計量法の解説
|
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(35) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(35) 筆者 高原隆なかったときである。
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(目次) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(19) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(20) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(21) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(22) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(23) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(24) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(25) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(26) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(27) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(28) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(29) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(30) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(31) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(32) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(33) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(34) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(35) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(36) 筆者 高原隆
写真は00000000
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(35) 筆者 高原隆
筆者は計量行政職員であり現職時に作成した文章です。その後に計量法令は変更になっており、変更のある部分には編集部で注意書きをしております。元になっている文章は 計量計測データバンク「計量法の読み方」 ですので、本文に疑問がある場合には 「計量法の読み方」 を開いて確かめてください。この文章は計量法を理解するための古典ともいえる内容になっております。なお 「計量法の読み方」 が編集の都合によってPGFファイルですので、そのhtlm版として、本稿を作成いたしました。新聞紙面と併せてご利用ください。また経済産業省の穂オームページに掲載の次のページ計量制度の概要(METI/経済産業省)などで内容を確認してください。 「計量法の読み方」(https://www.keiryou-keisoku.co.jp/yomikata/ver.4-101022/yomikata-zenfile20170421.pdf)(計量計測データバンク編集部)
(見出し)
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-筆者 高原隆
(本文)
はじめに----------3
1、 計量法の目的----------4
1-1、計量法の目的とは----------4
1-2、計量法の目的と諸規定----------4
1-3、明示されていない目的----------5
2、定義等----------6
2-1、「計量」と「計量単位」----------6
2-2、「取引」及び「証明」----------7
2-3、「計量器」と「特定計量器」----------10
2-4、製造、改造、修理----------14
2-5、計量器の校正、標準物質、標準物質の値付け----------15
3、計量単位----------18
3-1、メートル条約----------18
3-2、SI単位----------20
3-3、法定計量単位----------22
3-4、非法定計量単位に関する規制----------25
4、適正な計量の実施----------37
4-1、正確な計量----------37
4-2、商品の販売に係る計量----------39
4-3、計量器等の使用----------46
5、定期検査----------53
5-1、定期検査制度----------53
5-2、指定定期検査機関----------69
6、正確な特定計量器等の供給----------81
6-1、正確な計量器の供給----------81
6-2、製造----------82
6-3、修理----------87
6-4、販売----------93
