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貨幣として機能した麻薬のアヘン

満州国ではアヘンは貨幣と同じ働きをした。アヘンは確実に銀に換えられ金(きん)になる。貨幣とは金や銀である。本来そのようであり今も根源的にはそうである。
貨幣とは交換手段として使用されるお金や通貨。価値尺度、交換手段、価値貯蔵手段として機能する。仮想通貨(暗号資産)が登場しているからややこしくなる。
Opium, a drug that functioned as money
貨幣として機能した麻薬のアヘン

計量計測のエッセー

貨幣として機能した麻薬のアヘン

貨幣として機能した麻薬のアヘン


ケシの果実に傷をつけてアルカロイド乳液を採取する。アルカロイドから合成される化合物は鎮痛、陶酔の作用がある。合成化合物には、モルヒネ、ヘロイン、コデイン、オキシコドンを含む。(写真はウッキペデアによる)


財務省が第153次製造貨幣大試験を実施 令和6年10月28日、大阪市の造幣局で 横山財務副大臣による秤量(両皿天秤)


財務省が第153次製造貨幣大試験を実施 令和6年10月28日、大阪市の造幣局で 大阪市の造幣局(本局)において 横山財務副大臣による秤量(電子天秤)

(タイトル)

貨幣として機能した麻薬のアヘン

(本文)

 連合国軍(GHQ)最高司令官のダグラス・マッカーサー元帥が1945年8月30日に厚木飛行場に降り立つのに対応したのは厚木連絡委員会委員長の陸軍中将有末精三である。日本側は外務省とは別に軍が独自の対応組織である厚木連絡委員会(有末機関)が対応した。

 1945年8月15日に、厚木海軍飛行場で第三〇二海軍航空隊司令の小園安名(こぞの やすな)大佐が起こした騒乱事件である厚木航空隊事件を鎮め、厚木基地での連合国軍(GHQ)受け入れを準備したのが有末精三陸軍中将。マッカーサー元帥が予定日より二日遅れて厚木飛行場に降り立ったのは台風による影響とされているが、反乱軍鎮圧後の受け入れ態勢の遅れを考慮してのこと。米軍機が上空に飛来して基地の様子を偵察していた。

 有末精三は進駐して基地に駐留する連合軍に対して二千万円の現金を渡して軍票ではなくこのお金を使うように求めた。日本軍が占領地で用いた軍票の信用性がないことを経験していたことによる。軍票で厚木付近で食糧を調達されたら農民や商人は困る。不要な混乱も生ずる。マッカーサー元帥は駐留軍が直ぐには基地の外に出ないことなどを理由に軍票を使用しないことを了解した。

 満州国での関東軍の軍票は価値がなかった。満州国での軍費調達をアヘン製造による資金を当てていたことが知られる。アヘンはキャラメル四個ほどで日本の特務機関職員の諜報員の月給に相当した。満州国では国策としてケシの栽培が行われた。結球したケシに傷をつけて乳液を採り、煮詰めて液状もしくは団子状にする。それがアヘン。アヘンは満州国の外に持ち出されて銀に換金された。英国によるアヘンの中国での流通を通じて、アヘンは中国では広く使われた麻薬。関東軍が用意したアヘンは確実に銀に換えられた。銀は一定の比率で金(きん)に換えることができる。

 満州国ではアヘンは貨幣と同じ働きをした。アヘンは確実に銀に換えられ金(きん)になる。貨幣とは金や銀である。銀や金は商品として登場し何時しか貨幣の機能を獲得した。銀や金は根源的に貨幣として機能する。貨幣とは交換手段として使用されるお金や通貨。価値尺度、交換手段、価値貯蔵手段として機能する。仮想通貨(暗号資産)が登場しているからややこしくなる。

 金は今でも最も間違いない貨幣である。米国はドルを金で裏付けることができなくなったために金との交換を止めた。金はいまなお貨幣として機能している。通貨であるドルや円は信用されにくいので金で保有することがなされる。本多静六は、資産三分法として現金、土地、株の三つの資産に分散する方法を説いて実践した。収入の四分の一を貯金して、貯まったら投資する方法で資産を形成した。本多静六は日本最初の林学博士として近代林学の基礎を築いた人である。金は腐食しないので蓄蔵性が高い。分割も易しい。満州国においてアヘンは貨幣として機能したが腐るということでは金には及ばない。ソ連の満州進行のおり日本軍は大量のアヘンを土中に埋めた。埋めた金はそのまま残るがアヘンは腐って土になる。

