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黒柴物語(6)−黒柴のミッキーとミニーの成長記録とその暮らし−



横田俊英(2005/03/29)

(今回のテーマ)
しめしめミッキーがハウスを覚えた

「しめしめミッキーはハウスを覚えた」



 黒柴・メスのミッキーは生後6カ月近くになった。犬に噛まれ、人に足を踏まれた後に警戒心を強めていたミッキーだが、それから3週間もするとそのことをすっかり忘れたかのように本来の明るい性質を取り戻した。生後2カ月半になる黒柴・メスのミニーと庭で活発に遊技をするし、紀州犬のいるケージに寄っていっては挨拶もする。

 「志孝」と名付けられた紀州犬・オスの成犬のケージの餌入れ窓からいつものように顔を入れたミッキーは、丁度食事中の志孝のワンと脅かされて、キャンと泣き声をあげた。顔から血など出ていなかったから噛む真似をされたのだろうが、驚いたのは飼い主の私の方である。これまで大丈夫だからといってこの先大丈夫がとう保証はない。

 ミッキーはそんなことにもめげずに明るい性格そのもので、庭を活発に走り回り、ミニーの相手をして弁慶と牛若丸の五条の橋の上の武闘と同じようなたちまわりをしている。ひとしきり遊んだ後、ミッキーにおいでというと私の後について歩いてくるので、そのままミッキーの犬舎の前まで行って「ハウス」と言うと犬舎にピョコンと入る。「しめしめミッキーはハウスを覚えた」と私は嬉しくなるのである。

ミニーは柴犬サクラにお腹を噛まれ警戒心をさらに強めた



 ミッキーに比べるとミニーは人への警戒心が強い。私がしゃがんでミニーを呼び寄せると手の触れるところまでは来るものの手を差し出すと逃げてしまう。黒柴・メスのミニーは生後2カ月半になるのだが、つい先日はこの家に遊びに来ていた柴犬・赤毛のメスのサクラにお腹を噛まれて悲鳴をあげた。それまで友好的だったので大丈夫と思ってサクラを庭に放して遊ばせたときのことである。同じように庭に放されていたミッキーがサクラは何でもないのだ。サクラはミニーのお腹にいきなり噛みついた。私は慌ててサクラをミニーから引き離しただが、ミニーにとっては大事件であり、ケガはなかったもののそれ以降ミニーの人への警戒心がさらに強くなり、ミニーがはじめてこの家に来たときのように人が近づくと犬小屋の床下に隠れるのである。犬に噛まれて以降の警戒心の強まりはミニーもミッキーとと同じであるが、ミニーの方が人への警戒心をより一層強めている。

ミニーはクルクル回ったかと思うと腰を落としてコロンと糞をする



 ミニーは小さくて可愛いので、この家の大学4年になる娘が家に入れてミニーと遊んでやる。庭に放してオシッコをさせた後で家に入れて遊んでやる。遊んでいるうちミニーはクルクル回ったかと思うと腰を落としてコロンと糞をする。娘は慌ててその糞をビニール袋で始末し、防臭と殺菌のために「ファブリーズ」をシュッシュッと床に吹きかける。子犬がこのような仕草をしたらケージから出してやると、ケージの外で排泄をすることを覚える。

 愛らしさと言うことではミニーはミッキーより上である。それはミニーがミッキーよりも小さいということにも由来するのだろう。同時にミニーは黒柴・メスの子犬としての出来がいい。黒毛の配色が素晴らしい。警戒心が強いのは、繁殖者の所であまり手を掛けられずに育ったためだろうか。同じ繁殖者の所にいたミッキーは警戒心はあまりなく扱いやすい子犬なのに。

リーダーへの服従という性質が人への忠誠のように見える



 そのミニーも部屋の中に入れると逃げ場がないのを知ってか、人に寄ってくる。コタツに体を入れて抱かれていると気持ちよさそうにウトウトして、娘とともに寝てしまう。人の手に触れられるのが絶対的に嫌なのではなさそうだ。

 犬と人との良い関係を築くために、人は犬を脅かさないことである。人は犬に危害を加えない、そして人は犬の主人であるということを教えてやるのだ。犬が主人を信頼し敬服するようになれば良いのだが、犬にそのような心情があるのかないのかは知らない。しかし、犬はオオカミから発生したものと考えられており、事実オオカミと同じ行動様式を多く持っている。群れのリーダーへの服従という性質が、人への忠誠のようにも信頼とも敬服とも見えるのだという。この方面のことは動物行動学に学ばねばならないが私は端切れのことしか知らない。

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