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山みちで老いたキツネにであう

山みちで老いたキツネにであう「こぎつねコンコン山の中」

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山みちで老いたキツネにであう 旅行家 甲斐鐵太郎

山みちで老いたキツネにであう 旅行家 甲斐鐵太郎


川上村から信州峠を越えて瑞牆山(みずがきやま)の麓を過ぎて
木賊峠に回った。そこから先は深い谷を見下ろす尾根道である。


この日は夏至を数日過ぎていた。夕方が一番長い。
日没は19:01。5年ぶりにこの道に分け入った。


深い谷を見下ろす尾根道である。山梨県の旧牧丘村にでる
経路を選ぶと対向車は1台もなかった。


ゆっくり進んできたキツネは車を横切って斜面を駈け上がった。
(写真か説明文をクリックすると文章と写真をみることができます)


ボロ切れをまとったような古ギツネの右目は白く濁っていた。白内障にみえた。


首筋には血がついていた。この赤い色は何なのだろう。


 キツネが車のまえで立ち止まっていた。自分はまっすぐに進みたいのだ。車を停めた。キツネがいることに気づいていた。2分が経過した。キツネは考えている。エンジンの大きな音がでている。キツネは進んできた。

 古ぼけたキツネだ。換毛期であるとしても野生動物の颯爽(そうかい)さがない。ゆっくり進んできて車を横切って斜面を駈け上がった。ふりかえって緑の濃くなった林に消えた。それだけのことだ。

 夏至を数日過ぎていた。夕方が一番長い。日没は19:01。5年ぶりにこの道に分け入った。川上村から信州峠を越えて瑞牆山(みずがきやま)の麓を過ぎて木賊峠に回った。深い谷を見下ろす尾根道である。山梨県の旧牧丘村にでる経路を選ぶ。対向車はなかった。

 道にキツネはいた。ボロ切れをまとった古ギツネの右目は白く濁っていた。白内障にみえた。首筋には血がついていた。この赤い色は何なのだろう。

 何時かの夏の終わりには車山高原の夜道で二匹の子を連れたキツネにであった。この冬には霧ヶ峰高原の強清水を疾駆するキツネをみた。ボロギツネはのろりとうごく。野生のキツネは5年ほどの寿命とされ、1歳まで育つのは1割に満たない。春には郊外の住宅地にある畑を横切るキツネをみた。残飯をあさっているキツネは10年は生きるのではないか。美しい姿態であった。キツネの尾は太くて長い。疾走するキツネは半分が尾でできている。キツネの尾は大きい。被毛が豊であるからだ。キツネは小動物やミミズ、昆虫、果実を餌にする。

 寂しい山道では年老いたキツネに心が和む。犬科の動物のなせる業か。青森県の龍飛崎の真夏に津軽海峡から湧く濃い霧の向こうにいたキツネはキタキツネのように人を恐れなかった。北海道にいるキタキツネに対して本州にいるキツネはホンドギツネという。四国にも九州にもいる。キタキツネもホンドギツネもアカギツネであり、アカギツネは世界に広く分布する。

 キツネはお稲荷さんである。食べ物の稲荷寿司もお稲荷さんであり、伏見稲荷もお稲荷さんだ。街角にもお稲荷さんがある。キツネはお稲荷さんという神様として祭られる。日本狼(ニホンオオカミ)は途絶えたが、狼はオオカミであり大神とも書かれた。オオカミもまた神様だ。これが日本であり、多神教と思われる。山も石も神になる。それ以上に動物が神になる。アイヌの神は熊である。動物を神にするアニミズムだ。

 キツネがコンコン山の中。そこにウサギが飛んできてコロリ転げた木の根っこ。

という言葉が浮かんできたと思ったら、北原白秋作詞の「待ちぼうけ」であった。作曲山田耕筰作曲の童謡である。それと文部省唱歌「こぎつね」の混ぜ合わせだ。「こぎつね」は古いドイツ民謡「きつねがガチョウを盗んだ」が元歌である。考えはさまざまな言葉が寄せ集まってできあがる。

「待ちぼうけ」の歌詞は
1.
待ちぼうけ 待ちぼうけ
ある日せっせと 野良かせぎ
そこにウサギが とんで出て
ころりころげた  木のねっこ
2.
待ちぼうけ 待ちぼうけ
しめた これから寝て待とうか
待てば獲物が 驅(か)けてくる
ウサギぶつかれ 木のねっこ
3.
待ちぼうけ 待ちぼうけ
昨日鍬取り(くわとり) 畑仕事
今日は頬づゑ(ほおづえ) 日向(ひなた)ぼこ
うまい切り株 木のねっこ
4.
待ちぼうけ 待ちぼうけ
今日は今日はで待ちぼうけ
明日は明日はで森のそと
ウサギ待ち待ち 木のねっこ
5.
待ちぼうけ 待ちぼうけ
もとは涼しいきび畑
いまは荒野(あれの)の ほうき草
寒い北風 木のねっこ

「こぎつね」(作詞勝承夫 ドイツ民謡、文部省唱歌)の歌詞は
1.
こぎつね コンコン 山の中 山の中
草の実 つぶして お化粧したり
もみじの かんざし つげのくし
2.
こぎつね コンコン 冬の山 冬の山
枯葉の着物じゃ ぬうにもぬえず
きれいな もようの 花もなし
3.
こぎつね コンコン 穴の中 穴の中
大きな尻尾は じゃまにはなるし
小首を かしげて かんがえる

写真と文章は旅行家 甲斐鐵太郎。

山みちで老いたキツネにであう 旅行家 甲斐鐵太郎

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essay and journey(essay of journey) by kai tetutaro

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