計量法の解説
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計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(20) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(20) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(目次) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(19) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(20) 筆者 高原隆
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計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(20) 筆者 高原隆
筆者は計量行政職員であり現職時に作成した文章です。その後に計量法令は変更になっており、変更のある部分には編集部で注意書きをしております。元になっている文章は 計量計測データバンク「計量法の読み方」 ですので、本文に疑問がある場合には 「計量法の読み方」 を開いて確かめてください。この文章は計量法を理解するための古典ともいえる内容になっております。なお 「計量法の読み方」 が編集の都合によってPGFファイルですので、そのhtlm版として、本稿を作成いたしました。新聞紙面と併せてご利用ください。また経済産業省の穂オームページに掲載の次のページ計量制度の概要(METI/経済産業省)などで内容を確認してください。 「計量法の読み方」(https://www.keiryou-keisoku.co.jp/yomikata/ver.4-101022/yomikata-zenfile20170421.pdf)(計量計測データバンク編集部)
(見出し)
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-筆者 高原隆
(本文)
はじめに----------3
1、 計量法の目的----------4
1-1、計量法の目的とは----------4
1-2、計量法の目的と諸規定----------4
1-3、明示されていない目的----------5
2、定義等----------6
2-1、「計量」と「計量単位」----------6
2-2、「取引」及び「証明」----------7
2-3、「計量器」と「特定計量器」----------10
2-4、製造、改造、修理----------14
2-5、計量器の校正、標準物質、標準物質の値付け----------15
3、計量単位----------18
3-1、メートル条約----------18
3-2、SI単位----------20
3-3、法定計量単位----------22
3-4、非法定計量単位に関する規制----------25
4、適正な計量の実施----------37
4-1、正確な計量----------37
4-2、商品の販売に係る計量----------39
4-3、計量器等の使用----------46
5、定期検査----------53
5-1、定期検査制度----------53
5-2、指定定期検査機関----------69
6、正確な特定計量器等の供給----------81
6-1、正確な計量器の供給----------81
6-2、製造----------82
6-3、修理----------87
6-4、販売----------93
6-5、家庭用特定計量器----------96
6-6、譲渡等の制限----------100
6-7、特殊容器----------101
7、検定等----------110
7-1、検定----------110
7-2、型式承認----------136
7-3、指定製造事業者----------149
7-4、基準器検査----------160
7-5、指定検定機関----------177
8、計量証明の事業----------186
8-1、計量証明事業者制度とは----------186
-1-
8-2、計量証明事業者制度----------188
8-3、計量証明検査----------202
8-4、特定計量証明事業者制度----------210
9、適正な計量管理----------227
9-1、計量士----------227
9-2、適正計量管理事業所----------238
10、計量器の校正等----------247
10-1、トレーサビリティ制度(JCSS)----------247
10-2、公的な計量標準の設定と供給----------254
