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新型コロナウイルスで死亡した人は世界全体で276,815人(2020年5月10日時点)
276,815 people died of new coronavirus worldwide (as of May 10, 2020)
東京都内の新規感染者は3日から5日連続して減少、7日連続で100人を切った(2020年5月9日時点)
都内で感染が確認された人は合わせて4846人

 新型コロナウイルスで死亡した人は世界全体で276,815人(2020年5月10日時点)

新型コロナウイルスで死亡した人は世界全体で276,815人(2020年5月10日時点)

新型コロナウイルスで死亡した人は世界全体で276,815人(2020年5月10日時点)

新型コロナウイルス(COVID-19)WHO公式ページから

新型コロナウイルスで死亡した人は世界全体で276,815人(2020年5月10日時点)

A、東京都内の新規感染者は3日から5日連続して減少、7日連続で100人を切った(2020年5月9日時点)

 東京都は、2020年5月9日、都内で新たに36人の新型コロナウイルスへの感染が確認を発表した。都内の新規感染者は3日から5日連続して減少、8日に増加したものの9日は減少に転じた。これで7日連続で100人を切った。都内で感染が確認された人は合わせて4846人である。

B、新型コロナウイルスで死亡した人は世界全体で27万6815人

 アメリカのジョンズ・ホプキンス大学のまとめた世界全体の新型コロナウイルスの感染者の数は、日本時間の2020年5月10日午前6時の時点で400万4224人となり、400万人を超えた。

国別では、
1、アメリカが130万5199人と最も多く、
2、スペインが22万2857人、
3、イタリアが21万8268人、
4、イギリスが21万6525人、
5、ロシアが19万8676人、

死亡した人は世界全体で27万6815人で、
国別では、
1、アメリカが7万8469人、
2、イギリスが3万1662人、
3、イタリアが3万395人、
4、フランスが2万6313人、
5、スペインが2万6299人、

C、都市封鎖しなかったスウェーデンでは感染者が2万4623人、死者の数は3040人

 新型コロナウイルス対策で厳しいロックダウン(都市封鎖)を行わないでいる人口1千9万人のスウェーデンでは、2020年5月7日の時点で同ウイルスの感染者が少なくとも2万4623人、死者の数は3040人に達している。

 北欧諸国のうちスウェーデンは新型コロナウイルスの死者数が群を抜いて多い。米ジョンズ・ホプキンズ大学の同時点での集計では、北欧諸国の死者は、デンマークが514人、ノルウェーが217人、フィンランドが255人である。これらの国の人口の倍ほどのスウェーデンの死者数は明らかに多く死者率も高い。

 ペニシリンの発見者でノーベル医学賞受賞の医学者アレクサンダー・フレミングなどを生んだ英国理系専門で最優秀といえるインペリアル・カレッジ・ロンドンの、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)対策チームは、スウェーデンの1日あたりの死者数は、5月11日までに150人近くにまで増えると予測している。4日からの1週間の死者数は最大1060人になるとする。

 スウェーデンは集団免疫を獲得して感染拡大の第2波を防ぐ方策をとっている。スウェーデンでは健康な子ども(6~15歳)は学校に通うことが義務づけられている。健康な教師たちは学校で授業をし続けなければならない。これまでに複数の教師が新型コロナウイルスに感染して死んでいる。

 スウェーデンは感染拡大に対して50人以上の集会を禁止し、不要不急の移動や高齢者との接触を避けるよう勧告している。レストラン、バーやナイトクラブは着席スタイルのサービスのみ許可されており、営業を続けている。ロイター通信は政府は感染予防のガイドラインに従わない飲食店は営業停止警告することを伝えている。

 高校と大学は閉鎖されてオンライン授業に切り替えられている。16歳未満の子どもたちは学校に通っている。仕事はできるだけ自宅勤務にするようにと伝達されている。

 スエーデンの2,300人近い学者たちは3月末、政府宛の公開書簡に署名し医療システムを守るために厳しい対策を導入することを求めた。カロリンスカ研究所のセシリア・セーデルベリ・ナウクレル教授(微生物病因)もその一人だ。

 セーデルベリ・ナウクレルは4月に入って次のように語っている。「国が完全な混乱状態に陥ることがないように、状況をコントロールすることが必要だ。ロックダウンをしないという方法は、(日本以外)これまで誰も試していない。それなのになぜ、国民の同意なしに、スウェーデンが初めてその方法を試さなければならないのか」

 スウェーデンのルンド大学のポール・フランクス教授(遺伝疫学)は、4月に次のように述べていた。「政府の戦略は、弱い人々を守るという点であまりうまく機能していない。そのことは、多くの高齢者施設や病院内で新型コロナウイルスの感染者が確認されている事実から明らかだ」

 同じ大学のピーター・ニルソン教授(内科医学・感染学)は3月27日に共同で論文を発表し次のように述べている。「特に大都市圏で感染が拡大したり、医療システムへの負担が深刻化したりすれば、今後スウェーデンでもより厳しい規制が導入される可能性は高い」

