計量法の解説
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計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(32) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(32) 筆者 高原隆自治事務及び法定受託事務への国の関与
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(目次) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(19) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(20) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(21) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(22) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(23) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(24) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(25) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(26) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(27) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(28) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(29) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(30) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(31) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(32) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(33) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(34) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(35) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(36) 筆者 高原隆
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計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(32) 筆者 高原隆
筆者は計量行政職員であり現職時に作成した文章です。その後に計量法令は変更になっており、変更のある部分には編集部で注意書きをしております。元になっている文章は 計量計測データバンク「計量法の読み方」 ですので、本文に疑問がある場合には 「計量法の読み方」 を開いて確かめてください。この文章は計量法を理解するための古典ともいえる内容になっております。なお 「計量法の読み方」 が編集の都合によってPGFファイルですので、そのhtlm版として、本稿を作成いたしました。新聞紙面と併せてご利用ください。また経済産業省の穂オームページに掲載の次のページ計量制度の概要(METI/経済産業省)などで内容を確認してください。 「計量法の読み方」(https://www.keiryou-keisoku.co.jp/yomikata/ver.4-101022/yomikata-zenfile20170421.pdf)(計量計測データバンク編集部)
(見出し)
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-筆者 高原隆
(本文)
はじめに----------3
1、 計量法の目的----------4
1-1、計量法の目的とは----------4
1-2、計量法の目的と諸規定----------4
1-3、明示されていない目的----------5
2、定義等----------6
2-1、「計量」と「計量単位」----------6
2-2、「取引」及び「証明」----------7
2-3、「計量器」と「特定計量器」----------10
2-4、製造、改造、修理----------14
2-5、計量器の校正、標準物質、標準物質の値付け----------15
3、計量単位----------18
3-1、メートル条約----------18
3-2、SI単位----------20
3-3、法定計量単位----------22
3-4、非法定計量単位に関する規制----------25