6-5、家庭用特定計量器----------96
6-6、譲渡等の制限----------100
6-7、特殊容器----------101
7、検定等----------110
7-1、検定----------110
7-2、型式承認----------136
7-3、指定製造事業者----------149
7-4、基準器検査----------160
7-5、指定検定機関----------177
8、計量証明の事業----------186
8-1、計量証明事業者制度とは----------186
-1-
8-2、計量証明事業者制度----------188
8-3、計量証明検査----------202
8-4、特定計量証明事業者制度----------210
9、適正な計量管理----------227
9-1、計量士----------227
9-2、適正計量管理事業所----------238
10、計量器の校正等----------247
10-1、トレーサビリティ制度(JCSS)----------247
10-2、公的な計量標準の設定と供給----------254
10-3、民間の計量標準の設定と供給(校正事業者登録制度)----------263
10、雑則----------274
11-1、報告----------274
11-2、立入検査----------278
11-3、計量行政審議会----------287
11-4、地方分権改正----------292
11-5、行政手続と不服申立て----------305
11-6、中央省庁再編(中央省庁等改革)に伴う改正----------313
11-7、その他----------317
計量法の解説
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(34) 筆者 高原隆
からの続き。
2)は、「業務の休廃止の届出」法32条(法106条3項、法121条2項、法121条の10及び法142条において準用する場合を含む。)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたときである。
3)は、「報告の徴収」(法147条2項、3項)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたときである。
4)は、「立入検査」(法148条2項、3項)の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又はこれらの規定による質問に対し、答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をしたときである。
両罰規定(企業責任)
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、法170条又は法172条から法175条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。
<法177条>
この条文は、法170条又は法172条から法175条までの違反行為をした場合、行為者本人のほかにその法人に対しても罰金刑を科す、いわゆる企業責任(両罰規定)を規定している。
両罰規定は、犯罪が行われた場合に行為者本人のほかに一定の関係にある他人(法人を含む)に対し、連座的に刑罰を科す旨を定めた規定である。
刑法の総則では、刑を科されるべき者は実際に生きている人間(いわゆる自然人)であることが前提とされ、この規定で処罰されるのは実際の行為者(代表者や従業者)であって法人ではないということになるため、行為者を処罰するだけでなくその法人自身を処罰すべきだという考え方が出てくる。そこで、特に行政法規の刑罰については、「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して前○○条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する」というような形で、ある犯罪が行われた場合に、行為者本人だけでなく、その行為者と一定の関係にある法人をも処罰する旨の規定を置くことが多く行なわれ、これを「両罰規定」と呼んでいる。(※両罰規定は、法人のほか、自然人である事業主にも作用する。)
なお、両罰規定によって法人に科される刑罰については、懲役や禁錮などは科しようがないため、必然的に罰金のような財産刑に限られる。
過料20万円以下
法62条1項(法114条及び法133条において準用する場合を含む。)、法79条1項(法81条3項において準用する場合を含む。)又は法94条1項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、二十万円以下の過料に処する。
<法178条>
「特殊容器の指定申請書記載事項の変更届」法62条1項(法114条(計量証明事業者)及び法133条(適正計量管理事業所)において準用する場合を含む。)、「型式承認の変更届」法79条1項(法81条3項(輸入事業者)において準用する場合を含む。)又は「指定製造事業者の申請書記載事項の変更届」法94条1項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、20万円以下の過料となる。
産総研又はNITEに対する過料20万円以下
法168条の4又は法168条の7の規定による命令に違反した場合には、その違反行為をした研究
-331-
所又は機構の役員は、二十万円以下の過料に処する。
<法179条>