D、新型コロナウイルスをめぐる2020年5月9日現在の各国の対応などの状況

 新型コロナウイルスをめぐる2020年5月9日現在の各国の状況である。欧州委員会は5月8日、新型コロナウイルスの影響で国の救済を受ける企業は、国の出資が継続する限り、配当支払いや自社株買い、賞与の支給が禁止されるとの認識を示した。欧また国は当該企業に対し、返済の優先順位が低い劣後ローンを好条件で提供できるとしている。

a、米テスラの国内自動車工場、地元当局が再開認めず

 米電気自動車(EV)大手テスラのマスク最高経営責任者(CEO)は、新型コロナウイルス流行によって一時停止しているカリフォルニア州フリーモントの工場5月で8日午後から生産を再開させる方針を示したが、これに対し地元保健当局が再開を認めないと表明した。

b、仏のコロナ死者増加ペース加速、計2.6万人

 フランス保健当局は5月8日、新型コロナウイルス感染症による死者が過去24時間で243人増え、累計2万6230人に達したと発表した。1日の死者数は前日の178人から増加した。

c、EUへの入域禁止措置、高官は6月中旬までの延長を支持

 欧州連合(EU)内務総局のヨハンソン局長は5月8日、新型コロナウイルスの感染拡大抑止に向け実施されている非加盟国からのEU域内への不要不急の移動を禁止する措置を6月中旬まで30日間延長することを支持した。

d、米郵政公社、1─3月期の損失45億ドルに倍増 金融支援必要

 米郵政公社(USPS)は5月8日、1─3月期の損失が2倍以上の45億ドルに膨らんだと発表した。新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の減速で向こう1年半で財務状態が大きく悪化する恐れがあるとし、現在のサービス水準を維持するために政府の金融支援が必要になるとの認識を示した。

e、EXCLUSIVE-コロナ薬の米ギリアドにサイバー攻撃、イラン系ハッカー集団か

 新型コロナウイルス治療薬として特例承認された抗ウイルス薬「レムデシビル」を製造する米ギリアド・サイエンシズに対し、イラン系のハッカー集団が過去数週間にサイバー攻撃を仕掛けていたことが関係者らの証言で分かった。

f、米FRB、銀行ストレステスト強化 新型コロナ分析を追加

 米連邦準備理事会(FRB)が銀行ストレステスト(健全性審査)について、2020年実施分に新型コロナウイルス感染拡大による影響を反映する分析項目を追加することが、FRBが5月8日に公表した報告書で明らかになった。

E、新型コロナウイルスはヒトとコウモリとの間に中間宿主が関与している

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、「人為的に作製されたものではないか」などの噂も広がった。米スクリプス研究所による新型コロナウイルスの遺伝子配列データを解析結果は次のとおり。「新型コロナウイルスが人為的に作製されたことを示す証拠は認められなかった」

 米コロラド州立大学のチャールズ・キャリッシャー教授らの国際研究チームは、2020年2月19日、医学雑誌「ランセット」において、このような「陰謀論」を強く非難した。

a、「人為的な遺伝子改変によるものではない」

 米スクリプス研究所らの共同研究チームは、新型コロナウイルスの遺伝子配列データを解析し、3月17日、「新型コロナウイルスが人為的に作製されたことを示す証拠は認められなかった」との研究論文を学術雑誌「ネイチャーメディシン」で発表した。

 研究チームは、新型コロナウイルスがヒトの宿主細胞に侵入するために不可欠な「スパイクタンパク質」について解析した。宿主細胞に取りつくフックのような役割を担う「受容体結合ドメイン(RBD)」と、宿主細胞を破ってウイルスを侵入させる「切断部位」という、スパイクタンパク質の2つの機能に着目。新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の受容体結合ドメインは、ヒトの宿主細胞の外にある「ACE2受容体」を効果的に標的とするよう進化し、ヒトの宿主細胞と結合しやすくなっていることがわかった。研究チームは「新型コロナウイルスは、人為的な遺伝子改変によるものではなく、自然淘汰によるものだ」と結論づけた。

 新型コロナウイルスの全体的な分子構造からも、この結論が裏付けられている。新型コロナウイルスが人為的に作製されたものであるとしたら、既知の病原性ウイルスの分子構造をベースに作製しなければならない。一連の解析結果では新型コロナウイルスの分子構造は、SARSコロナウイルス(SARS-CoV)やMERSコロナウイルス(MERS-CoV)といった既知のコロナウイルスとは明らかに異なり、むしろコウモリやセンザンコウにみられるウイルスと似ていた。

b、ヒトとコウモリとの間に中間宿主が関与している

 新型コロナウイルスはどこからやってきたか。研究チームでは、2つの可能性を指摘する。新型コロナウイルスが、ヒト以外の宿主で自然淘汰を通じ、現在の病原性を獲得するまで進化したという可能性だ。ハクビシンに直接接触してヒトに感染したSARSコロナウイルスや、ラクダと接触してヒトが感染したMERSコロナウイルスでは、このような経路から感染が広がった。