4、適正な計量の実施----------37
4-1、正確な計量----------37
4-2、商品の販売に係る計量----------39
4-3、計量器等の使用----------46
5、定期検査----------53
5-1、定期検査制度----------53
5-2、指定定期検査機関----------69
6、正確な特定計量器等の供給----------81
6-1、正確な計量器の供給----------81
6-2、製造----------82
6-3、修理----------87
6-4、販売----------93
6-5、家庭用特定計量器----------96
6-6、譲渡等の制限----------100
6-7、特殊容器----------101
7、検定等----------110
7-1、検定----------110
7-2、型式承認----------136
7-3、指定製造事業者----------149
7-4、基準器検査----------160
7-5、指定検定機関----------177
8、計量証明の事業----------186
8-1、計量証明事業者制度とは----------186
-1-
8-2、計量証明事業者制度----------188
8-3、計量証明検査----------202
8-4、特定計量証明事業者制度----------210
9、適正な計量管理----------227
9-1、計量士----------227
9-2、適正計量管理事業所----------238
10、計量器の校正等----------247
10-1、トレーサビリティ制度(JCSS)----------247
10-2、公的な計量標準の設定と供給----------254
10-3、民間の計量標準の設定と供給(校正事業者登録制度)----------263
10、雑則----------274
11-1、報告----------274
11-2、立入検査----------278
11-3、計量行政審議会----------287
11-4、地方分権改正----------292
11-5、行政手続と不服申立て----------305
11-6、中央省庁再編(中央省庁等改革)に伴う改正----------313
11-7、その他----------317
計量法の解説
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(31) 筆者 高原隆
からの続き。
機関委任事務を廃止した後の事務の扱いについては、基本的に国と地方が対等の立場で責任を負う「法定受託事務」と、自治体が責任を持って担当する「自治事務」に振り分けられた。
現行地方自治法では、国、都道府県、市町村はあくまでも対等な関係であると定められ、国の地方公共団体に対する関与及び都道府県の市町村に対する関与については、法律又はこれに基づく政令に定めるのある場合でなければ行なうことができない。
「自治事務」への国の関与は、助言・勧告、資料の提出要求、是正措置要求、協議の4類型に限定され、同意、許可・認可・承認、指示、代執行などは関与の方法として認められていない。
一方、「法定受託事務」については、国による代執行、許可・認可・承認などの強い関与が認められ、ほぼ機関委任事務の性格を受け継いでいる。
自治事務に該当する事務(地方自治法2条8項)
自治事務は、法令に定めのない事項について国は地方公共団体に対して関与できないため、従来の数多くの通達等の見直しを行い、省令及び告示として整理することとなった。
また、これらの運用事項等については、都道府県や特定市と協議し、ガイドラインとしてして整備することとなった。
(1) 特定計量器の検定、検査の実施等(検定、定期検査、装置検査、基準器検査、計量証明検査等)
(2) 指定定期検査機関等の指定及び監督権限、事業登録等(適正計量管理事業所、計量証明事業等)
(3) 取締業務(適正計量実施のための勧告、報告徴収、立入検査等)
(4) その他(修理事業者、販売事業者の届出受理等)
法定受託事務に該当する事務(地方自治法2条9項)
法定受託事務については、進達事務や国の指定に係る事前検査事務など、「国が直接執行する事務の前提となる手続きの一部のみを地方公共団体が処理することとされている事務で当該事務のみでは行政目的を達成しないもの」とされている。
(1) 都道府県による国への進達業務(製造事業者の届出、適正計量管理事業所の指定申請)
(2) 都道府県による事前調査(指定製造事業者の事前検査、適正計量管理事業所の事前検査)
(3) その他の進達事務(計量士の登録、指定製造事業者の申請)
地方分権化により追加された条文等
都道府県への政令委任
この法律に規定する経済産業大臣の権限に属する事務の一部は、政令(施行令41条)で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。
<法168条の8>
この条文は、都道府県への権限委任規定として旧法169条1項に規定されていた条文であるが、旧法169条1項を削除し現在の条文に規定し直したものである。
(都道府県が処理する事務)
① 法17条1項、法59条、法62条1項、法64条、法65条及び法67条に規定する経済産業大臣の権限に属する事務は、都道府県知事が行うこととする。
