人の平均寿命は伸びてきたが絶対寿命は120年
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人の平均寿命は伸びてきたが絶対寿命は120年 夏森龍之介
手袋を買いに 新美南吉 寒い冬が北方から、狐きつねの親子の棲すんでいる森へもやって来ました。或朝あるあさ洞穴ほらあなから子供の狐が出ようとしましたが、「あっ」と叫んで眼めを抑おさえながら母さん狐のところへころげて来ました。「母ちゃん、眼に何か刺さった、ぬいて頂戴ちょうだい早く早く」と言いました。母さん狐がびっくりして、あわてふためきながら、眼を抑えている子供の手を恐る恐るとりのけて見ましたが、何も刺さってはいませんでした。母さん狐は洞穴の入口から外へ出て始めてわけが解わかりました。昨夜のうちに、真白な雪がどっさり降ったのです。その雪の上からお陽ひさまがキラキラと照てらしていたので、雪は眩まぶしいほど反射していたのです。雪を知らなかった子供の狐は、あまり強い反射をうけたので、眼に何か刺さったと思ったのでした。子供の狐は遊びに行きました。真綿まわたのように柔やわらかい雪の上を駈かけ廻まわると、雪の粉こが、しぶきのように飛び散って小さい虹にじがすっと映るのでした。すると突然、うしろで、「どたどた、ざーっ」と物凄ものすごい音がして、パン粉のような粉雪こなゆきが、ふわーっと子狐におっかぶさって来ました。子狐はびっくりして、雪の中にころがるようにして十米メートルも向こうへ逃げました。何だろうと思ってふり返って見ましたが何もいませんでした。それは樅もみの枝から雪がなだれ落ちたのでした。まだ枝と枝の間から白い絹糸のように雪がこぼれていました。間もなく洞穴へ帰って来た子狐は、「お母ちゃん、お手々が冷たい、お手々がちんちんする」と言って、濡ぬれて牡丹色ぼたんいろになった両手を母さん狐の前にさしだしました。母さん狐は、その手に、は――っと息をふっかけて、ぬくとい母さんの手でやんわり包んでやりながら、「もうすぐ暖あたたかくなるよ、雪をさわると、すぐ暖くなるもんだよ」といいましたが、かあいい坊やの手に霜焼しもやけができてはかわいそうだから、夜になったら、町まで行って、坊ぼうやのお手々にあうような毛糸の手袋を買ってやろうと思いました。暗い暗い夜が風呂敷ふろしきのような影をひろげて野原や森を包みにやって来ましたが、雪はあまり白いので、包んでも包んでも白く浮びあがっていました。親子の銀狐は洞穴から出ました。子供の方はお母さんのお腹なかの下へはいりこんで、そこからまんまるな眼をぱちぱちさせながら、あっちやこっちを見ながら歩いて行きました。やがて、行手ゆくてにぽっつりあかりが一つ見え始めました。それを子供の狐が見つけて、「母ちゃん、お星さまは、あんな低いところにも落ちてるのねえ」とききました。「あれはお星さまじゃないのよ」と言って、その時母さん狐の足はすくんでしまいました。「あれは町の灯ひなんだよ」その町の灯を見た時、母さん狐は、ある時町へお友達と出かけて行って、とんだめにあったことを思出おもいだしました。およしなさいっていうのもきかないで、お友達の狐が、或ある家の家鴨あひるを盗もうとしたので、お百姓ひゃくしょうに見つかって、さんざ追いまくられて、命からがら逃げたことでした。「母ちゃん何してんの、早く行こうよ」と子供の狐がお腹の下から言うのでしたが、母さん狐はどうしても足がすすまないのでした。そこで、しかたがないので、坊ぼうやだけを一人で町まで行かせることになりました。「坊やお手々を片方お出し」とお母さん狐がいいました。その手を、母さん狐はしばらく握っている間に、可愛いい人間の子供の手にしてしまいました。坊やの狐はその手をひろげたり握ったり、抓つねって見たり、嗅かいで見たりしました。「何だか変だな母ちゃん、これなあに?」と言って、雪あかりに、またその、人間の手に変えられてしまった自分の手をしげしげと見つめました。「それは人間の手よ。いいかい坊や、町へ行ったらね、たくさん人間の家があるからね、まず表に円まるいシャッポの看板のかかっている家を探さがすんだよ。それが見つかったらね、トントンと戸を叩たたいて、今晩はって言うんだよ。そうするとね、中から人間が、すこうし戸をあけるからね、その戸の隙間すきまから、こっちの手、ほらこの人間の手をさし入れてね、この手にちょうどいい手袋頂戴って言うんだよ、わかったね、決して、こっちのお手々を出しちゃ駄目だめよ」と母さん狐は言いきかせました。「どうして?」と坊やの狐はききかえしました。「人間はね、相手が狐だと解ると、手袋を売ってくれないんだよ、それどころか、掴つかまえて檻おりの中へ入れちゃうんだよ、人間ってほんとに恐こわいものなんだよ」「ふーん」「決して、こっちの手を出しちゃいけないよ、こっちの方、ほら人間の手の方をさしだすんだよ」と言って、母さんの狐は、持って来た二つの白銅貨はくどうかを、人間の手の方へ握らせてやりました。子供の狐は、町の灯ひを目あてに、雪あかりの野原をよちよちやって行きました。始めのうちは一つきりだった灯が二つになり三つになり、はては十にもふえました。狐の子供はそれを見て、灯には、星と同じように、赤いのや黄いのや青いのがあるんだなと思いました。やがて町にはいりましたが通りの家々はもうみんな戸を閉しめてしまって、高い窓から暖かそうな光が、道の雪の上に落ちているばかりでした。けれど表の看板の上には大てい小さな電燈がともっていましたので、狐の子は、それを見ながら、帽子屋を探して行きました。自転車の看板や、眼鏡めがねの看板やその他いろんな看板が、あるものは、新しいペンキで画かかれ、或あるものは、古い壁のようにはげていましたが、町に始めて出て来た子狐にはそれらのものがいったい何であるか分らないのでした。とうとう帽子屋がみつかりました。お母さんが道々よく教えてくれた、黒い大きなシルクハットの帽子の看板が、青い電燈に照てらされてかかっていました。子狐は教えられた通り、トントンと戸を叩きました。「今晩は」すると、中では何かことこと音がしていましたがやがて、戸が一寸ほどゴロリとあいて、光の帯が道の白い雪の上に長く伸びました。子狐はその光がまばゆかったので、めんくらって、まちがった方の手を、――お母さまが出しちゃいけないと言ってよく聞かせた方の手をすきまからさしこんでしまいました。「このお手々にちょうどいい手袋下さい」すると帽子屋さんは、おやおやと思いました。狐の手です。狐の手が手袋をくれと言うのです。これはきっと木この葉はで買いに来たんだなと思いました。そこで、「先にお金を下さい」と言いました。子狐はすなおに、握って来た白銅貨を二つ帽子屋さんに渡しました。帽子屋さんはそれを人差指ひとさしゆびのさきにのっけて、カチ合せて見ると、チンチンとよい音がしましたので、これは木の葉じゃない、ほんとのお金だと思いましたので、棚たなから子供用の毛糸の手袋をとり出して来て子狐の手に持たせてやりました。子狐は、お礼を言ってまた、もと来た道を帰り始めました。「お母さんは、人間は恐ろしいものだって仰有おっしゃったがちっとも恐ろしくないや。だって僕の手を見てもどうもしなかったもの」と思いました。けれど子狐はいったい人間なんてどんなものか見たいと思いました。ある窓の下を通りかかると、人間の声がしていました。何というやさしい、何という美しい、何と言うおっとりした声なんでしょう。「ねむれ ねむれ母の胸に、ねむれ ねむれ母の手に――」子狐はその唄声うたごえは、きっと人間のお母さんの声にちがいないと思いました。だって、子狐が眠る時にも、やっぱり母さん狐は、あんなやさしい声でゆすぶってくれるからです。するとこんどは、子供の声がしました。「母ちゃん、こんな寒い夜は、森の子狐は寒い寒いって啼ないてるでしょうね」すると母さんの声が、「森の子狐もお母さん狐のお唄をきいて、洞穴ほらあなの中で眠ろうとしているでしょうね。さあ坊やも早くねんねしなさい。森の子狐と坊やとどっちが早くねんねするか、きっと坊やの方が早くねんねしますよ」それをきくと子狐は急にお母さんが恋しくなって、お母さん狐の待っている方へ跳とんで行きました。お母さん狐は、心配しながら、坊やの狐の帰って来るのを、今か今かとふるえながら待っていましたので、坊やが来ると、暖あたたかい胸に抱きしめて泣きたいほどよろこびました。二匹の狐は森の方へ帰って行きました。月が出たので、狐の毛なみが銀色に光り、その足あとには、コバルトの影がたまりました。「母ちゃん、人間ってちっとも恐こわかないや」「どうして?」「坊、間違えてほんとうのお手々出しちゃったの。でも帽子屋さん、掴つかまえやしなかったもの。ちゃんとこんないい暖い手袋くれたもの」と言って手袋のはまった両手をパンパンやって見せました。お母さん狐は、「まあ!」とあきれましたが、「ほんとうに人間はいいものかしら。ほんとうに人間はいいものかしら」とつぶやきました。『手袋を買いに』作:新美南吉 朗読:窪田等
(タイトル)
人の平均寿命は伸びてきたが絶対寿命は120年 夏森龍之介
(大見出し)
人の平均寿命は伸びてきたが絶対寿命は120年
(中見出し)
老いたキツネは陽だまりの草むらで眠りについた
高原の秋の晴れた日。キツネが道をよろよろと横切り道脇の草むらに横になって心地よさそうに眼をつむった。老いか病かで身体が弱ったキツネである。陽だまりはこの秋の最後の温みであるように思え、キツネは草むらで最後の安らぎをしているようであった。気にかかっていたので同じ場所に一時間後に戻ってみるとキツネは呼吸を止めていた。痩せた身体の老いギツネであった。
標高1,000mを超えるような高地に棲息するキツネは、アカネズミ、カヤネズミ、ヒメネズミなどの野ネズミを餌としている。冬場は雪の下に野ネズミの気配を察知してジャンプして頭から突っ込んで口にくわえるのである。イヌ科の動物であるキツネは家犬が食べるもの同じものを餌とする。
キツネの物語は新美南吉がよく書き、ごんぎつね、手ぶくろを買いに、を読んでいる。自身が親と分かれて育った幼少期の心の在り方が「ごんぎつね」「手ぶくろを買いに」になっている。はかなくも悲しい物語に仕立てられている。
冬がせまった高原の陽だまりに横になって眠るように息を止めた老いギツネはすでに餌を獲れなくなっていて体力が衰え、夜の冷え込みが堪(こた)えていたのだろう。新見南吉のお腹を空かせた子ギツネの物語がこの情景に重なった。
(中見出し)
人の人生の三分の一は意識がない 意識をずっと失うこととは
養老孟司は人は人生の三分の一は意識を失って生きていることを強調する。意識がないその時間帯に物事を説いても馬耳東風。意識がないその時と永遠に意識を失った状態が重なる。死とは意識が働かない、永遠に意識を失った状態と考えれば、一日のうちの三分の一のその状態と同じ。
(中見出し)
白血病で余命ひと月の知らせが四月の嘘であって欲しい
ある人が余命ひと月だからと別れの挨拶のハガキを送ってきた。2025年4月下旬のことである。白血病と診断され余命を宣告されたその日に書いた書状である。体調不全があったろうし、その原因が何であるか診断した結果であったから、覚悟はできていたのであろう。東京都出身、東京都在住、80歳中盤男性。計量器製造のある業種団体と計量協会の副会長をしていた。日本計量新報には社会時評を書いていて相手かまわずの筆ではあったが特定の私人を攻撃することはなかった。
この人のことで一番の記憶は箱根で開催されたその業種団体の総会において鬼より怖い存在であった溝呂木金太郎会長に遠慮のない苦情を存分にまくしたてた。記者席でこの様子を驚いて見ていた筆者は随分と若かった1970年代の初頭のころことである。
日本計量新報に投稿するようになってからはドイツなどに佐藤しのぶのコンサートを夫妻で見に出かけるなどする大ファンであった。スタンドアローンを謳う森麻季に素直な伸びのある声に対して、佐藤しのぶには艶めきの歌声と美貌とがあった。ドイツ旅行ではライカM6というマニュアルの焦点合わせ、露出合わせのカメラを買ったのだといって撮影画像にそれを付記していた。フィルムカメラ最終期でニコンはF4のガシャガシャ写すやつを出していたころである。
熱海の伊豆山温泉は土石流被害をうけたが、その川筋にある宿での工業会総会の後で東京に帰るのにその人が運転するマツダ・ロードスターの初期型に鎌倉まで乗せてもらった。右手に海がきらめく夏至のころの湘南海岸のドライブであった。
ある日は孫が一橋大学に進んだと話していて、その後は大手の企業に就職したことを知らされた。経営は兄弟に移りさらに甥が引き継いでいる。ミニ機関車の趣味がありその方面でも活躍していた。この10年ほどは暮れには暦を贈呈し、それに年頭の書簡を述べていた。今年は令状を出しそびれていたところへの、別れの挨拶がきたので戸惑う。あるいはこれはエイプリルフールなのではないかとの思いがよぎる。いずれにしてもいま元気な人が明日には何時もの睡眠に入るかのように意識をなくしてサヨナラとなるのが人なのか。
(中見出し)
池江璃花子と白血病の造血幹細胞移植治療
原因を白血病とするお別れの挨拶である。この病では競泳の池江璃花子が知られる。2019年2月に白血病と診断され闘病生活を送る。抗がん剤治療や造血幹細胞移植を経て5年後の2024年9月に退院し、競技に復帰。東京五輪に出場、パリオリンピックでの活躍が期待されたがメダルには届かなかった。単純な怪我ではなく白血病からの回復後の水泳競技での活躍の難しさが想像される。
18歳、2019年2月、急性リンパ性白血病と診断され、抗がん剤治療。このとき合併症が起こり造血幹細胞移植を受けた。10カ月後の2019年12月に退院。競技復帰後、東京五輪とパリ五輪に出場。2024年9月、移植後5年に完全寛解を報告している。
ある厚生労働省職員は池江璃花子と同じ大学を出ていて、あるとき造血幹細胞移植の係の責任者をしていて、造血幹細胞移植患者の闘病のようすをよく知る。池江璃花子の二つのオリンピックへの出場そのものが金メダルであると考えているようである。造血幹細胞移植とは正常な血液を作る細胞を移植する治療法。文字にすると簡単だが難病治療のうちに含まれる。
(中見出し)
人が亡くなって慌ただしくなるのは家族たち