 日本銀行の貨幣大試験の意味について。金本位制で金貨が流通貨幣として機能している時代には意味があった。金貨の品位の確認作業であるからだ。明治期以前の日本の金貨である大判、小判は目方(質量)の少しずつの誤魔化し、例えば混ぜ物による金品位の低下などがあった。金が七分目になっていれば三分目の誤魔化し。何時しかその金貨の価値機能は七分目になる。保有していても価値は七分目。

 貨幣を以上のように概観すると日本銀行の貨幣大試験は時代錯誤の大演出。現代の通貨とりわけ硬貨の使われ方としてレジにおける支払い、自動販売機の利用ということがあるから意味が違ってきた。規格から外れた硬貨では支払いの機能に支障が生ずる。そのようなことを考慮すれば貨幣大試験には新たな意味を見出すことができる。

 日本の硬貨は1円、5円、10円、50円、100円、500円、1000円である。それぞれの硬貨を製造する費用が極度に小さければ悪党によって偽造され、流通することになる。硬貨製造費の差額に相当する金額を入手する。硬貨製造のための地金の価格と製造費用が同等であれば、偽造する意味を失わせる。逸失した硬貨の質量に相当する地金が調達され硬貨として製造される。摩耗した硬貨は溶解され再鋳造される。

 日本銀行券は日本銀行が発行する紙幣(お札)で、日本国内における法定通貨として使用される。日本銀行券は日本銀行が国立印刷局に発注、国立印刷局が製造、日本銀行本支店の金庫に保管、金融機関が日本銀行当座預金を引き出して銀行券を受け取る、金融機関が個人や企業に銀行券を供給する、のがその流れ。悪い奴らに密造されないように日本銀行券は特別な印刷技術で造られる。

 金貨、銀貨がその金属的性質に付随して持つ価値を日本銀行券は持たない。日本銀行券は額面にある価値を保証する信用の仕組みとして成立する。南米のベネズエラでは政府発行の銀行券が信用を失った。ティッシュペーパーの箱ほどの紙幣を用意して買い物をする。ドル紙幣は価値があり一枚で買い物ができる。かつてベネズエラで使われていた通貨ベネズエラ・ボリバルは、2008年1月1日付で1/1000デノミネーションを行い、通貨単位の呼称はボリバルからボリバル・フエルテに変更。あわせて1/100の補助通貨単位centimoが導入された。ベネズエラでは自国政府発行の通貨への信用がない状況がつづいている。

 軍票とはベネズエラで価値を失った政府発行の銀行券に似る。満州国での日本軍による軍票は信用のない紙幣であった。キャラメル四個ほどのアヘンが日本の特務機関に勤務する諜報員の月給に相当した(本人による証言であり、アヘンは中国人の仲買人などを通じて即刻銀に換えることができた。)ことや、アヘンが直ぐに銀に変換できることから、アヘンは貨幣であったと当該特務機関の職員が語る。軍票の代わりにアヘンを使った。

 普通の経済活動によって国家を運営できない状態で植民地をつくり、侵略のための軍備を増強するためしたこと。アヘン製造を密かに大々的に行なった。満州国における支配者である関東軍の振る舞いは何かに似る。一時、関東軍の序列一位と二位にあった板垣征四郎と東條英機はアヘン製造の罪を問われた。証言したのは里見甫(さとみ はじめ)。里見は、三井物産のもとで関東軍と結託しアヘン取引組織を作り阿片王と呼ばれた。

 貨幣としての金(きん)は産出量は変動するものの保存性、分割性に勝れている。銀はこれに似る。分割性は秤量と相性がよい。金と銀とを基軸とした貨幣制度が打ち立てられ、これに秤量制度が連動した。

 ドルを金(金)と切り離して、米国政府の信用による通貨として発行し続けている。ドルを基軸通貨としている今の世界は脆さを内包した危うい通貨体制である。ベネズエラのボリバルに似た現象が起こるとも限らない。世界で円の値打ちが低下している現状は円への信用低下であり、これが円安日本。強そうに見えて相対的には衰弱の一途をたどる米国である。

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[資料]
【明治銀貨13枚】ポチっとシリーズ。
貨幣の定義 日本銀行券 日銀券発行と管理 貨幣大試験
貨幣として機能した麻薬のアヘン


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