空気の重さ・密度と航空機の揚力 渡辺英夫
写真は渡辺英夫氏
写真は熱した電車の屋根を水で冷やすさま。
(本文とは関係ありません)
梅雨明け宣言前にも関わらず暑い日が続いた中、某新聞に「温暖化…航空機ダイエット?」という記事が載りました。「空気薄く揚力足りず」「燃料や人数に制限も」という見出しも目を引きました。いよいよ温暖化が経済活動に影を落としたか?
その一週間前、たまたま軽井沢に用があり行った際、暑いにも関わらす風が心地よく流石、高地と感じてきたところでした。その日の軽井沢の午後の気温は31.6℃、湿度44%、気圧907・3hPa。
東京駅新幹線ホームでは昼時、28.7℃、湿度65%、気圧1009hPaでした。測定に使用した計器の不確かさは、さておき空気の密度や如何に…。
計算してみると軽井沢では1.03mg/cm3、東京駅では1.15mg/cm3と、11%ほどの密度の変化を体感したことになりました。爽やかに感じたのは多分に湿度のせいでしょうが、計算過程で温暖化で気温が上昇し飽和水蒸気量も増えると益々、空気の密度が薄くなり某記事の危惧も納得した次第です。
ご参考までに空気の重さ、密度は神奈川県計量協会ホームページの計量まめ知識のコーナーで計算できます。
ちなみに、時折り気球の大会が報じられることがありますが、気球の体積を2000立方mとすると中の空気を仮に80℃に温め、周囲の気温25℃、気圧1013hPaとすれば、差し引き532kgの浮力のあることが確認できます。
(渡辺英夫 大手電機メーカーに勤務 計量士 2017年7月記)
空気の重さ・密度と航空機の揚力 渡辺英夫