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計量法の解説
- 計量法の構造と機能(目的)-(23)

Structure and function and purpose of the Measurement Law No23

計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(23) 筆者 高原隆

計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(目次) 筆者 高原隆

(計量計測データバンク編集部)

計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(23) 筆者 高原隆

計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(23) 筆者 高原隆

計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(目次) 筆者 高原隆

計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(19) 筆者 高原隆

計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(20) 筆者 高原隆

計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(21) 筆者 高原隆

計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(22) 筆者 高原隆

計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(23) 筆者 高原隆








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計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(23) 筆者 高原隆

 筆者は計量行政職員であり現職時に作成した文章です。その後に計量法令は変更になっており、変更のある部分には編集部で注意書きをしております。元になっている文章は 計量計測データバンク「計量法の読み方」 ですので、本文に疑問がある場合には 「計量法の読み方」 を開いて確かめてください。この文章は計量法を理解するための古典ともいえる内容になっております。なお 「計量法の読み方」 が編集の都合によってPGFファイルですので、そのhtlm版として、本稿を作成いたしました。新聞紙面と併せてご利用ください。また経済産業省の穂オームページに掲載の次のページ計量制度の概要(METI/経済産業省)などで内容を確認してください。 「計量法の読み方」(https://www.keiryou-keisoku.co.jp/yomikata/ver.4-101022/yomikata-zenfile20170421.pdf)(計量計測データバンク編集部)

(見出し)

計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-筆者 高原隆

(本文)

はじめに----------3

1、 計量法の目的----------4
1-1、計量法の目的とは----------4
1-2、計量法の目的と諸規定----------4
1-3、明示されていない目的----------5
2、定義等----------6
2-1、「計量」と「計量単位」----------6
2-2、「取引」及び「証明」----------7
2-3、「計量器」と「特定計量器」----------10
2-4、製造、改造、修理----------14
2-5、計量器の校正、標準物質、標準物質の値付け----------15
3、計量単位----------18
3-1、メートル条約----------18
3-2、SI単位----------20
3-3、法定計量単位----------22
3-4、非法定計量単位に関する規制----------25
4、適正な計量の実施----------37
4-1、正確な計量----------37
4-2、商品の販売に係る計量----------39
4-3、計量器等の使用----------46
5、定期検査----------53
5-1、定期検査制度----------53
5-2、指定定期検査機関----------69
6、正確な特定計量器等の供給----------81
6-1、正確な計量器の供給----------81
6-2、製造----------82
6-3、修理----------87
6-4、販売----------93
6-5、家庭用特定計量器----------96
6-6、譲渡等の制限----------100
6-7、特殊容器----------101
7、検定等----------110
7-1、検定----------110
7-2、型式承認----------136
7-3、指定製造事業者----------149
7-4、基準器検査----------160
7-5、指定検定機関----------177
8、計量証明の事業----------186
8-1、計量証明事業者制度とは----------186

-1-

8-2、計量証明事業者制度----------188
8-3、計量証明検査----------202
8-4、特定計量証明事業者制度----------210
9、適正な計量管理----------227
9-1、計量士----------227
9-2、適正計量管理事業所----------238
10、計量器の校正等----------247
10-1、トレーサビリティ制度(JCSS)----------247
10-2、公的な計量標準の設定と供給----------254
10-3、民間の計量標準の設定と供給(校正事業者登録制度)----------263
10、雑則----------274
11-1、報告----------274
11-2、立入検査----------278
11-3、計量行政審議会----------287
11-4、地方分権改正----------292
11-5、行政手続と不服申立て----------305
11-6、中央省庁再編(中央省庁等改革)に伴う改正----------313
11-7、その他----------317