10-3、民間の計量標準の設定と供給(校正事業者登録制度)----------263
10、雑則----------274
11-1、報告----------274
11-2、立入検査----------278
11-3、計量行政審議会----------287
11-4、地方分権改正----------292
11-5、行政手続と不服申立て----------305
11-6、中央省庁再編(中央省庁等改革)に伴う改正----------313
11-7、その他----------317
計量法の解説
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(19) 筆者 高原隆
からの続き。
表2の指定の区分の欄に掲げる特定計量器ごとに同表の検定設備の欄に掲げるものであって、指定機関省令9条4号ロの特定計量器の検定を適確に遂行するに足りるものとする。
② 法106条3項において準用する法28条2号の経済産業省令で定める条件に適合する知識経験を有する者及び同号の経済産業省令で定める数は、別表2の指定の区分の欄に掲げる特定計量器ごとにそれぞれ同表の検定を実施する者の欄に掲げるとおりとする。
<指定機関省令10条>
①は、検定を行うための器具、機械又装置(法28条1号)は別表2で掲げるものであって、「検定を適確に遂行するに足りるもの」であることを規定している。
②は、知識経験を有する者及び数(法28条2号)は別表」は別表2で規定している。
(指定検定機関の構成員)
法106条3項において準用する法28条3号の法人の種類に応じて経済産業省令で定める構成員は、次の各号に掲げる法人の種類ごとに、それぞれ当該各号に掲げるものとする。
1) 一般社団法人 社員
2) 会社法575条1項の持分会社 社員
3) 会社法2条1号の株式会社 株主
4) 中小企業等協同組合法3条の事業協同組合、事業協同小組合及び企業組合並びに農業協同組合法4条1項の農業協同組合 組合員
5) 中小企業等協同組合法3条の協同組合連合会及び農業協同組合法4条1項の農業協同組合連合会 直接又は間接にこれらを構成する者
6) その他の法人 当該法人の種類に応じて前各号に掲げる者に類するもの
<指定機関省令10条の2>
これは、法人の役員及び構成員(法28条3号)を規定している。
(指定の基準)
法106条3項において準用する法28条4号の経済産業省令で定める基準は、検定の実施に係る組織、検定の方法、手数料の算定の方法その他の検定の業務を遂行するための体制が次の各号に適合するよう整備されていることとする。
1) 特定の者を不当に差別的に取り扱うものでないこと。
2) 検定を受ける者との取引関係その他の利害関係の影響を受けないこと。
3) 前各号に掲げるもののほか、検定の公正な実施に支障を及ぼすおそれのないこと。
<指定機関省令10条の3>
検定の公正の確保(法28条4号)については、組織、検定の方法、手数料の算定などについて、「検定の公正な実施に支障を及ぼすおそれのないこと」として規定されている。
なお、法28条5号の「検定業務を適確かつ円滑に行うに必要な経理的基礎を有するものであること。」については、具体的な省令等による規定はされていない。一般的に「必要な経理的基礎」には、適切な賠償責任保険の加入など、業務運営及び活動から生じる賠償責任などの債務に対して適切な備えがあることが含まれると考えられる。
指定の更新
(指定の更新の手続)
法106条3項において準用する法28条の2の規定により、指定検定機関が指定の更新を受けよう
-181-
とする場合は、指定機関省令9条から10条の2までの規定を準用する。この場合において指定機関省令9条中「様式1」とあるのは「様式1の2」と読み替えるものとする
<指定機関省令10条の4>
指定検定機関の指定は、準用する法28条の2(1項)の政令(施行令11条の2)で定める期間(3年)ごとに更新を受けなければならない。
指定検定機関の指定更新については、以前は指定定期検査機関と同様に更新の必要がなかったが、基準・認証制度の見直しに係る平成11年改正により、指定の更新制が導入され3年ごとの更新が義務付けられた。
業務規程
(業務規程)
① 指定検定機関は、法106条3項において準用する法30条1項前段の規定により業務規程の認可を受けようとするときは、様式2による申請書に業務規程を添えて、経済産業大臣に提出しなければならない。
② 法106条3項において準用する法30条2項の業務規程で定めるべき事項は、次に掲げるとおりとする。
1) 検定の業務を行う時間及び休日に関する事項
2) 検定の業務を行う特定計量器の種類
3) 検定を行う場所に関する事項
4) 検定に関する証明書の発行に関する事項
5) 検定を実施する者の選任及び解任に関する事項
6) 検定を実施する者の配置に関する事項
7) 検定に使用する検定設備の管理に関する事項
8) 検定証印の管理に関する事項
