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城下町の鍛冶屋が日本の産業の元になった
城下町の鍛冶屋が日本の産業の元になった
計量計測のエッセー 
城下町の鍛冶屋が日本の産業の元になった

写真は挿絵です。東京都心のケヤキの芽吹き。4月4日撮影。


(タイトル)
城下町の鍛冶屋が日本の産業の元になった

(本文)

 和歌山城の周辺を散策していて鍛冶屋の多いことに気が付いた。今は開店休業の金物屋になっている。高岡市は前田家の城下町である。この地も鍛冶屋が多い。江戸東京の神田には鍛冶町がある。別の地域には鍛治屋町というのがある。社会の成り立ちの一つとしての鍛冶屋だ。どの藩のどの町にも村にも鍛冶屋があって大小さまざまな道具をつくっていた。加賀藩では人目に付かない五箇山で火薬の製造をしていた。鉄砲もどんな形かでつくっていたのだろう。

 江戸期までは各藩それぞれに度量衡組織を備えていた。金銀の質量とかんけいする秤座の測定精度がどの程度であったかは別にして改鋳によって金の含有量を減らすことがなされていたのだからお上自らが不正をはたらくことをしていた。日銀の金融政策の異次元緩和はそれに似たことをしているのではないか。米国と中国がでたらめな金融政策をしてドルと元の洪水をまきおこしているのだから日本だって似たようなことをしないことには割りを食うというのだろうか。日本は振り出したお金の始末は自分の責任でつけなくてはならない。米国は世界の金融と経済が壊れるまでドルを振り出すことができる。貸付先に困るとモゲージとかいう商品を開発して先々の支払いを見越した貸付先を探し出す。

 当てにならない返却予定を担保だと思って貸し付けたら回収が滞ってしまって恐慌をきたす。現代の資本主義は米国と中国の見境のない国益追求によって危機を増大させている。日本はどうであろうか。アベノミクスという意味不明の飾り細工は成長戦略と称する分野の怪しさが増している。デフレの泥沼に陥ることは免れてはいるが2%の物価上昇は見果てぬ夢のようである。町や村から人が消えていることが地方を歩いて回ればみえてくる。中国地方のある自治体では人口を減らさないために外国人の定着の施策を打ち出した。自治体間の競争ということが盛んになされているがこれは良いことなのだろうか。どうしたって減っていくこと必至の辺地での人口減少に対してこの対策は有効とは思えない。

 日本の人口は30年ほどの間に終戦直後の7000万人まで減りそうである。ぐんぐんぐんぐん減って行く過程で生産者人口割合はそれ以上に減る。経済に占める6割以上がサービス部門に属するようになった。このサービス部門という分類に疑義があるけれども日本人は年々歳々モノをつくらなくなっている。衣食住をもって経済とするとわずかの衣類とわずかの食によってつましき住まいに暮らすことを考えれば恐いものはない。

 辺地には使われなくなった住まいが沢山あり、野菜は安い。そのような辺地における働き場所は介護のための補助員である。老老介護で助け合って行くことになる。心身ともに健康である人は生きていける。精神も身体も健康であると自負している人は仕合わせである。二つを害している人がいるのだから優しさが求められる。

 江戸時代は士農工商といった。世の中の経済の仕組むの解き明かしといってよい。現代は商工農と士であるようだ。士に相当する公務員には何故か心を病む人が多い。さまざまな矛盾が集約される場であるからなのだろうか。財務省の地方組織では文書改竄をめぐって二人が命を落とし、中央局では未遂者がでた。経済規模が一番大きくなった商の部門である。城下町に機能していた工としての鍛冶屋はその後に工場に発展した。高岡市などは鋳物産業に転換し住宅建材産業も生まれている。

 モヤシ生産は工場方式になっている。マイタケなどキノコ類も同じである。野菜生産の工場方式が推進されている。カップ麺ほか食品の工場生産方式はもっと推進される。誰かは鉄は国家なりと言った。戦争をするためならそうだろう。日本においては工場は国家なりと言えそうだ。着て食し住まうことを満たすために工場が動く。そうなのだがこれが満たされるのと連動して経済が妙な動きをするから人は困る。さて計量と計測の技術はどのように働いていくのか。

(誤字、不適切な表現などについてはご容赦ください)

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