東京大学解剖教室で人の死と向き合ってきた養老孟司は達観する。自分が死ぬことは第一人称の死。自分には関係がないことで第二人称の妻や家族が関係し、第三人称としての社会がそれに続く。第三人称の部分についてはこれを省く傾向になってきていて、ひと月後の死を予告し別れの挨拶文を送ったその人は、第三人称の部分は省くとしている。
はじめに秋の陽だまりの草むらでのキツネの死を述べた。老いたキツネは連れを持たない。一人で生き自分のためにだけ餌を獲る。体力が落ちて餌が獲れなく衰弱し命が尽きる。残された命をエネルギーの限り燃やす。生命とはそのようなものなのだ。
(中見出し)
生物学的視点から死を捉えることの流行
生物学的視点から死を捉えることが盛んであり、人の死をその延長線上で説くことが流行っている。生物学的視点における死は次のように把握される。人の寿命とその原因と効用が語られる。人を含めて生物には寿命がある。それは何故かかという問いかけがなされている。
生物が寿命を持つ主な理由として、細胞分裂回数の限界、DNAの損傷の蓄積、老化因子の蓄積、自然淘汰による寿命の短縮、そして子孫繁栄戦略が挙げられる。これらの要因が組み合わさり、生物は寿命を持つようになったと考えられている。細胞分裂回数の限界説。細胞は一定の回数しか分裂できないというヘイフリックの限界が存在し、これが寿命の限界の一因となっているのではないかとされる。
DNAの損傷説。DNAは常に損傷を受け、修復酵素によって修復されますが、完全に修復できない損傷が蓄積し、寿命に影響を与える。老化因子の蓄積。生殖を終えた個体は老化因子が蓄積し、寿命が短くなる。自然淘汰。寿命が短いことで、子孫繁栄を妨げる老化が起こる前に次の世代へ遺伝子を渡すことができるため、自然淘汰で寿命の短い個体が有利に働く。子孫繁栄戦略。生殖を終えた個体が寿命を終えることで、資源を次の世代に移すことができ、種全体の繁栄に貢献するという説。
これらの仮説は生物の寿命と老化に関する進化論的な視点から説明されている。
(中見出し)
生物の死は変化と選択つまり多様性を維持するため
生物が死ぬ主な理由は変化と選択つまり多様性を維持するため。死は古い細胞や個体を分解し新しい生物の材料として利用することで、多様性を生み出し変化する環境に適応するための進化を促す。有性生殖を持つ生物は、子供が親よりも多様性を持つため、進化の過程で選択されてきたと考えられる。
多様性の維持。変化する環境の中で生き残るために、生物は多様性を維持する必要があります。死は、その多様性を生み出すための重要なプロセス。変化と選択。生物は遺伝子の変化によって多様性を生み出し、その中で環境に適したものが生き残るという「変化と選択」を繰り返してき。有性生殖。有性生殖では親から遺伝情報を引き継ぐことで、子供が多様性を持つようになる。この多様性が進化の過程で選択され、有性生殖を持つ生物が生き残ってきたと考えられる。ターンオーバー。死んだ生物は、分解されてその材料が他の生物の材料として再利用されるプロセスがターンオーバー。これも多様性を維持する上で重要な役割を果たす。老化と細胞の入れ替え。細胞が分裂を繰り返すと、ゲノムに損傷が蓄積し、がん化のリスクが上がる。老化や免疫機構の獲得は、細胞の入れ替えを可能にし、がん化のリスクを軽減する役割を果たす。
進化の原動力。死は生命の連続性を支える原動力であり、生物の進化を促す上で重要な役割を果たす。一部の生物は老化や病気による死以外にも、自ら死ぬことで種を維持したり、環境に適応したりする戦略をとる。死は生物にとって避けられないプロセスであり、その多様性や進化を支える上で不可欠であることを補足する。
地球環境の急激な変化がおこる。次世代に多様性を託す暇(いとま)がない状況で環境が変化するときに人類は脳を大きくしたと養老孟司は述べる。解剖学が専門の養老孟司は脳を大きくしたことで何が起きたかは説明しない。環境変化に対して脳を大きくすることがなされたことだけを説く。恐らくは脳を大きくすれば何かができることだろういう動きだったのだという。
(中見出し)
人の平均寿命は伸びてきたが絶対寿命は120年
犬はよぼよぼとなって歩けない状態は別にして死の一年前でも出産する。秋の高原の陽だまりで眠りについたキツネは二年前には子を育てたかもしれない。野生のキツネの寿命は3~5年程度とされている。飼育下では15歳まで生きた例がある。イヌ科の動物であるから飼育下では犬と同じくらい生きる。犬の年齢を人の寿命と並べ立てて比較するのは死ぬまでの等分割方式に近い。生後5カ月で子を産み、老齢で死ぬ一年前の15歳のにも出産する。この期間が大人であり、老後はなく衰弱して死ぬまでの期間は何というべきか。
人の老いとその期間の捉え方。人の老いと動物のそれは全然違う。人は老齢になっても死なないようにしてる。老齢のその期間に何をするのかは後に述べる。老後がある哺乳類はない。
老いることは人だけの現象。他の動物には老いない。犬、猫など飼われている動物、動物園の動物は自然の状態と違って消極的な老いの期間がある。活発に動けなくなり餌を獲得する能力を失っても与えられた餌によって命を長らえる消極的な老いをする。野生のキツネに自然は過酷であり老い弱れば生命の終わりとなる。動物の老いが消極的なのに対して人の老いは積極的である。その理由は後に述べる。
チンパンジー、ゴリラの寿命は40年から 50年であり、死ぬ直前までつまり生涯にわたって子を産む。
(中見出し)
子育ての補助と知識経験の保持者として高齢者を求めた人の集団
人は家族や集団を形成するようになった。結束力が強い集団には年長者とかそのシニアリーダーが必要になる。南洋の原始生活の集団には酋長がいる。集団をまとめるのは知恵のある年長者であることが多い。経験や知識がある者が集団をまとめる役回りをする。よい酋長がいる部族は栄える。文明度が高まるにつれて知恵の継承と教育の重要性が増す。伝えるべきことが多くなるほどに年長者の役割は大きくなり、そのような指導者、あるいは知的年長者がいる集団は栄えて大きくなる。そうするとさらに年長者を抱える。子どもを産むことがなくなったり、肉体の重労働をしなくなった年長者を集団に内包するようになったのが人(人間)である。
(中見出し)
ゲノムが一緒の人がチンパンジーと違う社会を造ったのは何故
人と大型霊長類猿のゴリラやチンパンジーのゲノムはほぼ一緒。チンパンジーとは99.9%一緒。そのチンパンジーは老いがない。つまり子どもを産まなくなったメスは死ぬ。死ぬまで子どもを産んでいて、子どもを産まなくなるときに死がくる。
チンパンジーと人の先祖が別れたのは600万年前。世代にすると30万世代前のこと。人の老いは後に起こった。それは社会現象でもある。人になってから老いる現象が始まった。
猿、チンパンジーは生まれると直ぐ自力で母親の毛にしがみつく。母母は両手は使えるので、木に登り餌を摂れる。人の子は赤子から3歳までは自分では何もできない。親の助けで食卓にはついても食べさせてもらう。放っておけば寝転がってあぶあぶ。やっと立ち上がれる程度のこと。チンパンジーの子とは全く違う。
人の集団ではばあちゃん、じいちゃんが赤子や乳飲み子を世話を手伝う。人の場合には誰かが手伝わないと子育てが難しい。その家にいる高齢者が手伝う。ゴリラやチンパンジーの社会にはない年長者による子育ての手伝いという文化と社会が形成された。
(中見出し)
裸で無防備の人の誕生
チンパンジーの毛がなくなったのが人である。霊長類で唯一、毛がないのが人。裸の猿ともいう。衣類、家は耐寒のためにつくられるようになったのか。裸の赤子は寒さに弱い。小鳥は裸で生まれる雛を暖かい時期に孵し被毛がそろうまで抱いて育てる。人は母親の手伝いをする仕組みを集団のなかにつくりだした。
(中見出し)
シャチとゴンドウクジラにだけ人と共通の高齢者社会がある
人類、いま生き残ってる人類はホモサピエンスという種類である。数万年前にいたネアンデルタール人、クロマニヨン人は、ホモサピエンスが滅ぼした。ゲノムを調べるとクロマニヨン人だとか、ネアンデルタール人のゲノムが何パーセンか混じりこんでいる。滅ぼした、あるいは吸収したことになる。ホモサピエンスが賢かったからかも、数が多かった、あるいは大きな集団だったことによる知れない。集団の大きさがそうさせたようだ。老後がある生き物は人以外には海に棲むシャチとゴンドウクジラの二種。
(中見出し)
人の平均寿命はびても最大寿命は変わらない
人は何歳まで生きることができるのか。人のゲノムが99.9%同じなチンパンジーでは寿命が40年から50年。40年といってもよい。人の最大寿命は115歳から125歳と見込まれている。平均寿命は大きく伸びているのに最大寿命は変わらない。人のために設計された身体構造ともいえる。
1963年、、昭和38年の日本の100歳以上の高齢者は153人しかいなかったのが、2023年には90,000万人になっている。120歳を超えたのはフランス人女性であるが100歳のころに何かがあって娘と置き換わったとされている。
(中見出し)
地球誕生から46億年と生命の歴史のRNA的視点
生物は進化でできた。地球が誕生したのは46億年前。生命は38億年前に誕生した。生命とは生物と言い換えてもよい。生物は進化を繰返して、ここにある地球上のすべての生物ができあがった。これが進化である。
進化と遺伝子は深くかかわる。進化の背景には世代交代と無数の死がある。死を見つめることは進化の展開を知ることでもある。進化とその要素となるRNA。
RNAとはリボ核酸のことで、DNAとともに遺伝情報を担い、タンパク質の合成に関わる核酸の一種。DNAが遺伝情報を保存するのに対し、RNAはDNAの情報を読み取ってタンパク質を合成したり、その合成を制御したりする役割を担っている。
RNAの役割はタンパク質の合成。RNAはDNAの情報を基にタンパク質を合成する。mRNA (メッセンジャーRNA)はDNAから転写された遺伝子情報を運ぶ。tRNA (トランスファーRNA)はアミノ酸をリボソームに運ぶ。rRNA (リボソームRNA)はリボソームを構成してタンパク質の合成を促進する。
RNAは遺伝子の発現を制御する役割も担う。ncRNA (ノンコーディングRNA)はタンパク質をコードしないRNAで、遺伝子の転写や翻訳を調節する働きをする。
RNAの種類
mRNA タンパク質の合成に必要な情報を伝えるRNA。
tRNA アミノ酸をリボソームに運ぶRNA。
rRNA リボソームを構成するRNA。
ncRNA タンパク質をコードしないRNA。
RNAとDNAの違い
RNAは、DNAと異なり、一本鎖構造。
RNAは、ウラシル (U)という塩基を含み、DNAはチミン (T)という塩基を含む。
RNAは、DNAと比べて不安定な構造をしており、必要に応じて合成・分解される。
まとめ
RNAは、DNAの情報を基にタンパク質を合成するだけでなく、遺伝子の発現を制御するなど、細胞の機能に不可欠な役割を担う物質。
(中見出し)
脳の仕組みと進化をアメフラシから探る
脳はすごく複雑な構造をしている。開けて見ても何も分かりません。単純なつくりのアメフラシやイカの脳はその仕組みをつかみやすい。大元は一緒だったからだから進化の過程で人の脳にまで発達した。
今日も生きてる生物は共通の性質を大元の先祖が持っていたと想定して、他の生き物では、この遺伝子はこういうことをしてる。だから人でも似たことをやっっているのだろう、というように辿っていく。老化と死を辿ることにもなる。生命の起源を訪ねることは死の歴史を振り返ること。
(中見出し)
海底の火山性熱湯から生れた生命
46億年に生れた地球には10億年の時を経て生命が誕生した。海の火山性の熱湯が湧く場所で生物の材料となるRNAやアミノ酸などの有機物有機物が発生した。RNAとアミノ酸は実験室で作ることができる。合成してつくることができるから、自然界においても化学反応によってできてきただろうと推定される。ここから奇跡が起き大展開されて今日の生物世界ができてきた。
現在の人の力では生物をつくることはできない。単純なバクテリアでさえ、つくることはできない。養老孟司が言う。人は蝿一つ、つくることができないと。トヨタが自動車技術を自慢しても、宇宙ロケットと宇宙ステーションをNASAが誇らしげに語っても、人はバクテリアをつくることはできない。蝿などは未来永劫につくることはできない。人の社会と技術とはそのような状態なのだ。
生命の誕生と進化の歴史は奇跡的である。とどまることがない進化のプログラムが起動している。
(中見出し)
進化とは何か 姿や性質の変化
進化とは何か。生物学的説明は、進化とは変化と選択が繰り返し起こり姿や性質が変化することをいう。変化とは親とは違う多様な答えができることで専門用語では変異。新型コロナウイルスが変異のそれ。選択とは多様な個体のうち、たまたま生き残ることができること。専門用語では適応という。進化とは要するにいろんなのができて、たまたまその環境にあったのが生き残ることで、生物界にはこのようなプログラムが組み込まれている。
どうしてそうなったのか、ではなくそうなったんだということだと養老孟司は言う。生物界における変化、選択とはそのようなことである、ここには神秘的なプログラムが働いていると考えたい。
生物界はそのような進化のプログラムで動いていて、さまざまな変化を繰り返してきた。いろんなのができて、ある運のいいのが生き残る。その環境にあった変異生物が生き残る。進化の始まりは、最初にできた生命の種のRNA。ここから始まった。
(中見出し)
人の健康の命のことを説いた朝永良夫の言葉
人の生命について朝永良夫が語った言葉が思い出される。人の健康とその寿命について。命にはおのずと限界があるのだが、その限界はあっちの臓器だ、こっちの臓器だとばらばらに傷むのではなくて、だいだい同じ時期に傷むことであってほしい。という意味の言葉。
東大工学部卒で海軍の高級技術将校で機械設計技術者であった朝永良夫らしい言葉だとこれを聞いた時から50年を経て思う。
精密さと機械設計ということで新人の技術者に設計させると歯車など機械要素に遊びを考慮しないために動かないことが多い。このことを工業技術院長をした朝永良夫が日本計量新報紙上でのオーバル加島淳と本紙久保田誠社長との座談会のときに話したことである。朝永良夫は計量研究所所長の後、工業技術院長。計量研究所には機械試験所から移籍した。そのまえは海軍の技術将校で終戦時には大尉。