計量法の解説

計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(22) 筆者 高原隆
からの続き。

線の作成」(RRFの算出)、「検出下限・定量下限」などの複雑な操作が必要なほか、測定結果においても、「同定」(S/N比、相対保持時間、同位対比)、「定量」(内標準法、回収率、サンプリングスパイク、クリーンアップスパイク)などの高度な分析及びデータ解析技術が要求される。
(4) 測定結果に信頼性の高いデータが求められる
ダイオキシン類は、その特性として生体影響があるため、測定結果が社会に与える影響が極めて大きい。従って、信頼性の高いデータを出すことが重要であり、そのための技術者の養成や装置設備等に特別の配慮が求められるほか、測定結果の精度管理が強く求められることとなる。
ダイオキシン類公害と抑制対策
ダイオキシン類に関する公害問題が顕在化したのは、1960年代のベトナム戦争で枯れ葉剤による催奇性が問題化した頃からと言われている。わが国では、1968年、カネミ油症事故において、食用の米ぬか油の製造過程でPCBが混入し、認定患者1,870人で原因物質はPCBが化学変化して生成したダイオキシン類と言われている。
発生源については、1983年に愛媛大学立川教授の研究チームが「都市ごみ焼却炉のフライアッシュ(飛灰)から猛毒のダイオキシンを検出」と発表、1990年12月、厚生省が「ダイオキシン類発生防止等ガイドライン」(旧ガイドライン)を作成、1997年1月、厚生省が「ごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドライン」(新ガイドライン)を作成し都道府県に通知した。
ダイオキシン類の測定義務については、1997年5月に環境庁が「健康リスク評価指針値5 pg-TEQ/kg/日」を設定し、同年8月、「大気汚染防止法施行令」指定物質にダイオキシン類を追加、廃棄物焼却炉のダイオキシン排出抑制対策を実施したことから、地方自治体によるダイオキシン類の測定が義務付けられた。事業者による測定については、同年9月、「事業者による有害大気汚染物質の自主管理促進のための指針」(環境庁、通産省策定)を改正し、対象物質にダイオキシン類が追加された。
その後は、1998年、WHOが「耐容1日摂取量」を1~4 pg-TEQ/kg/日に変更、同年11月、「ダイオキシン等対策関係省庁会議」(内閣官房、環境庁、厚生省、農水省、通産省及び労働省)が開催された。さらには、1999年2月、テレビ朝日ニュースステーションが「所沢産ほうれん草に高濃度のダイオキシンを検出」と報道したことから、埼玉県所沢市の野菜や茶のダイオキシン問題に関し、環境庁、厚生省及び農水省による調査、検討が行われ、同年3月、「ダイオキシン対策推進基本指針」(ダイオキシン対策関係閣僚会議)が策定され、同年6月、環境庁及び厚生省の合同審議会が「耐容1日摂取量」を4 pg-TEQ/kg/日に変更、同年7月、「ダイオキシン類対策特別措置法」が公布(2000年1月施行)された。
􀂋 ダイオキシン類対策特別措置法
我が国では、ダイオキシン類排出量の約9割が産業廃棄物焼却時と推定されていることから、1997年に大気汚染防止法や廃棄物処理法を改正し、1997年12月より排出規制が行われている。1999年には、2002年度までに排出総量の9割を削減することなどを盛り込んだ「ダイオキシン対策推進基本指針」が策定され、同年、「ダイオキシン類対策特別措置法」が成立し、環境基準(大気、水質、土壌)が設定された。
(1) ダイオキシン類の定義(2条1項)
「ダイオキシン類対策特別措置法」によるダイオキシン類の定義は、同法2条1項により、WHO

