人口減少の事情と日本の50年先の状態
The situation of population decline and the state of Japan 50 years from now
これから50年先、日本はどのような国になっているのか。人口の減少だけをとって推し量る。
人口減少の事情と日本の50年先の状態
計量計測のエッセー 
人口減少の事情と日本の50年先の状態

八ヶ岳連峰最北端に位置する蓼科山
(標高2,530 m)

(タイトル)

人口減少の事情と日本の50年先の状態

(本文)


日本の人口の適正値は7,000万人だというのが解剖学者の養老孟司氏の見立てだ。日本の風土、森林面積と平野面積などから割り出している。人口問題は経済問題として語られ、経済の規模を維持する考えから人口減少が疎まれる。社会保障政策は後の世代の供出費用でまかなう構造であったから人口減少ならびに労働力人口が減少すると、これが壊れると恐れるのだ。

 これから50年先、日本はどのような国になっているのか。人口の減少だけをとって推し量る。そのための諸事情を次に述べる。

 少子化(しょうしか)とは、出生数が減少することである。出生率の水準が特に人口置換水準以下にまで低下すること。ゆえに単なる出生率の低下とは異なるとされる。高齢化の対義語として、子どもの割合が低下すること。あるいは、子どもの数が減少すること、などのことである。さまざまに少子化の言葉が使われるが、上の定義のような言葉のどれかにあたる。

 長期的に人口が安定的に維持される合計特殊出生率を人口置換水準(Replacement-level fertility)という。1人の女性が一生の間に産む子の数のことだ。国際連合は先進諸国の人口置換水準を2.1と推計している。人口学において少子化とは、合計特殊出生率が人口置換水準を相当長期間下回っている状況のことをいう。

 経済発展と生活水準の向上に伴う出生率と死亡率の変化は、多産多死から多産少死、少産少死へ至る傾向があり、人口転換と呼ばれる。多産少死のとき人口爆発が生じることは古くより知られ、研究が進められてきた。日本では江戸時代前半には約3倍増であり、明治以降には約4倍増であった。2度の人口爆発が起きている。

 かつて少産少死社会は人口安定的と考えられていたが、1970年代に西欧諸国で出生率が急落して以降、将来の人口減少が予測されるようになった。多くの先進諸国では死亡率が下げ止まる一方で出生率の低落が続き、1980年にはハンガリーが人口減少過程に入った。

 20世紀の前半までは社会状況では平均寿命は50歳前後であり、死亡率の高さを補うために健康で妊娠出産能力がある女性は、10代の後半頃から40代頃まで産める限り産むという、多産多死の社会だった。十代の出産も高齢出産も21世紀初頭の現在よりも実数で多かった。感染症の予防法も治療法も確立されていなかったので、妊産婦死亡率・周産期死亡率・新生児死亡率・乳児死亡率・乳幼児死亡率・成人死亡率が高かったからだ。

 20世紀の後半以後、こうした医療技術の確立は、先進国だけでなく開発途上国にも低開発国にも普及した。先進国では大部分の国が合計特殊出生率が2人未満になり、開発途上国でも2人未満の国や2人台が大部分になり、低開発国でも20世紀前半の先進国よりも低くなっている。

 内閣府の「少子化に関する国際意識調査」は、アメリカ、フランス、韓国、スウェーデン、そして日本という5カ国のおよそ1000人の男女を対象として2005年に行った少子化についての意識調査の結果を報告している。これによると、「子供を増やしたくない」と答えた割合は53.1%と、他の4カ国と比較して最も高かった。他国の増やしたくないと答えた割合はスウェーデン11%、米国12.5%、フランス22.6%、韓国52.5%。「子供を増やしたい」と答えた割合が最も低いのも日本であった。子供が欲しいかとの問いについては、いずれの国も9割以上が「欲しい」と回答している。

 この調査において示された「子供を増やしたくない理由」は、子育てや教育にお金が掛かりすぎるからというのが 韓国68.2%、日本56.3%、米国30.8%、高年齢で生むのが嫌であるからというのが スウェーデン40.9%、韓国32.2%、日本31.8%、であった。