-301-
② 法127条1項、2項及び4項、法131条、法132条並びに法133条において準用する法62条1項及び法65条に規定する経済産業大臣の権限に属する事務であって、国の事業所以外の事業所に関するものは、都道府県知事が行うこととする。
③ ②の規定により都道府県知事が法127条1項、2項及び4項に規定する経済産業大臣の権限に属する事務を行う場合においては、同条2項中「都道府県知事(その所在地が特定市町村の区域にある場合にあっては、特定市町村の長)を経由して、経済産業大臣」とあるのは、「都道府県知事(その所在地が特定市町村の区域にある場合にあっては、特定市町村の長を経由して、都道府県知事)」とする。
④ ①及び②の場合においては、法中当該各項に規定する事務に係る経済産業大臣に関する規定は、都道府県知事に関する規定として都道府県知事に適用があるものとする。
<施行令41条>
①は、特殊容器の使用(法17条1項)、指定製造者の申請(法59条)、変更届出等(法62条1項)、適合命令(法64条)、廃止届出(法65条)及び指定の取消し(法67条)に規定する経済産業大臣の権限に属する事務は、都道府県知事に委任することを規定している。
②は、適正計量管理事業所の指定(法127条1項)、申請及び大臣報告(法127条2項及び4項)、適合命令(法131条)、指定の取消し(法132条)並びに準用規定(法133条)において準用する法62条1項(変更届出等)及び法65条(廃止届出)に規定する経済産業大臣の権限に属する事務であって、国の事業所以外の事業所に関するものは、都道府県知事に委任することを規定している。
③は、②の場合の「大臣」を「知事」に読み替えることを規定している。
④は、①及び②の場合において、法中当該各項に規定する事務に係る経済産業大臣に関する規定は、都道府県知事に読み替えて適用されることを規定している。
法定受託事務
法定受託事務には、「第一号法定受託事務」(地方自治法2条9項1号)と「第二号法定受託事務」(地方自治法2条9項2号)がある。
第一号法定受託事務は、国が本来果たすべき役割に係るものであつて、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして、法律又はこれに基づく政令に特に定めるものである。(地方自治法(別表第1)第1号法定受託事務)
第二号法定受託事務は、都道府県が本来果たすべき役割に係るものであつて、都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして、法律又はこれに基づく政令に特に定めるものである。(地方自治法(別表第2)第2号法定受託事務)
都道府県と特定市町村の事務区分
(事務の区分)
① 施行令30条1項、31条、32条、35条、36条及び37条の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法 (昭和22年法律67号)2条9項1号に規定する第一号法定受託事務とする。
② 施行令41条2項の規定により都道府県知事が法127条1項、2項及び4項に規定する経済産業大臣の権限に属する事務を行うこととされている場合における同条2項から4項までの規定により特定市町村が処理することとされている事務は、地方自治法2条9項2号に規定する第二号法
-302-
定受託事務とする。
<施行令42条>
①は、計量士資格の認定(施行令30条1項)、認定証の再交付(施行令31条)、登録の申請(施行令32条)、登録証の訂正(施行令35条)、登録証の再交付(施行令36条)及び登録証の返納(施行令37条)の規定により都道府県が処理することとされている事務は、第一号法定受託事務であることを規定している。
②は、国の事業所以外の事業所に関する適正計量管理事業所の指定申請の進達(法127条2項)指定検査(法127条3項)及び大臣報告(法127条4項)により特定市町村が処理するとされている事務は、第二号法定受託事務であることを規定している。
事務の区分
① 法40条2項(法42条3項、法45条2項及び法100条において準用する場合を含む。)、法91条2項及び3項並びに法127条2項から4項までの規定により都道府県が処理することとされている事務(同条2項から4項までに規定するものにあっては、政令(施行令44条1項)で定めるものに限る。)は、地方自治法2条9項1号に規定する第一号法定受託事務とする。
② 法127条2項から4項までの規定により特定市町村が処理することとされている事務(政令(施行令44条2項)で定めるものに限る。)は、地方自治法2条9項1号に規定する第一号法定受託事務とする。
<法169条の2>
①は、都道府県が処理する製造事業(電気計器以外)届出の進達(法40条2項)、指定製造事業者の届出の進達(法100条)、指定製造事業者の指定検査(法91条2項)、大臣報告(法91条3項)、適正計量管理事業所の指定申請の進達(法127条2項)及び大臣報告(法127条4項)については、第一号法定受託事務であることを規定している。
②は、適正計量管理事業所(法127条2項~4項)の特定市町村が処理する事務は、第一号法定受託事務であることを規定している。
(政令で定める都道府県又は特定市町村の事務)