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定義と同様に、PCDD(ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン)とPCDF(ポリ塩化ジベンゾフラン)及びCo-PCB(コプラナーポリ塩化ビフェニール)となっている。
(2) 環境基準(大気、水質、土壌)及び耐容一日摂取量(TDI)の設定
人が生涯にわたって継続的に摂取しても健康に影響を及ぼすおそれがない1日あたりの摂取量は、体重1kgあたり4pgと定められた。
(3) 特定施設の指定、排出基準の設定
法律で、規制の対象となる施設を特定施設(一定規模以上の焼却施設等)として指定し、排出基準(大気、水質)を設定した。
(4) 廃棄物焼却炉に係るばいじん・焼却灰等(再生を含む)の処理等
ばいじん・焼却灰中の濃度基準及び廃棄物の最終処分場の維持管理基準の設定。
(5) 汚染状況の調査・測定の義務
知事は、大気、水質、土壌の汚染状況を常時監視し、環境大臣に報告する。
事業者は、排出ガス(排水)について年1回以上測定し、都道府県知事へ報告する。廃棄物焼却炉については、焼却灰その他の燃えがらも対象。測定結果は知事が公表する。
(6) 土壌汚染に係る措置
知事は、対策が必要な地域を指定し、対策計画を策定する。(指定第1号は東京都大田区)
8-4-2特定計量証明事業者制度(MLAP)創設の経緯
􀂋 MLAP創設の背景
適正な計量の実施の確保は、経済活動、産業活動、国民生活にとって不可欠な要素であり、計量法はその信頼性を確保するための技術的な社会基盤制度である。当時は、ダイオキシン類等の環境問題の広がりから、極微量物質の計量証明ニーズとこうした計量証明の信頼性を確保する必要性が高まり、そのための法による明確な措置が急務となる機運が次第に盛り上がる状況となっていった。
ダイオキシン類計量証明の規制強化のための計量法改正(平成14年4月1日施行)の背景となった具体的な事情としては、①「極微量物質の計量ニーズの増大」、②「計量証明の信頼性の確保の必要性」の二つが大きな要因とされている。
①については、新たな環境問題の高まりや製造業における生産管理工程の高度化等により、一兆分の一の濃度レベル(ppt)などの極微量物質(ダイオキシン類等)の濃度の計量ニーズが増大してきたことである。
なお、極微量物質の計量に関しては、従来のハード(計量器)とヒト(計量技術者)の確認に加え、新たなシステム全体にわたる工程管理が適切に行われていることが必要であるという問題がある。
②については、ダイオキシン類に関する計量証明事業者が発行する計量証明書について、測定各社によって測定値に大きな差異があったことが直接的な原因であった。具体的には、埼玉県所沢市の産廃施設付近の土壌中のダイオキシン汚染のテレビ報道により、計量証明の数値に関する信頼性の問題が浮上したと言われている。この他には、測定事業者によって計量証明を依頼した者にとって情報不足や記載

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事項がまちまちの事例等もあったとされている。
以上のような社会的要請を受け、平成12年に特定計量証明事業者制度(MLAP)創設に向けた検討が始まった。
􀂋 計量行政審議会答申(平成12年12月)
特定計量証明事業者制度に関する審議会答申は、平成12年9月に通商産業大臣からの諮問「極微量物質の計量等新たな社会ニーズに対する適正な計量の実施の確保を図るために必要となる新たな制度の在り方」を受け、同年12月13日に計量行政審議会が取りまとめたものである。
「新たな社会ニーズ」と「新たな制度の必要性」
新たな環境問題の高まりや製造業における生産管理工程の高度化等により、従来の計量制度が想定していなかったレベルの計量計測を伴う極微量物質の計量ニーズ、特にその計量証明に対するニーズが増大している。
具体的には、ppm(百万分の一)やppb(十億分の一)を単位として測定濃度を示すNOX などの従来型公害のレベルに対し、ダイオキシン類、半導体製造プロセスにおけるアンモニアガス等の不純物、発電所のボイラー循環水に含まれる塩素等の腐食原因物質等は、これらよりはるかに低濃度のppt(一兆分の一)などのレベルによる計量計測を必要とするものであり、このような極微量物質の計量ニーズが高まっている。
<審議会答申(平成12年12月)抜粋>
答申では、ダイオキシン類、その他の極微量物質の計量証明ニーズが高まっているとして、極微量物質の信頼性の高い確実な計量証明のための計量制度としての対応が喫緊の課題であるとしている。
また、事業者の現状については、分業体制等の計量証明事業の事業形態の変化について、信頼性を損なうことのないよう制度面からの手当が必要とし、極微量物質計量の現状についても計量証明結果のバラつきの問題が発生していることなどから、新たな制度の必要性を指摘している。
極微量物質の計量計測では、非常に複雑な処理工程を要し極めて高いレベルの技術力が必要であり、計量結果に影響を与える要因を適切・確実に処理しなければ直ちに計量結果の正確性が大きく損なわれるという極低濃度ゆえの特性を持っている。このため、処理方法の違いや事業者の工程管理状況の差によって計量証明結果のバラつきが発生しているなど、極微量物質の計量証明事業に関する問題点が指摘されているところである。
<審議会答申(平成12年12月)抜粋>
極微量物質の計量ニーズに応える制度の構築
新たな制度の構築については、「新たな計量の基準の設定」、「信頼性の高い適正な計量の実施を確保するための方策」の二点から方向性が示された。
現行の計量単位は、平成4年の法改正時にその考え方及び内容を一新したものであるが、濃度に特化した単位のうち微量のものを表すものとしては、当時の計量計測で求められていたレベル等を反映して、ppm(質量百万分率又は体積百万分率)及びppb(質量十億分率又は体積十億分率)が法定され使用を認められているものの、これらより小さい単位は許容されておらず、現在求められている極微量物質の計量計測の濃度レベルについては、計量単位が十分に手当されていないのが実状となっている。