 日本における少子化は、結婚した女性が産む子どもの数の減少と捉えられがちだが、2017年の結婚した女性が産む子どもの数は、ベビーブーム時代と変わらない。出生数が減っているのは、晩婚化と未婚化により1980年代まで出産のメイン層だった20代女性の出産の減少によると分析される。

 世界における都市化率の増加も、主要な要因のひとつだ。都市住民は田舎住民よりも、子供をあまり持たない。都市住民は、児童を農場労働力として必要とはせず、また都市では不動産価格が高いため大家族は費用がかさむ。

 高等教育の普及が出生率に影響している。経済的理由により子供が生まれたときの十分な養育費が確保できる見通しがたたないと考え、出産を控える傾向がある。子育てにかかる費用が高いことも要因として指摘されている。国民生活白書によれば子供一人に対し1300万円の養育費がかかると試算している。母親の学歴があがるほど子供一人あたりの教育費が上昇し、子供の数が減る傾向にある。一律的な所得補償は相対所得を上昇させず出生率を上昇させない可能性が高いが、養育費を低下させる政策は出生率を上昇させる。

 政府によっては少子化推進政策を取る。中国の一人っ子政策など。一人っ子政策は2016年に廃止された。日本でも1974年7月に実施された「第1回日本人口会議」(国立社会保障・人口問題研究所)では、国内の増えすぎる人口を問題視し、「子どもは2人まで」という宣言を出し人口抑制を推奨した。国の政策で出生率を抑えた。

 未婚化・晩婚化の進展がより強く少子化に影響している。女性は胎生期に最大の卵子を持ち、以降減少していく。女性の妊娠しやすさ、つまり妊孕性は、おおよそ32歳位までは緩徐に下降し、卵子数の減少と同じくして37歳を過ぎると急激に下降していく。男性も年齢とともに妊孕能が低下する。

 戦前に出産した世代では4人以上出産する者が多かった。また子どもを産まない者も現在以上に多かった。昭和8(1933)年以降は「2人っ子」が過半数を占めるようになった。以後この傾向が続き、戦後標準的となった「2人っ子家族」第一次人口転換により定着した。この子供数の減少理由としては戦前から戦後初期の日本人の多くが農林漁業や自営業に従事して子どもの補助労働力としての価値があったが、戦後大衆が「サラリーマン化」したためその労働力の価値が低下したことが大きい。現在の経済的理由から実家にとどまり続ける未婚者の存在や、都市における未婚率の高さはかつての日本でも同様の傾向があるが、「皆婚、子ども2人前後」が成立した時代が歴史的に見て稀であり、「皆婚に近い状態を維持しないと人口が減少に転じる社会」になる。家族人類学者のエマニュエル・トッドは、家族というものをやたらと称揚し、すべてを家族に負担させようとすると、それが重荷になってかえって非婚化や少子化が進む、としている。

 日本における平均初婚年齢の推移をみよう。厚生労働省が発表したデータによると、平均初婚年齢は、昭和50年(1975年)には女性で24.7歳、男性で27.0歳であったが、平成27年(2015年)には女性で29.4歳、男性で31.1歳と、特に女性を中心に晩婚化が進んでいる。初婚者の年齢別分布の推移では、男女とも20歳代後半を山とする逆U字カーブから、より高い年齢に分散化した緩いカーブへと変遷しており、女性ではカーブが緩やかになるだけでなくピークの年齢も上昇している。日本における少子化の原因としては、未婚化や晩婚化などに伴う晩産化や無産化が挙げられる。