① 法169条の2(1項)の政令で定める事務は、施行令43条2項の規定により経済産業局長が法127条1項、2項及び4項の規定による経済産業大臣の権限を行うこととされている場合における同条2項から4項までの規定により都道府県が処理することとされている事務とする。
② 法169条の2(2項)の政令で定める事務は、施行令2項の規定により経済産業局長が法127条1項、2項及び4項の規定による経済産業大臣の権限を行うこととされている場合における同条2項から4項までの規定により特定市町村が処理することとされている事務とする。
<施行令44条>
必置規制の廃止
必置規制の廃止の具体的措置は、一定の計量に関する事務に従事する職員の計量教習所における受講を義務付ける資格規制(旧法166条3項による政令で定める)について、廃止された。
(計量教習所の教習を受講しなければならない職員の範囲)
法166条3項の政令で定める職員の範囲は、都道府県及び特定市町村の職員であって、法16条1項2号イの検定、同条3項の装置検査、定期検査、法91条2項の検査又は法116条1項の計量証明
-303-
検査の事務に従事する者とする。
<旧施行令32条削除>
計量教習所の教習を受講しなければならない職員の範囲は、検定(法16条1項2号イ)、装置検査(法16条3項)、定期検査(法19条1項)、指定製造事業者の指定検査(法91条2項)、計量証明検査(法116条1項)とされていたが、法166条3項削除により廃止された。従って、検定、装置検査、定期検査、計量証明検査の事務に従事する職員については、計量教習所の教習を受講しなければならないとされていたが、以後は誰でもがこれらの業務に従事できることとなった。
指定製造事業者の検査員の資格基準
指定製造事業者の検査員の資格基準については、以前の都道府県あての通達(6機計24号)により、「一般計量教習、一般計量特別教習及び特定教習(指定製造事業者審査教習)を受講した者又は計量行政室長が指定した者」などとなっていた。
地方分権改正以後については、「指定製造事業者制度関係事務処理要領」(平成13年5月31日付け、平成13.05.23産局4号)の「第1、3、(1)」(第3、2、(1))により「経済産業大臣、都道府県知事又は日本電気計器検定所は、別に定める資格基準に該当する2名以上の検査員よって申請者又は外国申請者の検査を行うもの」とされている。
この「別に定める資格基準」については、「指定製造事業者の指定に関する検査及び経済産業大臣が行う立入検査並びに指定外国製造事業者の指定に関する検査にあたる職員(検査員)の資格基準について」(平成13年5月31日付け、平成13.05.23産局4号)により、①特定教習(指定製造事業者審査教習)を受講した者、②計量行政室長又は都道府県知事が①と同等以上の能力があると認めた者、のいずれかに該当するものとされている。
手数料
計量法における手数料の規定は、地方公共団体の収入となるものを削除し、大臣、通商産業局長、日電検へ申請するものに限定して規定することとなった。従って、地方公共団体が徴収する手数料については、各地方公共団体が、条例を制定して徴収することとなった。
都道府県の収入となるものは、知事が行う検定(法16条1項2号イ)、装置検査(法16条3項)、特殊容器の指定製造者の指定(法17条1項)、定期検査(法19条1項)、指定製造事業者の指定に係る検査(法91条2項)、知事が行う基準器検査(法102条1項)、計量証明事業の登録(法107条)、計量証明事業の登録証の訂正又は再交付(法115条)及び登録簿の閲覧又は謄本交付(法115条)、計量証明検査(法116条1項)、適正計量管理事業所の指定(法127条1項)、適正計量管理事業所の指定に係る検査(法127条3項)である。
特定市町村の収入となるものは、定期検査(法19条1項)、適正計量管理事業所の指定に係る検査(法127条3項)である。
特例市への委任事務(権限委譲)
特例市制度は、政令指定都市や中核市と同じく都市の規模に応じて、市に都道府県の事務権限の一部を移譲する制度であり、関係市からの申出に基づき、市議会及び都道府県議会の議決を経て政令で指定され、中核市に準じた事務の範囲が移譲されている。
特例市に委譲される権限は、法令上は「中核市が処理することができる事務のうち「都道府県が一体
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的に処理すべき」とされた事務以外のものを処理する」と定義され、環境保全や都市計画などの行政分野で中核市に近い権限を持つことになる。(※特例市に指定されると、移譲を受けた事務権限を行使するために必要な財源として、地方交付税が増額される。)
計量法においては、法10条2項の政令(施行令4条)で定める特定市町村について、施行令(別表)を改正し、「地方自治法252条の19(1項)の指定都市」(施行令別表1(1号))、「地方自治法252条の22(1項)の中核市」(施行令別表1(2号))、「地方自治法252条の26の3(1項)の特例市」(施行令別表1(3号))を規定した。
特例市に委譲される自治事務