213-

<審議会答申(平成12年12月)抜粋>
「新たな計量の基準の設定」については、極微量物質の計量計測における適正な計量の要請に対して計量の基準の面から対応するため、計量単位ppt(質量一兆分率)といった極微量物質レベルの法定計量単位の追加を行うことが必要であるとされた。
極微量物質の計量証明を行う事業者には、その計量レベルを高度なものとし、技術レベルの維持、工程全般の管理・正確な事務の取扱い、異常値の是正処置等が適正に行われることを担保するシステムが不可欠の要素となるものであり、ハード(使用する計量計測器)、ヒト(計量管理を行う者)とともにこのようなシステムの整備とその確実な実行が必要とされる。
<審議会答申(平成12年12月)抜粋>
「信頼性の高い適正な計量の実施を確保するための方策」としては、システムの整備とその確実な実行が必要とされ、そのための「新たな能力確認の考え方」が示された。
昭和49年に構築された現行計量証明事業者登録制度では、当時想定されていた計量証明対象の技術的レベルに対応して、ハードとヒトをその事業登録に係る要件としており、計量管理の重要性は思想としては取り入れられているものの、具体的なシステム全体にわたるチェックは登録要件とはなっていない。
極微量物質の正確な計量証明のためには、事業者において高度な計量管理が行われていることが不可欠であるが、その正確な計量証明結果を制度面から担保するためには、このような高度な計量管理が実際に行われているかどうかについてシステム全般にわたる事業者の能力を客観的に確認することが必要である。
このように、事業者の能力をシステム全体にわたり確認するためには、品質システム管理面と技術能力面の両面から確認するという新たな能力確認方法を導入すべきである。また、その能力確認にあたっては、更新制の導入やサーベイランスにより、事業者における高度な計量管理を定期的に第三者が確認することとする必要がある。
このような方式は国際的にも広く採用されており、現に例えば化学的試験等を行う事業者の能力を確認する認定制度として、ISO/IEC17025を用いた試験所認定制度が欧米を中心に世界50ヶ国以上で採用されているが、新たな能力確認方法としては、この試験所認定制度(ISO/IEC17025)に沿ったものを採用することが国際的な調和の面からも適切である。
<審議会答申(平成12年12月)抜粋>
「新たな能力確認の方法」については、能力確認が統一的、客観的及び継続的に責任をもって行われるため、都道府県の登録事務との役割分担を整理しつつ、高度な専門性と技術力を有する産総研やNITEといった専門的機関の活用などを検討すべきであるとされた。
8-4-3極微量物質の計量に関する法改正
MLAP創設に関する制度改正は、計量行政審議会答申(平成12年12月)を受けた経済産業省が所要の手当てをした改正法案を通常国会に上程し、平成13年6月14日に成立(6月20日公布)されたものである。改正法の施行は、公布から1年以内とされ、平成14年4月1日に「改正計量法」が施行された。
改正の具体的内容は、「極微量物質の計量ニーズへの対応」、「計量証明事業の信頼性向上」の二つの観点から計量法に新たな規定が設けられた。