 低所得者層の未婚率は高い。中小企業庁は「配偶者や子供がいる割合」は概ね所得の高い層に多く、所得が低くなるに従って未婚率が高くなるという傾向があり、低収入のフリーターの増加は、結婚率、出生率の低下を招く」と分析している。現実として、30歳代は男性の正規就業者の未婚割合が30.7%であるのに対して、非正規就業者は75.6%となっている。女性は正規雇用22.1%、非正規雇用8.3%と逆転しており、女性の場合は年収が高くなればなるほど未婚率が高くなっている。男女とも同じような学歴・収入等を持つ「同類婚」を求めがちであるが低年収男性と高年収女性のマッチングがうまくいかず、未婚のまま残るとの分析がある。日本では婚外出生率が2.11%(OECD2009)と諸外国に比較して低いため、婚姻率の低さが出生率に影響しやすい。

 歴史的には幕末には江戸の男性の5割が未婚であった。1980年以前も低所得者層の人口比は今と大きな差がないのに関わらず、婚姻率や出生率は1980年代以降より高かった。生活やライフスタイル、価値観の多様化により、コストが意識される結婚を低所得者層が敬遠するようになった。

 女性の高学歴化が出生率に影響している。日本では1947年から1949年の3年間は、戦地や軍隊から家族の元に戻った男性の妻の出産や、戦地や軍隊から戻った男性と結婚した女性による出産が多いという特殊な社会条件があり、合計特殊出生率は4人台だったが、その後は減少し、第二次世界大戦終結から16年後の1961年には史上最初の1人台の1.96人になった。1963年以降は、丙午である1966年(1.58人)を除いて、1974年まで2人台であったが、1975年に1.91人と再び1人台を記録して以降2013年まで1人台が継続されている。

 合計特殊出生率の算出対象である15から49歳は、1961年では1912から1946年生まれであり、1975年では1926から1960年生まれであり、女性の大学進学率は1940年生まれでは10%未満、1950年生まれでは10%台後半、1960年生まれでは30%台前半、1970年生まれでは30%台後半であり、全体として戦後女性の高学歴化と少子化は同時に進行している。

2020-09-27-the-situation-of-population-decline-and-the-state-of-japan-50-years-from-now-

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(不適切な表現などについては意に反するものですのでご容赦ください)

2020-06-15-japan-frightened-by-covid-19-and-evacuated-to-a-cave-for-3-months-
 
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計測と計量管理の教養こそ計測技術者が身につけるべきこと

計測がねじ曲げられると白が黒になる(白いものを黒くしてしまう社会の掟の怖さ)

いつでも使える計量辞書としての国際単位系ページの利用

田中館愛橘の物理普及講演と寺田寅彦の物理学を元にした随筆

適正な計量の実施は国家と地方公共団体が共同して実現すべきもの

富士山より高かった八ヶ岳が崩壊すると泥流は甲府盆地の向こうまで流れた執筆 甲斐鐵太郞
韮崎と須玉に連なる丘の七里岩は八ヶ岳崩壊による岩屑(がんせつ)なだれの跡だ


計量計測のエッセー ( 2018年1月22日から日本計量新報の社説と同じ内容の論説です)

素直でない人は嘘をつく 素直とは正直者のことだ

法人とその構成員の意欲と能力を映し出しているwebサイト

数値や言葉を翻訳変換して診断する

大手情報媒体が低俗化しフェイク情報が充満する

人は他の人を映し鏡として生きる意義を成立されている

カメラの撮影枚数にみる技術開発とリチウムイオン電池


地が裂け山が崩れ洪水が人を襲う日本の自然(ハザードマップは人が住んではならない場所を示す地図だ

球速表示160kmは確かか(球速表示160kmは信ずるに値するものなのか)

内需依存型産業社会日本と人口減少社会の在り方

(タイトル)
控えめな計量法が適用されて実現する平和な社会
(サブタイトル)キログラムの単位記号はkgでありKGではない。メートルの単位記号はmでありMではない。