加島淳は日本計量機器工業連合会会長在任時であった。経歴は次のようである。東京自動車工業、日野重工業と移籍し重責を担うも、会社に介入してくる軍に反発したことから1943年(昭和18年)9月19日に召集令状を受け北支に出征。1946年(昭和21年)1月1日に日本へ帰還、同年園池製作所の社長をしていた内山直に請われて同社に入社、辻堂工場長となる。東京自動車工業時代に懇意にしていた日産自動車の村上正輔から開発途上であったオーバル・ギヤーを世に出すよう依頼され、1949年(昭和24年)5月10日、東京都品川区東大崎にオーバル機器工業を設立。オーバル歯車流量計の試作に成功し、日本最初の計量器製造事業所となる。現在同社は東証一部上場企業となっており、流量計をはじめとする流体計測機器の専業最大手である。
朝永良夫、加島淳ともに東京帝国大学卒業。朝永良夫は工学部、加島淳は法学部。加島淳氏日産と縁があった。
工業技術院長の朝永良夫の後任は川田裕朗である。川田裕朗も東京帝国大学卒業で流体力学が専門分野。院長退職後はスズキ自動車の専務を勤めた。川田裕朗の後任は計量研究所長、工業技術院長としての川田裕朗氏の後任は飯塚幸三。飯塚幸三氏硬さ標準の研究で博士号を得るが計測科学分野の広い知識を有していて、院長退職後はクボタの専務、副社長の職にあった。朝永良夫、川田裕朗、飯塚幸三は東大工学部卒で、計量研究所長、工業技術院長の職を順につないでいた。朝永良夫は朝永振一郎とは従兄弟。
精密さの度合いを説いた朝永良夫のとその座談会のおりの人の健康と寿命に触れた哲学は機械設計屋らしく一貫している。
[資料]
2024年ノーベル化学賞はAIでタンパク質の立体構造予測と新タンパク質設計の研究者ら(デビッド・ベイカー、デミス・ハサビス、ジョン・ジャンパー)
左からデビッド・ベイカー、デミス・ハサビス、ジョン・ジャンパー。(出所:スウェーデン王立科学アカデミー)
(タイトル)
2024年ノーベル化学賞はAIでタンパク質の立体構造予測と新タンパク質設計の研究者ら(デビッド・ベイカー、デミス・ハサビス、ジョン・ジャンパー)
(本文)
2024年ノーベル化学賞に、実験用に用いる結晶化した人工タンパク質をつくりだした研究者と、解析用のAI予測のソフトウエアのアルファフォールドを開発した二人の研究者が10月9日、選ばれた。
チェスの天才だった英国人の少年がいた。少年はその後に囲碁のソフトウエアを開発して世界チャンピョンを打ち負かした。大人になった少年デミス・ハサビスは、タンパク質の立体構造の予測をするソフトウエアの開発に注力する。
タンパク質の立体構造、つまりアミノ酸の配列を予測することができれば病気の早期診断、あるいは薬品の開発に役立つ。
アミノ酸のつなげて人工的アミノ酸の結晶をつくりだすことに成功した者がいた。人工アミノ酸にX線を照射して、その反射反応からタンパク質の立体構造を解析できる。
こちらは実験に用いる結晶化した人工タンパク質の生成。もう一つはソフトウエアの開発。二つが結びついてタンパク質の立体構造の予測に画期的な進歩をもたらした。実験用に用いる結晶化した人工タンパク質をつくりだしたのがデビッド・ベイカー。デビッド・ベイカーは、1962年、米国ワシントン州シアトル生まれ。1989年、カリフォルニア大学バークレー校、米国カリフォルニア州で博士号を取得。ワシントン大学(米国ワシントン州シアトル)教授、米国ハワード・ヒューズ医学研究所研究員。
これまではタンパク質がどのような立体構図を作り出すかは、パラメーターが大きすぎて理論的に予言することができなかった。AI予測のソフトウエアとはAlphaFold(アルファフォールド)のこと。Google傘下のDeepMind社によって開発された人工知能プログラムである。このプログラムは、タンパク質の折り畳み構造を原子の幅に合わせて予測する深層学習システムとして設計されている。ノーベル化学賞受賞の二人、デミス・ハサビスとジョン・ジャンパーが所属するのがDeepMind社。デミス・ハサビスはCEO。デミス・ハッサビスは1976年、イギリス・ロンドン生まれ。2009年ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(英国)で博士号を取得。ジョン・M・ジャンパーは1985年、米国アーカンソー州リトルロック生まれ。2017年シカゴ大学(米国イリノイ州)で博士号を取得。Google DeepMind(英国ロンドン)のシニアリサーチサイエンティスト。
実験用に用いる結晶化した人工タンパク質と解析用のAI予測のソフトウエアのアルファフォールドは、ともに病気予測あるいは薬品開発のための道具立て、つまりツールに属する。さまざまな健康診断のデータから健康状態あるいは病気の状態を診断して適切な薬を処方する。といったことがなされる。これまでは構造生物学者たちが何年もかかって解析したタンパク質の立体構造が立ちどころに予測できるようになったことによる。
デミス・ハサビスとジョン・ジャンは、人工知能プログラムのアルファフォールド2の機能することを確認。ヒトタンパク質の構造を確認した。地球の生物をマッピングする際にこれまでに発見した2億個のタンパク質のほぼすべての構造を予測した。
Google DeepMindは、アルファフォールド2(AlphaFold 2)のコードも公開しており、誰でもアクセスできる。2024年10月までに、AlphaFold2は190カ国から200万人以上が使用している。以前は、タンパク質構造を得るのに何年もかかった。これを数分で行うことができる。
図 AlphaFold2はどのように機能しますか AlphaFold2が研究者にどのように役立つかを示す多くの例のいくつかを示す。
ベイカー氏がタンパク質構築者に
研究者が新しい機能を持つオーダーメイドのタンパク質を作成するタンパク質デザインの分野は、1990年代の終わりに始まった。多くの場合、研究者は既存のタンパク質を微調整して、有害物質の分解や化学製造業界のツールとしての役割をさせていて。
しかし、天然タンパク質の範囲は限られている。まったく新しい機能を持つタンパク質を得る可能性を高めるために、ベイカー氏の研究グループは、タンパク質をゼロから作り出したいと考えた。ベイカーが言った。「飛行機を作りたいのなら、鳥を改造することから始めるのではありません。むしろ、空気力学の第一原理を理解し、その原理から飛行機械を作るのです」
図 .Top7 – 既知の既存のタンパク質とは全く異なる最初のタンパク質。
ユニークなタンパク質が日の目を見る
全く新しいタンパク質が構築される分野をde novo designと呼ぶ。研究グループは、全く新しい構造のタンパク質を描き、ロゼッタ社にどのタイプのアミノ酸配列が目的のタンパク質をもたらすのかを計算させた。これを行うために、Rosettaはすべての既知のタンパク質構造のデータベースを検索し、目的の構造と類似性を持つタンパク質の短い断片を探した。次に、Rosettaはタンパク質のエネルギーランドスケープに関する基本的な知識を使用して、これらのフラグメントを最適化し、アミノ酸配列を提案した。
このソフトウェアがどの程度成功したかを調査するために、ベイカー氏の研究グループは、目的のタンパク質を産生する細菌に、提案されたアミノ酸配列の遺伝子を導入した。次に、X線結晶構造解析を使用してタンパク質の構造を決定した。
その結果、ロゼッタは本当にタンパク質を作れることがわかった。研究者が開発したタンパク質Top7は設計とほぼ同じ構造を持っていた。
図 .BakerのプログラムRosettaを使用して開発されたタンパク質。
これまではタンパク質がどのような立体構図を作り出すかは、パラメーターが大きすぎて理論的に予言することができなかった。AI予測のソフトウエアとはAlphaFold(アルファフォールド)のこと。Google傘下のDeepMind社によって開発された人工知能プログラムである。このプログラムは、タンパク質の折り畳み構造を原子の幅に合わせて予測する深層学習システムとして設計されている。ノーベル化学賞受賞の二人、デミス・ハサビスとジョン・ジャンパーが所属するのがDeepMind社。デミス・ハサビスはCEO。デミス・ハッサビスは1976年、イギリス・ロンドン生まれ。2009年ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(英国)で博士号を取得。ジョン・M・ジャンパーは1985年、米国アーカンソー州リトルロック生まれ。2017年シカゴ大学(米国イリノイ州)で博士号を取得。Google DeepMind(英国ロンドン)のシニアリサーチサイエンティスト。
実験用に用いる結晶化した人工タンパク質と解析用のAI予測のソフトウエアのアルファフォールドは、ともに病気予測あるいは薬品開発のための道具立て、つまりツールに属する。さまざまな健康診断のデータから健康状態あるいは病気の状態を診断して適切な薬を処方する。といったことがなされる。これまでは構造生物学者たちが何年もかかって解析したタンパク質の立体構造が立ちどころに予測できるようになったことによる。
デミス・ハサビスとジョン・ジャンは、人工知能プログラムのアルファフォールド2の機能することを確認。ヒトタンパク質の構造を確認した。地球の生物をマッピングする際にこれまでに発見した2億個のタンパク質のほぼすべての構造を予測した。
Google DeepMindは、アルファフォールド2(AlphaFold 2)のコードも公開しており、誰でもアクセスできる。2024年10月までに、AlphaFold2は190カ国から200万人以上が使用している。以前は、タンパク質構造を得るのに何年もかかった。これを数分で行うことができる。図5は、AlphaFold2が研究者にどのように役立つかを示す多くの例のいくつかを示す。
2020年のCASPコンペティションの後、デビッド・ベイカー氏はトランスフォーマーベースのAIモデルの可能性に気づき、Rosettaに1つ追加した。これにより、タンパク質のde novo設計が容易になった。近年、ベイカー氏の研究室からは、信じられないようなタンパク質が創出されている(図4)。
図 タンパク質構造はAlphaFold2を用いて決定しました。AlphaFold2を使用して決定されたタンパク質構造の画像。
人類の利益のための開発
タンパク質の化学ツールとして、小さな分子の構造を簡単に視覚化できるようになった。これにより一部の病気が発生する理由、抗生物質耐性がどのように発生するか、一部の微生物がプラスチックを分解する理由など、生命がどのように機能するかをよりよく理解することができる。
新しい機能を搭載したタンパク質を作り出す能力は素晴らしい。新しいナノマテリアル、標的医薬品、ワクチンのより迅速な開発、最小限のセンサー、より環境に優しい化学産業など、人類の最大の利益をもたらすアプリケーションがその一例である。
タンパク質の驚くべき構造の暗号を解読
デビッド・ベイカーは、全く新しい種類のタンパク質を作るという、ほとんど不可能な偉業に成功した。今回、Demis HassabisとJohn Jumperは、タンパク質の複雑な構造を予測するというAIモデルを開発した。これらは大きな可能性を秘めている。
生命の多様性は、タンパク質の化学ツールとしての驚くべき能力を証明している。生命の基盤となるすべての化学反応を制御し駆動する。タンパク質は、ホルモン、シグナル物質、抗体、およびさまざまな組織の構成要素としても機能する。
「今年認識されている発見の1つは、壮大なタンパク質の構築に関するもの。もう一つは、アミノ酸配列からタンパク質の構造を予測するという50年来の夢を叶える。これらの発見はどちらも大きな可能性を開きます」とノーベル化学委員会の委員長であるハイナー・リンケは述べる。
タンパク質は通常、20種類のアミノ酸で構成されており、これらは生命の構成要素である。2003年、デビッド・ベイカーはこれらのブロックを使用して、他のタンパク質とは異なる新しいタンパク質を設計することに成功。それ以来、彼の研究グループは、医薬品、ワクチン、ナノ材料、小さなセンサーとして使用できるタンパク質など、想像力に富んだタンパク質の創造を次々と生み出してきた。
2つ目の発見は、タンパク質の構造の予測に関するもの。タンパク質では、アミノ酸が長いひもで結合され、折りたたまれて立体構造を形成し、これがタンパク質の機能に決定的に作用する。1970年代以降、研究者たちはアミノ酸配列からタンパク質の構造を予測しようと試みてきた。しかし4年前に驚くべきブレークスルーがあった。
2020年、デミス・ハサビスとジョン・ジャンパーは、AlphaFold2と呼ばれるAIモデルを発表した。その助けを借りて、彼らは研究者が特定した2億のタンパク質のほぼすべての構造を予測した。AlphaFold2は、そのブレークスルー以来、190カ国から200万人以上が使用している。無数の科学的応用の中で、研究者は抗生物質耐性をより深く理解し、プラスチックを分解できる酵素の画像を作成できるようになった。
タンパク質がなければ生命は存在できない。タンパク質の構造を予測し、タンパク質を設計できるようになったことは、人類に最大の利益をもたらす。
2024年のノーベル生理学・医学賞は線虫から「マイクロRNA」を発見した米マサチューセッツ大学のビクター・アンブロス教授(70歳)と、米ハーバード大学のゲイリー・ラブカン教授(72歳)に
米マサチューセッツ大学のビクター・アンブロス教授(70歳)
米ハーバード大学のゲイリー・ラブカン教授(72歳)
(タイトル)
2024年のノーベル生理学・医学賞は線虫から「マイクロRNA」を発見した米マサチューセッツ大学のビクター・アンブロス教授(70歳)と、米ハーバード大学のゲイリー・ラブカン教授(72歳)に
(本文)
スウェーデンのストックホルムにあるノーベル賞の選考委員会は、2024年10月7日午後6時半(日本時間)、2024年のノーベル生理学・医学賞に、ヒトの遺伝子の働きを制御することができるマイクロRNA分子を発見したアメリカ・マサチューセッツ大学のビクター・アンブロス教授と、ハーバード大学のゲイリー・ラブカン教授の二人を選んだことを発表した。
