計量法の解説
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計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(26) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(26) 筆者 高原隆を行うこととされている団体の構成員は、共同して行うことができる。
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(目次) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(19) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(20) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(21) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(22) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(23) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(24) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(25) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(26) 筆者 高原隆
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計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(26) 筆者 高原隆
筆者は計量行政職員であり現職時に作成した文章です。その後に計量法令は変更になっており、変更のある部分には編集部で注意書きをしております。元になっている文章は 計量計測データバンク「計量法の読み方」 ですので、本文に疑問がある場合には 「計量法の読み方」 を開いて確かめてください。この文章は計量法を理解するための古典ともいえる内容になっております。なお 「計量法の読み方」 が編集の都合によってPGFファイルですので、そのhtlm版として、本稿を作成いたしました。新聞紙面と併せてご利用ください。また経済産業省の穂オームページに掲載の次のページ計量制度の概要(METI/経済産業省)などで内容を確認してください。 「計量法の読み方」(https://www.keiryou-keisoku.co.jp/yomikata/ver.4-101022/yomikata-zenfile20170421.pdf)(計量計測データバンク編集部)
(見出し)
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-筆者 高原隆
(本文)
はじめに----------3
1、 計量法の目的----------4
1-1、計量法の目的とは----------4
1-2、計量法の目的と諸規定----------4
1-3、明示されていない目的----------5
2、定義等----------6
2-1、「計量」と「計量単位」----------6
2-2、「取引」及び「証明」----------7
2-3、「計量器」と「特定計量器」----------10
2-4、製造、改造、修理----------14
2-5、計量器の校正、標準物質、標準物質の値付け----------15
3、計量単位----------18
3-1、メートル条約----------18
3-2、SI単位----------20
3-3、法定計量単位----------22
3-4、非法定計量単位に関する規制----------25
4、適正な計量の実施----------37
4-1、正確な計量----------37
4-2、商品の販売に係る計量----------39
4-3、計量器等の使用----------46
5、定期検査----------53
5-1、定期検査制度----------53
5-2、指定定期検査機関----------69
6、正確な特定計量器等の供給----------81
6-1、正確な計量器の供給----------81
6-2、製造----------82
6-3、修理----------87
6-4、販売----------93
6-5、家庭用特定計量器----------96
6-6、譲渡等の制限----------100
6-7、特殊容器----------101
7、検定等----------110
7-1、検定----------110
7-2、型式承認----------136
7-3、指定製造事業者----------149
7-4、基準器検査----------160
7-5、指定検定機関----------177