「産総研に対する大臣命令」(法168条の4)又は「NITEに対する大臣命令」(法168条の7)の規定による命令に違反した場合には、その違反行為をした研究所又は機構の役員は、20万円以下の過料となる。
過料10万円以下
法42条1項(法46条2項及び法51条2項において準用する場合を含む。)、法45条1項(法46条2項及び法51条2項において準用する場合を含む。)又は法65条(法114条、法121条の6、法133条及び法146条において準用する場合を含む。)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、十万円以下の過料に処する。
<法180条>
「製造事業の変更届」法42条1項(法46条2項(修理事業者)及び法51条2項(販売事業者)において準用する場合を含む。)、「廃止の届出」法45条1項(法46条2項及び法51条2項において準用する場合を含む。)又は「特殊容器指定製造者の廃止届」法65条(法114条(計量証明事業者)、法121条の6(認定特定計量証明事業者)、法133条(適正計量管理事業所)及び法146条(JCSS登録事業者)において準用する場合を含む。)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、10万円以下の過料となる。
11-7-7経過措置
(経過措置)
この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
<法168条>
経過措置については、合理的に必要と判断される範囲内において定めることができるものであるが、 計量法では極めて多くの事項が政省令で規定されており、これらの関係政省令の制定改廃にあたり一定の経過措置が必要となることから、その場合の根拠規定として設けられている条文である。
経過規定
経過規定は、法令の改正や廃止をする際にいきなり新しい法律関係を適用した場合、それまでの法律関係に基づいて営まれてきた社会生活の安定性が大きく損なわれることになるため、一般的には既存の法律関係を暫くは継続させるなどの規定を置き、新しい法律関係に円滑に移行できるようにするものである。このような規定は、「経過規定」といい、通常、附則に置かれる。
具体的には、「~なお従前の例による。」や「~は適用しない。」や「~とみなす。」など、新しい法律の施行後においても法的な効力を有することなどが規定される。
因みに「なお従前の例による」の場合は、「例」という文字はもともと「ならわし、さだめ」という意味を有し、従来の法律関係全体を対象としていると考えられるため、旧政省令まで含めると解釈され
-332-
附則
附則とは、法令において付随的な事項を定めた部分のことであり、これ以外の部分を「本則」という。
法令は、「本則」と「附則」で構成され、附則についても本則と同様に「条」又は「項」の形式で定められ、一つの本則に対して一つの附則が定められる。
なお、既存の法令を一部改正する法令は、それ自体が一つの法令であるが、その法令が成立して施行されると本則及び附則に定められている改正規定(いわゆる「改め文」)は本法の中に溶け込んでしまうため消滅し、「改正法附則」のうち施行期日等を定めた部分だけが残ることになる。
「本法附則」と「改正法附則」は、それぞれ別個のものであるが、法令集では編集の便宜から「本法本則」、「本法附則」、「改正法附則」の順で掲載されることが多い。
また、附則は、経過措置など当事者にとって重大な影響を及ぼす事項が規定されていたり、暫定措置など本則だけを見ていたのでは分からないような事項が規定されていたりするなど、本則の円滑な運用においては不可欠な規定であり、見落としてはならない法律の重要な構成部分でもある。
-333-
[参考] 東環協セミナー(平成15年11月)資料
環境計量証明事業登録の対象範囲について
1 はじめに(環境計量証明事業登録の対象範囲とは)
計量法の条文には、「計量証明事業登録の対象範囲は~」と定義した条文はない。
一方、法107条では、「次に掲げるものを行おうとする者(同条2項「濃度、音圧レベルその他の物象の状態の量で政令で定めるものの計量証明の事業」)は、~登録を受けなければならない。」としている。この「政令で定めるもの」については、施行令28条で「大気、水又は土壌中の物質の濃度」などが定められている。このため、登録の対象範囲については、通達等で「施行令28条の運用について」という形で都道府県に通知されてきた。
この経過については、旧法例規集によれば、環境計量証明事業とは「環境保全の見地から正確に計量することの社会的意義が大きい物象の状態の量についての計量証明の事業である」と解説されている。則ち、これを政令で「大気、水又は土壌中の物象の状態の量」などと定義したものである。そして、環境計量証明事業登録については、制度発足以来、「環境計測に係る計量証明の事業」という一貫した考え方の基に運用されてきた。従って、対象範囲について、施行令の条文の文言のみから「大気、水又は土壌中の物質の濃度」全てと解釈するのは適切ではなく、「環境計測に係る計量」に限定するという狭義の解釈が適切と思われる。
歴史を振り返れば、昭和40年代に大気汚染、水質汚濁、騒音、悪臭等の公害関係法規が整備され、公害防止をさらに実現すべく環境計測の精度向上や適正化を図るべきであるとの要請から、「環境計測に係る計量上の証明事業」を適正に実施させるため環境計量証明事業登録制度が創設された。以後、制度発足から四半世紀を過ぎ、公害規制や環境問題のあり方も変化してきているが、計量証明事業者の果たすべき社会的役割は基本的に変わってはいない。則ち、「環境計量」は、国民の安全や健康に直結し極めて高い信頼性が求められるものであり、これを制度として担保する必要性に変わりはないということである。