9) 手数料の額及び収納の方法に関する事項
10) 前各号に掲げるもののほか、検定の業務に関し必要な事項
③ 指定検定機関は、法106条3項において準用する法30条1項後段の規定により業務規程の変更の認可を受けようとするときは、様式3による申請書を経済産業大臣に提出しなければならない。
<指定機関省令11条>
①は、業務規程について大臣の認可を受けることを規定している。
②は、業務規程で定める事項を規定している。(※指定検定機関の手数料については、法定事項ではないが、業務規程は認可事項であるため、認可の際に妥当性がチェックされることとなる。)
③は、業務規程の変更についても大臣の認可を受けることを規定している。
帳簿の記載等
(帳簿)
① 法106条3項において準用する法31条の経済産業省令で定める事項は、次に掲げるとおりとする。
1) 検定を申請した者の氏名又は名称及び法人にあっては、その代表者の氏名
2) 検定の申請を受けた年月日
-182-
3) 検定の申請に係る特定計量器の種類、名称、構造、材質及び性能の概要、製造番号並びに型式承認表示が付されたものにあっては、型式承認番号
4) 検定を行った年月日
5) 検定を実施した者の氏名
6) 検定の成績及び合格又は不合格の別(合格しなかった特定計量器については、その理由及び製造番号)
② 指定検定機関は、検定を行ったときは、遅滞なく、①に掲げる事項を特定計量器及び検定の種類ごとに区分して、帳簿に記載しなければならない。
③ 指定検定機関は、②の帳簿を、検定の有効期間があるものにあっては、次回の検定が終了するまでの間、有効期間のないものにあっては、必要に応じ、保存しなければならない。
<指定機関省令12条>
帳簿の記載については、電磁的方法による保存も認められている。
(電磁的方法による保存)
① 指定機関省令12条1項各号に掲げる事項が、電磁的方法により記録され、当該記録が必要に応じ電子計算機その他の機器を用いて直ちに表示されることができるようにして保存されるときは、当該記録の保存をもって法106条3項において準用する法31条に規定する当該事項が記載された帳簿の保存に代えることができる。
② ①の規定による保存をする場合には、経済産業大臣が定める基準を確保するよう努めなければならない。
<指定機関省令12条の2>
業務の休廃止
(業務の休廃止)
指定検定機関は、法106条3項において準用する法32条の規定により検定の業務の全部又は一部を休止又は廃止の届出をするときは、全部又は一部を休止し、又は廃止しようとする日の三月前までに、様式4による届出書を経済産業大臣に提出しなければならない。
<指定機関省令13条>
業務の休廃止するときは、3ヶ月前までに届け出なければならない。
(業務の引継ぎ)
指定検定機関は、検定の業務を経済産業大臣に引き継ごうとするときは、次に掲げるところにより行わなければならない。
1) 検定の業務を引き継ぐ旨を記載した書面を経済産業大臣に提出すること。
2) 検定の業務に関する帳簿及び書類を経済産業大臣に引き渡すこと。
<指定機関省令16条>
検定の業務を大臣へ引き継ぐときは、その旨の書面と帳簿及び書類を引き渡さなければならない。
7-5-3現在の指定検定機関
指定検定機関の告示
指定検定関については、法159条1項1号により、法16条1項2号イの指定をしたとき、大臣はその旨を公示しなければならないこととなっている。
-183-
これまでの指定状況については、環境計量器以外の一般計量器は平成5年改正により指定区分が追加され指定が始まったが、電気計器は昭和61年改正により指定区分が設けられたが現在までの指定は未だない。
現在の指定検定機関は、通商産業省告示548号xxiv及び151号xxvにより、JQAxxvi及びJIAxxviiの2者が指定を受け、指定区分は以下のとおりとなっている。
(1) ガラス製体温計 JQA計量計測センター
(2) 抵抗体温計 JQA計量計測センター
(3) ボンベ型熱量計 JQA計量計測センター
(4) アネロイド型血圧計 JQA計量計測センター、関西事業所
(5) 騒音計 JQA計量計測センター、中部事業所、関西事業所、九州試験所
(6) 振動レベル計 JQA計量計測センター、中部事業所、関西事業所、九州試験所
(7) 大気濃度計 JQA計量計測センター、中部事業所、関西事業所、九州試験所
(8) pH計 JQA計量計測センター、中部事業所、関西事業所、九州試験所
(9) ユンケルス式流水型熱量計 JIA安全研究所
(10)非自動はかり JQA計量計測センター
計量行政審議会「計量制度検討小委員会」報告(平成20年4月)
指定検定機関制度のあり方については、計量行政審議会(平成17年7月諮問)の計量制度検討小委員会報告(平成20年4月)において、「適正な計量の実施の確保」における「(2)計量器の規制の方法」の「②新たな方向性」として、「指定定期検査・指定検定機関制度の更なる活用」が提言されている。