8、計量証明の事業----------186
8-1、計量証明事業者制度とは----------186
-1-
8-2、計量証明事業者制度----------188
8-3、計量証明検査----------202
8-4、特定計量証明事業者制度----------210
9、適正な計量管理----------227
9-1、計量士----------227
9-2、適正計量管理事業所----------238
10、計量器の校正等----------247
10-1、トレーサビリティ制度(JCSS)----------247
10-2、公的な計量標準の設定と供給----------254
10-3、民間の計量標準の設定と供給(校正事業者登録制度)----------263
10、雑則----------274
11-1、報告----------274
11-2、立入検査----------278
11-3、計量行政審議会----------287
11-4、地方分権改正----------292
11-5、行政手続と不服申立て----------305
11-6、中央省庁再編(中央省庁等改革)に伴う改正----------313
11-7、その他----------317
計量法の解説
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(25) 筆者 高原隆
からの続き。
<施行則72条>
①は、申請は全て当該事業所の所在地を管轄する知事又は特定市町村を経由し、国の事業所にあっては管轄の経済産業局長に提出、それ以外の事業所については知事へ提出することを規定している。
②は、同一の区域内に二以上の事業所を有する場合は一括で申請できることを規定している。具体的には、百貨店や大手スーパーチェーン店等が該当する。
③は、同一の計量士が計量管理を行う団体は一括で申請できることを規定している。具体的には、日本郵政、薬剤師会、米穀商業組合、石油業協同組合などが現在指定されている。
計量管理の方法(法127条2項5号)
(計量管理の方法に関する事項)
法127条2項5号の経済産業省令で定める計量管理の方法に関する事項は、次のとおりとする。
1) 計量管理を実施する組織
2) 使用する特定計量器の検査の実施の方法及び時期
3) 使用する特定計量器の検査のための設備の保管及び整備の方法
4) 計量の方法及び量目の検査の実施の方法及び時期
5) その他計量管理を実施するため必要な事項
<施行則73条>
この「計量管理の方法」は、旧計量法における「計量管理規程」(旧法施行則78条)の記載事項とほぼ同じ内容であり、計量管理を適確に実施するためのシステムを確立するためのものとされている。
知事又は特定市町村による検査
法127条1項の指定の申請をした者は、遅滞なく、当該事業所における計量管理の方法について、当該都道府県知事又は特定市町村の長が行う検査を受けなければならない。
<法127条3項>
指定検査は、申請書の記載内容及び計量管理の実施状況について知事又は特定市町村が行う。検査当日は、検査する行政機関と事業所関係者及び計量士の立会いで検査が行われるのが通常である。
検査の報告
法127条3項の規定により検査を行った都道府県知事又は特定市町村の長は、経済産業省令(施行則74条)で定めるところにより、当該検査の結果を経済産業大臣に報告しなければならない。
<法127条4項>
知事又は特定市町村は、「計量管理の方法」について検査を行った場合、省令(施行則74条)で定めるところにより、大臣へ報告しなければならない。
(計量管理の方法の検査等)
① 都道府県知事又は特定市町村の長は、法127条3項の規定により施行則72条の申請書に記載されている当該事業所における計量管理の方法について検査を行った場合であって、その申請書が国の事業所に係るものであるときは、法127条4項の規定により、その結果に基づいて様式73による検査書を作成し、これをその申請書に添えて、当該都道府県又は当該特定市町村の区域を管轄する経済産業局長に送付するものとする。
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② 特定市町村の長は、法127条3項の規定により施行則72条の申請書に記載されている当該事業所における計量管理の方法についての検査を行った場合であって、その申請書が国の事業所以外の事業所に係るものであるときは、法127条4項の規定により、その結果に基づいて様73による検査書を作成し、これをその申請書に添えて、当該特定市町村の区域を管轄する都道府県知事に送付するものとする。
<施行則74条>
①は、知事又は特定市町村が国の事業所に係る検査を行った場合、検査書を作成し、管轄の経済産業局長へ申請書に添えて送付することを規定している。
②は、特定市町村が国の事業所以外の事業所に係る検査を行った場合、検査書を作成し、知事へ申請書を添えて送付することを規定している。
指定の基準
経済産業大臣は、127条1項の指定の申請が次の各号に適合すると認めるときは、その指定をしなければならない。