一方、登録対象範囲については、長年の登録指導等の間に業界や行政内で常識的と考 えられる範囲に除々に定着してきているが、その境界領域については具体的事例により 判断されることから、各都道府県の指導に若干の相違も指摘されている。よって、登録対象範囲の大枠について、これまでの歴史的経過や制度創設趣旨などから、対象非対象の判断基準や基本的な考え方を整理したものである。
2 基本的な考え方
ここでは、音圧レベル、振動加速度レベルに関しては判断のつかないケースはさほど多くないため、濃度(特定濃度)区分を中心に登録対象範囲を判断する場合の基本的な考え方を以下に述べる。
(1)「計量法上の取引又は証明に該当しないものは除く」
-334-
法律によって規制される領域は、自由な経済活動等に配慮し、必要最小限に止まるのが一般的である。計量法における規制については、「適正な計量の実施を確保する」観点から、その範囲は「取引又は証明」上の計量に概ね限定されている。
「取引又は証明」については、計量法第2条において「取引とは~業務上の行為」「証明とは~一定に事実が真実であることを表明すること」と定義され、「証明上の計量」については「一定の法的な責任を伴って表明されるもの」であることから「おおよその目安を示すものは含まれない」(「通知」(平成12・06・28機局第7号))と解釈されている。
以上のことから「計量証明事業」とは、「法定計量単位により物象の状態の量を計り、公にまたは、業務上他人に一定の事実が真実であることを表明する行為であって、その行為を反復し、かつ、継続して実施することを云う」(旧法例規集より)と考えられる。
従って、学術研究用や学校教育用及びスポーツ等、「取引又は証明」に関係のない領域については、計量法による規制範囲の対象外となる。
なお、この「証明」や「目安」の範囲や境界領域については、個々の具体的事例によりに判断される。一般的な例としては、「契約書」「仕様書」「性能証明書」「官公庁への提出書類」などは対象に該当し、「カタログ類」「取扱説明書」「契約書に添付する参考資料」「広告類」などは該当しないとされている。
(2)「大気、水又は土壌の環境測定であること」
「環境測定か否か」は、登録の対象範囲か否かを判断する基本原則であり、この意味を正確に理解できていればほとんどのケースは選別が可能である。
環境測定でない場合とは、環境汚染の計測を目的としないもので、具体的には「機器の性能試験」「製品成分の品質分析」などが挙げられる。
機器の性能試験の例としては、「自動車の排ガス処理装置の性能検査」「家電品等の静音測定」その他「各種機器のメンテナンスのための性能試験」などがある。製品成分の品質分析の例としては、「食品」「材料(鉱物、重油、等)」「化学製品(肥料、等)」などがある。
これらは、明らかに環境測定とは異なるため対象外であり、これらの計測結果については、「計量証明書」ではなく「分析報告書」としての扱いとなる。
(3)「計量結果が濃度であること」
これについては、登録の事業区分が「濃度」の物象の状態の量に限定されているためであるが、濃度以外の項目を対象項目といっしょに計量証明書に列記しているケースは少なくない。
例えば、「温度」「風速」「電気伝導率」「流量」「流速」などは、濃度ではないが対象物質の計量結果を補足する数値として付随記載されるケースが多い。これらは、計量証明書に記載してはいけないというものではなく、参考値として記載すべき数値であるが対象ではないため、「計量法107条の対象外である」旨の記載を明記すべきものである。
(4)「計量結果が法定計量単位で表せるものであること」
-335-
計量法第8条により、取引又は証明に非法定計量単位は使用できないことになっているため、計量結果を法定計量単位で表せないものは対象外となる。
例えば、「石綿濃度(本数)」「大腸菌群数(個数)」「臭気濃度(判定値)」「色度(度数)」などは、法定計量単位ではないため対象外である。
これらは、同一試料中の他の分析項目といっしょに同一の計量証明書に記載するケースがあるが、「計量法107条の対象外である」旨の記載を明記すれば項目として記載することは排除されない。
なお、単位記号については、「標準となるべき記号」が計量単位規則に示されているが、環境関係法規やJIS等で規定されていたり国内外で広く使用されているものもあることから、他の単位と紛らわしくないときに限り使用することはできる。例え ば、ばいじん濃度「g/Nm3」(標準体積換算)や大気中の炭化水素濃度「ppmC」(メタン換算値)などの使用は差し支えないが、「pH」の代わりに「PH」や「dB」の代わりに「db」を使用するのは誤りである。
(5)「他の法律等の関係で適用除外される部分がある」
法107条の「ただし書」により、国等の他、「政令で定める法律の規定に基づきその業務を行うことについて登録、指定その他の処分を受けた者が当該業務として、当該計量証明の事業を行う場合」については、登録を要しないものとして適用除外されている。
政令(施行令第27条)で規定する者については、①労働災害防止団体法第19条による労働大臣の認可を受けた(財)中央労働災害防止協会、②下水道事業センター法第10条第1項の規定に基づく建設大臣の認可を受けた(財)日本下水道事業団、③作業環境測定法第33条の規定による同法施行規則に定める登録を受けた作業環境測定機関、④浄化槽法第57条の規定に基づく厚生大臣の指定を受けた指定検査機関の4者である。
この規定については、計量法以外の他の法律による重複規制を避けるために設けられたものであるが、規定された事業者のどの程度の範囲までが登録対象外になるのか、これまで明確な判断基準が示されたことがなく曖昧なままに今日に至っている。また、この規定以外でも、国内部の省庁・部局間で調整されている部分もあり、通達等で示されてきたものもある。