2) 指定定期検査・指定検定機関制度の更なる活用
地方公共団体等が実施している検査・検定において民間能力を更に活用できるよう、指定検定機関制度、指定定期検査機関制度について、その能力を担保し、信頼性を確保した上で、民間機関が参入しやすい制度とすることが適当である。
具体的には、ISO/IEC17025(試験所及び校正機関の能に関する一般要求事項としての国際規格)やISO/IEC17020(検査を実施する各種機関の運営に関する一般事項としての国際規格)など、検査・検定の業務内容に応じた適切な指定基準を設定し検定の能力の確保をした上で、指定検定機関の業務区分を、例えば、器差のみの検定ができる機関といったように、業務の範囲に応じた指定ができるようにする。このことにより、器差のみの検定であれば、構造に関する検定を実施するための設備が不要であるため、指定検定機関として備えるべき設備が軽減されるなど、初期の設備投資額の軽減により、能力を有した民間機関が参入しやすくなる。
<計量行政審議会「計量制度検討小委員会報告」(平成20年4月)抜粋>
この「ISO/IEC17025やISO/IEC17020など、検査・検定の業務内容に応じた適切な指定基準を設定
xxiv 「告示548号」:「計量法第16条第1項第2号イの規定に基づく指定検定機関の指定」(通商産業省告示548号、平成5年11月)の略
xxv 「告示151号」:「計量法第16条第1項第2号イの規定に基づく指定検定機関の指定」(通商産業省告示151号、平成6年3月)の略
xxvi 「JQA」:「財団法人日本品質保証協会」の略
xxvii 「JIA」:「財団法人日本ガス機器検査協会」の略
-184-
し検定の能力の確保をした上で、指定検定機関の業務区分を、例えば、器差のみの検定ができる機関といったように、業務の範囲応じた指定ができるよう制度を見直すことが適当である。」については、指定検定機関等が有すべき技術的能力の基準(検定の能力に対する要求事項等)についてのガイドラインを作成するため、国主催による「特定計量器の検定機関等に関する検討会」が設置されている。
-185-
8計量証明の事業
8-1計量証明事業者制度とは
8-1-1「計量証明の事業」とは
「計量証明」
「計量証明」の定義については、旧計量法123条より「法定計量単位による計量上の証明(以下「計量証明」という。)とされ、具体的には「計量」及び「証明」の定義(旧計量法2条及び12条)より、「法定計量単位により物象の状態の量を計り、その結果に関し、公又は業務上他人に一定の事実が真実である旨を表明すること」とされている。
現計量法においては、法107条の「計量証明」の定義に関する記述として、法19条1項1号で「~計量上の証明(以下「計量証明」という)」とされ、その解釈は旧通達(6機局290号)「計量法、計量法施行令、計量法施行規則等の解釈及び運用について」で示されていた。
このは旧通達(6機局290号)における「計量証明」の解釈については、「証明における計量」(法2条2項、法8条1項、法16条、法18条及び19条1項)は「特定の数値までを必ず含むことを有するを要するものでなく、ある一定の水準に達したか、達していないかという事実も含まれる。」が、「計量上の証明(計量証明)」は「数値を表明することが伴うものである。ただし、おおよその目安を示すものは含まれない。」とされていた。
以上のことから、現在における「計量証明」の定義の解釈については、「法定計量単位により物象の状態の量を計り、その結果に関し、公又は業務上他人に一定の事実が真実である旨を数値を伴って表明することである。」とされている。(「計量法関係ガイドライン」より)
「計量証明の事業」
「計量証明の事業」とは、計量法上の「計量証明」を必要とする者が第三者に当該「計量証明行為」を依頼する際、その「計量証明行為」を業として行う場合を「計量証明の事業」としている。
計量法では、この「計量証明の事業」であって一定の規制が必要な事業を規定し、当該事業を行う者に対して、都道府県知事による登録を義務付けている。
具体的な「計量証明の事業」の実態については、一般計量証明ではトラックスケールを用いてトラックの積荷の「質量」の計量証明を行う事業が圧倒的に多くなっている。積荷の内容については、バラの貨物で質量が決まっていないもの(例えば、砂利、粉体、液体など)の重量物で量を確認する必要があるもの、あるいは産業廃棄物、くず鉄、非鉄金属、古紙などのリサイクル資源の受け渡しで量を確認する必要があるものなど、となっている。
計量証明事業者制度は、これらの「計量証明の事業」の適正を担保するため、計量法制定(昭和26年)により、設けられた制度である。
8-1-2計量証明事業事業者制度の沿革
計量証明事業者規制の始まり
計量証明事業者制度は、戦前から貨物等の計量取引に際して証明行為を業として行う事業者があり、これを戦後の計量法制定(昭和26年)により規制を始めたものである。