 研究チームでは、新型コロナウイルスがコウモリのコロナウイルスとよく似ていることから、コウモリが感染源である可能性が高いとみる。コウモリからヒトへの感染は確認されていないため、ヒトとコウモリとの間に中間宿主が関与している可能性がある。

c、ヒト-ヒト感染で現在の病原性まで進化したという可能性も

 新型コロナウイルスが病原性のない状態でヒト以外の宿主からヒトに移り、数年から数十年にわたるヒト-ヒト感染により現在の病原性まで段階的に進化した可能性を否定できない。新型コロナウイルスの受容体結合ドメインは、センザンコウの複数のコロナウイルスともよく似ている。センザンコウのコロナウイルスが直接、もしくはハクビシンやフェレットなどの中間宿主を介しヒトに感染したとが考えられる。

 新型コロナウイルスの起源については解明されていないものの、科学的なアプローチから自然起源であることが示された。医学研究を支援する英国の公益信託団体「ウェルカム・トラスト」の疫学者ジョジー・ゴールディング博士は、一連の研究成果について「新型コロナウイルスの起源について広まっている噂に対し、証拠に基づく見解を示すものだ」と述べている。

F、「外出禁止は感染抑制と相関がない」ロックダウンは必要なかった

a、ロックダウンは必要なかった「外出禁止は感染抑制と相関がない」と研究結果

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を抑制するための公衆衛生戦略として「ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離戦略)」が世界各国で採用され、欧米諸国の多くは、2020年3月以降、国民や市民、企業の活動を強制的に制限する「ロックダウン(都市封鎖)」の措置をした。

 ロックダウンなど、ソーシャル・ディスタンシングに基づく施策は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の抑制にどのくらい寄与しているかだ。

b、外出禁止は感染抑制に顕著な効果が認められなかった

 英国イースト・アングリア大学(UEA)の研究チームは、英国、ドイツ、フランスなど、欧州30カ国を対象に、ソーシャル・ディスタンシングに基づく施策が新型コロナウイルス感染症の感染者数や死亡者数の減少にもたらす効果について分析し、2020年5月6日、休校や大規模集会の禁止、一部のサービス業の営業停止は、感染拡大の抑制に効果があった一方、外出禁止や、生活必需品を扱う店舗以外の営業停止は、感染者数や死亡者数の抑制に顕著な効果が認められなかった。また、現時点において、公共の場所でのマスク着用の義務化にも特段の効果は確認されていないという結果を研究論文(未査読)を「メドアーカイブ」で公開した。

 研究チームは、欧州連合(EU)の専門機関「欧州疫病予防管理センター(ECDC)」が毎日発表している各国の新型コロナウイルス感染症の感染者数および死亡者数と、休校、大規模集会の禁止、店舗の営業停止、外出禁止、マスクの着用といった各施策の各国での実施開始日をもとに、統計モデル「一般化加法混合モデル(GAMM)」で分析した。

c、感染拡大の抑制と最も高い相関が認められたのは休校だった

 感染拡大の抑制と最も高い相関が認められたのは休校だ。ただし、小学校、中学校、高校、大学のうち、いずれの教育機関での休校が感染抑制に最も寄与したのかは明らかになっていない。

 大規模集会の禁止は、休校に次いで、感染拡大の抑制に高い効果が認められた。研究論文の筆頭著者であるイースト・アングリア大学のポール・ハンター教授は「これまでにも、音楽フェスティバルと関連した呼吸器感染症の発生が確認されている」と指摘している。

 2009年には、欧州の6カ所の大規模音楽フェスティバルのうち3カ所で新型インフルエンザが発生している。人々が集まるレストランやバー、レジャー施設、イベント会場の閉鎖も感染拡大の抑制に寄与した。その一方で、ハンター教授は「これら以外の業種における営業停止は、感染拡大の抑制にほとんど影響がなかったとみられる」と考察している。

 外出禁止は、新型コロナウイルス感染症の発生率の減少との相関がなく、むしろ、外出禁止の日数が増えるほど、感染者数は増加した。

d、相関のメカニズムについては解明されていない

 一連の研究成果では、各施策と感染拡大の抑制との相関のメカニズムについては解明されていない。また、各国で複数の施策が短期間に次々と導入されたため、現時点では、施策ごとに感染拡大の抑制との因果関係を証明するのは困難である。

 ハンター教授は「制限の緩和が欧州で徐々にすすめられるなか、新型コロナウイルス感染症の流行の動向を注視していくことが不可欠だ。そうすれば、施策ごとの効果の有無がより明らかとなるだろう」と指摘する。

G、日本では営業店舗を非難し、県外ナンバーを排除

a、非国民思想が出現した日本社会

 日本では新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が延長されるなか、「自粛警察」という言葉が登場した。日本は、海外に比べると自粛も比較的緩やかムードだったが数週間で一転した。SNS上で営業しているお店を非難する。同様に外出した人の名前をさらして炎上させる。店舗に脅迫の紙を貼る。県外ナンバーの車にいたずらをして排除する。このような「自粛警察」行動が横行する。一度同じ方向を向くとそれ以外の人を非難する日本人の国民性が現れた。

b、韓国の自粛警察は有名人に向けられる

 韓国は規制緩和→クラスター→営業停止とめまぐるしく措置された。韓国は2020年5月6日からは外出自粛緩和された。ところが5月8日にはあるクラブで12人のクラスター発生した。韓国人は抑制されるとその後に反動で爆発する。クラスター発生のクラブは、外出自粛が緩和される前から営業を再開していて、マスクをしない1500人あまりの客が出入りした。韓国政府は5月8日の午後8時から全国のクラブに1カ月の営業自粛を求めた。5月9日午後にはパク・ウォンスンソウル市長が緊急会見でクラブを始めとした娯楽施設に「集合禁止命令」を発令、事実上の営業停止を命じた。

