上高地 秋の紅葉と梓川の流れ 甲斐鐵太郎
上高地 秋の紅葉と梓川の流れ 甲斐鐵太郎
冷涼な空気のなかを梓川が流れる上高地。バスターミナルのすぐそばから圧巻の景色が広がる上高地。カラマツの葉が落ちる。ハラハラと。林が明るくなる晩秋の上高地。帝国ホテルがもう少しで今シーズンの営業を終える。
釜トンネルをくぐって上高地に行く人々を何度も見ている。上高地の宿の冬の番人をした人は神秘を見ている。この人は絵を描くようになった。登山家の芳野満彦である。
芳野満彦は第一日暮里小学校卒業、旧制の早稲田中学校入学。1948年(昭和23年)、早稲田中学2年の17歳のとき八ヶ岳の主峰赤岳で遭難して両足指をすべて欠くが、不屈の精神で登山を続けた。1957年(昭和32年)3月の前穂高岳IV峰正面壁積雪期初登攀など多くの初登攀を記録。1963年(昭和38年)、大倉大八とともにアイガー北壁に日本人として初挑戦。1965年(昭和40年)、渡部恒明とともにマッターホルン北壁の日本人初登攀を達成し、アルプスの岩峰への先鞭をつけた。新田次郎の小説『栄光の岩壁』の主人公のモデルである。画家としても活躍。
2024-10-24--kami-kouti-in-autumn-
|