1) 特定計量器の種類に応じて経済産業省令(施行則75条1項)で定める計量士が、当該事業所で使用する特定計量器について、経済産業省令(施行則75条2項)で定めるところにより、検査を定期的に行うものであること。
2) その他計量管理の方法が経済産業省令(施行則75条3項)で定める基準に適合すること。
<法128条>
指定の基準は、1)と2)の二つである。
1)については、「計量士」は一般計量士又は環境計量士、「検査の方法」は施行令10条(定期検査対象)又は施行令29条(計量証明検査対象)については、法19条2項(定期検査)又は法116条2項(計量証明検査)に定めるところにより行うなどとなっている。(施行規則75条1項、2項)
2)については、「適正計量管理主任者」が必要な数だけ置かれ、必要な数の計量士の指導のもとに適正な計量管理が行われていることなどとなっている。(施行規則75条3項)
なお、指定についての更に具体的な運用基準については、計量法関係ガイドライン集(旧通達「5機局702号」とほぼ同じ内容)で示されている。
(指定の基準)
① 法128条1号の経済産業省令で定める計量士は、次のとおりとする。
1) 令2条15号及び16号に掲げる特定計量器については、環境計量士(騒音・振動関係)
2) 令2条17号イからルまでに掲げる特定計量器については、環境計量士(濃度関係)
3) 前号に掲げる特定計量器以外のものについては、一般計量士
② 法128条1号の検査は、次の基準を満たすものとする。
1) 令10条1項又は令29条の別表5の上欄に掲げる特定計量器であって、令10条1項に掲げるもの以外のものについては、法19条2項又は法116条2項に定めるところにより行うものであること。
2) 前号に掲げるもの以外の特定計量器(令5条に掲げるものを除く。)については、その性能が法151条1項1号の経済産業省令で定める技術上の基準に適合するかどうか及びその器差が同項2号の経済産業省令で定める使用公差を超えないかどうかの検査を、同条2項及び3項の経済産業省令で定める方法により行うものであること。この場合において、検則67条中「基準器
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又は検則20条で規定する標準物質」とあるのは、「基準器若しくは標準物質、登録事業者が特定標準器による校正等をされた計量器若しくは標準物質であって当該基準器若しくは標準物質と同じ若しくはより高い精度のもの又はこれらの計量器若しくは標準物質に連鎖して段階的に計量器の校正等をされた計量器若しくは標準物質を用いて定期的に校正等を行った計量器若しくは標準物質であって当該基準器若しくは標準物質と同じ若しくはより高い精度のもの」と読み替えるものとする。
③ 法128条2号の経済産業省令で定める基準は、次のとおりとする。
1) 当該事業所にその従業員であって適正な計量管理を行うために必要な業務を遂行することを職務とする者(以下「適正計量管理主任者」という。)が必要な数だけ置かれ、必要な数の計量士の指導の下に適正な計量管理が行われていること又は当該事業所に専ら計量管理を職務とする従業員であって計量士の資格を有する者が必要な数だけ置かれ、適正な計量管理が行われていること。
2) 当該事業所における適正計量管理主任者及び従業員が、当該事業所の計量管理を行う計量士により計画的に量目の検査その他の計量管理に関する指導を受け、それに基づき量目の検査及び特定計量器の検査を定期的に行っていること。
3) 当該事業所の計量管理を行う計量士の指導の下に当該事業所における計量管理の内容及び方法を記載した計量管理規程を定め、これを遵守していること。
4) その他適正な計量管理を行うため、次の事項を遵守するものであること。
イ 当該事業所における計量管理を行う計量士が、その職務を誠実に行うこと。
ロ 申請者は、計量管理に関し、計量士のその職務を行う上での意見を尊重すること。
ハ 当該事業所の従業員が、当該事業所の計量管理を行う計量士がその職務を行う上で必要であると認めてする指示に従うこと。
<施行則75条>
指定の通知
(指定の通知)
経済産業局長又は都道府県知事は、法127条1項の規定により適正計量管理事業所の指定を行ったときは、その旨を申請者及びその事業所の所在地を管轄する都道府県知事又は特定市町村の長に通知するものとする。
<施行則76条>
指定した場合は、その旨を通知しなければならないが、具体的な通知方法については特に規定されていない。一般的には、「適正計量管理事業所指定書」を交付している場合が多い。
帳簿の記載
法127条1項の指定を受けた者は、経済産業省令(施行則77条)で定めるところにより、帳簿を備え、当該適正計量管理事業所において使用する特定計量器について計量士が行った検査の結果を記載し、これを保存しなければならない。
<法129条>
指定事業所において使用する特定計量器については、計量士が行った検査の結果を記載した帳簿を一定期間保存しなければならない。
