ヒ素鑑定の不正をあばいた河合潤氏
Jun Kawai exposed fraud in arsenic testing
和歌山カレーヒ素事件では、化学分析による鑑定を根拠に死刑判決が宣告された。鑑定人たちは殺人に使われたとされる凶器の亜ヒ酸と被告人関連の亜ヒ酸とが異なることを知っていた。亜ヒ酸が同一だと見せかけるため、濃度比を百万倍して対数(log)によって図を作成。3価ヒ素(亜ヒ酸)を検出できない分析方法を用いて、被告人の頭髪は高濃度の亜ヒ酸が付着していると断定。河合潤氏は、鑑定書や証言の不正を発見、つまり「鑑定不正」を見破る。

ヒ素鑑定の不正をあばいた河合潤氏
ヒ素鑑定の不正をあばいた河合潤氏
計量計測のエッセー 
ヒ素鑑定の不正をあばいた河合潤氏


写真は富山県朝日町の海が見える丘からの日本海に浮かぶ舟(2023年3月撮影)

(タイトル)

ヒ素鑑定の不正をあばいた河合潤氏

(本文)

 『不正鑑定 カレーヒ素事件』(河合潤著 日本評論社 税込3,300円)2021年8月に出版されている。著者河合潤氏は京都大学大学院工学研究科の教授で世界でも名だたるな分析化学研究の第一人者。同氏は東京大学工学部合志陽一教授の研究室で学び同大学院で博士号を取得。同大学生産技術研究所の教務技官・助手、理化学研究所基礎科学特別研究員を経て、1993年に京都大学工学部助手、助教授を経て 2001年から教授の職にある。幾つもの学術賞を受賞しており国際学会からの招待講演が多い。

 世界的にも認められた分析化学の研究者の河合潤氏が、司法の領域の科学鑑定にかかわったきっかけは単純なものだった。弁護士から検察が示している鑑定の読み方を問われて、書面を確かめたことが始まりだった。鑑定書を読み進めていくと化学分析としては不正な内容があり、法的な側面で捉えると捏造とすべき内容に驚く。河合潤氏は検察が提示した鑑定書の問題点を指摘する。この指摘以前に裁判所は検察が示した鑑定書は被告の有罪を決定づけるものであることとして、最高裁は死刑判決を出している。

 日本分析化学会での同鑑定についての河合潤氏による講演は聴講者が廊下にはみでる状態であり、同氏の論文への閲覧のアクセスはとびぬけて多い。この学会の反応の全体としては河合潤氏の説明を是とする状態である。にもかかわらずこの問題に公衆の面前で声をあげる者はいない。同じものでないという分析結果を誤魔化すために数値あるいは桁が大きくなるほどに目盛りが小さくなる対数処理を施すという手法がとられていた。対数処理で図形を作成するという誤魔化しの手法を分析担当者に教えたという大学教授の言葉を河合潤氏は聞いている。自慢げに語ったのだという。このような事情があるから学会ではこの問題に声をあげる者はいない。検察の言いなりになって検察に都合の良い鑑定をする者がいて、検察あるいは国家権力はこのような者を常に抱えているとされる。

 以下は『不正鑑定 カレーヒ素事件』(河合潤著 日本評論社 税込 3,300円)の目次。
はじめに
第1章 カレー毒物混入事件(1998年7月25日)
第2章 2017年地裁決定における重大な転換
第3章 亜ヒ酸は同一ではなかった
第4章 科警研鑑定と中井鑑定の関係
第5章 第2審から再審請求まで
第6章 頭髪鑑定の問題点
第7章 職権鑑定
第8章 世界の動向と裁判の問題点
おわりに

 計量計測データバンク編集部による解説。
本書が対象として取り扱うのは1998年7月に起きた和歌山カレー毒物混入事件の科学鑑定である。「はじめに」と8章の本論および「おわりに」で構成される。第1章「カレー毒物混入事件」、第2章「2017年和歌山地裁決定における重大な転換」、第3章「亜ヒ酸は同一ではなかった」、第4章「科警研鑑定と中井鑑定の関係」、第5章「第2審から再審請求まで」、第6章「林真須美頭髪鑑定の問題点」、第7章「職権鑑定」、および第8章「世界の動向と裁判の問題点」の8章。

 事件の概要と裁判の結果。
 1998年7月25日、和歌山市園部地区自治会主催の夏祭りで振舞われたカレーライスを食べた者のうち4人が死んだ。67人が腹痛などにより病院に搬送されている。犯人と疑われた被告は、1998年 12 月29 日、和歌山地方裁判所に起訴され、2002年12月11日に殺人、同未遂、詐欺、同未遂の8つの公訴事実で有罪となり死刑の判決を受けた。控訴審の大阪高等裁判所も、2005年6月28日、控訴を棄却し、最高裁判所(第三小法廷)も、2009年4月21日、被告人がカレー毒物混入事件の犯人であることは、合理的な疑いを差し挟む余地のない程度に証明されていると認められるとして上告を棄却し、死刑判決が確定した。