アンブロス教授らは線虫が成長するときの遺伝子の活動を詳しく解析し、マイクロRNAという分子が遺伝子の働きを制御していることを突き止めた。
その後の研究でマイクロRNAは、ヒトでも遺伝子の働きを制御していることがわかり、現在ではヒトのDNAには1000を超えるマイクロRNAがあることがわかっている。
マイクロRNAの働きが異常になると、がんの発生につながる可能性も指摘されているほか、臓器や骨が形づくられるときに、異常が起きることも明らかになっている。この功績で、二人は2008年に、アメリカで最も権威のある医学賞とされるラスカー賞を受賞した。
ノーベル賞の選考委員会は二人の功績について「ヒトを含む多細胞生物にとって不可欠である、遺伝子制御の全く新しい原理を明らかにした。生命体がどのように発達し、機能するかにおいて、『マイクロRNA』は根源的に重要であることが証明されつつある」と説明している。
マイクロRNAの発見と転写後遺伝子調節におけるその役割
染色体に蓄えられた情報は、体内の全細胞の取扱説明書に例えることができる。すべての細胞には同じ染色体が含まれているため、すべての細胞にはまったく同じ遺伝子のセットとまったく同じ指示のセットが含まれている。しかし筋肉細胞や神経細胞など、さまざまな細胞タイプには、非常に明確な特徴がある。これらの違いはどのように生じるのか。その答えは、各細胞が関連する指示のみを選択できるようにする遺伝子制御にある。これにより各細胞タイプで正しい遺伝子セットのみが活性化される。
Victor AmbrosとGary Ruvkunは、さまざまな細胞タイプがどのように発達するかに興味を持っていた。彼らは、遺伝子調節に重要な役割を果たす新しいクラスの小さなRNA分子であるマイクロRNAを発見した。彼らの画期的な発見は、ヒトを含む多細胞生物にとって不可欠であることが判明した遺伝子制御の全く新しい原理を明らかにした。現在、ヒトゲノムは1000を超えるマイクロRNAをコードしていることが知られている。彼らの驚くべき発見は、遺伝子制御のまったく新しい側面を明らかにした。マイクロRNAは、生物がどのように発生し、機能するかにとって根本的に重要であることが証明されている。
基本的な規制
今年のノーベル賞は、細胞が遺伝子活性を制御するために利用する重要な制御メカニズムの発見に焦点を当てている。遺伝情報は、DNAから転写と呼ばれるプロセスを経てメッセンジャーRNA(mRNA)に流れ、その後、タンパク質産生のための細胞機構に流れる。そこでは、mRNAが翻訳され、DNAに保存された遺伝的指示に従ってタンパク質が作られる。20世紀半ば以降、最も基本的な科学的発見のいくつかが、これらのプロセスがどのように機能するかを説明してきた。
私たちの臓器や組織は、多くの異なる細胞タイプで構成されており、そのDNAに同一の遺伝情報が保存されている。しかし、これらの異なる細胞は、ユニークなタンパク質のセットを発現した。これはどのように可能なのか。その答えは、遺伝子活性を正確に制御して、特定の細胞タイプごとに正しい遺伝子セットのみが活性化されるようにすることにある。これにより、例えば、筋細胞、腸細胞、およびさまざまな種類の神経細胞が、それぞれの特殊な機能を果たすことができる。さらに、遺伝子活性は、細胞機能を私たちの体や環境の変化に適応させるために、絶えず微調整する必要がある。遺伝子の調節がうまくいかないと、がんや糖尿病、自己免疫などの重篤な病気につながる可能性がある。したがって、遺伝子活性の制御を理解することは、何十年にもわたって重要な目標であった。
DNAからmRNA、タンパク質への遺伝情報の流れの図
DNAからmRNA、タンパク質への遺伝情報の流れ。私たちの体内のすべての細胞のDNAには、同一の遺伝情報が保存されている。そのためには、遺伝子活性を正確に制御し、特定の細胞タイプごとに正しい遺伝子セットのみが活性化されるようにする必要がある。
1960年代には、転写因子と呼ばれる特殊なタンパク質がDNAの特定の領域に結合し、どのmRNAが産生されるかを決定することで遺伝情報の流れを制御できることが示された。それ以来、何千もの転写因子が同定され、長い間、遺伝子調節の主要な原理が解明されたと信じられていた。しかし、1993年に今年のノーベル賞受賞者は、新しいレベルの遺伝子調節を説明する予想外の発見を発表した。進化を通じて非常に重要で保存されていることが判明。
小さな線虫の研究が大きなブレークスルーにつながる
1980年代後半、ビクター・アンブロスとゲイリー・ルヴクンは、シドニー・ブレナーとジョン・サルストンとともに、2002年にノーベル賞を受賞したロバート・ホロヴィッツの研究室の博士研究員であった。ホロビッツの研究室では、比較的控えめな体長1mmの回虫、C.エレガンスを研究しました。C.エレガンスは、その小さなサイズにもかかわらず、より大きく複雑な動物にも見られる神経細胞や筋肉細胞など、多くの特殊な細胞タイプを持っており、多細胞生物の組織がどのように発達し成熟するかを調べるための有用なモデルとなっている。Ambros氏とRuvkun氏は、さまざまな遺伝子プログラムの活性化のタイミングを制御し、さまざまな細胞タイプが適切なタイミングで発生するようにする遺伝子に興味を持っていた。彼らは、発生中の遺伝的プログラムの活性化のタイミングに欠陥を示す2つの突然変異株、lin-4とlin-14を研究しました。受賞者たちは、変異した遺伝子を特定し、その機能を理解したいと考えていました。Ambrosは以前に、lin-4遺伝子がlin-14遺伝子の負の調節因子であるように見えることを示していた。しかし、lin-14の活動がどのようにブロックされたかは不明でした。アンブロスとルヴクンは、これらのミュータントとその潜在的な関係に興味をそそられ、これらの謎を解くために着手した。
(A)C.エレガンスは、さまざまな細胞タイプがどのように発生するかを理解するための有用なモデル生物です。(B) AmbrosとRuvkunは、lin-4とlin-14の変異体を研究した。Ambrosは、lin-4がlin-14の負の調節因子であるように見えることを示しました。(C)Ambrosは、lin-4遺伝子がタンパク質をコードしない小さなRNA、microRNAをコードしていることを発見した。Ruvkunはlin-14遺伝子をクローニングし、2人の科学者はlin-4マイクロRNA配列がlin-14 mRNAの相補的な配列と一致することに気づいた。
ポスドク研究の後、ビクター・アンブロスはハーバード大学に新しく設立された研究室でlin-4変異体を分析した。系統的なマッピングにより、遺伝子のクローニングが可能になり、予想外の発見につながった。lin-4遺伝子は、タンパク質産生のコードを欠く異常に短いRNA分子を産生した。これらの驚くべき結果は、lin-4由来のこの小さなRNAがlin-14の阻害に関与していることを示唆していた。
Gary Ruvkunは、マサチューセッツ総合病院とハーバード大学医学部に新しく設立された研究室でlin-14遺伝子の制御を調査した。遺伝子調節が機能することが知られていた方法とは異なり、Ruvkunは、lin-4によって阻害されるのはlin-14からのmRNAの産生ではないことを示。この調節は、タンパク質産生の停止を通じて、遺伝子発現の過程の後の段階で起こるように思われた。実験により、lin-14 mRNAには、lin-4による阻害に必要なセグメントも明らかになった。2人の受賞者は、彼らの発見を比較し、画期的な発見をもたらしました。短いlin-4配列は、lin-14 mRNAのクリティカルセグメントの相補的な配列と一致しました。AmbrosとRuvkunは、lin-4マイクロRNAがmRNAの相補配列に結合してlin-14をオフにし、lin-14タンパク質の産生を阻害することを示すさらなる実験を行った。これまで知られていなかったタイプのRNAであるマイクロRNAによって媒介される遺伝子制御の新しい原理が発見されたのです。その結果は、1993年にCell誌の2つの記事に掲載されました。
発表された結果は、当初、科学界からほとんど耳をつんざくような沈黙で迎えられた。結果は興味深いものであったが、遺伝子調節の異常なメカニズムはC.エレガンスの特異性と考えられており、人間や他のより複雑な動物には関係ない可能性が高いと考えられていた。その認識は、2000年にRuvkunの研究グループがlet-7遺伝子によってコードされる別のマイクロRNAの発見を発表したときに変わった。lin-4とは異なり、let-7遺伝子は高度に保存されており、動物界全体に存在していた。この論文は大きな関心を集め、その後数年間で数百種類のマイクロRNAが同定されました。今日、ヒトにはさまざまなマイクロRNAの遺伝子が1000以上存在し、マイクロRNAによる遺伝子制御は多細胞生物の間で普遍的であることがわかっている。
Ruvkunは、マイクロRNAをコードする第2の遺伝子であるlet-7をクローニングしました。この遺伝子は進化の過程で保存されており、現在ではマイクロRNAの制御が多細胞生物の間で普遍的であることがわかっている。
新しいマイクロRNAのマッピングに加えて、いくつかの研究グループによる実験により、マイクロRNAがどのように産生され、制御されたmRNAの相補的な標的配列に送達されるかのメカニズムが解明された。マイクロRNAの結合は、タンパク質合成の阻害またはmRNAの分解につながる。興味深いことに、単一のマイクロRNAが多くの異なる遺伝子の発現を調節することができ、逆に、単一の遺伝子が複数のマイクロRNAによって制御されることで、遺伝子のネットワーク全体を調整および微調整することができる。
機能的なマイクロRNAを作製するための細胞機構は、例えばウイルス感染から植物を保護する手段として、植物と動物の両方で他の低分子RNAを作製するためにも採用されている。2006年にノーベル賞を受賞したAndrew Z. Fire氏とCraig C. Mello氏は、細胞に二本鎖RNAを追加することで特定のmRNA分子が不活性化されるRNA干渉について説明した。
生理学的に極めて重要な微小RNA
Ambros氏とRuvkun氏によって初めて明らかにされたマイクロRNAによる遺伝子制御は、何億年も前から行われてきた。このメカニズムにより、ますます複雑化する生物の進化が可能になった。遺伝子研究から、細胞や組織はマイクロRNAなしでは正常に発達しないことがわかっている。マイクロRNAによる異常な制御はがんの原因となる可能性があり、ヒトではマイクロRNAをコードする遺伝子の突然変異が見つかっており、先天性難聴、眼疾患、骨格障害などの症状を引き起こしている。マイクロRNA産生に必要なタンパク質の1つに変異が生じると、DICER1症候群(さまざまな臓器や組織のがんに関連するまれではあるが重篤な症候群)が発生する。
Ambros氏とRuvkun氏による小型線虫C.elegansの独創的な発見は予想外であり、すべての複雑な生命体に不可欠な遺伝子制御の新たな次元を明らかにした。
マイクロRNAの独創的な発見は予想外であり、遺伝子制御の新たな次元を明らかにした。
科学的背景:マイクロRNAの発見と転写後遺伝子調節におけるその役割
ビクター・アンブロスは1953年、アメリカ・ニューハンプシャー州ハノーバー生まれ。1979年にマサチューセッツ工科大学(MIT)で博士号を取得し、1979年から1985年までポスドク研究に従事した。1985年にマサチューセッツ州ケンブリッジのハーバード大学の主任研究員に。1992年から2007年までダートマス医科大学の教授であり、現在はマサチューセッツ州ウースターのマサチューセッツ大学医学部の自然科学のシルバーマン教授。
ゲイリー・ルヴクンは1952年、アメリカ・カリフォルニア州バークレー生まれ。1982年にハーバード大学で博士号を取得した。1982年から1985年までマサチューセッツ州ケンブリッジのマサチューセッツ工科大学(MIT)で博士研究員を務めた。彼は1985年にマサチューセッツ総合病院とハーバード大学医学部の主任研究員になり、現在は遺伝学の教授。
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科学的背景
マイクロRNAの発見と転写後遺伝子制御におけるその役割
単細胞の祖先から多細胞生物が進化し、各細胞タイプが特殊な機能を獲得したため、遺伝子制御のメカニズムはますます高度化する必要がありました。調節配列に作用するDNA結合因子によって媒介される転写遺伝子制御に加えて、複雑化が進む生物が進化するにつれて、他の形態の制御系が出現しました。何億年にもわたって、小さなノンコーディングRNA分子をコードする遺伝子、いわゆるマイクロRNAが多細胞生物のゲノム内で増殖し、mRNAの安定性とタンパク質翻訳に対する転写後制御を行使しました。マイクロRNAとその遺伝子制御の様式は、1993年にビクター・アンブロスとゲイリー・ルブクンによって発見されるまで、まったく知られていませんでした。2人のノーベル賞受賞者は、lin-4およびlin-14遺伝子座の変化によって引き起こされた発生障害を持つ突然変異型線虫C.elegans線虫を調査しました。Ambrosの研究室はlin-4遺伝子をクローニングし、それがタンパク質をコードしていないという驚くべき発見をしました。代わりに、短い22ヌクレオチドノンコーディングRNAをコードしていました。これと並行して、Ruvkun氏の研究室では、lin-4が3'非翻訳領域(3'UTR)の複数の要素を介してlin-14を制御していることを明らかにしました。配列情報を比較した結果、短いノンコーディングlin-4 RNAとlin-14の3'UTR要素との間に部分的な配列相補性があることが明らかになりました。これにより、概念的に新しいタイプの制御性RNA、すなわちマイクロRNAを初めて垣間見ることができました。2000年、Ruvkun氏の研究室は、高度に保存されたlet-7 microRNAを発見し、その後、ヒトを含む多様な動物種にわたる相同マイクロRNAの同定につながりました。これをきっかけに、動物界全体でマイクロRNAを同定するためのクローニングとシーケンシングが盛んに行われ、その結果、マイクロRNAはタンパク質をコードする遺伝子の広大なネットワークを制御する大規模な調節因子グループを包含していることがわかりました。Ambros氏とRuvkun氏による発見は全く予想外であり、マイクロRNAが媒介する進化的に保存された転写後調節メカニズムを明らかにし、動物の発生と成体組織機能に重要な役割を果たしていることを明らかにしました。