特定市町村に委譲される自治事務は、正確計量における勧告(法10条2項、3項、法15条)、定期検査(法19条1項)、指定定期検査機関の指定、業務規程等(法20条1項、30条1項、3項、32条~35条、37条、38条、39条1項)、定期検査に代わる計量士による検査(法25条1項)、適正計量管理事業所の指定に係る検査(法127条3項)、報告徴収(法147条1項、3項)、立入検査(148条1項、3項)、計量器等の提出命令(149条1項、2項)、特定物象量の表記の抹消(法150条)、検定証印等の除去(153条1項、3項)、立入検査によらない検定証印等の除去(法154条1項、3項)、公示(法159条2項1号~4号)である。
特例市に委譲される法定受託事務
特例市に委譲される法定受託事務は、適正計量管理事務所の進達事務等(法127条2項、4項)である。
審査請求
不服申し立てについては、機関委任事務では地方公共団体が行なった処分及び不作為について国に対して審査請求を行なうことができたが、自治事務では個別法に特別の定めがある場合を除き国の行政機関へ審査請求することはできない。従って、自治事務となったものについては、上級行政庁がなくなるため、大臣への審査請求規定が削除された。
この法律又はこの法律に基づく命令の規定による市町村の長の処分又は不作為についての審査請求は、通商産業大臣に対してするものとする。
<旧法163条1項削除>
なお、旧法163条2項では、指定定期検査機関と指定計量証明検査機関についても大臣への審査請求が認められていたが、併せて削除された。
11-5行政手続と不服申立て
11-5-1行政手続と救済制度
行政手続は、行政機関が国民の権利や利害にかかる決定や措置を行なう場合の手続であるが、適正な手続に従って公正になされることが要請される。
この行政手続きの公正を担保するための制度については、事前の救済制度としての行政手続法、事後の救済制度としての行政不服審査法及び行政事件訴訟法がある。
行政手続法は、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図ることを目的とし、行政上の手続についての一般法として、1993年(平成5年、法律88号)に制定されたものである。
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行政不服審査法は、事後における救済制度としての行政不服申立てについての一般法として、1962年(昭和37年、法律160号)に制定されたものである。
行政手続法
行政手続法は、「処分」、「行政指導」及び「届出」に関する手続並びに命令等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るものである。
行政手続法の規制対象は、「申請に対する処分」「不利益処分」、「行政指導」、「届出」、「意見公募手続等(パブリックコメント)」などであるが、他の法令に定めるものや地方公共団体の自治事務などは対象外とされている。
「申請に対する処分」に関しては、「審査基準の設定と公表」や「標準処理期間の公表」や「理由の提示」などが義務として規定され、「標準処理期間の設定」や「情報の提供」や「公聴会の開催」などが努力義務となっている。
なお、「申請」とは、「法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分(「許認可等」という。)を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう」(行政手続法2条3項)とされている。
許認可とは
一般的には、国民には職業選択の自由が保障されているため(憲法22条1項)、本来的にはいかなる事業を行うことも自由とされている。しかし、実際には、種々の公益上の理由から、多くの事業において、いわゆる「許認可手続」が法令により義務付けられている。「許認可手続」は、監督官庁に対して一定の手続を経ることが要求されるものであり、その法的効果の違いにより「許可」、「認可」、「特許」、「届出」などに分類されている。
「許可」とは、公共の安全や秩序の維持などの公益上の理由から法令により一般的に禁止されている行為について、特定の場合にその禁止を解いて当該行為を適法に行えるようにするものである。「認可」との違いは、申請を受けた行政官庁に裁量(行政官庁のもつ自由な判断の余地)が認められていることである。例えば、仮に申請自体に不備がなかったとしても、申請が拒否(不許可)となる場合がある。
「認可」とは、「第三者の法律上の行為の効力を補充して、その法律上の効果を完成させる行為」をいう。従って、認可を受けなかった法律行為は、その要件を充たしていないため、法律上の効力を生じない。「認可」と「許可」の違いは、適法な申請がなされ、かつ、当該申請内容が要件を充たしたものである限り、必ず当該申請が認容される(認可がなされる)という点である。
なお、「届出」とは、ある者が法令等で義務付けられた特定の行為を行うにあたって、あらかじめ行政官庁に対して一定の事項を通知する行為である。「許可」や「認可」との違いは、それが行政官庁に到達することをもって足り、行政官庁側の諾否の判断を経る必要がないという点である。
行政不服申立て(行政不服審査法)
「不服申立て」とは、行政庁の処分等に不服のある者が、行政機関に対してその違法(不当)を審査させ、もって違法(不当)な行為の是正排除を請求する手続きである。