これらについては、省庁間の中だけで調整され具体的な調整部分は公にされてこなかったため、時代の変遷とともに定説が判然としなくなっているものである。これらの具体的な対象非対象の考え方については、次章の個別事例の中で判断基準等を示す。
3 個別事例について
(1)浄化槽
《判断基準》
「浄化槽の性能維持のための測定」は対象外、「浄化槽排出水の環境汚染に係る計測」は対象である。
浄化槽については、「環境計測か否か」という基本的な考え方から見ていけば、自ずと判断が下
-336-
せる問題である。具体的な見分け方としては、測定項目から見ていくのが分かりやすく、測定項目として「BOD」を計っていれば対象で、「pHやDOのみ」の場合は対象外と判断される。これは、浄化槽等から発生する有機汚濁の程度を判断する指標としBODが確立した方法となっていて、水質汚濁の程度を計測するには放流水のBODを測定する必要があるためである。
「浄化槽の性能維持のための測定」とは、浄化槽法(8、9、10条)により、浄化槽管理者は浄化槽の保守点検及び浄化槽の清掃等の維持管理を行わなければならないこととなっているが、こうした場合に測定される項目はpHやDO等のみでBODは保守点検項目となっていない。これは、浄化法の保守点検の際に必要な測定は、比較的簡易な測定の精度(pHやDOなどは簡易なpH測定器などで測定可能)で十分であるが、BODについては専門の分析技術者でないと測定が難しいためである。
従って、BOD測定が必要なときは計量証明事業者等に依頼することとなるが、それ以外の場合については管理者や委託を受けた清掃業者等が浄化槽の保守点検の際に行うことできる。
なお、計量法第107条ただし書において、浄化槽法に基づく指定検査機関は登録の適用除外となっている。これは、浄化槽法(7、11条)により、浄化槽を設置後6ヶ月後や1年ごとに、指定検査機関による浄化槽の水質検査を受けなければならないとなっているため、その際の水質検査を登録対象外としたものである。
【質問事例】
浄化槽の水質測定をマンションの管理業者や清掃業者等が行っているが、登録の対象として登録指導すべきか否か。
浄化槽法(10条)では、一定規模以上(建築基準法上の処理対象人員201人以上等)にあってはその浄化槽の維持管理を行うために、資格を有する技術管理者(浄化槽管理士等)を置くか登録を受けた工事業者又は許可を受けた清掃業者等に委託することとなっている。
この際の保守点検については、前述のとおり、環境汚染に係る測定ではないため通常は対象外であるが、BOD測定を義務づけられた場合は対象となる。
また、浄化槽を設置(浄化槽法第5条)したとき等は、放流水のBOD等の測定値を記載した「設置届」を地方自治体に届け出なければならないこととなっている。この場合、浄化槽使用者自らが測定する場合は反復継続して業務として行うわけでないため登録対象外であるが、測定を業者に委託する場合は登録された計量証明事業者へ委託する必要がある。
(2)下水道及び下水処理場
《判断基準》
原則として、「下水管及び浄水場内の処理過程のもの」は対象外、「浄水場から公共用水域へ放流されるもの」は対象である。
これは、浄化槽と同じく「環境測定か否か」により判断される問題であるが、環境測定か否かの本質的な意味は「環境中に存在する水の化学的性質を明らかにするための分析か否か」と考えられ
-337-
従って、「下水管から下水処理場への流入水」や「下水処理場内の処理段階の水」等は、自然「環境中」のものとは考えにくいため、対象外とされる。また、下水処理場内の汚泥については、「土壌」と見なすか否かは議論のあるところであるが、活性汚泥等の産業廃棄物として処理されているものは対象外とされている。
一方、「下水道終末処理場からの放流水」については、環境中(公共用水域)へ放出されるものであるため、計量証明事業の登録対象である。
これは、別の角度(法規制の面)から考えても同じ判断に至ると思われる。則ち、下水処理段階の水については下水道法による規制がかかるため計量法による規制の必要がなく、公共用水域に放流される水については水質汚濁防止法の規制がかかるため計量証明書が必要になる。
なお、計量法第107条ただし書において、下水道事業センター法に基づく(財)日本下水道事業団は登録の適用除外となっている。これは、公共下水道管理者が、下水道法(13条)により、特定施設等から下水道へ排出される排水の検査を行うことができることとなっているため、この際の水質検査を適用除外としたものである。公共下水道事業は、本来、地方公共団体が管理するものであるが、同法により地方公共団体の委託に基づき同団体が下水道管理者となることができる。このため、同団体を計量法第107条ただし書の政令で定めたものである。
【質問事例】
特定施設(水質汚濁防止法)から排出される下水管に流入前の水の測定は、対象か否か。
これについては、下水管に流入前の段階は環境の一部であるから対象だという考えが、業界内で統一した見解となっている。
この理由としては、下水管流入前の水には屋根や道路に降った雨水等も流入するため下水道法の適用を受けないこと、特定施設設置の際は地方自治体へ届けが必要となっていること、などが挙げられる。
特定施設とは、水質汚濁防止法2条(以下、「水濁法」)より、「政令で定める有害物質を含む汚水等又は政令で定める項目に関する生活環境を阻害するおそれのある程度の汚水等を排出する施設」とされ、設置の際は地方自治体へ届けが必要となっている。また、環境計量証明事業の登録制度創設の趣旨(「環境保全の見地から正確に計量することの社会的意義~」)に従えば、特定施設の排水測定は対象とするのが当然ということのようである。