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􀂋 極微量物質の計量ニーズへの対応
「極微量物質の計量ニーズへの対応」については、①新たな計量の単位の追加、②従来の計量証明事業の「濃度」登録区分を分割し「特定濃度」区分を追加、③この「特定濃度」の計量証明事業においてはNITE又は指定認定機関の認定を事業登録の際の要件としたこと、などの三つの措置がとられた。
(1) 新たな計量単位の追加
新たな計量単位については、極微量濃度の表現に足りるよう「質量1兆分率」「質量千兆分率」「体積1兆分率」「体積千兆分率」を新たに法定計量単位として規定し、その定義と用法及び記号を規定した。(単位令3条、別表3)
定めた「ppt」(質量1兆分率、tは「トリリオン」)「ppq」(質量千兆分率、qは「クォドリリオン」)「vol ppt」「vol ppq」は、物質中にその質量(体積)の1兆分の1の質量(体積)のある成分を含有する濃度等と定義した。(※それまでの極微量濃度の表現形式では、「pg/‰」「ng/‰」等となっていた。)
また、「ppt」及び「ppq」は、法定計量単位として接頭語(十の整数乗)も使用可(単位令4条)とし、「ppt」や「ppq」は質量1兆分率の記号と規定した。(単位則別表2)
(2) 「特定濃度」の事業区分を追加
極微量領域の「濃度」計量証明事業については、政令(施行令29条の2)で特定した事業(①大気、水又は土壌中のダイオキシン類(ダイオキシン類対策特別措置法2条1項)と②大気、水又は土壌中のクロルデン、DDT又はヘプタクロル)について、新たな登録事業区分「特定濃度」として規定(施行則38条、別表4)した。
なお、法施行後1年間(平成15年3月31日まで)は、経過措置として、従来の「濃度」区分の登録を受けている場合、引き続きダイオキシン類等の「特定濃度」区分の計量証明が行えることとした。
(3) 「認定」を「特定濃度」計量証明事業登録の要件とした。
ダイオキシン類の計量証明事業については、「特定濃度」区分の事業登録に際して、「認定」を受けていることが必要な事業として規定(法109条3項、施行令28条の2)した。
これにより、「認定特定計量証明事業者(NITE又は大臣が指定した「特定計量証明認定機関」(法121条の2)による認定を受けた者)」(法第121条の3)は、極微量分析能力の認定を受けた者とされるが、さらに知事の「特定濃度」事業区分の登録を受けた者だけがダイオキシン類の計量証明事業を行えることなった。
また、認定の効力は、期間3年の更新制(法121条の4、施行令29条の3)とした。
􀂋 計量証明事業の信頼性の向上
「計量証明事業の信頼性の向上」については、①計量証明書の信頼性向上策(登録と認定の2種類の標章を導入)、②虚偽の計量証明書の発行などの不正行為の禁止規定の導入、③特定計量証明事業の認定基準として試験所の技術能力を審査する国際規格(ISO/IEC17025)に準じた基準を設けたこと、である。
(1) 計量証明書の信頼性向上
計量証明書の信頼性向上策については、計量証明書の記載事項を法定化し、公に法の認定及び登録を

