私と上高地-その6-上高地賛歌 八ヶ岳登山で山の自然に魅了される
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私と上高地-6-上高地賛歌 八ヶ岳登山で山の自然に魅了される
上高地と穂高連峰。6月下旬は緑が眩しい。
私と上高地-6-上高地賛歌 八ヶ岳登山で山の自然に魅了される
穂高連峰に雲が湧く。そして流れていく。山の天気だ。
私と上高地-6-八ヶ岳登山で山の自然に魅了される
八ヶ岳。硫黄岳からの横岳方面のながめ。
私と上高地-その6-上高地賛歌 八ヶ岳登山で山の自然に魅了される 甲斐鐵太郎
八ヶ岳。横岳の稜線に夏雲が湧く。
私と上高地-6-八ヶ岳登山で山の自然に魅了される
私と上高地-6-八ヶ岳登山で山の自然に魅了される
八ヶ岳。硫黄岳のお月さまのような山頂のようす。
私と上高地-6-八ヶ岳登山で山の自然に魅了される
八ヶ岳。岩稜の背後は青い空だ。雲が流れる。
私と上高地-6-八ヶ岳登山で山の自然に魅了される
八ヶ岳。オーレン小屋から硫黄岳に向かう。
私と上高地-6-八ヶ岳登山で山の自然に魅了される
八ヶ岳。稜線にでると山小屋があった。
私と上高地-6-八ヶ岳登山で山の自然に魅了される
オーレン草に名を取ったオーレン小屋に宿泊する。
私と上高地-6-八ヶ岳登山で山の自然に魅了される
八ヶ岳。登山路にナデシコの花が咲いていた。
(タイトル)
私と上高地-その6-上高地賛歌 八ヶ岳登山で山の自然に魅了される 甲斐鐵太郎
(本文)
ある大学の通う同級生が声を掛けてきた。八ヶ岳に登らないか、と。同級生は授業にでずに山に登っていた。1970年が過ぎた年であった。声を掛けてきたのは恋に破れて腑抜けになった男であった。しかし男はみかけによらず山では逞(たくま)しかった。私は用具一式を揃えてもらっての八ヶ岳に案内された。
八ヶ岳登山は山の自然を魅了させるのに充分であった。三年ほどして同じ大学の別の学部を卒業するときに私は山のとりこなっていた。卒業してもしなくてもよい気楽さでいたものだから卒業式がある日には谷川岳の斜面に掘った雪洞にもぐっていた。二度目の卒業だし晴れがましくもない。二年学年が下の者とはしゃぐ気にもならない。ひっそりと雪山に潜っていたのである。70人いた卒業年次の者の半分が必修科目に指定された教科で不合格になって卒業が一年先送りになっていた。このことはあとで知った。誰が卒業して誰が留年したのかをずっと知らない。
私を八ヶ岳登山に誘ったのは目立たない男であった。この男が惚れた女は別の男に恋していた。その恋心は壮絶であった。恋した相手は研究会を指導する大学院を終えた博士浪人である。女は人前で恋の嗚咽をもらした。私はワインを飲むと眠ってしまったから夜の議論は知らない。私にとっての八ヶ岳の英雄は恋する女が別の男が好きだといって泣いているのをみて驚いたことだろう。私はそのような男と女の事情を知らなかった。それはずっと知らなかったのである。
山を登る男は逞(たくま)しい。博士に恋をする女が山に登るときのな男をみていればあるいあは事態は変わった。あの女がだめならこの女だというように八ヶ岳の男は別の女に夢中になった。ところがその女は別の男に関心があった。八ヶ岳の男はまたしても置いてけぼりとなった。緑濃い八ヶ岳山麓と木立が消えて赤い岩肌になる赤岳をつうじて私は日本の山の自然に魅了された。
何年もしてあることに気付いた。山登りでも何でも物事に夢中でいると格好がいいということだ。多くの女はそのような男に惚れる。谷川岳の雪洞に一緒にもぐり込んだゴローの二重靴を履いた男は山に賭けていた。登山クラブに集まった女の何人かがこの男に恋した。一番激しく思いを寄せた女と男は一緒になった。
男の妻は表銀座登山コースで槍ヶ岳に登るのが宿願であった。男が70歳になる前の年に登山クラブの仲間に助けられて夢をかなえた。槍ヶ岳から上高地におりると緑に全身がつつまれるようだった。1年ほどして二重靴の男に重い病がみつかった。
2018-09-25-kamikochi-hymn-part-6-kamikokoku-anthem-end-climbing-yatsugatake-writing-tetutaro-kai-
(写真と文は甲斐鐵太郎)
私と上高地-その6-上高地賛歌 八ヶ岳登山で山の自然に魅了される 甲斐鐵太郎
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