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具体的な記載内容は、検査年月日、計量士名及び登録番号及び区分、検査計量器の種類及び数及び措置内容を記載し、最終記載の日から3年間保存しなければならない。
(帳簿の記載)
① 法127条1項の指定を受けた者は、法129条の規定により、次の各号に掲げる事項について記載した帳簿を事業所ごとに備えなければならない。
1) 法128条1号の検査を行った年月日
2) 1)の検査を行った計量士の氏名、登録番号及び計量士の区分
3) 1)の検査を行った特定計量器の種類及び数並びにその検査の結果及び行った措置の内容
② 法127条1項の指定を受けた者は、法128条1号の検査を行った後、遅滞なく、①各号に掲げる事項を帳簿に記載しなければならない。
③ 法129条の規定により帳簿を保存しなければならない期間は、帳簿の最終の記載の日から起算して、三年とする。
<施行則77条>
(電磁的方法による保存)
① 施行則77条1項各号に掲げる事項が、電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。施行則86条の2において同じ。)により記録され、当該記録が必要に応じ電子計算機その他の機器を用いて直ちに表示されることができるようにして保存されるときは、当該記録の保存をもって法129条に規定する当該事項が記載された帳簿の保存に代えることができる。
② ①の規定による保存をする場合には、経済産業大臣が定める基準を確保するよう努めなければならない。
<施行則77条の2>
標識
① 法127条1項指定を受けた者は、当該適正計量管理事業所において、経済産業省令(施行則78条)で定める様式の標識を掲げることができる。
② 何人も、①に規定する場合を除くほか、同項の標識又はこれと紛らわしい標識を掲げてはならない。
<法130条>
標識は、広く適正計量管理事業所制度及び計量思想の普及を図る観点から、平成5年改正において新設された規定である。
①は、標識の掲示はできる規定であり、掲示することを義務付けているものではない。
②は、省令で定める標識以外の紛らわしい標識を掲示してはならないことを規定している。(※標識は、商品等に付すことは認められていない。)
(標識)
法130条の経済産業省令で定める様式の標識は、次のとおりとする。
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<施行則78条>
標識は、通称「適管マーク」(KKマークともいう)と呼ばれ、平成5年改正当時に出ていた3つの案の中から選ばれた。マークの意味については、「計量管理」の「K」と「K」を図案化し、右下(赤色)の部分は計量器の「針」をデザイン化し、青色は「誠実」という意味を含むとされています。
適合命令
経済産業大臣は、法127条1項の指定を受けた者が法128条各号に適合しなくなったと認めるときは、その者に対し、これらの規定に適合するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
<法131条>
適合命令の主体は、指定の主体と同じく大臣又は知事又は一部の特定市町村である。(※「指定の主体」で前述したとおり、知事については法168条の8による政令委任(施行令41条)、特定市町村については地方自治法252条の17の2規定による。)
指定の取消し
経済産業大臣は、法127条1項の指定を受けた者が次の各号の一に該当するときは、その指定を取り消すことができる。
1) 法130条2項又は133条において準用する法62条1項の規定に違反したとき。
2) 法133条において準用する法92条1項1号又は3号に該当するに至ったとき。
3) 131条の規定による命令に違反したとき。
4) 不正の手段により法127条1項の指定を受けたとき。
<法132条>
指定の取消しの主体は、適合命令と同様に知事及び一部の特定市町村も主体となる。
1)は、「標識」(法130条2項)又は「変更の届出等」(法62条1項)に違反したときを規定している。
2)は、「指定の基準」(法92条1項1号及び3号)の欠格事項に該当したときを規定している。
3)は、「適合命令」(法131条)に違反したときを規定している。
4)は、不正の手段により「指定」(法127条1項)を受けたときを規定している。
準用規定
法92条1項の規定は法127条1項の指定に、法61条、法62条、法65条及び法66条の規定は法127条1項の指定を受けた者に準用する。この場合において、法92条1項1号及び2号中「二年」とあるのは「一年」と、同号中「法99条」とあるのは「法132条」と、法61条中「法60条1項」とあるのは「法133条において準用する法92条1項」と、法62条1項中「法59条各号」とあるのは「法127条2項各号」と読み替えるものとする。
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<法133条>
前段は、「指定の基準」(法92条1項)は法127条1項に準用し、「承継」(法61条)、「変更の届出等」(法62条)、「廃止の届出」(法65条)、「指定の失効」(法66条)は法127条1項の指定を受けた者に準用することを規定している。