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受けた者であることが分る標章(認定ロゴと登録ロゴの2種類)を付すことができる規定を設けた。(法110条の2、施行則44条の2、法121条の3、施行則49条の7)
具体的には、ダイオキシン類の計量証明の事業区分で認定及び登録を受けた「特定計量証明事業者」の場合、ダイオキシン類の計量証明書に標章(認定ロゴ)を付すことができることとした。ダイオキシン以外の計量証明事業者については、計量証明書に標章(登録ロゴ)を付すことができることとした。
(2) 虚偽の計量証明書などの不正防止
虚偽の計量証明の防止策については、「計量証明の事業について不正の行為をしたとき」には、計量証明事業の登録を取り消すことができる規定が追加された。(法113条5号)
これにより、実際の計量結果の改ざん、故意に虚偽の内容を記載した計量証明書を発行する行為、実際に計量することなく架空の計量証明結果をねつ造する等、不正の行為を行った事業者は計量証明事業の登録取消の対象となった。
なお、新設の特定計量証明事業の認定についても、同様に認定の取消し規定(法121条の5)が設けられた。
(3) 特定計量証明事業の認定基準に国際規格(ISO/IEC17025)の導入
これについては、極微量(ダイオキシン類)分析計量の測定結果のバラツキを押さえるための方策として、計量証明事業制度を所管する経済産業省が取り組んだ結果、試験所の技術能力を審査する国際規格(ISO/IEC17025)の導入が規定されたものである。
具体的には、認定要件としてISO/IEC17025を適用する趣旨を「①管理組織、②技術的能力、③業務の実施の方法」(法121条の2)を揚げて明確化し、その詳細内容は経済産業省が別に定める基準(告示77号)や「運用基準」等に拠ることとした。
なお、認定申請にあたっての個別具体的な手続き等については、「特定計量証明事業者認定制度(MLAP)認定申請等の手引き(第7版)」、「特定計量証明事業者に係る品質マニュアル作成の手引き(第4版)」、「特定計量証明事業者認定制度(MLAP)事業者向け事前確認チェックリスト(ダイオキシン類の認定区分用)(第5版)」がNITEより示されている。
8-4-4特定計量証明事業者制度の内容
􀂋 認定
特定計量証明事業(法107条2号に規定する物象の状態の量で極めて微量のものの計量証明を行うために高度の技術を必要とするものとして政令(施行令29条の2)で定める事業をいう。以下この条において同じ。)を行おうとする者は、経済産業省令(施行則49条の2)で定める事業の区分に従い、経済産業大臣又は経済産業大臣が指定した者(以下「特定計量証明認定機関」という。)に申請して、その事業が次の各号に適合している旨の認定を受けることができる。
1) 特定計量証明事業を適正に行うに必要な管理組織を有するものであること。
2) 特定計量証明事業を適確かつ円滑に行うに必要な技術的能力を有するものであること。
3) 特定計量証明事業を適正に行うに必要な業務の実施の方法が定められているものであること。
<法121条の2>
この条文は、前段は特定計量証明事業の定義を規定し、後段は認定主体と認定条件を規定している。

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特定計量証明事業の定義(法121条の2柱書中括弧書)
柱書中括弧書は、特定計量証明事業を定義した部分であり、環境計量証明(法107条2号)で「微量のものの計量証明を行うために高度の技術を必要とするものとして政令(施行令29条の2)で定める事業」を特定計量証明事業というとしている。
(特定計量証明事業)
法121条の2の政令で定める事業は、次のとおりとする。
1) 大気、水又は土壌中のダイオキシン類(ダイオキシン類対策特別措置法 (平成11年法律105号)2条1項に規定するダイオキシン類をいう。)の濃度の計量証明(法19条1項1号の計量証明をいう。以下同じ。)の事業
2) 大気、水又は土壌中の1,2,4,5,6,7,8,8-オクタクロロ-2,3,3a,4,7,7a-ヘキサヒドロ-4,7メタノ―1H-インデン(別名クロルデン)、1,1,1-トリクロロ-2,2-ビス(4-クロロフェニル)エタン(別名DDT)又は1,4,5,6,7,8,8-ヘプタクロロ-3a,4,7,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン(別名ヘプタクロル)の濃度の計量証明の事業
<施行令29条の2>
1)のダイオキシン類は、ダイオキシン類対策特別措置法2条1項に規定するダイオキシン類(ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)、ポリ塩化ジベンゾーパラージオキシン(PCDD)、コプラナーポリ塩化ビフェニル(Co-PCB)の3種類)であることを規定している。
2)のクロルデン、DDT、ヘプタクロルについては、現在まで認定は行われてなく、今後の認定の予定もないとのことである。
認定主体
特定計量証明事業の認定主体は、「経済産業大臣又は経済産業大臣が指定した者(特定計量証明認定機関)」とされている。
この特定計量証明認定機関については、以前はJABxxixとJCLAxxxが指定されていたが、現在では指定されている機関はないため大臣(法168条の5(1号)によりNITE)のみが認定主体となっている。
また、「計量法121条の2に規定する特定計量証明認定機関を指定する省令」(平成14年経済産業省令90号)については、平成21年5月1日付けで廃止された。
認定区分
法121条の2の経済産業省令で定める事業の区分(以下「認定の区分」という。)は、次のとおりとする。
1) 大気中のダイオキシン類
2) 水又は土壌中のダイオキシン類
3) 大気中の1,2,4,5,6,7,8,8-オクタクロロ-2,3,3a,4,7,7a-ヘキサヒドロ-4,7メタノ―1H-インデン(別名クロルデン)、1,1,1-トリクロロ-2,2-ビス(4-クロロフェニル)エタン(別名DDT)又は1,4,5,6,7,8,8-ヘプタクロロ-3a,4,7,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン(別名ヘプタクロル)
4) 水又は土壌中の1,2,4,5,6,7,8,8-オクタクロロ-2,3,3a,4,7,7a-ヘキサヒドロ-4,7メタノ―1H-イン
xxix JAB:「財団法人日本適合性認定協会」の略
xxx JCLA:「社団法人日本化学工業協会(日本化学試験所認定機構)」の略