「不服申立て」の対象となるのは、行政庁による処分(その他公権力の行使にあたる行為も含む)であるが、「処分」の具体的な内容が法によって規定されているわけではなく、解釈によって定まる。(※一般的には、「処分」の概念は行政行為とほぼ一致すると言われている。)
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「行政不服申立て」とは、国民が行政機関に対して紛争の解決を求める法的な争訟手続であるが、行政不服申立ては裁判ではなく、行政機関を相手として事後的救済を求める争訟を提起するものである。
なお、行政機関によるものでなく司法上の救済(行政訴訟)については、行政事件訴訟法がその一般法として制定されている。
不服申立ての種類
「行政不服申立て」の種類は、「審査請求(処分庁又は不作為庁以外の行政庁に対してするもの)」、「異議申立て(処分庁又は不作為庁に対してするもの)」、「再審査請求(審査請求の裁決を経た後さらに行なうもの)」の三つがある。
「行政庁の処分に対する不服申立て」は、原則として審査請求によって行われるという「審査請求中心主義」が採用されている。しかし、処分に対する不服申立てであっても上級行政庁がない場合や法律によって異議申立てをすべきと規定されている場合には、審査請求はできない。後者のように異議申立てが可能である場合には、まず「異議申立て」をし、それでも紛争が解決しない場合にのみ審査請求が可能であるという構成が採られている。(※これを「異議申立前置主義」という。)
なお、法定受託事務については、都道府県の執行機関が行った処分に対しては所管の大臣に、市町村長(補助機関なども含む)は都道府県知事に、市町村教育委員会の行った処分については都道府県教育委員会に、市町村選挙管理委員会の行った処分については都道府県選挙管理委員会に審査請求ができる。(地方自治法255条の2)
行政訴訟
行政訴訟とは、行政事件に関する訴訟のことであり、公権力行使の適法性などを争い、その取り消しや変更等を求めるものである。
行政訴訟には、行政裁判所が裁判するもの(行政訴訟)と、司法裁判所が裁判するもの(行政事件訴訟)があり、現在の日本国憲法下ではすべて司法裁判所によって裁判されている。
行政事件訴訟法は、行政事件訴訟についての一般法として、1962年(昭和37年、法律139号)に制定され、違法な行政作用により侵害された権利利益の救済を求める訴訟手続を定め、訴訟類型として抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟、機関訴訟の4つを法定している。
なお、行政事件訴訟では、裁判所による正式な訴訟手続に基づいて行われる行政事件の裁判について、訴訟要件(処分性、原告適格など広義の法律上の利益、被告適格等)は制限的に解釈運用されており、行政事件訴訟法に定めがない事項については民事訴訟法の例によるとされ、その多くについて民事訴訟法が準用されている。
11-5-2行政手続と計量法上の措置
標準処理期間
標準処理期間は、行政手続法における「申請に対する処分」として、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間(標準処理期間)であり、行政庁は標準処理期間を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは公にしておかなければならないとされている。(※標準処理期間には、不適法な申請を補正する期間は含まれないとされている。)
平成5年改正以前の旧計量法においては、検定主体の不作為や怠慢による不利益を防止するため、「検定をすべき期限」として、検定申請日から20日以内に合否の処分をすべきことが定められていた。
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なお、旧計量法では、検定作業の繁雑な計量器や型式承認対象機種で型式承認に属さないものなど、20日以内に検定の合否の処分を行なうことが不可能と判断される計量器については、当該規定の特例が定められていた。
現在の計量法では、検定以外のものについても標準処理期間が定められ、定められた期間以内に処分等をしなければならないことが規定されている。
検定等をすべき期限
① 経済産業大臣、都道府県知事、日本電気計器検定所又は指定検定機関は、検定、変成器付電気計器検査、装置検査若しくは基準器検査又は法76条1項、法81条1項若しくは法89条1項の承認の申請があったときは、経済産業省令(検則71条)で定める期間以内に合格若しくは不合格の処分又は承認若しくは不承認の処分をしなければならない。
② 指定検定機関は、法78条1項(法81条2項及び法89条3項において準用する場合を含む。)の試験を行うことを求められたときは、経済産業省令(検則71条3項)で定める期間以内に合格又は不合格の判定をしなければならない。
<法160条>
①は、検定、変成器付電気計器検査、装置検査若しくは基準器検査又は型式承認(法76条1項)、輸入事業者に係る型式承認法(法81条1項)若しくは外国製造事業者に係る型式承認(法89条1項)の承認の申請があったときは、大臣、知事、日電検又は指定検定機関は省令(検則71条)で定める期間以内に、合格若しくは不合格の処分又は承認若しくは不承認の処分をしなければならないことを規定している。
