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品質工学や計量管理の技術を言葉で解き明かす

「数学の言葉で世界を見たら」ということで、数学の言葉で計測の世界、計測技術の世界、計量管理の世界を見たならば、今までは見えなかった壮大で荘厳な世界が見えることもまた確かである。
Explaining technology in words
品質工学や計量管理の技術を言葉で解き明かす

(計量計測データバンク)

計量計測のエッセー

品質工学や計量管理の技術を言葉で解き明かす

品質工学や計量管理の技術を言葉で解き明かす


雪が樹木について何時間か白い世界を出現させる それは一瞬とも思えるできごとである


(タイトル)

品質工学や計量管理の技術を言葉で解き明かす

(本文)

 数学者は数学が描く世界を現実だと思っている。数式は数学の言葉である。物理学は数学の世界に準ずる。中学校3年で教えている数学を普通の人は理解できないか忘れてしまう。そうすると高校数学と高校物理は普通の人の世界の外にある。別の特性を示す亜ヒ酸を同一であるように示すために対数処理して裁判の資料にした。裁判官も弁護人もこれがトリックであることを見抜けなかった。その後資料を解析し、不正を明かしたのが京都大学大学院工学研究科材料工学専攻教授河合潤氏である。関連する学会から河合解析に異論はでない。これにて本件は一件落着らしく民事訴訟ではこの解析が認められた。数学や物理が入試科目にある国立大学卒業の裁判かと弁護士は対数処理に対する理解力をもたなかった。

 ヒ素鑑定の不正を明かす河合潤氏は2021年8月に『鑑定不正』(日本評論社) を出版。説かれた内容がじわじわと世間に浸透していて反響が広がっている。違うものを同じに見せるグラフ作成のトリックとなった対数の処理に対して、対数の説明から説き起こす方法を採っている。

 話が転ずる。品質工学の基礎理論を説く田口玄一氏は数学で特別な才能を持つ。数学の言葉であり物理学の言葉でもある数式が示す世界を現実だと考える。矢野宏氏は田口玄一氏が現実だと考えた数式の世界の理解者であった。二人が書き上げた品質工学の図書は多い。書かれているのは数式による世界であり、それが品質工学の手法であり、定義なども含まれている。解かる者にはわかり、解からない者には永遠にわからない。品質工学を説く図書の難点はここにある。品質工学は言葉としては普及しましたが、技術や考え方の本質は伝えきれていない。

 技術を言葉で解き、言葉で技術を語ることによって、その技術が世間に普及する。製造分野、あるいはサービスを含めたさまざまな商品開発分野で品質工学などさまざまな技術や考え方を普及させるには、それを簡便に説明できなくてはならない。そうした技術や考え方を取り入れ、そのための費用を投ずる判断をし、決定するのは経営者あるいは管理者だからである。

 品質工学に計量管理を対置して考えたらどうか。計量管理をどのような言葉を用いて説くか。計量管理とは計測することなのか、あるいは計測を通じて品質を管理することなのか。モノ作りでも商品としてのサービスの提供にしても価格や求める品質に適合する程よい計測が根底で機能していることが大事である。

 言葉で1,000語も10,000語も用いて説明することを数学は一つの数式で示すことができる。数学の才に優れた者はそれを説く相手が数学を理解できないときには、平易な言葉を用いて語り理解させなくてはならない。経営者と管理者を説き伏せることが出来ないのでは技術は企業で採用されない。

 「数学の言葉で世界を見たら」ということで、数学の言葉で計測の世界、計測技術の世界、計量管理の世界を見たならば、今までは見えなかった壮大で荘厳な世界が見えることもまた確かである。

 違うものを数字やスペクトル図やグラフで示した誤魔化しを、河合潤氏は次のように普通の言葉を用いて指摘する。次がその抜粋である。

 僕は分析化学が専門なので、実は分析化学の悪用も結構あると、最近わかってきました。どういう事件か言えませんが、いろんな人から、ちょっとこの鑑定書を読んでくれと最近頻繁に頼まれるようになりました。ボランテイアで読んでみると、分析化学の悪用というのが結構ある。和歌山カレー事件の手口と同じじゃないかというような感じです。弁護士は、自分が担当している事件だけで手一杯で、それしかわからないですけれども、全体を見ていくと、「あ、またこの“手口"かJというのがだんだんわかってきます。分析試験所の間際標準規格に則ったちゃんとした分析値を出せるかどうかというのは、分析試験所が独立しているかどうかが非常に大事です。