 韓国人の「パルリパルリ(早く早く)精神」がそのようにさせた。韓国でも自粛警察のような動きはある。それは有名人に向けられる。

c、芸能人を槍玉に挙げる韓国

 韓国でクラスター感染番号13番の女性は、新天地イエス教会という新興宗教の信者である。彼女の布教活動が感染者を増やすことになったとされている。魔女狩りのように信者と疑われる人の名簿がネットで配信された。書かれていたのは芸能人などの著名人だ。信者でもないのに名簿に名前が載った。

 芸能人が外出した写真をSNSでアップするとで誹謗中傷のコメントが集まる。タレントのオ・サンジンが4月26日、自身のインスタグラムに「一人でプール」ということで誰もいないプールサイドからの写真を載せた。すると一般人からの悪質な投稿が殺到した。

 4月27日にはタレントのパク・チユンが家族で旅行したことをインスタグラムに写真と共にアップすると炎上し非難ごうごうである。パク・チユンは「観光地を歩き回るのではなく、プライベートのコンドミニアムで私たちだけで過ごした。夫が職場に出勤するよりも安全だった」と反論した。別のメディアに「最近、ああしろこうしろと言ってくる人が多い。 自分の人生に不満があるなら自分でどうにかしなさいよ。 他人の人生に干渉する前に」と投稿するとこれで袋だたきにあった。

 騒動はパク・チユンの夫であるKBSアナウンサーのチェ・ドンソクにまで飛び火する。KBSのニュース番組「ニュース9」のアンカーを務めるアナウンサーのチェ・ドンソクに対し、KBS公式ホームページ掲示板には抗議文と番組降板要請の書き込みが殺到した。対してやむを得ずにパク・チユンは釈明文を掲載して謝罪した。

d、ジェジュンに対して処罰要求

 歌手のガヒはインドネシア・バリに居住中なのにもかかわらず、韓国に帰国するとの報告に非難が相次いだ。帰国後2週間の自宅謹慎期間中に息子と遊んでいる写真をSNSにアップするとこれにが非難された。歌手のコ・ジヨンは、家族で漢江の河原に遊びに行った時の写真をインスタグラムに載せると「外出は控えろ」という批判が殺到した。

 韓国では芸能人のSNS投稿の炎上が多い。4月のエイプリルフールにはJYJのメンバー、ジェジュンが、SNSに「僕はコロナに感染してしまいました」という嘘の投稿をしたために非難の大炎上。「他人事ではない」というメッセージを伝えたかった釈明と謝罪文を発表する。これに対しても韓国政府が運営するオンライン目安箱ともいえる国民請願に「ジェジュンを処罰してほしい」という声が届けられた。

e、セレブの発言に嫌悪感覚えるアメリカ国民

 アメリカでは、今までしてこなかったマスクをし、握手やハグをやめるなど、国民が団結している一方で、政府に向けてロックダウン解除を求めるデモが各地で発生している。

 米国民の間に自粛警察のような行為は目立ってはないが、セレブたちのSTAY HOMEの呼びかけに嫌悪感をもつ人が増えている。「セレブたちが自宅の豪邸を背景にSTAY HOMEの呼びかけをしても、まったく響かないし共感できない」という投稿が目立つ。外出禁止令がでて2カ月が過ぎ、不満と経済的不安が溜まっていることによる八つ当たりのようだ。

 アメリカ人は英雄信仰が強い。世界中で医療従事者はヒーローであるという雰囲気が醸されている生活に必要不可欠な仕事に携わるエッセンシャル・ワーカーたちへを賞賛する動きがある。

f、米国ではエッセンシャル・ワーカーからの反撃

 あるスーパーの店員は「Calling Me a Hero Only Makes You Feel Better」(私のことをヒーローだと呼んで、いい気分に浸っているのはあなただけ)という言い捨てる。「私は自らの命を危険にさらすかもしれない仕事に就いた覚えはない」と語る。「今も毎日仕事へ来るのは、使命感などではなく、他にお金を稼ぐことができないからだ。できるなら違う仕事に変わりたいと思っている」「本当に私たちを尊重するのなら、来店しないでほしい」「店に来たとしても、素早く買い物を済ませ、余計なこと喋りかけようとせず、速やかに店から出て行ってほしい」と怒りをぶつける。

H、日本ではインフルエンザで3千人が死に、多い年には5万人を超える人が死ぬ。肺炎を引き起こして死ぬ

 多くの病気は歳をとったことによっておこる。四十過ぎから癌も脳卒中も糖尿病もほかの病気もおこる。歳をとれば病気になって死ぬということである。老衰死であっても病気が内在していることが多い。今度の新型コロナウイルス感染症では歳をとった人がぽつりぽつりと逝った。歳をとったから死んだとは言えないが、大きな枠として考えれば歳をとったから死んだことを積極的に修正できない。