紹介
各遺伝子をいつ、どこでRNAに転写し、タンパク質に翻訳するかを制御することは、生命の基本的な側面です(図1)。たとえば、インスリンは膵島のベータ細胞で産生されますが、オプシンは眼の網膜で産生されます。細胞種特異的な遺伝子の精密な制御の指示は、遺伝物質自体にコードされ、配列特異的なDNA結合タンパク質によって作用されます。フランソワ・ジャコブとジャック・モノは、遺伝子がどのように制御されているかを発見したことで、1965年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。DNA結合転写因子のレパートリーは、単細胞および多細胞の真核生物の間で良好に保存されていますが(King et al., 2008)、多細胞生物内では、各細胞型でいつでもRNAとタンパク質の正しい産生を確保するために、遺伝子調節の追加層が出現しています。
DNAからmRNA、タンパク質への遺伝情報の流れの図
図 1.細胞型特異的機能の制御。すべての細胞には同一の染色体セットが含まれているため、まったく同じ遺伝子セットが含まれています。細胞型特異的な機能は、これらの遺伝子の選択されたサブセットのみが各細胞型内で活性化されるときに発生します。© ノーベル生理学・医学委員会。イリノイ州マティアス・カールレン
真核生物のモデル生物は、遺伝子研究において非常に貴重な存在であり、多くの予想外の発見をもたらしてきました。シドニー・ブレナーは、50年以上前に線虫Caenorhabditis elegans(C.エレガンス)を紹介しました。この生物の短い世代時間、透明性、および遺伝子操作の容易さは、広範な研究を促進しました。Sydney Brenner、John Sulston、Robert Horvitz は、C. elegans を使用して、臓器発生中に細胞分裂、分化、細胞死が遺伝的にどのように制御されているかを解明し、2002 年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
1970年代に、ブレナー研究室で行われたC.エレガンスの突然変異誘発スクリーニングにより、lin-4変異体(e912)が発見されました。これらの線虫は顕著な表現型を示しました:多くの細胞タイプと形態学的構造が完全に欠如し、外陰部の発達の失敗により卵が蓄積されました(図2)(Horvitz and Sulston、1980;Chalfie, Horvitz and Sulston, 1981)、特定の細胞系譜に対する発生プログラムの反復から来ているようです。
l in-4変異体で観察された線虫の発達の大きな混乱は、lin-4が発生タイミングのマスターレギュレーターをコードしていることを示唆しています。ホロビッツ研究室で発見された第2の変異体lin-14を含む、種々の時間的発達障害を示す多数の追加の異時性変異体が特徴づけられた(Ferguson, Sternberg and Horvitz, 1987)。
異時性線虫の突然変異体の写真
図 2.発生上の欠陥を持つ異時性線虫の変異体。動物の発生を混乱させた線虫lin-4およびlin-14変異体。変異体のlin-4線虫は、外陰部を形成することなく細胞系統が内部の卵子を蓄積するための発生プログラムを繰り返しますが、lin-14変異体は小さく、幼虫の発達を欠いています。(Ambros、2008)から適応されたワーム
一方、Victor Ambrosは、David Baltimoreとともにポリオウイルスのゲノム構造と複製に関する博士号を取得した後、Horvitz研究室に加わりました。ポスドクとして、Ambrosはすぐに異時変異体の遺伝子解析に着手し、lin-14がlin-4変異体で観察されたものとは逆の発生タイミング欠陥を持っていることを特定しました(図2)。lin-14変異体では、幼虫プログラムは完全に存在しませんでした(Ambros and Horvitz、1984)。注目すべきは、Ambrosが後にlin-4がlin-14の負の調節因子であることを発見したことです(Ambros, 1989)。
この期間中、ゲイリー・ルヴクンはフレデリック・アウスベルの監督下で細菌遺伝学の博士号を取得していました。ヨーロッパを旅行中に、彼は異時変異体の細胞系統解析について学んだ後、線虫の遺伝学に興味を持つようになりました(Chalfie、Horvitz and Sulston、1981;Ruvkun、Wightman and Ha、2004)。その後、Martin ChalfieとRobert Horvitzとの議論が、これらの問題を調査するためにC.エレガンスを使用することへの彼の関心をさらに高めました。1982年、ルヴクンはウォルター・ギルバートとロバート・ホロヴィッツの研究室で共同でポスドク研究を開始しました。
マイクロRNAによる転写後遺伝子制御の発見
ホロビッツ研究所では、アンブロスとルヴクンがlin-14のクローン化を長く追求し始めました。当時、遺伝学によって定義された遺伝子座のDNA配列を特定することは困難な作業でした。何年にもわたる粘り強い実験の後、彼らは古典的な制限フラグメント長多型アプローチを使用して領域を特定することに成功しました(Ruvkun et al., 1989)。この期間中、アンブロスとルヴクンはともに、アンブロスはハーバード大学、ルヴクンはマサチューセッツ総合病院とハーバード大学医学部で教員の地位を得た。自分たちの疑問に向き合いながら、彼らは分子解析を続けました。Ruvkunは、lin-14が発生段階でステージ特異的に発現し、L1ステージで高発現し、lin-4およびlin-14変異体で変化する核タンパク質であることを示しました(Ruvkun and Giusto、1989)。興味深いことに、3'UTRに欠失を持つlin-14機能獲得変異体が発見されました(Ruvkun and Giusto, 1989;Wightman et al., 1991)、L1ステージを超えてlin-14タンパク質の検出が延長されることにつながった(Arasu, Wightman and Ruvkun, 1991;Wightman et al., 1991)。3'UTR要素の破壊はタンパク質配列に影響を与えなかったため、Ruvkunは、mRNAの安定性、核外輸送、または翻訳に作用する転写後メカニズムがlin-14の時間スイッチを媒介している可能性が高いと仮定しました(Wightman et al., 1991)。
同定されたいくつかのlin-14変異体とは対照的に、lin-4では1つの変異体しか発見されていなかった(e912)。Ambros研究室は、制限フラグメント長多型とサザンブロットプローブによって導かれて、lin-4遺伝子のクローニングに着手しました。「染色体に沿って歩き」、変異型lin-4表現型を救う能力について小さなゲノム断片を繰り返しテストすることで、693 bpのSal l制限酵素フラグメントを特定しました。オープンリーディングフレームの予測とクローンの再シーケンシングを繰り返してエラーを排除した後、彼らはlin-4遺伝子が短いオープンリーディングフレーム(ORF)配列のためにノンコーディングRNAであるのではないかと疑い始めました。C.エレガンス配列に導入されたフレームシフト変異は、lin-4の機能に影響を与えず、この疑念を裏付けています。1991年、研究室はノーザンブロットおよびRNase保護アッセイによるlin-4転写産物の探索を開始し、長さが61ヌクレオチド(nt)の2つの短いRNA転写産物を明らかにしました(図3)。
2つの短いlin-4転写産物の同定の画像。
図 3.2つの短いlin-4転写産物の同定。野生型、lin-4 (e912) 変異体、および Sal I フラグメントでレスキューされた lin-4 (e912) 変異体からの全 RNA のノーザンブロットを、放射性標識 lin-4 RNA プローブでプローブし、U6 ローディングコントロールと比較しました。(リー、ファインバウム、アンブロス、1993)。
lin-4(Ambros研究室)とlin-14(Ruvkun研究室)の配列を独立して推定した後、1992年6月11日の夕方、AmbrosとRuvkunはlin-4とlin-14遺伝子の配列データを交換しました。両者とも、lin-4ノンコーディングRNAとlin-14 3'UTRの複数の要素との間に顕著な部分相補性があることに気づきました(図4)。
彼らの観察の重要性を認識した2つの研究室は、lin-4マイクロRNAが3'UTRに位置する要素との塩基対形成を通じてlin-14 mRNAを制御していることを実証する一連の追加の実験を行いました。彼らの独創的な発見は、1993年にCell誌に立て続けに発表された2つの論文で報告されました(Lee, Feinbaum and Ambros, 1993;Wightman, Ha and Ruvkun, 1993)。
図 4.lin-4およびlin-14 RNAの相補的な配列要素。lin-4とlin-14のクローニング配列を比較したところ、短い22 ntのlin-4 RNAは、lin-14 3'UTRの反復要素に対して部分相補性を有することが明らかになりました。
Ambrosの研究室では、C.エレガンスlin-4配列を使用して、他の線虫種(C.briggsae、C.remanei、C.vulgaris)に対応するlin-4を含むクローンを同定しました。これらの実験により、他の線虫由来のlin-4クローンが、C.エレガンスのlin-4変異体表現型を救うことができることが実証されました。また、20,000以上の変異原性染色体をスクリーニングし、1塩基変異を含む2つ目のlin-4変異体(ma161)を同定した。特に、この変異は相補配列内に存在し、lin-4マイクロRNAとlin-14 3'UTR要素との間の相補塩基の機能的意義をさらに支持しました(Lee、Feinbaum、Ambros、1993)。
Ruvkunの研究室では、野生型およびlin-14機能獲得変異体におけるlin-14タンパク質とRNAの量を調査しました。変異体中のlin-14タンパク質は4倍から7倍に上昇し、RNA量に差はなく、lin-14が転写後レベル(すなわち、RNAが転写された後)で制御されていることを示しました。lin-14 3'UTRをレポーター遺伝子に導入すると、lin-14と同様のレポーター遺伝子の転写後制御が起こり、異種3'UTRがmRNA翻訳を制御するのに十分であることが実証されました。繰り返し、lin-14 3'UTRの小さな断片をレポーターに移し、機能的な124 nt長の3'UTR断片が同定されました。この3'UTR領域には、lin-4と部分的に相補的な配列がいくつか含まれており、さらにこの領域はC. briggsaeに保存されていました(Wightman, Ha and Ruvkun, 1993)。
新たに発見されたlin-4マイクロRNAを全種のヌクレオチド配列の包括的なデータベースに照らして計算解析したところ、他のCaenorhabditis線虫(C. briggsaeなど)の間でのみ一致する配列が明らかになりました。マイクロRNAの存在は線虫に特有の特異性だったのか、それとも動物界全体に広範囲にわたる機能的影響をもたらして保存されていたのか、という重要な疑問が残っていました。
進化的に保存されたlet-7マイクロRNAの発見
最初のマイクロRNAであるlin-4の画期的な発見に続き、2番目のマイクロRNA遺伝子であるlet-7が同定されるまでに7年が経過しました。Ruvkun研究室は、lin-14およびegl-35遺伝子座の両方で突然変異を持つ株の合成無菌表現型を抑制する突然変異体に焦点を当てた遺伝子スクリーニングを実施しました(Reinhart et al., 2000)。Let-7は、lin-14、lin-28、lin-41、lin-42、daf-12など、さまざまな異時性遺伝子の3'UTRに対して相補性を示す短い21-nt RNAをコードすることがわかりました。let-7の喪失は、成虫期における幼虫細胞の運命の反復につながった。第2のマイクロRNA遺伝子の発見は、マイクロRNAが発生中の細胞系譜形成の段階特異的なタイミングを調節する上でより広範な役割を果たす可能性があることを示唆しています。
次のブレークスルーは、Ruvkun研究室がlet-7遺伝子がlin-4とは異なり、幅広い動物にわたって進化的に保存されていることを発見したときに訪れました。let-7マイクロRNA配列をヌクレオチドデータベースと比較すると、ショウジョウバエとヒトの両方で配列が一致していることが明らかになりました(Pasquinelli et al., 2000)。線虫におけるlet-7の同定された標的の1つは、ゼブラフィッシュおよびショウジョウバエのオルソログを有するタンパク質であるlin-41(Reinhart et al., 2000)であった。心強いことに、ゼブラフィッシュとショウジョウバエの両方のlin-41オルソログの3'UTRは、let-7と相補性を示しました(Pasquinelli et al., 2000)。さらに、let-7マイクロRNAはいくつかのヒト組織で発見され、一般的な哺乳類細胞における遺伝子発現との関連性を示しています。