 科警研の場合真実が書いてあるけれども、独立性に関しては多少影響を受けるので、真実は書いてあっても、僕らがそれを読み解かないといけないところもあります。

 和歌山カレー事件のSPring-8の鑑定では、事件現場近傍にあった青色紙コップに付着していた亜ヒ酸は、林填須美宅の台所から発見されたプラスチック容器の亜ヒ酸と同一物だと鑑定書に書いてあります。同一物というと、紙コップに入っている亜ヒ酸は、台所のプラスチック容器から持って行ってカレーに入れたんだろうと思います。しかし、林台所などの亜ヒ酸は、丸茂先生の話にもあったように、セメントとかデンプンとか砂も混ぜてあって低濃度です。紙コップの亜ヒ酸は、98.73%という数字が丸茂先生のスライドに出ていましたが、高純度です。紙コップに汲み取ったら高純度化するということはありえない。そういう意味で、林台所プラスチック容器亜ヒ酸を凶器(カレーに入れられた亜ヒ酸)と同一物だと断定するには因果関係が破綻していますが、確定審では誰も気がつかなかった。林虞須美の頭髪からヒ素が検出された鑑定もあります。頭髪一本しか鑑定してないですが、ヒ素の検出は、I回目の測定では1点だけ、2回目の測定では連続する隣り合う 2点に見つかっていて、濃度を計算してみると、多分海産物を、例えばひじきなどをたくさん食べたために検出されたレベルでした。ごくごく微量です。鑑定書には3価の高濃度のヒ素が頭髪から出たと書いてあって、3価のヒ素が出たために、外部付着だ(林翼須美がヒ素を取り扱っていた証拠)と結論されていますが、それを結論した山内先生という当時聖マリアンナ医大の先生の論文を調べてみると、3価のヒ素は一般人からも検出されると言っています。だから山内さんの鑑定方法だと、本来、普通の日常生活でヒ素が外部付着しない人からも 3価が検出されるので、f3価のヒ素が検出されたから外部付着だと言う鑑定書の結論はおかしいた、ろう」と僕が言ったら、山内先生から「自分の昔の論文は間違っていた」と回答がありました。自分の論文を否定してまでも、カレー事件の鑑定が正しかったことを維持したいようです。

 以上は次からの引用である。
分析と科学鑑定-白鳥事件、ナイロンザイル事件、銑鉄一千万円事件、和歌山カレー事件-(京都大学工学研究科教授)河合潤
(https://opac.ryukoku.ac.jp/iwjs0005opc/bdyview.do?bodyid=BD00005324&elmid=Body&fname=r-ho_048_01_025.pdf)

 なお違うものを同じに見せるために対数処理したことを示しているのが次の論文である。

和歌山カレーヒ素事件における亜ヒ酸鑑定の問題点 上羽徹、河合潤
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/xshinpo/47/0/47_89/_pdf/-char/ja)

 ここでは対数処理した図形を元の状態に戻して、同じものではないことを論証している。

2024-09-27-txplaining-technology-in-words-

【資料など】

論文 Core Ethics Vol. 18(2022)法科学における異同識別の基準の検討―和歌山カレー事件の分析化学鑑定を中心に 木村祐子

ヒ素鑑定の不正をあばいた河合潤氏

計測がねじ曲げられると白が黒になる

和歌山毒カレー事件のことを調べておりました(計量計測データバンク編集部)

和歌山毒カレー事件とその真相(犯罪の証拠とされた砒素鑑定の成否を検証する資料集)

和歌山カレーヒ素事件における亜ヒ酸鑑定の問題点 上羽徹、河合潤
図3 図2と同じデータをプロットし直したレーダーチャート.
図4 M白色缶(重)のBiの分析値が5回中1回だけ異常値を示したのが,図2の白色缶(重)の歪みの原因であったので,科警研の証言に従って,その分析値を修正したレーダーチャート

亜ヒ酸をめぐる中井泉氏鑑定と河合潤氏の分析手法解析による結果の対立

月例卓話 和歌山カレーヒ素事件鑑定の問題点 河合潤

解説 和歌山カレーヒ素事件における水素化物生成原子吸光頭髪鑑定捏造 上羽徹、河合潤

(PDF) 和歌山カレー砒素事件鑑定資料―蛍光X 線分析Reviews on Forensic Analysis of Wakayama Arsenic Case – X-Ray Fluorescence Analysis – Submitted to Court (researchgate.net)