 膵臓癌の死亡率は七割ほどだ。初期癌であっても患う人は死と隣り合わせになる。前立腺癌の生存率は90%より上だから早期発見の場合には盲腸炎よりも軽い病気だと理解したくなる。

 大腸癌の場合には早期発見して対応すると生存率は高い。膀胱癌のことはNHK教育テレビが特集していてアーカイブに保存されている。膀胱癌治療は早期発見が原則だ。患部の内視鏡による除去ののちにBCG注入によって治療する。これは標準治療であるのでどの病院でも行う。

 何時も痛い痛いという症状がある病気を患っていると生きていることはつらい。心身ともに苦痛極まりない。衰弱してよぼよぼしている老人が風呂場で溺れて死んだ。治療費がないために病気に対応した医療を受けられずに死んだというのが実際であった。

 人には尊厳がある。自ら尊厳を守り、周りの人もまた人の尊厳を大事にすべきだ。「犬馬バカ語」の主人公になった斉藤弘吉氏は余命をオオカミの研究論文の整理執筆にあてた。癌を患った斉藤弘吉氏であったたがこれも老齢にともなうことであった。死ぬ確率と余命のことを計算して、残りの命を手術せずに文章を書くことに振り向けたのであった。

 膵臓癌の死亡率は七割ほどだが、初期癌であ場合の情報は少ない。初期癌であればかなりの程度、生存率は高くなるはずだ。このあたりの情報が医療の世界のでは少ない。妙なことを言うと袋だたきに遭うという医者の世界があるからだ。新型コロナウイルス感染で日本では40万人が死亡するという説に反論する医者はいないようにみえた。40万人死亡説が大手を振って大通りを闊歩したために行政府の対応はこのことが前提になって無茶なことをことをした。

 新型コロナウイルスに対して先進国の政府は過剰なまでの反応をした。外出禁止で収まったのではない。日本の場合でも空いているとはいえ電車で通勤している。人が大して集まらない公園が閉鎖されるなど地方公共団体は責任回避の均一な対応をしている。

 ウイルスによって人が死んでいるのは平常であることをウイルスへの深い理解をしていれば知っていることだ。インフルエンザもウイルスによって引き起こされる。麻疹(はしか)もそうだ。ウイルスによるさまざまな病気があって人はこのために死ぬ。世界で100万人を超える人々が毎年死んでいる。日本ではインフルエンザで3千人が死に、多い年には5万人を超える人が死ぬ。肺炎を引き起こして死ぬのである。

 死への覚悟、病気への理解が大事だ。先進国の新型ウイルスへの恐怖と狼狽はウイルスへの理解不足による。日本も同じだ。ウイルス疾患に国の行政府と地方公共団体が出しゃばったことはこれまではなかった。

 養老孟司氏はこのようなときには虫の標本の整理をして過ごしていればいい、ということで箱根の自分の昆虫館に籠もっている。講演会が中止になってでかけることがなくなったためでもある。

 生物界の動的平衡論の福岡伸一氏は週刊文春で新型コロナウイルスの病の流行の始まりのころ、ウイルスのことを詳しく語った。ウイルスによる人の病気のことを詳しく述べていて、またウイルスによる病は永続することを明言している。新型コロナウイルスはコウモリが媒介していて日本のあらゆる場所に小さな粒のように漂っている。感染者の吐息などからは多くの新型ウイルスが排出される。こうした場面に遭遇することを賢明に避けたい。

 こちら側がマスクをしていたってウイルスは軽々と通過する。ウイルスによっては厚い珪藻土を透過する。厚い珪藻土を使ってビールの酵母菌を濾過して発酵を止めているのがいまの生ビールだ。ウイルスによる疾病と専門分野で取り組んできた岡部信彦氏は40万人死亡説に現場での経験ではそこまでには至らないと思うと述べている。

 医療は医者のものではない。医療は人のものなのだ。医療は患うかも知れない人のためのものなのだ人は病気から逃れようがない。罹患を避ける行動をしても、それでも病気におかされる。立ち向かっても襲いかかる病気と折り合いをしなくてはならないのだ。

 新型コロナウイルス感染症とどのように折り合いをつけるか、ということを人は考えて社会の共通理解にしなかればならない。いまとなっては、しなければならなかったのだったという過去形の表現になる。

 人、物、銭の動きを止めてしまった。 日本の社会と経済の基礎となっている事柄にそって物事が進行する。それはどのようなことか想像してみたらいい。消費税が8%に増税されたのちに日本では消費の回復に数年を要した。10%への増税による消費の落ち込みは3月期までの統計で明白である。自粛行動の影響は心的圧迫感として長く続く。このことは消費行動に影響する。消費税税率アップとコロナ禍の二つのことが複合して人の行動を抑制して消費を落ち込ませる。日本のGDPの六割が消費部門に属しているのだ。