これらの特定施設には、工場等以外でも飲食店や洗濯業等、水質汚濁防止を図る上で必要な施設(日平均排水量50m3以上等、都道府県で上乗せ規制有り)については網羅的に指定されている。また、こうした計量証明ニーズも少なくない。
なお、設置届等を地方自治体へ提出する際の測定については、浄化槽と同じく、使用者自らが測定し届け出る場合は事業登録の対象外であるが、測定を業者に委託する場合は登録された計量証明事業者へ委託する必要がある。
(3)水道水(飲料水)等
《判断基準》
水道水については、「厚生省の認可に係る水質検査」は対象外、それ以外のものは対象であ
-338-
る。
飲料水については、制度発足時の通達(昭和50年8月8日「機計50-40」から、現在はガイドライン)より、「通常飲用に適すると考えられている水のことをいい、食品を通じて人間に摂取されるもの、並びに水道に関する水質試験、検査に係る原水及び食品等の製造過程等に使用されるもの」は対象外とされている。
飲料水を対象外としている根拠については、水道事業は厚生省の認可が必要であり、この認可の範囲内における濃度の測定を計量法上の登録対象外としたものである。しかし、この厚生省認可の範囲については、水道施設内部に限定されるとする説や水道事業に係るもの全てとする説など、諸説あるところである。
基本的な「環境測定か否か」で考えた場合、浄水場等の施設内部の水は一般環境中の水ではないためもともと対象外(「水道に関する水質試験」の部分)であるが、「検査に係る原水」は環境中のものなので対象となるはずで違和感が残る。これは、水道法(13条)に、水道事業者は事業開始時に水源の水質検査の結果を記載した事業認可の申請書を厚生大臣に提出することとの規定があるため、厚生省に配慮し除外したものである。
これらは、計量法では他の法律(省庁、部局)が係わっていない部分だけを管轄としているため、環境と関連が深く当然対象にすべきと考えられる部分でも既に他の法律の管轄になっている部分については関知せずと、避けて通っているためである。
【質問事例1】
水道水源の原水や井戸水等は、対象か否か。
結論から言えば、対象と解釈するのが妥当である。
飲料水が対象外とされている理由は、厚生省の認可を受け飲料水中の物質の濃度のみの計量証明の事業を行う者を、計量法上の登録を要しないよう適用除外しているものである。従って、厚生省の認可に関与しない部分については「基本的考え方」に当てはまれば対象と解釈するのが妥当である。
水源の原水や井戸などは、本質的には環境計量の範囲のものであり、測定時点では飲料用になるか水道水になるかなどは未知のもので、計量証明することと水道法上の適否を判断することは全く別ものであることから、省庁間の問題等は発生しない。
なお、水濁法では、地下水についても環境基準が設定され、飲用井戸なども規制対象となっている。
【質問事例2】
浄水場内の汚泥は、対象か否か。
諸説あるが、大方の見方は対象外の見解が主流である。
浄水場内の汚泥については、大部分は産業廃棄物として処理されているため対象外と考えられる。ただし、沈殿濾過池等の「水底の堆積物」については、「土壌と一体」と見なせる場合は部分的に対象になるという説があることは記憶すべきである。
-339-
因みに浄水場等(下水処理場も同じ)では、水道水中(下水処理も同じ)の病原菌を殺す目的で塩素消毒(近年その量は増え、将来もこれに変わる方法がない)が行われるため、発ガン性のあるトリハロメタンが発生するとされている。トリハロメタンは、もともと公共用水域に存在する物質ではなく、長期間の蓄積による土壌や地下水等の汚染の原因となっている。
最近、「土壌汚染対策法」(平成15年2月施行)が制定されたこともあり、土壌に関する解釈については今後、議論される可能性もある。
【質問事例3】
温泉水は、対象か否か。
温泉成分の分析を行う場合は、別途、温泉法による登録が必要となっている。
温泉水の分析については、以前は温泉法登録の必要がなく誰でも測定できたが、平成13年に温泉法が改正(14年施行)され登録分析機関でなければ温泉成分の分析が行えなくなった。
こういった他法令で水質検査を行う者が定められている場合は、計量法との二重規制を避ける意味から計量法の計量証明事業登録は必要ではないが、当該法令の登録等を受けなければ計量証明行為を行えない。
因みに、これ以外の他法令で水質検査を行う者が定められている例としては、水道事業における水質検査について水道法20条3項による厚生労働大の指定を受けなければ、当該水質検査の委託を受けることができない。
(4)産業廃棄物
《判断基準》
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、廃掃法)」に基づき管理されているものは対象外、それ以外のものは対象である。
廃棄物とは、廃掃法によれば「汚物又は不要になったもので、気体状のもの及び放射性廃棄物を除く、固形状のものから液状のものに至るすべてのもの」とされ、「これに該当するか否かについては、占有者の意思、その性状等を総合的に勘案すべきものであって、排出された時点で客観的に廃棄物として観念できるものではない」(環整第45号「厚生省通知」)とされている。このため、廃棄物自体を判別することも困難であり、現実的には廃棄物として処理されているかどうかで見分けるしかないのが実情である。
産業廃棄物の扱い(対象対象外)については、従来から口頭による指導がされてきたが、平成12年の地方分権化に伴い「移動可能な状態で集積されている産業廃棄物の分析を行った場合、計量法第107条の対象外となり、計量証明事業に当たらない。」との文章を都道府県指導のガイドラインとして入れている。この「移動可能な~」については、「廃掃法に基づき管理されるのは、固体又は容器に入った液体の産業廃棄物で、何時でも移動可能な状態に集積されている場合」を意味している。