計量法では、制定当時(昭和26年)、「運送、寄託又は売買の目的たる貨物の積卸又は入出庫に際し
-186-
て行うその貨物の法定計量単位による計量上の証明(以下「計量証明」という)の事業~」と規定されていた。
計量証明事業の実態については、当初は計量の大半が原料貨物に限られ証明事業者も地域に限定されていたが、戦後経済全般の画期的な発展に伴い計量証明需用も増大し、貨物の種類も広範囲にわたり事業者数も増加していった。
こうしたことから業界では、各都道府県に協会設立や全国組織(計量証明事業協会連合会)も結成し、計量証明事業者の社会的地位の向上を図るために登録審査や行政の監督強化等を求めるなど、国当局に対して数次に亘る陳情を行い規制強化を要望してきた経緯がある。
具体的な制度の変遷
具体的な制度の変遷については、当初は計量証明設備のみの登録規制であり、しかも無期限登録であったが、昭和41年改正(42年施行)により事業登録規制に改められ事業としての実態が整えられた。当時は、計量に関する知識及び技術も乏しく正確計量に対する関心も薄い事業実態であったことから、業界団体等の働きかけを受け、諸般の規制が緩和される中、ひとり計量証明事業に関する条項は大幅に規制強化(事業の登録制、有効期間10年、計量主任者等の人的要件の追加など)された。
なお、昭和41年改正では、「船積貨物の積み込み~」(いわゆるドラフトサーベヤー)の事業を対象除外にしたが、これは規制緩和という意味合いではなく、他法令との二重規制を避けるために設けられたものである。
因みに、この計量証明事業者制度ができた経緯についても、このドラフトサーベヤー事業者と貨物の計量証明事業者はほとんど同種の業種であり、ドラフトサーベヤーについては港湾運送事業法の「検量事業」として運輸大臣の免許規制があったため、規制のバランスをとるために設けられたのではないかと言われている。
その後、計量証明事業者制度は、昭和49年改正により、登録対象を環境計量証明事業者(濃度、騒音レベル)に拡大し、事業規程の作成や届出規制を新たに追加している。
現在は、平成5年新法改正(登録の有効期間廃止、振動加速度レベルの登録区分を追加)を経て、平成13年改正では環境計量証明事業のMLAP制度導入等を行い、現在の事業区分は9区分(長さ、質量、面積、体積、熱量、濃度、特定濃度、音圧レベル、振動加速度レベル)となっている。
8-1-3環境計量証明事業者制度の創設経緯
計量行政審議会答申(昭和48年12月)
環境計量証明事業者制度は、計量行政審議会(昭和48年12月)中間答申を得て、昭和49年改正(昭和50年施行)により創設された制度である。
当時は、昭和40年代以降の公害防止の社会的要請を受け、計量行政審議会(昭和48年)において「公害計測の精度向上に関し、計量法体系上いかなる措置を講ずべきか」の観点から検討され、「環境計測の適正化について」(中間答申)により審議結果がまとめられた。
環境計量証明事業者制度は、この中間答申の中で「公害計量証明事業者(仮称)の事業登録制の実施」として提言されたものである。
2 公害計量証明事業者(仮称)の事業登録制の実施
公害規制の強化とともに環境保全に対する認識が高まりつつあるなかで、公害発生型の企業あるいは、取締の立場にある地方公共団体等の依頼を受けて、環境計測を事業とする公害計量証明事業
-187-
者は近時急速に増加の傾向にある。
この公害計量証明事業者は、依頼に応じ環境汚染物質などについて計量証明する第三者機関であり、計量法で規定している計量証明事業の一形態と考えられる。
現状においては、これらの計量証明事業者については何等の規制も加えられていないが、公害計量証明事業者は第三者機関として有害物質等の計測を適正に実施する社会的責務があり、この計測能力の向上及び信頼性の確保を図ることは現下の急務と考えられる。
これに対処して計測者及び計測設備について一定の基準を設けて事業登録を実施するとともに、例えば、業務規程の届出等により適正な業務を担保することとし、このために必要な法制措置を講ずることを検討すべきである。
<計量行政審議会(昭和48年)中間答申抜粋>
環境計量士制度の創設
昭和49年改正では、環境計量証明事業者制度の創設と併せて、当該事業登録の人的要件として一定の条件に適合する知識経験者の配置を義務付け、当該知識経験者の要件として環境計量士制度が創設された。
3 公害計量士(仮称)の創設
環境計測において、高度な化学計測の知識技能を必要とすることは、周知の事実であるが、現状においては必ずしもそのような技術を有している者のみが環境計測の業務にたずさわっているとはいいがたい。
環境計測における試料の採取方法、試料の前処理方法、計測機器の操作方法、日常における機器の保守点検方法等適正な計測技術と計量管理の知識、技能を保有する技術者の確保は、重要な課題といえよう。