後段は、準用において、「法92条1号及び2号」(指定の欠格事項)は「2年」を「1年」に読み替え、同号中「法99条」(指定の取消し)は「法132条」に読み替え、法61条中「法60条1項」(指定の欠格事項)は「法132条において準用する法92条1項」と読み替え、法62条1項中「法59条各号」(指定の申請)は「法127条2項各号」に読み替えることを規定している。
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10計量器の校正等
計量法における「計量器の校正等」の章は、トレーサビリティ制度について規定している。
「トレーサビリティ」とは、「traceable」(もとを辿ることができる)であることを意味する。計量標準における「トレーサビリティ制度」は、使用者が持っている標準器又は標準物質の値や計量計測機器の値が、どの程度の精度で国家計量標準とつながっているかということを明確にする体系を言うとされている。
実際には、国家計量標準とつながりのある校正サービスを行う事業者を国が認証し、認証を受けた校正機関からの校正サービスを受けることにより、一般使用者に計量標準が供給される。
計量法によるトレーサビリティ制度は、計量標準供給に係る認証制度として、平成5年改正により新たに創設された制度である。
10-1トレーサビリティ制度(JCSS)
10-1-1JCSSトレーサビリティ制度の創設
JCSS創設の背景
当時は、技術革新の進展を背景として、先端技術分野をはじめとする工業生産等における高精度の計量ニーズが高まり、精密計測や高精度計量において国家標準による校正とそのつながりを公的に証明するトレーサビリティ制度の必要性が高まっていた。
一方、JCSS創設以前は、国家計量標準による計量器の校正は工業技術院(現在の産総研)の依頼試験という形で行われていたが、対象となる計量器の校正は種類及び数とも必ずしも十分には対応できていない状況であった。
また、国の機関以外では、日電検のように民間機関ではあるが計量標準に関する高度な研究及び技術レベルを有した機関も存在していたが、それらの計量標準についてもその信頼性を公的に証明する制度がないため、必ずしも十分に活用されていない状況であった。
トレーサビリティ制度は、以上のような状況を踏まえて平成5年改正より、指定校正機関制度及び認定校正機関制度(現在は登録)を中心とする「JCSSトレーサビリティ制度」として創設された。
計量行政審議会答申(平成4年9月)
当時の計量行政審議会では、計量標準の供給に関する「現状と問題点」について、次のようにまとめている。
産業に必要な信頼性の高い各種の計量標準に対する需要の増大に対して、国立標準研究機関からの標準供給は、必ずしも十分に対応しきれておらず、一部の計量標準については、海外の計量標準供給機関に依存しているのが実態である。
このような背景として、国の機関としての限界があり、民間標準供給機関又は企業によって開発された計量標準に対して国家標準との公的なつながりを公的に保証する制度が我が国では整備されていないことも、標準供給の大きなネックとなっている。
各国政府機関ベースの国家標準の国際比較、精度調整が実施されてきたところであるが、貿易の国際化を進める上で、産業界が必要とする国家標準とのつながり(トレーサビリティ)を対外的に保証できるような制度を設けるとともに、これを各国間での相互認証制度に発展させていく必要が
-247-
ある。
一方、アジアを中心とした発展途上国に対して技術協力を進める上で、計量器・計量標準の供給に関する協力の必要性は極めて高く、トレーサビリティ体系を制度的に整備する必要がある。
産業界における技術開発の高度化。安全性の強化のため、計量・計測の基準となる精度の高い計量標準の供給を行うことが重要な課題となっている。
<計量行政審議会答申(平成4年9月)抜粋>
10-1-2JCSSトレーサビリティ制度の概要
JCSSトレーサビリティ制度とは
JCSSとは、「Japan Calibration Service System」の略称であり、国家計量標準とつながりをもった校正サービス制度の体系として、平成5年11月より運用されている計量法に基づく「校正事業者認定制度」である。(※平成17年7月1日以降は「校正事業者登録制度」となっている。)
一般に「JCSSトレーサビリティ制度」という場合は、計量法に基づく「計量標準供給制度」全体を含めた概念とされている。(※略して「JCSS制度」ともいう。)
JCSSトレーサビリティ制度は、「公的な計量標準の設定と供給」と「民間の計量標準の設定と供給」に大別される。制度としては、「特定標準器制度」(「公的な計量標準の設定と供給」)と「指定校正機関制度」に分けられ、「民間の計量標準の設定と供給」については「校正事業者登録制度(JCSS)」となっている。
指定校正機関及び登録校正事業者は、国家計量標準とトレーサブルであることの証明として、特別な標章の入った校正証明書を発行できる。
JCSS制度の特徴