線虫と同様に、ショウジョウバエの発生の解析では、let-7 microRNAの時間的調節が示され、昆虫、甲殻類、線虫の間でlet-7が果たした役割が保存されていることが示唆されました(Pasquinelli et al., 2000)。驚くべきことに、幼虫の状態を通じて発達しない種である軟体動物および環形動物の成体期でも、let-7の時間的発現が検出されました(Pasquinelli et al., 2000)。さらに、脊椎動物は明確な幼虫期を持っていませんが、成体のゼブラフィッシュでの強い発現を含め、発生中に時間的に調節されたlet-7発現を示します。驚くべきことに、let-7の発現は、左右対称の動物である二国間動物の間で時間的に制御されていることがわかり、これらの動物が二葉芽球種、つまりヒトや他の脊椎動物のように3つではなく2つの主要な胚葉から発生する種から分岐した後に進化した可能性があります(図5)。進化的に高度に保存されたlet-7の発見は、遺伝子発現の転写後調節因子としてのマイクロRNAへの関心を大いに高めました。
図 5.let-7 RNA発現とマイクロRNAの進化的保存、より一般的に。左:後生動物の進化系統樹で、検出可能なlet-7マイクロRNA発現(+)またはlet-7発現が検出されなかった系統樹(-)の枝を強調表示しています。let-7 RNA発現の類似した発生パターンを持つ種は(初期段階ではlet-7はなく、成体期までにlet-7が発現する)ことは「Dev.」で示されています。(Pasquinelli et al., 2000)。右:マイクロRNA遺伝子は、5億年以上にわたって多細胞生物のゲノム内で進化し、拡大してきました。
let-7の発見後、いくつかの研究室では、small RNAクローニングを通じて、ヒトや他の種における追加のマイクロRNAの同定を模索しました。Thomas Tuschlの研究室では、ヒトおよびショウジョウバエの組織から新規のmicroRNAをクローニングし(Lagos-Quintana et al., 2001)、David Bartelの研究室では線虫から新しいmicroRNAを単離し(Lau et al., 2001)、Ambrosの研究室では(Lee and Ambros, 2001)が単離しました。その結果、膨大な種類の制御性マイクロRNAが動物全体に存在し、遺伝子調節に重要な役割を果たしている可能性が高いという、説得力のある証拠が得られました。それ以来、分子生物学とシーケンシング技術の進歩により、ヒトゲノム中の1,000を超えるマイクロRNA遺伝子が同定されました。現在、マイクロRNA遺伝子のデータベースであるmiRBaseは、271の生物にわたる38,000以上のヘアピン前駆体と48,860の成熟マイクロRNA遺伝子配列で構成されています(Kozomara, Birgaoanu and Griffiths-Jones, 2019)。ウイルスでさえも、マイクロRNA遺伝子をコードすることがわかっています(Pfeffer et al., 2004)。
追加のマイクロRNAのクローニングと全ゲノム配列の利用可能性は、マイクロRNAと3'UTR領域との間の塩基対形成規則を定義する機会の増加を示しました。David Bartel、Christopher Burge、Stephen Cohenの研究室で実施された重要な研究(Lewis et al., 2003;Stark et al., 2003;Brennecke et al., 2005;Lewis, Burge and Bartel, 2005)は、実験的および比較ゲノミクスアプローチを組み合わせて、マイクロRNA標的認識の全体的なルールを解明しました。これらの研究は、マイクロRNAが典型的には、主にマイクロRNAの「シード」領域において、標的mRNAに対して部分的な相補性を有することを示しました。また、この研究により、多くの3'UTRはマイクロRNAシード配列に相補的な配列を過剰に保存しているため、各マイクロRNAが複数のタンパク質コード遺伝子を制御している可能性が高いことも明らかになりました(Brennecke et al., 2005;Lewis、Burge and Bartel、2005)。興味深いことに、細胞型または系統特異的なマイクロRNAと共発現する遺伝子には、その特定のマイクロRNAの標的部位がありません。対照的に、このようなマイクロRNAの標的部位は、隣接する細胞や組織で発現する遺伝子によく見られます(Farh et al., 2005;Stark et al., 2005)。これらの観察結果は、マイクロRNAが多細胞生物の細胞系譜形成と細胞型の安定性に重要な機能を持っているという仮説を補強しました。
マイクロRNAの生合成と機能
追加のマイクロRNA遺伝子のクローニングと並行して、いくつかの研究グループによる集中的な努力がマイクロRNAの生合成と作用機序の理解に注がれました(Bartel、2004年)。マイクロRNA遺伝子転写の戦略はさまざまです。多くのマイクロRNA遺伝子は独立した転写単位であり、クラスター化されている場合もあれば、タンパク質をコードする遺伝子のイントロン内に存在しているものもあります。標準的な初代マイクロRNA(pri-microRNA)は、RNAポリメラーゼIIによって転写され、ヘアピン構造の配列を特徴としています。このヘアピンは、Droshaエンドヌクレアーゼを含むヘテロ三量体複合体であるマイクロプロセッサーが核内で処理するための基質として機能し、両方の鎖を切断して、通常60〜70ヌクレオチドの長さの前駆体マイクロRNA(pre-microRNA)を生成し、Ambrosラボで最初に検出されました(図2)。Exportin 5およびRAN-GTPは、細胞質へのプレマイクロRNA輸送を促進します。その後、Greg Hannonの研究室(Bernstein et al., 2001)で同定されたエンドヌクレアーゼであるDicerによるプロセシングにより、マイクロRNA二本鎖が形成されます。有効なmicroRNA鎖は、Argonauteタンパク質含有サイレンシング複合体にロードされますが、もう一方の「パッセンジャー」鎖は置換されます(Schwarz et al., 2003)。マイクロRNA鎖がサイレンシング複合体にロードされると、翻訳やmRNAの分解を減少させることで、mRNAの配列特異的な負の調節を行うことができます。この制御には、アダプタータンパク質TNRC6とポリ(A)結合タンパク質PABPCが関与しており、mRNAポリAテールを短縮するデッドデニラーゼ複合体を動員し、細胞の状況(発生段階や細胞タイプなど)に応じてmRNAの分解と翻訳阻害をもたらします。
マイクロRNA機能を処理および実行する機械は、一般にRNA干渉(RNAi)として知られる他のRNAベースのサイレンシングメカニズムにも使用されます。これらには、低分子干渉RNA(siRNA)、内因性piwi関連RNA(piRNA)、および反復結合低分子干渉RNA(rasiRNA)が含まれます。二本鎖RNAが配列依存性遺伝子サイレンシングを誘導できるという発見(Fire et al., 1998)により、Andrew Z. FireとCraig C. Melloは2006年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。RNAiは主にウイルス感染(植物およびより複雑性の低い動物)および望ましくないゲノム移動要素活性に対する防御メカニズムとして機能しますが、マイクロRNAは発生全体および成体細胞タイプ全体でmRNAに対して転写後制御を発揮します。この目的のために、マイクロRNAは、各mRNAターゲットに対するそれぞれの効果を「調整」するために、ターゲットmRNA配列に対して部分相補性を進化させてきましたが、例えば、siRNAはしばしば外因性であり、切断される特定のRNAターゲット配列に対して完全な相補性を持っています。1999年、David Baulcombeは、植物における転写後遺伝子サイレンシングには、標的配列に特異的な短いRNAの処理が含まれることを示しました(Hamilton and Baulcombe、1999)、さまざまな分野での観察をさらに結び付けました。
マイクロRNAの進化とその生理的役割
マイクロRNA遺伝子の出現と拡大は、より複雑な生物の進化と密接に関連しています(図5)。マイクロRNA遺伝子の数は、初期の二国間進化の間に著しく増加しました(Grimson et al., 2008;Wheeler et al., 2009)、それらの機能的役割は、プロトストームと後口動物の分岐に先立つ最後の共通の二国間祖先で推論されました(Christodoulou et al., 2010)。それ以来、複雑な生物のより特殊な細胞タイプや組織の進化により、何百ものマイクロRNA遺伝子が追加されています。マイクロRNA遺伝子は、初期の後生動物スポンジ、植物、および2つの単細胞真核生物種でも同定されています。したがって、マイクロRNAは、約6億年前の多細胞動物の初期の系統を含め、進化の過程で複数回出現した可能性や、植物と動物の両方の祖先がすでに10億年前にマイクロRNAを進化させた可能性があります(Moran et al., 2017)。特に、進化的に古いマイクロRNA遺伝子の多くが、後に進化した生物に保存されていること、そしてこれらの遺伝子が進化によって失われることがほとんどないという事実は、遺伝子調節におけるそれらの重要な役割を示しています。
後生動物の発生および組織機能におけるマイクロRNAの本質的な役割は、マイクロRNA生合成経路の成分のアブレーションを通じて実証されています。細胞質でpre-miRNAを処理するDicerの喪失は、マウスやゼブラフィッシュでは胚的に致死的です(Bernstein et al., 2003;Wienholds et al., 2003)。ショウジョウバエやマウスのマイクロRNA遺伝子の個々のまたはグループの除去も、強い表現型を引き起こします(Bartel、2018年)。しかし、個々のマイクロRNA遺伝子の役割は、標的を定義するシード配列を共有する複数のマイクロRNA遺伝子の重複した役割が原因である可能性があります。このシステムの冗長性は、単一のマイクロRNA遺伝子の機能を研究する上での障壁となりますが、システムの堅牢性も示しており、ウイルスなどによって簡単に操作できない理由も説明しています。
マイクロRNAの基本的な役割を強調するためには、最も進化的に保存されたマイクロRNA遺伝子、つまり二国間生物間で共有される遺伝子は胚発生の初期に機能しているのに対し、哺乳類で特異的に進化したマイクロRNAは胚発生の後期に機能することに注意することが重要です(DeVeale, Swindlehurst-Chan and Blelloch, 2021)。対照的に、種特異的なマイクロRNA遺伝子は、一般に、胚発生ではなく成体細胞型で役割を果たします。これらのパターンは、さまざまな進化的保存のマイクロRNA遺伝子に対する体系的なノックアウト実験から明らかです。動物発生におけるマイクロRNAの特異的な制御役割には、発生のタイミング、細胞運命の形成と安定性、一般的な生理機能、恒常性などがあります(DeVeale, Swindlehurst-Chan and Blelloch, 2021)。
成体細胞や組織におけるマイクロRNAの機能は、トランスジェニックマウスにおける選択的Dicer除去によって解明されています。B細胞の成熟期にDicer1を早期に除去すると、プロB細胞の段階で分化が停止しました(Koralov et al., 2008)。ニューロンにおける胚15.5日目のDicer1アブレーションは、小頭症に先行する出生後早期の死亡、樹状突起枝の精緻化の減少、および樹状突起棘の長さの増加をもたらしました(Davis et al., 2008)。有糸分裂後の小脳プルキンエ細胞では、2週齢でのDicer1の喪失が小脳変性および運動失調の発症(非協調的な筋肉運動)を引き起こしました(Schaefer et al., 2007)。同様に、中脳のドーパミン作動性ニューロンにおけるDicer1の喪失は、進行性のニューロン喪失と自発運動活動の低下につながりました(Kim et al., 2007)。他のいくつかの細胞タイプや組織で重度の表現型が観察されており、発生過程と成体細胞型機能の両方におけるマイクロRNAの重要な役割が実証されています。
ヒトの発生と機能に対するマイクロRNAの重要性は、特定のマイクロRNA遺伝子または生合成経路の構成要素の突然変異に関連する症候群を通じて明らかになります。DICER1症候群は、DICER1遺伝子の変異によって引き起こされるまれな遺伝性疾患であり、腎臓、甲状腺、卵巣、子宮頸部、睾丸、脳、眼、および肺に腫瘍ができやすくなります。多くの場合、DICER1の1つの対立遺伝子には生殖細胞変異があり、機能不全になり、細胞内の機能的なDICER1タンパク質の量が減少します。これらの個人は、追加の体細胞変異に対して脆弱であり、その結果、小児期に腫瘍を発症することがよくあります(Foulkes、Priest and Duchaine、2014)。
個々のmicroRNA遺伝子の塩基対形成部分(すなわち、シード領域)は短いため、偶然の突然変異によって変更される可能性が低くなります。しかし、マイクロRNA遺伝子のシード配列には、疾患に関連する変異が知られています。これらには、進行性難聴に関連するmiRNA-96の変異が含まれます(Mencía et al., 2009;Soldà et al., miRNA-184 の変異は、虹彩形成不全、内皮ジストロフィー、および先天性白内障を伴うまれな眼疾患である EDICT 症候群を引き起こします (Hughes et al., 2011;Iliff、Riazuddin and Gottsch、2012;Lechner et al., 2013)、およびmiRNA-140-5pの変異が先天性骨格障害を引き起こす(Grigelioniene et al., 2019)。代謝障害、心血管疾患、神経変性疾患、がんなどの疾患に対するマイクロRNAベースの診断法や治療法の開発が進んでいます。
概要
