白のオス犬。　執筆　横田俊英

紀州犬物語136　生後8カ月になっても車酔いがひどい「土用の一つ子」の紀州犬白のオス犬。（横田俊英）
（タイトル）
生後8カ月になっても車酔いがひどい「土用の一つ子」の紀州犬白のオス犬。
（サブタイトル）
生後8カ月になったタケゾウの背丈は49センチメートルだ。
第136章　生後8カ月になっても車酔いがひどい「土用の一つ子」の紀州犬白のオス犬。　執筆　横田俊英

紀州犬物語135「土用の一つ子」の紀州犬白のオス犬の生後7カ月。（横田俊英）
（タイトル）
「土用の一つ子」の紀州犬白のオス犬の生後7カ月。
（サブタイトル）
生後7カ月になっても背丈が44センチメートルというチビの紀州犬のオス犬の「タケゾウ」
第135章　「土用の一つ子」の紀州犬白のオス犬の生後7カ月。　執筆　横田俊英

紀州犬物語134「土用の一つ子」の紀州犬白のオス犬の生後６カ月と15日。（横田俊英）
（タイトル）
「土用の一つ子」の紀州犬白のオス犬の生後6カ月と15日。
（サブタイトル）
素朴さは美しさである。8歳になるメスの紀州犬をみた人が「美しい犬だ」といった。
第134章　「土用の一つ子」の紀州犬白のオス犬の生後6カ月と15日。　執筆　横田俊英

紀州犬物語134「土用の一つ子」の紀州犬白のオス犬の生後６カ月。（横田俊英）
（タイトル）
「土用の一つ子」の紀州犬白のオス犬の生後6カ月と15日。
（サブタイトル）
素朴さは美しさである。8歳になるメスの紀州犬をみた人が「美しい犬だ」といった。
第134章　「土用の一つ子」の紀州犬白のオス犬の生後6カ月と15日。　執筆　横田俊英

紀州犬物語133「土用の一つ子」の紀州犬白のオス犬の生後６カ月。（横田俊英）
（タイトル）
「土用の一つ子」の紀州犬白のオス犬の生後６カ月。
（サブタイトル）
紀州犬（日本犬）の望ましい歯の在り方。
第133章　「土用の一つ子」の紀州犬白のオス犬の生後６カ月。　執筆　横田俊英

紀州犬物語131「土用の一つ子」の紀州犬白のオス犬の生後５カ月と大いなる期待。（横田俊英）
（タイトル）
「土用の一つ子」の紀州犬白のオス犬の生後５カ月と大いなる期待。
（サブタイトル）
「悍威（かんい）に富み良性にして素朴の感あり、感覚鋭敏、動作敏捷にして歩様軽快弾力あり」という言葉。
（つぶ（円）らで小さな眼とはチビマル子なのだ。目が点では駄目だ。そのような眼をした「タケゾウ」である。）
第131章　「土用の一つ子」の紀州犬白のオス犬の生後５カ月と大いなる期待。　執筆　横田俊英

(2016年１月16日文章を追加。2015年7月28日初掲載。)
紀州犬物語（123）　生後90日で駄目犬と見捨てられた紀州犬を普通の犬に戻して育てる。（横田俊英）
（タイトル）
生後90日で駄目犬と見捨てられた紀州犬を普通の犬に戻して育てる。
（サブタイトル）
犬が駄目になるのは人が犬になめられているからだ。
口吻をにぎり、口を開けさせて歯とベロを見させることを毎日すると犬は賢くなる。
第123章　生後90日で駄目犬と見捨てられた紀州犬を普通の犬に戻して育てる。　執筆　横田俊英

紀州犬物語（114）日本の犬、紀州犬および柴犬の祖犬と縄文・弥生期の犬について。　執筆　横田俊英。

（タイトル）
日本の犬、紀州犬および柴犬の祖犬と縄文・弥生期の犬について。

（サブタイトル）
犬は日本最古でまた人類最古の家畜。釈迦堂遺跡博物館にある縄文期の犬笛と犬の骨。

第114章　日本の犬、紀州犬および柴犬の祖犬と縄文・弥生期の犬について。　執筆　横田俊英

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