②は、型式承認の試験(法78条1項(法81条2項(輸入事業者)及び法89条3項(外国製造事業者)において準用する場合を含む。)の試験を行うことを求められたときは、経済産業省令(検則71条3項)で定める期間以内に、合格又は不合格の判定をしなければならないことを規定している。
(検定等及び型式の承認をすべき期限)
① 法160条1項の経済産業省令で定める期間は、次に掲げるとおりとする。
1) 検定(タクシーメーターにあっては、検則3条8項に規定する証票の付されたものにあっては、装置検査の申請後その証票に付された期日までの期間)
イ 型式承認表示の付された特定計量器(施行令12条に掲げる特定計量器であって型式承認表示が付されてから検則18条に規定する期間を経過したものにあっては、修理済表示が付され、かつ、当該表示が付されてから検則18条に規定する期間を経過していないものに限る。)
20日
ロ 変成器付電気計器検査の申請をしているものであって、型式承認表示の付された電気計器(型式承認表示が付されてから検則18条に規定する期間を経過したものにあっては、修理済表示が付され、かつ、当該表示が付されてから検則18条に規定する期間を経過していないものに限る。)
(1) 当該電気計器の変成器の検査を検定所において実施するもの 30日
(2) 当該電気計器の変成器の検査を変成器の所在の場所において実施するもの 50日
(3) 法73条2項ただし書の書面が提出されたもの 20日
ハ イ又はロに掲げるもの以外のもの
(1) 機械式はかり(ばね式指示はかりを除く。)、分銅、おもり、ガラス製温度計、皮革面積
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計、量器用尺付タンク、密度浮ひょう、酒精度浮ひょう及び浮ひょう型比重計 20日
(2) ボンベ型熱量計及び流水型熱量計 15日
(3) 前二号に掲げるもの以外のもの 80日
2) 変成器付電気計器検査
イ 型式承認表示の付された電気計器(型式承認表示が付されてから検則18条に規定する期間を経過したものにあっては、修理済表示が付され、かつ、当該表示が付されてから検則18条に規定する期間を経過していないものに限る。)及びこれとともに使用する変成器
(1) 変成器の検査を検定所において実施するもの 30日
(2) 変成器の検査を変成器の所在の場所において実施するもの 50日
(3) 法73条2項ただし書の書面が提出されたもの 20日
ロ イに掲げるもの以外のもの 90日
3) 装置検査 20日(検則3条8項に規定する証票の付されたものにあっては、装置検査の申請後その証票に付された期日までの期間)
4) 型式の承認 90日
② ①1)ハ(3)、2)ロ及び4)の規定にかかわらず、申請に係る特定計量器又は電気計器及び変成器が同種のものに比して特に複雑な構造又は特殊な材質を有すること、新技術の導入がなされていることその他の理由により試験期間の延長を特に要するものと認められるときは、申請者にその旨を通知して、6月を超えない期間とすることができる。
③ ①4)及び②の期間は、法160条2項の経済産業省令で定める期間に準用する。
<検則71条>
理由の提示等
行政手続法では、行政庁は申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合、申請者に対して処分と同時に当該処分の理由を示さなければならならず、拒否処分を書面でするときは書面によりその理由を示さなければならないこととされている。(行政手続法8条)
また、不利益処分による手続については、行政庁は名あて人に対して、当該不利益処分の理由を示さなければならないとされている。(行政手続法14条)
計量法では、検定、型式承認、定期検査、計量証明検査などにおいて不合格処分等を行なう場合、その理由を通知することが規定されている。
不合格の判定の理由の通知
指定検定機関は、法160条2項に規定する場合において、不合格の判定をしたときは、その試験を行うことを求めた者に対し、その理由を通知しなければならない。
<法161条>
この条文は、以前は法161条1項で大臣、知事、日電検、指定検定機関の不合格又は不承認処分について、法161条2項で知事、特定市町村、指定定期検査(計量証明検査)機関の不合格処分の際の理由の通知を規定していたが、現在は指定検定機関以外の部分が削除された。
(不合格等の理由の通知)
① 法160条1項に規定する場合において、不合格又は不承認の処分をしたときの通知は、行政手続法(平成5年法律88号)8条1項の規定により、検定等にあっては様式22、型式の承認にあっ
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ては様式23により行う。
② 都道府県知事、特定市町村の長、指定定期検査機関又は指定計量証明検査機関は、定期検査又は計量証明検査を行った場合において、不合格の処分をしたときの通知は、行政手続法8条1項の規定により、様式24により行う。この場合において、定期検査についての同条の適用にあっては、都道府県知事、特定市町村の長又は指定定期検査機関への検査を受ける特定計量器の提出をもって同条の「申請」とみなす。