国家標準とトレーサブルな標準の供給
国内において最上位の標準は、大臣が特定標準器等(一次標準)として定めることにより、国家計量標準として位置づけられる。
計量計測に対する校正サービス(標準物質の値付け及び供給を含む。)を行う標準供給機関は、大臣が申請に基づき登録することにより、登録機関の有する計量標準(特定二次標準)が国家計量標準とトレーサブルであることを対外的に証明できる。
登録機関から計量器の校正等を受ける者は、一定の精度等を明記した校正証明書(標準物質の値付け証明書を含む。)の発行を当該登録機関から受けることにより、その計量計測器等(実用標準)が国家計量標準にトレーサブルであることを対外的に証明することができる。
民間の校正技術能力の活用
JCSS登録事業者は、国家計量標準により校正等を行っていくものであり、一定水準の技術的能力を有する等の基準に適合すれば、民間企業でも登録が受けられる制度なっている。
具体的には、公表されている登録区分において校正事業を実施する校正事業者を対象とし、登録を希望する事業所の任意の申請により登録審査が行われる。
校正の国際整合
JCSS登録は、国際標準化機構(ISO)及び国際電気標準会議(IEC)が定めた校正機関に関する基
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準(ISO/IEC 17025)の要求事項に適合しているかどうかにより、審査される。
また、国際MRA対応を希望する登録事業者に対しては、別の任意な契約に基づき、その校正能力の維持状況を確認するための定期的な検査(サーベイランス)及び技能試験(Proficiency test)が実施される。国際MRA対応認定事業者は、その証明としてILAC MRA付きJCSS認定シンボルの入った校正証明書を発行できることとなる。
JCSS標章やJCSS認定シンボル付き校正証明書は、そのマークによって日本の国家計量標準へのトレーサビリティが確保され、校正事業者の技術能力のあることが一目でわかるというメリットがある。
JCSS制度の運用
計量行政審議会計量標準部会
計量標準部会は、JCSS制度の発足にあたり、計量行政審議会に新たに設けられた部会である。
計量標準部会は、大臣の諮問等を受け、制度の対象とすべき国家標準の種類、指定校正機関及び認定(登録)事業者の認定(登録)、新たに開発すべき計量標準の種類、国際比較を含む国際協力等に関して、答申又は建議を行う。
認定(登録)基準等(制度のスキーム)
認定(登録)基準等は、国際的な技術基準(ISO/IEC等)に準拠することを原則とし、共通の技術基準や対象となる標準の種類ごとに個別に技術基準を作成することとされている。
具体的な制度のスキームは、指定校正機関の運用基準についてはJIS Z 9358(ISO/IEC Guide 58)により、認定(登録)事業者の認定(登録)基準はJIS Q 17025(ISO/IEC 17025)により運用されている。
また、認定(登録)方法は、申請に基づき、その事業者の品質システム、校正方法、不確かさの見積もり、設備などが校正を実施する上で適切であるかどうか、定められたとおり品質システムが運営されているか、を書類審査及び現地審査により審査し登録される。
認定(登録)審査の手順
認定(登録)審査の手順は、「①事前準備」、「②認定(登録)申請」、「③認定(登録)審査」を経て「④認定(登録)」される。
①事前準備については、校正証明書付き特定二次標準器又は常用参照標準、技能試験への参加、校正方法等の規程の準備、申請書類作成などを行う必要がある。
②認定(登録)申請については、申請書の提出(登録申請料224,600円)、遵守事項の誓約書の提出などがある。
③認定(登録)審査については、審査チームによる書類審査、審査チームによる現地審査、評定委員会での審査結果の評定の順に審査が行われる。
④認定(登録)決定後は、NITE理事長による認定証の交付、官報公告、ダイレクトリーの掲載などが行われる。
校正技術等の確認(技能試験等)
認定(登録)事業者に対する校正技術等の確認は、認定(登録)申請時に技術的能力の証明として行われる確認、認定後の技術能力維持の確認として行われる場合の二つに大別される。
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申請時の確認については、添付報告書類等(認定機関主催の技能試験、IAJapanが承認した外部プロバイダの技能試験、測定監査、APLAC等国際機関が実施する技能試験)の確認により、校正等の技術的能力の証明とされる。
認定(登録)後の確認としては、概ね4年に1回実施する技能試験への参加(MRA)をもって、事業者の認定(登録)時の技術能力維持の確認とされる。
また、国際MRA対応認定事業者については、有料のサーベイランス(部分検査(毎年)、全項目検査(4年ごと))及び技能試験(4年に1回)を受けることにより、校正証明書にMRA対応事業者認定シンボルを付すことができる。
10-1-3計量標準の国際相互承認
計量標準の国際相互承認協定(CIPM MRA)の概要