 和歌山カレーヒ素事件では、化学分析による鑑定を根拠に死刑判決が宣告された。鑑定人たちは殺人に使われたとされる凶器の亜ヒ酸と被告人関連の亜ヒ酸とが異なることを知っていた。亜ヒ酸が同一だと見せかけるため、濃度比を百万倍して対数(log)によって図を作成。3価ヒ素(亜ヒ酸)を検出できない分析方法を用いて、被告人の頭髪は高濃度の亜ヒ酸が付着していると断定。河合潤氏は、鑑定書や証言の不正を発見、つまり「鑑定不正」を見破る。

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[資料]

亜ヒ酸をめぐる中井泉氏鑑定と河合潤氏の分析手法解析による結果の対立

計測がねじ曲げられると白が黒になる(白いものを黒くしてしまう社会の掟の怖さ)

砒素鑑定で計測値を100万倍して対数グラフで表示して似せる手法が使われた(犯罪の証拠とされた砒素鑑定の成否を検証する資料集)

和歌山毒カレー事件とその真相(犯罪の証拠とされた砒素鑑定の成否を検証する資料集)

田中館愛橘の物理普及講演と寺田寅彦の物理学を元にした随筆

能登大地震-その1-水道をはじめとするインフラの復旧と被災者救援 (計量計測データバンク)

【計量士の資格認定コース】概略図(PDF形式:62KB)PDFファイル(経済産業省)

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地が裂け山が崩れ洪水が人を襲う日本の自然(ハザードマップは人が住んではならない場所を示す地図だ

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内需依存型産業社会日本と人口減少社会の在り方

(タイトル)
控えめな計量法が適用されて実現する平和な社会
(サブタイトル)キログラムの単位記号はkgでありKGではない。メートルの単位記号はmでありMではない。

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0.1%の計量器の検定・検査が世のなかに適正計量を実現をもたらす

地が裂け山が崩れ洪水が人を襲う日本の自然(ハザードマップは人が住んではならない場所を示す地図だ
見えないモノを見えるようにする計測技術
強い欲求をもっているとニーズは自ずと分かるものらしい
すべては丈夫な身体と丈夫な心あってこそ
消費は人口減少の度合いで減りGDPも同様に推移する
キログラムは新定義を満足させたうえ50 µgから10 µgに精度向上
質量と重量の違い及び質量の単位キログラムの定義変更
規則に照らせば不正でも総合性能としては問題ない事柄
バベルの塔とノアの箱舟の伝説と旧カヤバ工業の免震性能偽装
計量と計測は人の間にどのようにかかわるか
自動ハカリの検定実施は日本の計量制度に大きな転換をもたらす
2018年11月16日開催の国際度量衡総会で質量の単位キログラム(kg)を定義変更
日本人の頭骨の変化を計測値が示す副題(鎌倉時代の日本人の頭は前後に長い形をしていた)
優良事業所が適正計量管理事業所の指定を受ける社会的責任
計測の目的と求められる確かを考える
地方計量行政の模範県を躊躇なく真似たい
自動ハカリの指定検定機関制度と行政組織の関わり方
1%の検定で計量の安全を実現している日本の計量制度
自動ハカリの指定定期検査機関の動向を観察する
計測の在り方と計測値の表示をめぐる諸事情
計量協会webサイトから日本の計量行政の未来が見える
光波干渉測定システムはアインシュタインの理論を事実として確認した
収賄で終身刑になる中国要人と首相をかばい罪に問われる日本の官僚

ウィキペディアによる計量の世界の説明は1割ほど
時代の波と計量器産業の浮き沈み
世界でも範たる状態を築いている日本の計量行政
中国では日本以上の人口減少状態が出現している
ハカリの定期検査実施漏れは計量憲法である計量法違反だ
城下町の鍛冶屋が日本の産業の元になった
山口高志投手の球がベース通過時点で一番速かった
福島産の農産物と海産物と放射線測定器
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計れと人を管理したQC運動に対比される品質工学
モノの数量表現と性質表現の仕組みである国際単位系(SI)
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ハンドルで曲がらずブレーキで車は止まらない
計量計測のエッセー

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田中舘愛橘の志賀潔と中村清二への教え方

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事実は小説よりも奇なり 二つの事件
計測システムがわかることが計測における教養だ
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日本人の頭骨の変化を計測値が示す副題(鎌倉時代の日本人の頭は前後に長い形をしていた)
優良事業所が適正計量管理事業所の指定を受ける社会的責任
計測の目的と求められる確かを考える
地方計量行政の模範県を躊躇なく真似たい
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1%の検定で計量の安全を実現している日本の計量制度

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旅のエッセー集 essay and journey(essay of journey) 

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神戸は港町だが山の街でもあり大都市だ


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霧ヶ峰 雪景色

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6月24日の霧ヶ峰高原道路だ。強清水から車山・肩駐車場に向かって走る

正月の下呂温泉は一夜にして白銀の世界になった

上高地 晩夏

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薄く積もった雪道を踏みしめる。クロカン四駆の世界だ。

霧ヶ峰高原の八島湿原の周りに出現する景色

霧ヶ峰高原 晩秋の八島湿原

霧ヶ峰高原 晩秋

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山梨県牧丘村で秋の風景に出会った。今は新しい市になっているがその名は知らない。

ダイヤモンド富士

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旧塩山の恵林寺界隈を見物した

仙台藩と青葉城

カラスウリが赤くなって秋です

スズランが赤い実を付ける秋の始まりです
 
 
 
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