 半ば人為的な新型コロナ禍を契機に日本の社会は変わる。おこるべき社会変動が抵抗なしに一気にすすむ。これまで誤魔化してきた先延ばしにしてきた日本の社会変動が急激に進行する。新しい社会をよいように理解すればよいか。森林面積七割の日本の国土のもとで平地面積を利用する工業や諸産業がここで運営される。1億3千万人の人口の日本社会はあるべき自然な現象として7千万に向けて動いていく。労働人口は漸減し老齢者比率が高まり人口が減っていく。GDP の六割に相当する消費は国全体としては低落する。都市部だけをみれば第三次産業に分類される事業者のビルが林立する。暮らしの場の多くは郊外であり農村部あるいは田園地帯である。人が散り家が空いている農村の家屋は安い。手入れをしながら使えば50年は持つ。新規に建物を建てて大きな費用を投ずることよりも楽な方法がありその実現に現実性が高まっている。地震が都心部あるいは都市を襲ったらどうなるか。関東大震災規模の地震は繰り返し発生する。熱闘に明け暮れた日本人が誤った新型コロナウイルス感染症対応によるコロナ禍を契機に転換したあり得べくして落ち着いた社会に馴染むには少しの時間を要する。

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新型コロナウイルスと肺炎疾患を考える

新型コロナウイルス疾患者数ならびに死者数とインフルエンザ疾患との比率

 日本では1918/2019年シーズンにインフルエンザで3,000人ほどの死者がでている。2019年1月だけで1,700人が死んだ。毎年似たような罹患があり死者がでているのがインフルエンザだ。

 インフルエンザで年間3,000人ほど死んでいる。新型コロナウイルスもやがて普通のインフルエンザと同じようになるというのが青山学院大学教授の福岡伸一氏の考えだ。福岡伸一氏は「新型コロナウイルス感染が拡大を続けている。重症化するケースもあるので油断はできないが、軽挙妄動するのは注意したい」「免疫システムが弱っていたり、その調整がうまくいかなかったりすると、重症化する危険性がある。もともと何らかの疾患があったり、高齢者にリスクがある」と述べる。新型コロナウイルスによって高齢者に死者がでている。インフルエンザも同じようなことだ。福岡伸一氏はコロナウイルスは蝙蝠(こうもり)が媒介するので日本には既に入ってきていて何時どこででてくるかわからないし、でてきてもおかしくはない、と述べる。「週刊文春」3月5日号による。

 新型コロナウイルスによる疾病をどのように考えたらよいのか。中国では習近平の立場に影響がでている。日本では安倍晋三首相が2月29日小中高等学校の休校を求めた。ほとんどの学校が休校を決めているから命令に近い。サクラ問題、特別に支援した法務相夫婦の公選法違反事件で首相の地位に揺るぎがでたことへの対処として新型コロナウイルス対応の特別な措置のようにみえる。

 ワクチンができていないことなど新型コロナウイルスによる疾病への恐怖感が洪水のようなマスコミ報道によって高まり充満している。マスクしても透過するウイルスであるにも関わらず人々の顔は白や黒の布で覆われる。マスクと同じ材料でできているからというデマが飛び交って便所紙が販売店から消えた。

 新型コロナウイルスと感染症の資料を拾った。これによって少しは知識を備えることができよう。


新型コロナウイルスと感染症の資料一覧

videonewscom 司会 神保哲生、宮台真司ゲスト 大野智氏(島根大学医学部附属病院臨床研究センター教授)(2020年2月29日)動画。YouTube。

https://www.videonews.com/
マル激トーク・オン・ディマンド 第986回(2020年2月29日)ゲスト:大野智氏(島根大学医学部附属病院臨床研究センター教授) 司会:神保哲生 宮台真司


 ヘルス・リテラシーという言葉を聞いたことがあるだろうか。

 リテラシーはメディアリテラシーのような形で使われ、通常は「読み解く力」と訳されることが多い。ヘルス・リテラシーは、「人間の健康や安全、人命に関わる情報を読み解く力」とでも訳せばいいだろうか。どんな分野でもメディアや誤情報に乗せられないためにリテラシーを鍛えることは大事だが、とりわけヘルス・リテラシーはこれが低いと容易にパニックが起きたり、誤った治療法や薬によって健康を害したりするなど影響が命に関わる場合が多いので、リテラシーの中でも最重要なものとなる。

 マル激では9年前の原発事故で科学の市民化と市民の科学化の両方が不足していることを痛感し、その視点から諸問題にアプローチしてきた。そして、巷がコロナウイルス情報で溢れかえる今、われわれはあらためて市民の科学化が問われる局面を迎えているのではないだろうか。

 つい3日前までは大規模な集会などは避けるように言われていた程度だったところが、27日になって突如として首相が全国の小中学校、高校の休校を要請するにいたり、コロナウイルス問題が未曾有のパンデミックにでもなったかのような空気が漂い始めている。

 たしかに既存の季節性インフルエンザ並の強い感染力を持ち、罹患した高齢者や糖尿病や高血圧など既往症のある患者には一定の死亡者が出るなど、恐ろしい感染症ではある。しかし、ここまでわかっているだけでも、新型コロナウイルス(COVID-19)は感染力、致死性ともに、既存のインフルエンザと大差はない。