分析と科学鑑定-白鳥事件、ナイロンザイル事件、銑鉄一千万円事件、和歌山カレー事件-(京都大学工学研究科教授)河合潤
銑鉄一千万事件は、第一次世界大戦の時に造船会社が鉄を買う契約をしました。戦争中、高い金額で購入契約をした。しかし第一次世界大戦が終わって鉄が暴落した。買主は「高い鉄を買いたくない」が、売る方は高額で鉄を売りたい。そこで、鉄の純度が高く出てくる分析方法を売る側が使い、鉄の純度が低く出てくる分析方法を買う側が使い、お互いに契約の純度の基準を満たしている・いないということで民事裁判になりました。一千万円の賠償金を造船会社が負い、造船会社を他の財閥に売却しました。分析方法がそれほど重要だ、ったということです。

僕は分析化学が専門なので、実は分析化学の悪用も結構あると、最近わかってきました。どういう事件か言えませんが、いろんな人から、ちょっとこの鑑定書を読んでくれと最近頻繁に頼まれるようになりました。ボランテイアで読んでみると、分析化学の悪用というのが結構ある。和歌山カレー事件の手口と同じじゃないかというような感じです。弁護士は、自分が担当している事件だけで手一杯で、それしかわからないですけれども、全体を見ていくと、「あ、またこの“手口"かJというのがだんだんわかってきます。分析試験所の間際標準規格に則ったちゃんとした分析値を出せるかどうかというのは、分析試験所が独立しているかどうかが非常に大事です。

科警研の場合真実が書いてあるけれども、独立性に関しては多少影響を受けるので、真実は書いてあっても、僕らがそれを読み解かないといけないところもあります。

和歌山カレー事件のSPring-8の鑑定では、事件現場近傍にあった青色紙コップに付着していた亜ヒ酸は、林填須美宅の台所から発見されたプラスチック容器の亜ヒ酸と同一物だと鑑定書に書いてあります。同一物というと、紙コップに入っている亜ヒ酸は、台所のプラスチック容器から持って行ってカレーに入れたんだろうと思います。しかし、林台所などの亜ヒ酸は、丸茂先生の話にもあったように、セメントとかデンプンとか砂も混ぜてあって低濃度です。紙コップの亜ヒ酸は、98.73%という数字が丸茂先生のスライドに出ていましたが、高純度です。紙コップに汲み取ったら高純度化するということはありえない。そういう意味で、林台所プラスチック容器亜ヒ酸を凶器(カレーに入れられた亜ヒ酸)と同一物だと断定するには因果関係が破綻していますが、確定審では誰も気がつかなかった。林虞須美の頭髪からヒ素が検出された鑑定もあります。頭髪一本しか鑑定してないですが、ヒ素の検出は、I回目の測定では1点だけ、2回目の測定では連続する隣り合う 2点に見つかっていて、濃度を計算してみると、多分海産物を、例えばひじきなどをたくさん食べたために検出されたレベルでした。ごくごく微量です。鑑定書には3価の高濃度のヒ素が頭髪から出たと書いてあって、3価のヒ素が出たために、外部付着だ(林翼須美がヒ素を取り扱っていた証拠)と結論されていますが、それを結論した山内先生という当時聖マリアンナ医大の先生の論文を調べてみると、3価のヒ素は一般人からも検出されると言っています。だから山内さんの鑑定方法だと、本来、普通の日常生活でヒ素が外部付着しない人からも 3価が検出されるので、f3価のヒ素が検出されたから外部付着だと言う鑑定書の結論はおかしいた、ろう」と僕が言ったら、山内先生から「自分の昔の論文は間違っていた」と回答がありました。自分の論文を否定してまでも、カレー事件の鑑定が正しかったことを維持したいようです。

犯罪と分析化学 中井泉
(https://www.jsac.or.jp/bunseki/pdf/toku591.pdf)

 証拠資料の同一性を実証するためには,まず和歌山毒カレー事件では一連の物質が亜ヒ酸(立方晶系,三酸化二ヒ素As2O3)であることが実証されねばならない。すなわち,結晶構造まで含めて同一物質であることが実証されねばならない。さらに,それらの微量成分が同一であることを実証できれば,同一の起源をもつと言えよう。