<検則73条>
①は、法160条1項に規定する場合において、不合格又は不承認の処分をしたときの通知は、行政手続法8条1項(理由の提示)の規定により、検定等にあっては様式22、型式の承認にあっては様式23により行うことを規定している。
②は、定期検査又は計量証明検査を行った場合において、不合格の処分をしたときの通知は、行政手続法8条1項(理由の提示)の規定により、様式24により行うことを規定している。後段は、定期検査の場合、検査を受ける特定計量器の提出をもって行政手続法8条の「申請」とみなすことを規定している。
検定済証等の交付
計量法では、検定に合格した場合について、特に検定済証等を交付すべきものを規定している。
(検定済証等の交付)
① 騒音計、振動レベル計、ジルコニア式酸素濃度計等及びガラス電極式水素イオン濃度指示計が検定に合格したときは、次に掲げる様式による検定済証を交付するものとする。
1) 騒音計 様式18
2) 振動レベル計 様式19
3) ジルコニア式酸素濃度計等及びガラス電極式水素イオン濃度指示計 様式20
② タクシーメーターが装置検査に合格したときは、様式21による装置検査済証を交付するものとする。
<検則72条>
①は、いわゆる環境計量器について、検定済証を交付することを規定している。
②は、タクシーメーター装置検査について、装置検査済証を交付することを規定している。
聴聞
聴聞とは、行政機関がある行為等(決定等)をする場合に、それが必要かどうか、妥当かどうかの判断をするにあたり、相手方その他の関係人又は学識経験者等の意見を聞くための手続であり、行政民主化の趣旨から取り入れられてきた制度である。
聴聞制度は、国民の利害に重大な関係のある行為を行政機関が行なう場合、聴聞手続を経ることにより、その行為が恣意的なものとなることを防止し、公正、適切に行なわれることを担保するものである。
行政手続法では、相手方に対する打撃の大きな不利益処分について聴聞を義務づけ、それ以外のものについては弁明の機会を付与するものとしている(13条)。
計量法においては、「不利益処分をしようとする場合の手続」(行政手続法13条)の聴聞規定によらない特例として、不利益処分を行なう場合の手続が規定されている。
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計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(目次) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(14) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(15) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(17) 筆者 高原隆
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計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(35) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(36) 筆者 高原隆
計量制度の概要(METI/経済産業省)
計量法における単位規制の概要
非法定計量単位による目盛等を付した計量器の販売の届出について
非法定計量単位による目盛等を付した計量器の販売の承認について
計量法における計量器の規制の概要
特定計量器に関する規制の概要
家庭用特定計量器(体重計・調理用はかり)に関する規制の概要
計量士(国家試験・資格認定・登録)
適正計量管理事業所制度
計量法における商品量目制度の概要(特定商品(食品など)の量目公差・内容量表記など)
特殊容器(丸正びん)制度
計量証明の事業
計量標準
法定計量における国際整合化の推進(国際法定計量機関)
普及啓発(計量記念日)
2026-03-28-no32-structure-and-function-and-purpose-of-the-measurement-law-
計量計測トレーサビリティのデータベース(サブタイトル 日本の計量計測とトレーサビリティ)
2019-02-05-database-of-measurement-measurement-traceability-measurement-news-
計量計測トレーサビリティのデータベース(計量計測トレーサビリティ辞書)
2019-02-07-1-database-of-measurement-measurement-traceability-measurement-news-
計量計測トレーサビリティのデータベース(計量計測トレーサビリティ辞書)-2-
2019-02-07-2-database-of-measurement-measurement-traceability-measurement-news-
計量計測トレーサビリティのデータベース(計量計測トレーサビリティ辞書)-3-
2019-02-07-3-database-of-measurement-measurement-traceability-measurement-news-