 実際、日本でコロナウイルスの感染が始まった昨年12月末から2月までの約2ヶ月の間、既存の季節性インフルエンザの罹患者は1,000人を優に超えている。昨年1月のインフルエンザの罹患者は約90万人で、死亡者も1,600人を超えていた。コロナウイルスによる日本での感染者は今のところ234人(2月28日現在)、死亡者はダイヤモンド・プリンセス号の乗船者を除くと5人(同上)だ。今年はうがいや手洗いの徹底などのおかげで季節性インフルエンザの罹患者数が例年の半分程度に抑えられているが、それでもその間、80万人あまり(12月~2月末)が季節性インフルエンザに罹患し、最終的な死亡者数は約1,000人は超えるだろう。繰り返すが同時期の罹患者が80万人あまりと200人あまり、死亡者数が1,000人と5人(それぞれクルーズ船乗船者を除く)だ。

 無論、新型コロナウイルスにはまだ未知の部分もあり、単純に季節性インフルエンザと比較はできない。しかしながら、既に日本でも罹患後回復している人が33人もいるし、罹患者の大半はほとんど症状が出ないことも指摘されている。今のところ死亡者は高齢者と既往症のある患者に限られる。

 その一方で、これが世界的に広がれば、既存のインフルエンザと同様、多くの人の命を脅かす危険性はある。特に発展途上国のような医療体制が完備されていない地域では、インフルエンザが直ちに命の危険につながる。だからこそWHOなどではこの問題を非常に深刻に受け止めているのであり、日本のような医療の行き届いた先進国でこれが直ちに生命に関わるほどの深刻な問題になるとは考えられていない。

 ところがここ数日の日本の反応はどうだろう。

 島根大学医学部附属病院の教授でヘルス・リテラシーに詳しい大野智氏は、一般の市民にとって、今回は「新型コロナウイルス」という呼称が恐怖を助長した面があったと指摘する。なんといっても「新型」なので未知の部分が多く、またコロナウイルスという名前も、必ずしもわれわれの多くにとって馴染みがあるものではなかった。実際、一般的な風邪の1.5~2割程度はコロナウイルスが原因だし(4種類)、過去のSARSとMERSもそれぞれ別のコロナウイルスによるものだった。現在猛威を奮っているコロナウイルス(COVID-19)が、人類にとっては7つ目のコロナウイルスということになる。

 未知の物に対しては、誰も怖れを持つのは当然だ。しかし、とは言え今回のコロナウイルスは感染力としては既存の季節性インフルエンザ並かそれ以下であり、致死性ではSARSやMERSを遙かに下回ることが既にわかっている。また、各都道府県の医師会などがガイドラインを出しているが、手洗いやうがいなど既存のインフルエンザ対策が有効であることもわかっている。咳やくしゃみが出る人は、コロナであろうが何であろうがマスクをすべきだし、熱が出たり具合が悪い人は仕事や学校に行かずに家で安静にしているべきだ。インフルエンザが流行っている時期はあまり人混みには行かない方がいいだろうし、風邪気味だったり、糖尿などの既往症がある人、妊婦、高齢者もその時期は人が多く集まるところは避けた方がいい。

 何だかあまりにも当たり前のことを列挙してしまったが、結局、コロナであろうが季節性インフルであろうが、あるいは通常風邪であろうが(かぜの2割前後はコロナウイルスが原因だが)、こういう常識的なことをやっていればある程度の蔓延は防げる。逆に言えば、どんなに沢山の情報を集めても、市民一人ひとりができることは、その程度のことしかないのだ。

 一方で、政治や政府には、また別の心配事がある。今回PCR検査が進まないことで、日本が感染症に対する備えを怠ってきた実態が露呈してしまったが、もし大量感染が起こり、感染者、とりわけ重篤な症状を呈する患者が現在の日本の医療のキャパシティを超えてしまえば、いわゆる医療崩壊が起きる。その「崩壊レベル」が思った以上に低ければ、医療体制の整備を怠ってきた政治の不作為が露呈することになり、その責任が問われることになる。

 そこで政府は大量感染を起こさない、あるいは起きたとしても、発現のタイミングをできるだけ遅らせることで、医療体制の拡充を進め、「崩壊レベル」をあげることに時間を稼ぐ必要が出てきた。

 また、IOCの理事の一人が、5月末までに収束しなければ東京五輪は中止もあり得ると発言したことも、明らかに政府を焦らせ、今回のやや唐突とも思える措置の遠因となっているように見える。万が一五輪が中止になどなろうものなら、政府の責任が問われることは必至だからだ。

 このように政治は政治で、いろいろ心配しなければならない問題がある。しかし、それはわれわれ市民の問題ではない。そうした政治的な動きや、それに乗っかり、悪戯に危機を煽ることで数字を稼ごうとするメディアによる情報洪水に巻き込まれると、実際は国産シェアが97%もあり品不足になる理由がまったくないはずのトイレットペーパーが品薄になるような、いつもの馬鹿げたパニックが起きてしまう。

 今まさに市民のヘルス・リテラシーが問われている。情報洪水の中から、自分にとって意味のある情報だけを拾い上げる作業は骨の折れる作業かもしれないが、それをせずに真偽不明の怪しい情報に踊らされることのコストの方が実際には遙かに大きいはずだ。今こそリテラシーを発揮して、これまで何度も政府やメディアに踊らされてきた苦い経験を活かそうではないか。

