社会の計量の安全の確保は住民サービスの基礎
社会の計量の安全の確保は住民サービスの基礎
計量計測のエッセー 
社会の計量の安全の確保は住民サービスの基礎

冬に花のぬくもりで人を癒すシンビジュウム(写真は挿絵です)

(タイトル)
社会の計量の安全の確保は住民サービスの基礎

(本文)

 20代を前にしたある女性が訴えた。私はこの仕事が好きなんです。だからずっと働き続けたいんです。同じことを30代の女性が話す。どうすれば辞めなくてすみますか。ある人が答えた。パソコン業務に精通することだ、と。40代の女性が勤めていた。会計帳簿の手書き記載であった。いずれも関東地区の計量協会の事務局員である。20代の女性は協会の収入が減ったために退職した。30代の女性は精神を病んで仕事の継続が困難になった。40代の女性は会計処理をコンピュータでするようになったのと協会の収入が減ったので退職を求められた。

 地方計量協会に勤務する人のことである。65歳で大企業を退職して週3日働く。3日の勤務で業務を処理できないと言っていて休みなしで業務する。普通の人の勤務が週5日なのに週3日契約だが7日働く。同じ年齢で協会事務局長の要職を非の打ちどころなくこなしている人がいる。週5日の勤務だ。予算の確保と指定定期検査期間としてハカリの検査ほかに全力で取り組むと休日は寝たきりになる。県庁の事務職員であった人だ。役所で熱心に仕事をした優秀な人である。計量協会の職員と会員からの信頼が厚い。65歳の二人は地元の有名高校から旧帝大などに進んだ英才である。

 地方計量協会に勤務する5人のようすを取り上げた。協会は計量器販売事業者の会員が減った。製造・修理などの会員の減少も著しい。20年前の会員数の半分以下である。30年前に比べたら四分の一ほどだ。それ以上のところもある。計量器の検定に伴う証紙の販売手数料で女性事務局員一人の給与が賄えた。会費収入と役所などからの事業補助によって事務局長の給与がでた。これが計量協会の財政であった。計量器の検定がメーカー自己検定になったために証紙収入に消えている。わずかな会費額の200に満たない会員数であることが多い。正規雇用の事務局体制が崩れているところが大半である。

 外目には計量協会の事務局があるようにみえる。ハカリの指定定期検査機関に指定されて県内のハカリの定期検査をほぼ全て実施していることで、この関係の職員がいるからである。地方公共団体の計量事務を取り扱う計量検定所や計量検査所などの業務の主要部分のハカリの定期検査業務が地方計量協会に移っている。ハカリの定期検査の実務が地方公共団体から地方計量協会に移行したことで何がおこっているのか。

 10あった行政費がはじめは9になった。その後に5になった。地方公共団体の計量行政費が半分になったのである。半分になった計量行政費でそのほとんどとといってよいハカリの定期検査を地方計量協会が実施している。役所には計量行政職員が少しいるだけになった。兼任事務の体制を敷いているところもあるので、いないともいえる。計量行政の専門知識をもつ職員が地方公共団体にいない。そのような状態で指定定期検査機関に指定された地方計量協会が従来の半分の費用でハカリ定期検査業務を行っている。ハカリの定期検査の業務を地方計量協会などが行い、役所のほうはもぬけの空になった。

 そのような事情だから週3日勤務の職員が休日なし働く。また役所にいた人が役所にいたころの何倍も働いて心身をすり減らす。そのような状態でも役所の人は暢気(のんき)だ。定時に出勤し定時に退庁する。指定定期検査機関の職員は年齢と経験にともなって給与が上がることがない。指定定期検査機関の指定に伴う費用は上がらずに下がるだけだからだ。夜と休日には別の仕事をして生きている。計量法のハカリの定期検査は運用の実態を直視すると壊れているではないか。

 計量協会の会長など幹部役員は自社と地方公共団体の関係を悪くしないために役所の要望に応じる。何だかんだといいながら役所の意向を受け入れる。そんなことをするつもりはないといっても体質なり構造がそのようになっていて、5年、10年、20年の期間を通じるとそのようになっている。おもんばかり(慮り)が働く構造なのだ。ある地方公共団体は計量検定所と計量検査所の業務の分掌を「一本化」という言葉を用いて処理した。市の計量行政をなくしてしまった。地域に密着して行き届いた計量行政としての計量事務を行うのが計量検査所などの設置意義であった。別の地方公共団体では30人いた計量検定所職員が5人ほどに減員された。人が減れば計量行政実施の知識と技術と意欲と工夫が削がれる。市の計量行政を捨てた地方公共団体は県の計量行政も知識と技術と意欲は細るから、指定定期検査機関業務実施の費用は無残な状態になる。行政を崩すのにさまざまな目くらましの言葉が使われる。誤魔化されないだけの計量行政への理解と知識と意欲を養うことが大事だ。

 計量行政は小規模県であれば保育所一つ分ほどのの行政職員で運営されていた。多いか少ないかは別にしてこの規模ほどの計量行政の運営費と人員を確保できないことがあってはならない。計量行政は直接に住民サービスを行うのではないが県民などの計量の安全のための基礎としての働きをする。計量行政を切り捨てることは飢えて窮した蛸(たこ)が自らの足を順次食べていることと同じだ。計量行政をないがしろにすることは住民サービスの基礎を捨てることにつうじる。計量行政に真っ当な費用を当てるは社会の正義である。予算を編成するにあたって賢い人、賢い計量行政職員はこのことを良く知っている。

(誤字、不適切な表現などについてはご容赦ください)

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