このため、高度な化学計測の知識技能を有する計測技術者を確保する観点から、公害計量士(仮称)を創設することとし、このための法制措置等について早急に検討する必要がある。
<計量行政審議会(昭和48年)中間答申抜粋>
8-2計量証明事業者制度
8-2-1事業の登録
計量証明の事業であって次に掲げるものを行おうとする者は、経済産業省令(施行則38条)で定める事業の区分(法108条において単に「事業の区分」という。)に従い、その事業所ごとに、その所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。ただし、国若しくは地方公共団体又は独立行政法人通則法(平成11年法律103号)2条1項に規定する独立行政法人であって当該計量証明の事業を適正に行う能力を有するものとして政令(施行令26条)で定めるものが当該計量証明の事業を行う場合及び政令(施行令27条)で定める法律の規定に基づきその業務を行うことについて登録、指定その他の処分を受けた者が当該業務として当該計量証明の事業を行う場合は、この限りでない。
1) 運送、寄託又は売買の目的たる貨物の積卸し又は入出庫に際して行うその貨物の長さ、質量、面積、体積又は熱量の計量証明(船積貨物の積込み又は陸揚げに際して行うその貨物の質量又は体積の計量証明を除く。)の事業
2) 濃度、音圧レベルその他の物象の状態の量で政令(施行令28条)で定めるものの計量証明の事
-188-
業(前号に掲げるものを除く。)
<法107条>
1)(いわゆる「一般計量証明」)及び2)(いわゆる「環境計量証明」)の計量証明の事業を行おうとする者は、省令(施行則38条、別表4)で定める事業の区分に従い、その事業所ごとに、都道府県知事の登録を受けなければならない。
なお、「その事業所ごと」については、登録を受ける場合であり、他県での営業活動(計量証明行為)を制限するものではなく、事業所の所在地を管轄する都道府県で登録を受ければ他県での計量証明行為(営業活動)は自由にできる。
事業の区分
(事業の区分)
法107条の経済産業省令で定める事業の区分は、別表4の1欄に掲げるとおりとする。
<施行則38条>
計量証明事業の区分は、①長さ、②質量、③面積(皮革)、④体積、⑤熱量、⑥濃度(大気、水又は土壌中の物質の濃度で特定濃度区分のものを除く)、⑦特定濃度(大気、水又は土壌中のダイオキシン類の濃度)、⑧音圧レベル、⑨振動加速度レベルの9区分となっている。(※平成5年改正では、「騒音レベル」を「音圧レベル」に変更し、「振動加速度レベル」が新規に追加された。「特定濃度」については、平成14年改正により、新規に追加された事業区分である。)
登録の対象
一般計量証明事業(法107条1号)
一般計量証明事業の登録区分は、法107条1号により、「長さ」「質量」「面積」「体積」「熱量」の5区分となっている。
「寄託」とは、「当事者の一方が相手方のために保管して物を受け取ることによって成立する契約」(民法657条)とされ、いわゆる「倉庫業」がこれにあたる。
括弧書の「船積貨物の積込み又は陸揚げに際して行うその貨物の質量又は体積の計量証明」とは、港湾運送業法(昭和26年法律161号)2条1項8号の「検量」と解されている。従って、当該計量が船積みや通関等の書類作成等の基礎となる証明については、「検量」として取り扱うこととされている。(旧通達5機局703号「計量証明事業登録等実施要領」より)これは、「検量」が港湾運送業法3条及び4条によって検査業務が規制されているため、二重規制を避けるためとされている。
環境計量証明事業(法107条2号)
環境計量証明事業の登録対象は、政令(施行令28条)で定める計量証明の事業とされている。
(計量証明の事業に係る物象の状態の量)
法107条2号の政令で定める物象の状態の量は、次のとおりとする。
1) 大気(大気中に放出される気体を含む。施行令29条の2において同じ。)、水又は土壌(水底のたい積物を含む。同条において同じ。)中の物質の濃度
2) 音圧レベル(単位令別表2(6号)の聴感補正に係るものに限る。)
3) 振動加速度レベル(単位令別表2(7号)の感覚補正に係るものに限る。)
<施行令28条>
-189-
この施行令28条の運用については、以前は旧通達5機局703号「計量証明事業登録等実施要領」により示されていたが、現在の「計量法関係ガイドライン(解釈集)」においてもほぼ同様である。
施行令第28条の解釈について
(1) 「大気」について
・「大気」には、建築物内の空気を含まないものとする。
(2) 「水」について
・「水」は、他法令において水質検査(水中の物質濃度の測定)を行う者が規定されているもの(例、飲料水:水道法、温泉:温泉法)以外とする。
・飲料水とは、通常飲用に適すると考えられている水のことをいい、食品を通じて人間に摂取されるもの、並びに水道に関する水質試験、検査に係る原水及び食品等の製造過程等に使用されるものとする。
(3) 「土壌」について