計量の教養こそ身に付けるべき課題だ

0.1%の計量器の検定・検査が世のなかに適正計量を実現をもたらす

地が裂け山が崩れ洪水が人を襲う日本の自然(ハザードマップは人が住んではならない場所を示す地図だ
見えないモノを見えるようにする計測技術
強い欲求をもっているとニーズは自ずと分かるものらしい
すべては丈夫な身体と丈夫な心あってこそ
消費は人口減少の度合いで減りGDPも同様に推移する
キログラムは新定義を満足させたうえ50 µgから10 µgに精度向上
質量と重量の違い及び質量の単位キログラムの定義変更
規則に照らせば不正でも総合性能としては問題ない事柄
バベルの塔とノアの箱舟の伝説と旧カヤバ工業の免震性能偽装
計量と計測は人の間にどのようにかかわるか
自動ハカリの検定実施は日本の計量制度に大きな転換をもたらす
2018年11月16日開催の国際度量衡総会で質量の単位キログラム(kg)を定義変更
日本人の頭骨の変化を計測値が示す副題(鎌倉時代の日本人の頭は前後に長い形をしていた)
優良事業所が適正計量管理事業所の指定を受ける社会的責任
計測の目的と求められる確かを考える
地方計量行政の模範県を躊躇なく真似たい
自動ハカリの指定検定機関制度と行政組織の関わり方
1%の検定で計量の安全を実現している日本の計量制度
自動ハカリの指定定期検査機関の動向を観察する
計測の在り方と計測値の表示をめぐる諸事情
計量協会webサイトから日本の計量行政の未来が見える
光波干渉測定システムはアインシュタインの理論を事実として確認した
収賄で終身刑になる中国要人と首相をかばい罪に問われる日本の官僚

ウィキペディアによる計量の世界の説明は1割ほど
時代の波と計量器産業の浮き沈み
世界でも範たる状態を築いている日本の計量行政
中国では日本以上の人口減少状態が出現している
ハカリの定期検査実施漏れは計量憲法である計量法違反だ
城下町の鍛冶屋が日本の産業の元になった
山口高志投手の球がベース通過時点で一番速かった
福島産の農産物と海産物と放射線測定器
通信と自己診断機能は計量器の法制度を変える
計れと人を管理したQC運動に対比される品質工学
モノの数量表現と性質表現の仕組みである国際単位系(SI)
計量法の実質の内容を変える政省令の理解と解釈
ハンドルで曲がらずブレーキで車は止まらない
計量計測のエッセー

学校は記憶容量とアプリケーションを確認するところ
計量検定所長の仕事は検査機関運営費をたっぷりと確保すること
社会の計量の安全の確保は住民サービスの基礎
神鋼素材は計測器性能に影響がない
田中舘愛橘の志賀潔と中村清二への教え方

自動ハカリの検定実施は日本の計量制度に大きな転換をもたらす
2018年11月16日開催の国際度量衡総会で質量の単位キログラム(kg)を定義変更
事実は小説よりも奇なり 二つの事件
計測システムがわかることが計測における教養だ
世の中は計測でできている
計測の目的と精密さの実現の整合
日本人の頭骨の変化を計測値が示す副題(鎌倉時代の日本人の頭は前後に長い形をしていた)
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地方計量行政の模範県を躊躇なく真似たい
自動ハカリの指定検定機関制度と行政組織の関わり方
1%の検定で計量の安全を実現している日本の計量制度

学校は記憶容量とアプリケーションを確認するところ
計量検定所長の仕事は検査機関運営費をたっぷりと確保すること
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神鋼素材は計測器性能に影響がない
田中舘愛橘の志賀潔と中村清二への教え方

 
旅のエッセー集 essay and journey(essay of journey) 

滋賀県・草津市の宿で王将の餃子をたべた

京都三条の街は気詰まりで滅入る

神戸は港町だが山の街でもあり大都市だ


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上高地 晩夏

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川崎大師平間寺で願い事をする

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霧ヶ峰高原の八島湿原の周りに出現する景色

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山梨県牧丘村で秋の風景に出会った。今は新しい市になっているがその名は知らない。

ダイヤモンド富士

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仙台藩と青葉城

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スズランが赤い実を付ける秋の始まりです
 
 
 
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