国際相互承認協定(Global Mutual Recognition Arrangement)は、経済のグローバル化に対応するため、メートル条約加盟国の主要国家計量標準機関の代表で構成する国際度量衡委員会(CIPM)において締結された協定である。
本協定は、1999年10月に開催された第21回国際度量衡総会において38カ国の国家計量標準機関と国際機関2機関によって署名された。日本は当時の工業技術院計量研究所が標準研究所(計量研究所、物質工学工業技術総合研究所、電子技術総合研究所、郵政省通信総合研究所)の4所を代表し署名した。この結果、本協定は2005年1月に発効した。
本協定は、経済活動や取引の基本である計測、計量について、国家計量標準機関を頂点とする各国の計量標準トレーサビリティ体系を相互に信頼し、他国の国家計量標準の校正データを自国でもそのまま同等と認め、その校正証明書をそのまま自国でも受け入れる仕組みを構築したものである。これにより、試験器等がこの計量標準にトレーサブルである場合、製品等の試験成績書がワンストップで相手国に受け入れられることとなる。
また、本協定に署名した各国の国家計量標準機関の技術能力を統一的な基準により比較(いわゆる技能試験による国際比較)、審査し、その結果として登録・公表された技術能力(Calibration and Measurement Capability: CMC)に基づいて承認・不承認を判断する仕組みを併せて構築している。
なお、1999年からの4年間で、この相互承認協定に基づいて行われてきた膨大な数の比較試験と技術能力の審査の結果、CMC の登録数は1万7千件を超えており、本協定の発効によって国際的な信頼性確保の枠組みが整理され、障壁のない自由な取引が促進される。製品や食品に付与される試験データの信頼性を外国の顧客や規制当局から求められたとき、登録されたCMC へのトレーサビリティを確保することで、その試験成績書は国境を越えて通用するいわばパスポートとなる。
<計量行政審議会(平成17年)資料抜粋>
国際度量衡委員会(CIPM)は、国際度量衡総会(CGPM)の決定事項に関する代執行機関であり、事実上の理事機関でもある。CIPMは、国籍を異にする18名の委員(我が国は1907年以降委員会の一つの席を占めている。)で構成され、CGPMからCIPMに委託された標準に関する国際的な課題を具体的に検討する任務を持っている。委員は、主要加盟国の国立研究機関を中心に構成され、委員会は毎年開催されています。
計量標準の国際相互承認協定は、近年の世界市場単一化の潮流の中で標準に関わる主に国際通商上の障壁を軽減する目的により、1999年10月、各国の国家計量標準機関間で「計量標準国際相互承認取り決め」(グローバルMRA)が調印された。
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計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(目次) 筆者 高原隆
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計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(25) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(26) 筆者 高原隆
計量制度の概要(METI/経済産業省)
計量法における単位規制の概要
非法定計量単位による目盛等を付した計量器の販売の届出について
非法定計量単位による目盛等を付した計量器の販売の承認について
計量法における計量器の規制の概要
特定計量器に関する規制の概要
家庭用特定計量器(体重計・調理用はかり)に関する規制の概要
計量士(国家試験・資格認定・登録)
適正計量管理事業所制度
計量法における商品量目制度の概要(特定商品(食品など)の量目公差・内容量表記など)
特殊容器(丸正びん)制度
計量証明の事業
計量標準
法定計量における国際整合化の推進(国際法定計量機関)
普及啓発(計量記念日)
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計量計測トレーサビリティのデータベース(サブタイトル 日本の計量計測とトレーサビリティ)
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計量計測トレーサビリティのデータベース(計量計測トレーサビリティ辞書)
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計量計測トレーサビリティのデータベース(計量計測トレーサビリティ辞書)-2-
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計量計測トレーサビリティのデータベース(計量計測トレーサビリティ辞書)-3-
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