Ambros氏とRuvkun氏による独創的な発見、そしてその発見を基にした多くの同僚のおかげで、遺伝子制御の新たな側面が明らかになりました。核内のタンパク質がRNAの転写とスプライシングを調節するのに対し、マイクロRNAは細胞質内のmRNAの翻訳と分解を制御します。この転写後遺伝子調節の予想外の層は、動物の発生全体および成体細胞型において非常に重要であり、複雑な多細胞生物にとって不可欠です。
リカード・サンドバーグ博士、カロリンスカ研究所教授、(Rickard.Sandberg@ki.se)、ノーベル委員会メンバー
主な参考文献
Rosalind C. Lee, Rhonda L. Feinbaum and Victor Ambros (1993) 「C. elegansの異時性遺伝子lin-4は、lin-14に対するアンチセンス相補性を持つsmall RNAをコードしている」。セル、75(5)、843-854ページ。
Bruce Wightman、Ilho Ha、およびGary Ruvkun(1993)「lin-4による異時性遺伝子lin-14の転写後調節は、C.エレガンスの時間的パターン形成を媒介する」。セル、75(5)、855-862ページ。
Amy E. Pasquinelli, Brenda J. Reinhart, Frank Slack, Mark Q. Martindale, Mitzi I. Kurodak, Betsy Maller, David C. Hayward, Eldon E. Ball, Bernard Degnan, Peter Müller, Jürg Spring, Ashok Srinivasan, Mark Fishman, John Finnerty, Joseph Corbo, Michael Levine, Patrick Leahy, Eric Davidson & Gary Ruvkun (2000) "Conservation of the sequence and temporal expression of let-7 heterochronic regulatory RNA".ネイチャー、408(6808)、86〜89ページ。
*これらの著者は、この作品に等しく貢献しました。
カロリンスカ研究所の50人の教授で構成されるノーベル総会が、ノーベル生理学・医学賞を授与する。そのノーベル委員会がノミネートを評価します。1901年以来、ノーベル賞は人類の利益のために最も重要な発見をした科学者に授与されてきました。
(計量計測データバンク 編集部)
2025-05-11-although-the-average-human-lifespan-has-increased-the-absolute-lifespan-is-still-only-120-years-
[資料]
├人の平均寿命は伸びてきたが絶対寿命は120年 夏森龍之介
├計量計測データバンク ニュースの窓-252-2024ノーベル 化学賞はAIでたんぱく質の立体構造予測と新たんぱく質設計の研究者ら(デビッド・ベイカー、デミス・ハサビス、ジョン・ジャンパー)
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├ 2024年ノーベル化学賞はAIでタンパク質の立体構造予測と新タンパク質設計の研究者ら(デビッド・ベイカー、デミス・ハサビス、ジョン・ジャンパー)
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├2024年ノーベル物理学賞は人工ニューラルネットワークによる機械学習を可能にする基礎的発見と発明(ジョン・ホップフィールド氏とカナダのトロント大学のジェフリー・ヒントン氏)
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├
├ホップフィールド・ネットワーク - Wikipedia
ホップフィールド・ネットワーク (英: Hopfield network) は、ニューラルネットワークの一モデルである。
アメリカ合衆国の物理学者であるジョン・ホップフィールド (J.J. Hopfield) が提唱した。ユニット(ニューロン)間に対称的な相互作用がある非同期型ネットワークであり、自然な操作によってネットワークのエネルギーが極小値をとる。元はスピンの安定条件をもとめるモデルとして発想されたものであったが、ネットワークによる連想記憶のモデルとして歓迎され、ニューラルネットブームの火付け役の一つとなり、また後のボルツマンマシンの元ともなった。これは統計的な変動をもちいて、エネルギーが極小値ではなく最小値をとることを目指すモデルである。
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├2024年のノーベル生理学・医学賞は線虫から「マイクロRNA」を発見した米マサチューセッツ大学のビクター・アンブロス教授(70歳)と、米ハーバード大学のゲイリー・ラブカン教授(72歳)に
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├計量計測データバンク ニュースの窓-250-2024年ノーベル物理学賞 人工ニューラルネットワークによる機械学習を可能にする基礎的発見と発明(ジョン・ホップフィールドとカナダのトロント大学のジェフリー・ヒントン)
├2024年ノーベル化学賞はAIでタンパク質の立体構造予測と新タンパク質設計の研究者ら(デビッド・ベイカー、デミス・ハサビス、ジョン・ジャンパー)
[2023年ノーベル賞 各賞関連の資料]
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├2023年ノーベル物理学賞とその業績(計量計測データバンク編集部)
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├2023年のノーベル賞の各賞が決まる(計量計測データバンク編集部)
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├2023年ノーベル生理学・医学賞はカタリン・カリコー氏とドリュー・ワイズマン氏(計量計測データバンク編集部)
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├ノーベル賞 カリコー・カタリン博士物語 人物と経歴(計量計測データバンク編集部)
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├ノーベル賞 ドリュー・ワイズマン博士の人物と経歴(計量計測データバンク編集部)
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├計量計測データバンク ニュースの窓-22-小林武彦講演におけるRNA、人の老い、動物の老いについて
├
├
├計量計測データバンク ニュースの窓-93-2023年のノーベル経済学賞
├計量計測データバンク ニュースの窓-95-2023年ノーベル物理学賞(その2)
├計量計測データバンク ニュースの窓-103-2023年ノーベル生理学・医学賞はmRNAワクチン開発貢献でカタリン・カリコ氏ら2名に
├計量計測データバンク ニュースの窓-104-日本列島人の頭骨の形態変化(脳容積と知能は比例しない)
├計量計測データバンク ニュースの窓-105-2023年のノーベル賞 物理学賞(その1)と化学賞
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├脳体積と知性にかかわりはない 時代によって変化する頭骨の形状(計量計測データバンク編集部)
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├2023年のノーベル賞の各賞が決まる(計量計測データバンク編集部)
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├ビオンテック上席副社長カタリン・カリコ博士とCOVID-19対応mRNAワクチンの開発
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├国民のワクチン接種率7割でCOVID-19を抑えられる
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2023年のノーベル賞の各賞が決まる(計量計測データバンク編集部)
富士山と日本にある7つの氷河 文章 夏森龍之介
日本経済の未来-雑記帳-(データベース)その1by計量計測データバンク編集部
地球温暖化論争の雑記帳(データベース)by計量計測データバンク編集部
素描 モノ余り日本と働きたくない人々(計量計測データバンク)
原油価格高騰とその背景(計量計測データバンク 編集部)
計量計測のエッセー ( 2018年1月22日から日本計量新報の社説と同じ内容の論説です)
精神病患者を描くことでは北杜夫氏にまさる人はいない
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(日本の計量器産業の生産高は1兆円)(広義の計量器企業の売上高は3兆円と推計できる)(計量器生産高はGDP対比0.2%あるいは0.6%)(新しい計測方法ができることがはてしなく続く)(計測センサーは神経系の各部の神経と同じ働きをする)(人の神経組織は数千あるいは数万以上、これに未来の計測器をかさねる)(人の脳の質量は成人で体重の2%だが脳の働きは質量と連動しない)(神経の質量は脳の質量の1000分の1ほどか)(経済と社会を対象に痛い痒いを知るのが計測器だ)(取引の公正を実現する計測器)
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走り、曲がり、止まるという車の機能にはさまざまな技術要素と交通事故
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日本の次世代経済はのみの市経済か
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バベルの塔に似た都市集中と林の中の工場との対比
新自由主義批判にも聞こえるトマス・モアのユートピア
COVID-19におびえて洞窟に3カ月避難した日本
新型コロナ対応で経済を止める愚挙
(タイトル)
新型コロナウイルスへの国と東京都の対応の是非
├新型インフルエンザ薬タミフル誤計量と天秤の改善措置
├計測と計量管理の教養こそ計測技術者が身につけるべきこと
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├計測がねじ曲げられると白が黒になる(白いものを黒くしてしまう社会の掟の怖さ)
├
├いつでも使える計量辞書としての国際単位系ページの利用
├
├田中館愛橘の物理普及講演と寺田寅彦の物理学を元にした随筆
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├適正な計量の実施は国家と地方公共団体が共同して実現すべきもの
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├素直でない人は嘘をつく 素直とは正直者のことだ
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├法人とその構成員の意欲と能力を映し出しているwebサイト
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├数値や言葉を翻訳変換して診断する
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├大手情報媒体が低俗化しフェイク情報が充満する
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├人は他の人を映し鏡として生きる意義を成立されている
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├カメラの撮影枚数にみる技術開発とリチウムイオン電池
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├地が裂け山が崩れ洪水が人を襲う日本の自然(ハザードマップは人が住んではならない場所を示す地図だ)
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├法人とその構成員の意欲と能力を映し出しているwebサイト
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├子供は無心で身体を動かす労働は楽しいことだった
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├地が裂け山が崩れ洪水が人を襲う日本の自然(ハザードマップは人が住んではならない場所を示す地図だ)
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├ものを考えない人にはニュースも情報もない
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├地震予知も都市改造もできないから地震がきたら自分で身を守れ
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├計量行政は適正な計量の確保にあり利益は国民が享受する
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├人口が減り高齢化が進む国はどのようになるか
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├地震計は地震を予知する機能を持たない