 科学捜査では証拠資料を分析することにより,その犯罪を立証することが必要である。ここに,化学分析の重要性が明確となる。ただ,証拠により犯罪事実を証明するためには,収集した証拠が事実の証明にふさわしい資格をもつという証拠能力がなければならない。また,任意性のない自白は証拠能力がない。さらに,証拠の分析内容が事実の証明に正しく有効に適用しているかどうかという,証明力をもつことが必要である。裁判において微妙な点は,この証拠の証明力は裁判官の自由な判断に委ねられ,裁判官の心証によるという点である。従って,法廷において証人喚問を行った結果,裁判官が十分な確信が得られないと判断したときは疑わしきは罰せずの精神で,被告は無罪となる。後述するように,和歌山毒カレー事件の裁判においても,この証明力が検察側と弁護側の争点の一つとなった。

 1998 年7月25日に和歌山市園部の夏祭りの会場でカレーを食べた4名が死亡し,60余名が急性ヒ素中毒を発症するという悲惨な事件が発生した。いわゆる和歌山毒カレー事件である。本事件においても多数の証拠資料が採取され,警察の機関によって鑑定が行われたが,一部の重要証拠について量がきわめて少ないために鑑定ができない資料があった。当時,急性ヒ素中毒患者の方々の保険を担当された聖マリアンナ医科大学の山内 博先生と筆者らは,以前から中国の慢性ヒ素中毒患者の生体試料の放射光蛍光X線分析を行っていた。そこで,山内先生から放射光の利用が提案され,和歌山地方検察庁から筆者に依頼がきた4)5)。物的証拠として,被疑者の周辺にあった亜ヒ酸(三酸化二ヒ素)と,夏祭りに供されたカレーの中のヒ素成分,そして祭りの会場のごみ捨て場から見いだされた紙コップに付着した亜ヒ酸が鑑定依頼資料であった。それらが同一かどうかを明らかにすることが鑑定の目的であった。複数の鑑定資料が同一の起源をもつかどうかという検証を異同識別と言う。異同識別の結果,同一と鑑定されれば被疑者と毒カレー事件とを結びつける直接的物的証拠となることになる。

 和歌山毒カレー事件では,筆者および一緒に鑑定実験を行った寺田靖子東京理科大学助手(当時)が和歌山地方裁判所に検察側の証人として出廷した。鑑定書には,実験結果である蛍光X線スペクトルとその解釈を記述した。測定したスペクトルの一例として,中国産の亜ヒ酸のスペクトルを図2に示す。亜ヒ酸に含まれているppmレベルのSn, Sb, Bi のピークがはっきり見て取れる。0.1mm径の亜ヒ酸一粒でも同様なスペクトルが得られた。Moについては,フォトンファクトリーで収集したデータを鑑定に用いた。放射光が鑑定に用いられたのは国の内外を問わず今回が初めてであったため,放射光実験がどういうもので,どのようなことがわかるか,法廷で説明することが必要であった。実際,116 keV という高エネルギー放射光を励起光とする蛍光X線分析は本研究が初めてであったので,学術的にも新しい実験結果7)であった。公判における争点は,本来もっとも議論されるべき,データの信頼性とその解釈の妥当性であるはずが,弁護士は文系の方々であるため,そのようなことは大きな争点にはならなかった。


人工知能(AI)と人の頭脳の働かせ方

「日本計量新報」今週の話題と重要ニュース(速報版)2021年9月3日号「日本計量新報週報デジタル版」ニュース特報版
左手に天びんを持つ女神テミスは大学教授のヒ素鑑定をどう裁く
自動車は高速移動するから裸の人には危険物体である

【捏造?】「同じブリーフが2枚」矛盾だらけの証拠品 弁護団と検証【袴田事件】|ABEMA的ニュースショー (youtube.com)

【元裁判官・森炎弁護士と語る「袴田事件の真相」】郷原信郎の「日本の権力を斬る!」#237 (youtube.com)

事件から既に57年経過…/再審で有罪主張の方針“検察の論理”とは【7月19日(水)#報道1930】|TBS NEWS DIG (youtube.com)

水と空気を計るのも計量だ 原発事故は水と空気を奪った


品質工学や計量管理の技術を言葉で解き明かすことを課題とする(計量計測データバンク編集部)


【天才少年】13歳の数学者が新定理を発見!2歳で九九を暗記…卓越した才能の素顔とは (youtube.com)


人工知能(AI)と人の頭脳の働かせ方

計量計測トレーサビリティのデータベース(サブタイトル 日本の計量計測とトレーサビリティ)
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