・産業廃棄物は土壌と一体化しているもの以外は含まない。(移動可能な状態で集積されている産業廃棄物の分析を行った場合は、法107条の対象外となり、計量証明事業に当たらない。)
・「土壌」には、「肥料」、「鉱物」、「重油」は含まないものとする。
(4) 「濃度」について
・「濃度」には、「風速(速さ)」及び「温度」並びに「透視度」、「電気伝導率」、「色度」、「臭気」、「石綿濃度」及び「大腸菌群数」は含まないものとする。
(5) 計量証明事業の対象範囲の考え方
・計量法107条の計量証明事業の対象は上記(1)~(4)に加え、以下の3つの要件を満たしていることを要する
①証明であること(「証明」の定義参照)
②関係法令、JIS等に基づく適切な分析方法であること。
③分析結果が法定計量単位により報告されること。
(6) 計量証明書について
・法107条の登録を要しない物象の状態の量について、やむを得ず計量証明書の様式を使用するときは、同条の対象となる証明事業ではない旨を明記する等、法との関係において誤解を生じることのないこととする。
(7) その他
・マンションの室内における防音、防震性能を評価するための施行令28条に規定する音圧レベル又は振動加速度レベルの計量証明及び一定の調査目的のために行う河川水中の特定成分の濃度の計量証明等施行令27条に規定する法律の規定とは関係なく行う施行令28条に規定する濃度の計量証明を行う場合であって、法に基づく証明行為については、法107条の計量証明に該当する。
<計量法関係ガイドライン(解釈集)抜粋>
音圧レベル(施行令28条2号)
音圧実効値(パスカルで表した大気中における圧力の瞬時値と静圧との差の2乗の1周期平均の平方根をいう。以下同じ。)の10万分の2に対する比の常用対数の20倍又は音圧実効値に経済産業省令(単位則6条)で定める聴感補正を行って得られた値の10万分の2に対する比の常用対数の
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計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(目次) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(14) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(15) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(17) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(18) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(19) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(20) 筆者 高原隆
計量制度の概要(METI/経済産業省)
計量法における単位規制の概要
非法定計量単位による目盛等を付した計量器の販売の届出について
非法定計量単位による目盛等を付した計量器の販売の承認について
計量法における計量器の規制の概要
特定計量器に関する規制の概要
家庭用特定計量器(体重計・調理用はかり)に関する規制の概要
計量士(国家試験・資格認定・登録)
適正計量管理事業所制度
計量法における商品量目制度の概要(特定商品(食品など)の量目公差・内容量表記など)
特殊容器(丸正びん)制度
計量証明の事業
計量標準
法定計量における国際整合化の推進(国際法定計量機関)
普及啓発(計量記念日)
2026-03-28-no20-structure-and-function-and-purpose-of-the-measurement-law-
計量計測トレーサビリティのデータベース(サブタイトル 日本の計量計測とトレーサビリティ)
2019-02-05-database-of-measurement-measurement-traceability-measurement-news-
計量計測トレーサビリティのデータベース(計量計測トレーサビリティ辞書)
2019-02-07-1-database-of-measurement-measurement-traceability-measurement-news-
計量計測トレーサビリティのデータベース(計量計測トレーサビリティ辞書)-2-
2019-02-07-2-database-of-measurement-measurement-traceability-measurement-news-
計量計測トレーサビリティのデータベース(計量計測トレーサビリティ辞書)-3-
2019-02-07-3-database-of-measurement-measurement-traceability-measurement-news-