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├旧来の販売方法の不合理性がネットオークションを成立させた
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├計量法の検定制度は主権者たる国民のためにある
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├ パソコンは使えないしインターネットは知らない(役所は知らせることをしない奇妙な組織である)
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├部分を測っただけで全体を推論した結果の地球温暖化論
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├計測値で語られる諸因果の受け止め方
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├嘘をつく人、怒鳴る人、嫌なことをユーモアで包む人
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├球速表示160kmは確かか(球速表示160kmは信ずるに値するものなのか)
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├用途としての放射能と放射線の単位があり震災復旧では物を見る目になる
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├計測には二つの性質がある (計測には純粋科学と人の欲望の調和という二つの性質がある)
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├社会と購買者への信用ある通信としての広告
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├計量法は人の欲望のぶつかり合いを仲介し調整する
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├トレーサビリティに関するドイツの小話にみる教訓 「コンパティブルだがトレーサビリィ不足だった質量測定の一例」
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├内需依存型産業社会日本と人口減少社会の在り方
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├控えめな計量法が適用されて実現する平和な社会 (サブタイトル)キログラムの単位記号はkgでありKGではない。メートルの単位記号はmでありMではない。
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├計量の教養こそ身に付けるべき課題だ
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├0.1%の計量器の検定・検査が世のなかに適正計量を実現をもたらす
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├見えないモノを見えるようにする計測技術
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├すべては丈夫な身体と丈夫な心あってこそ
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├消費は人口減少の度合いで減りGDPも同様に推移する
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├強い欲求をもっているとニーズは自ずと分かるものらしい
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├キログラムは新定義を満足させたうえ50 µgから10 µgに精度向上
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├質量と重量の違い及び質量の単位キログラムの定義変更
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├規則に照らせば不正でも総合性能としては問題ない事柄
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├バベルの塔とノアの箱舟の伝説と旧カヤバ工業の免震性能偽装
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├計量と計測は人の間にどのようにかかわるか
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├自動ハカリの検定実施は日本の計量制度に大きな転換をもたらす
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├2018年11月16日開催の国際度量衡総会で質量の単位キログラム(kg)を定義変更
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├事実は小説よりも奇なり 二つの事件
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├計測システムがわかることが計測における教養だ
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├世の中は計測でできている
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├計測の目的と精密さの実現の整合
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├計量法は人の欲望のぶつかり合いを仲介し調整する
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├0.1%の計量器の検定・検査が世のなかに適正計量をもたらす
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├見えないモノを見えるようにする計測技術
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├すべては丈夫な身体と丈夫な心あってこそ
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├消費は人口減少の度合いで減りGDPも同様に推移する
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├キログラムは新定義を満足させたうえ50 µgから10 µgに精度向上
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├強い欲求をもっているとニーズは自ずと分かるものらしい
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├自動ハカリの検定実施は日本の計量制度に大きな転換をもたらす
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├2018年11月16日開催の国際度量衡総会で質量の単位キログラム(kg)を定義変更
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├日本人の頭骨の変化を計測値が示す副題(鎌倉時代の日本人の頭は前後に長い形をしていた)
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├優良事業所が適正計量管理事業所の指定を受ける社会的責任
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├計測の目的と求められる確かを考える
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├地方計量行政の模範県を躊躇なく真似たい
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├自動ハカリの指定検定機関制度と行政組織の関わり方
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├1%の検定で計量の安全を実現している日本の計量制度
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├自動ハカリの指定定期検査機関の動向を観察する
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├計測の在り方と計測値の表示をめぐる諸事情
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├計量協会webサイトから日本の計量行政の未来が見える
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├光波干渉測定システムはアインシュタインの理論を事実として確認した
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├収賄で終身刑になる中国要人と首相をかばい罪に問われる日本の官僚
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├ウィキペディアによる計量の世界の説明は1割ほど
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├時代の波と計量器産業の浮き沈み
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├世界でも範たる状態を築いている日本の計量行政
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├中国では日本以上の人口減少状態が出現している
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├ハカリの定期検査実施漏れは計量憲法である計量法違反だ
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├城下町の鍛冶屋が日本の産業の元になった
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├山口高志投手の球がベース通過時点で一番速かった
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├福島産の農産物と海産物と放射線測定器
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├通信と自己診断機能は計量器の法制度を変える
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├計れと人を管理したQC運動に対比される品質工学
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モノの数量表現と性質表現の仕組みである国際単位系(SI)
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├計量法の実質の内容を変える政省令の理解と解釈
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├ハンドルで曲がらずブレーキで車は止まらない
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├学校は記憶容量とアプリケーションを確認するところ
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├計量検定所長の仕事は検査機関運営費をたっぷりと確保すること
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├社会の計量の安全の確保は住民サービスの基礎
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神鋼素材は計測器性能に影響がない
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├田中舘愛橘の志賀潔と中村清二への教え方
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計量計測のエッセー
「日本計量新報」今週の話題と重要ニュース(速報版)
計量計測トレーサビリティのデータベース(サブタイトル 日本の計量計測とトレーサビリティ)
2019-02-05-database-of-measurement-measurement-traceability-measurement-news-
計量計測トレーサビリティのデータベース(計量計測トレーサビリティ辞書)
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計量計測トレーサビリティのデータベース(計量計測トレーサビリティ辞書)-2-
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計量計測トレーサビリティのデータベース(計量計測トレーサビリティ辞書)-3-
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