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デン(別名クロルデン)、1,1,1-トリクロロ-2,2-ビス(4-クロロフェニル)エタン(別名DDT)又は1,4,5,6,7,8,8-ヘプタクロロ-3a,4,7,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン(別名ヘプタクロル)
<施行則49条の2>
3)及び4)については、実際に認定はされていない。
申請手続き
(認定の申請)
認定を受けようとする者は、様式63の2による申請書に次の書類を添えて、独立行政法人製品評価技術基盤機構(以下「機構」という。)又は特定計量証明認定機関(以下「認定機関等」という。)に提出しなければならない。
1) 一般社団法人又は一般財団法人にあっては、定款及び登記事項証明書並びに申請の日を含む事業年度及び翌事業年度における事業計画
2) 1)以外の者にあっては、事業概況書
3) 特定計量証明の事業実施の方法を定めた書類
4) 次の事項を記載した書面
イ 認定の対象となる事業の実績
ロ 特定計量証明事業に従事する者(経済産業大臣が別に定めるものに限る。)の氏名及びその略

ハ 特定計量証明事業に用いる器具、機械又は装置の数、性能、所在の場所及びその所有又は借入れの別
ニ 特定計量証明事業を行う施設の概要
ホ 申請者(申請者が法人である場合は、その法人及びその法人の業務を行う役員)が特定計量証明事業の公正な実施に支障を及ぼすおそれのないことを説明した書面
<施行則49条の3>
認定条件(法121条の2(1号~3号))
特定計量証明事業の認定条件は、「必要な管理組織を有する」(1号)、「必要な技術的能力を有する」(2号)、「必要な業務の実施の方法が定められている」(3号)の三つである。
なお、この認定条件の具体的な内容については、別途、告示等(告示77号xxxi、告示78号xxxii、告示145号xxxiii)により示されている。
􀂋 計量証明書
(証明書の交付)
xxxi 「告示77号」:ダイオキシン類に係る特定計量証明事業の認定基準(平成14年、経済産業省告示第77号、平成17年8月29日改正)の略
xxxii 「告示78号」:計量法施行規則の規定に基づき経済産業大臣が別に定めるもの等(平成14年、経済産業省告示第78号)の略
xxxiii 「告示145号」:クロルデン等に係る特定計量証明事業の認定基準(平成14年、経済産業省告示第145号)の略

218-


① 法121条の2の認定を受けた者(以下「認定特定計量証明事業者」という。)は、同条の認定を受けた事業の区分に係る計量証明を行ったときは、経済産業省令(施行則49条の7(1項))で定める事項を記載し、経済産業省令(施行則49条の7(2項))で定める標章を付した証明書を交付することができる。
② 何人も、①に規定する場合を除くほか、計量証明に係る証明書に①の標章又はこれと紛らわしい標章を付してはならない。
③ ②に規定するもののほか、認定特定計量証明事業者は、計量証明に係る証明書以外のものに、①の標章又はこれと紛らわしい標章を付してはならない。
<法121条の3>
①は、認定特定計量証明事業者は省令(施行則49条の7(1項))で定める事項を記載し、省令(施行則49条の7(2項))で定める標章(MLAP)を付した証明書を交付することができることを規定している。
②は、①の場合以外において、計量証明書に①の標章やこれと紛らわしい標章を付してはならないことを規定している。
③は、②のもののほか、認定特定計量証明事業者は、計量証明書以外のものに①の標章やこれと紛らわしい標章を付してはならないことを規定している。
計量証明書の記載事項(施行則49条の7(1項))
(計量証明書)
法121条の3(1項)の経済産業省令で定める事項は、次のとおりとする。
1) 計量証明書である旨の表記
2) 計量証明書の発行番号及び発行年月日
3) 計量証明書を発行した認定特定計量証明事業者の氏名又は名称及び住所
4) 計量証明を行った事業所の名称、所在地、認定番号及び登録番号
5) 当該計量証明書に係る計量管理を行った者の氏名
6) 計量の対象
7) 計量の方法
8) 計量証明の結果
9) 計量証明の事業の工程の一部を外部の者に行わせた場合にあっては、当該工程の内容、当該工程を実施した事業者の氏名又は名称及び事業所の所在地
<施行則49条の7(1項)>
特定計量証明事業者の計量証明書の記載事項は、登録計量証明事業者の場合(施行則44条の2)とほぼ同じ内容である。この条文は、同条2項の標章を規定するため、あえて規定したものと思われる。
標章(施行則49条の7(2項))
法121条の3(1項)の経済産業省令で定める標章は、次のとおりとする。