従って、計量法上の登録対象か否かを判断する場合の産業廃棄物かどうかの見分け方は、廃掃法により管理されているかどうかで見分けるのが妥当である。
-340-
[次ページに続く]計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(36) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(目次) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(14) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(15) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(17) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(18) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(19) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(20) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(21) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(22) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(23) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(24) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(25) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(26) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(27) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(28) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(29) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(30) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(31) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(32) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(33) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(34) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(35) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(目次) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(36) 筆者 高原隆
計量制度の概要(METI/経済産業省)
計量法における単位規制の概要
非法定計量単位による目盛等を付した計量器の販売の届出について
非法定計量単位による目盛等を付した計量器の販売の承認について
計量法における計量器の規制の概要
特定計量器に関する規制の概要
家庭用特定計量器(体重計・調理用はかり)に関する規制の概要
計量士(国家試験・資格認定・登録)
適正計量管理事業所制度
計量法における商品量目制度の概要(特定商品(食品など)の量目公差・内容量表記など)
特殊容器(丸正びん)制度
計量証明の事業
計量標準
法定計量における国際整合化の推進(国際法定計量機関)
普及啓発(計量記念日)
2026-03-28-no35-structure-and-function-and-purpose-of-the-measurement-law-
計量計測トレーサビリティのデータベース(サブタイトル 日本の計量計測とトレーサビリティ)
2019-02-05-database-of-measurement-measurement-traceability-measurement-news-
計量計測トレーサビリティのデータベース(計量計測トレーサビリティ辞書)
2019-02-07-1-database-of-measurement-measurement-traceability-measurement-news-
計量計測トレーサビリティのデータベース(計量計測トレーサビリティ辞書)-2-
2019-02-07-2-database-of-measurement-measurement-traceability-measurement-news-
計量計測トレーサビリティのデータベース(計量計測トレーサビリティ辞書)-3-
2019-02-07-3-database-of-measurement-measurement-traceability-measurement-news-