219-



<施行則49条の7(2項)>
この標章は、特定計量証明事業者認定制度(MLAP:Specified Measurement Laboratory Accreditation Program)の略称(MLAP:エムラップ)をデザインしたもので、計量証明事業登録を受けている旨の標章(天秤マーク)とはデザインが異なる。
また、この標章については、計量証明書以外のものに付すことはできないとされている。(※名刺やパンフレット等への表示も許されていない。)
􀂋 認定の更新
(認定の更新)
① 法121条の2の認定は、三年を下らない政令(施行令29条の3)で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。
② 法121条の2及び法121条の3(1項)の規定は、①の認定の更新に準用する。
<法121条の4>
①は、特定計量証明事業の認定は政令(施行令29条の3)で定める期間(3年)ごとに、更新を受ける必要があることを規定している。
②は、特定計量証明事業の認定基準等(法121条の2)及びMLAP標章規定(121条の3)について、①の認定の更新に準用することを規定している。
(認定特定計量証明事業者の認定の有効期間)
法121条の4(1項)の政令で定める期間は、三年とする。
<施行令29条の3>
認定更新の手続き
(特定計量証明事業の認定の更新)
法121条の4(1項)の規定により、認定特定計量証明事業者が認定の更新を受けようとする場合は、施行則49条の2及び施行則49条の3の規定を準用する。この場合において、施行則49条の3中「様式63条の2」とあるのは、「様式63の3」と読み替えるものとする。
<施行則49条の4>
この条文は、認定の更新手続きは認定申請(施行則49条の3)と同じであることを規定している。
􀂋 認定証
(認定の実施)
① 認定機関等は、認定又は認定の更新をしたときは、その申請者に特定計量証明事業に係る認定証(以下この節において「認定証」という。)を交付する。

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[次ページに続く]計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(24) 筆者 高原隆


計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(目次) 筆者 高原隆

計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(14) 筆者 高原隆

計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(15) 筆者 高原隆

計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(17) 筆者 高原隆

計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(18) 筆者 高原隆

計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(19) 筆者 高原隆

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計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(21) 筆者 高原隆

計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(22) 筆者 高原隆

計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(23) 筆者 高原隆

計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(24) 筆者 高原隆

計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(25) 筆者 高原隆






計量制度の概要(METI/経済産業省)

計量法における単位規制の概要
 非法定計量単位による目盛等を付した計量器の販売の届出について
 非法定計量単位による目盛等を付した計量器の販売の承認について
計量法における計量器の規制の概要
 特定計量器に関する規制の概要
 家庭用特定計量器(体重計・調理用はかり)に関する規制の概要
計量士(国家試験・資格認定・登録)
適正計量管理事業所制度
計量法における商品量目制度の概要(特定商品(食品など)の量目公差・内容量表記など)
特殊容器(丸正びん)制度
計量証明の事業
計量標準
法定計量における国際整合化の推進(国際法定計量機関)
普及啓発(計量記念日)


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計量計測トレーサビリティのデータベース(サブタイトル 日本の計量計測とトレーサビリティ)
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計量計測トレーサビリティのデータベース(計量計測トレーサビリティ辞書
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