 今週のマル激では大野智・島根大学教授と、情報洪水の中で誤情報に踊らされパニックしないための方策をジャーナリスト神保哲生、社会学者宮台真司が議論した。

【ゲスト・プロフィール】大野 智(おおの さとし)島根大学医学部附属病院臨床研究センター教授
1971年静岡県生まれ。98年島根医科大学(現・島根大学医学部)卒業。博士(医学)。同年同大学第二外科(消化器外科)入局。2018年より現職。共著に『「がんに効く」民間療法のホント・ウソ―補完代替医療を検証する』など。

(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)



発売中の「週刊文春」、阿川佐和子さんが緊急にお願いした生物学者、福岡伸一さんの「新型コロナウイルス」についてのインタビュー

今、発売中の「週刊文春」、阿川佐和子さんが緊急にお願いした生物学者、福岡伸一さんの「新型コロナウイルス」についてのインタビューがとてもよかった!地球全体からの観点、何億年前からの目線で、生物や生命について、噛み砕いて語られる福岡さんの論、かねてより大好きです!買ってよかった。

感染拡大する新型コロナウイルス 福岡伸一「PCR法が鋭敏すぎて生まれる問題」連載「福岡伸一の新・生命探検」2020.2.20 07:00AERAオンライン

感染拡大する“新型コロナ”福岡伸一が語る「ウイルスの基本的な生物学」連載「福岡伸一の新・生命探検」2020.2.6 07:00AERAオンライン

コラムニスト福岡伸一
福岡伸一(ふくおか・しんいち)/生物学者。青山学院大学教授、米国ロックフェラー大学客員教授。1959年東京都生まれ。京都大学卒。米国ハーバード大学医学部研究員、京都大学助教授を経て現職。著書『生物と無生物のあいだ』はサントリー学芸賞を受賞。『動的平衡』『ナチュラリスト―生命を愛でる人―』『フェルメール 隠された次元』、訳書『ドリトル先生航海記』ほか。

連載 生命科学の雑記帳 97.致死的コロナウイルスの多様性はコウモリの間で生まれる 予防衛生協会 2017/06/21

 コウモリは5200万年以上前に出現し、飛翔能力を持つ唯一の哺乳類であるため、エマージングウイルスの宿主としたもっとも注目されている。すでに、コウモリは、エボラウイルス、マールブルグウイルス、ヘンドラウイルス、ニパウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルス、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスといった致死的なウイルスの自然宿主ということが証明または強く疑われている。

 これらのウイルスのうち、SARSコロナウイルスとMERSコロナウイルスが属するコロナウイルスは、ゲノムのサイズが約3万塩基の一本鎖RNAウイルスで、ほかのRNAウイルスの2-3という桁外れに大きなゲノムを持つため、ウイルスが複製される際に変異が起こりやすい。また、ほかのコロナウイルスと組換えも起こす。SARSコロナウイルスはコウモリのコロナウイルスの間で、組換えが起こり、食用のハクビシンに感染し、それがヒトに感染したと推測されている。コロナウイルスは、人獣共通感染症の原因として、とくに重要とみなされているのである。ヒトが感染しているコロナウイルスのほとんどすべては、動物由来か、現在動物の間で循環しているウイルスからの感染による。コロナウイルスは、宿主を飛び越えやすいため、過去、現在だけでなく、これからも公衆衛生上の大きな脅威とみなされる。

 ニューヨーク・コロンビア大学のSimon Anthonyらは、ヒトに対してハイリスクとなる野生動物のウイルスに焦点を合わせたPREDICTコンソーシアムで、ラテンアメリカ、アフリカ、アジアの20カ国の地域パートナーと共同研究を5年間にわたって行っていた。彼らは、コウモリがコロナウイルスの保有宿主として重要なのに、遺伝子データバンクでは、コロナウイルスの配列のうちのわずか6%だけがコウモリ由来で、残りの94%は、ヒト、家畜、ペットのウイルスの配列であって、既知の病気に偏りすぎているとして、地球レベルでのコウモリにおけるコロナウイルスの多様性を検討している。

 コロナウイルスの分布を地図で示すために、彼らは12,300匹のコウモリ、3,400匹の齧歯類とトガリネズミ(形はネズミだが齧歯類ではない)3,500頭のサルを捕獲し、唾液、尿、糞のサンプルを採取してから、放した。

 これらのサンプルから、100の系統的に異なるコロナウイルスの集団が見つかり、そのうち、91はコウモリが持っていた。ウイルスの多様性は、アマゾンの熱帯雨林のように、多くの種類のコウモリが生息する地域のコウモリでとくに高かった。コロナウイルスの多様性はコウモリの多様性が関連していたのである。

 ウイルスがヒトに感染する可能性を知るヒントのひとつは、系統的に関連のない種の間でウイルスが飛び越えた歴史である。アフリカでは、関連のないコウモリ種の間での伝播は、メキシコ、ブラジル、ボリビア、ペルーなどラテンアメリカ諸国この場合より、4倍多く起きていた。これは、各地域に存在するコロナウイルスの遺伝的相違か、異なるコウモリ種との間での行動に関係していると考えられた。

 次のステップは、宿主を飛び越えるウイルスと飛び越えないウイルスについて、さらに詳しく調べることと、Anthonyは語っている。彼のチームは、ウガンダで捕獲したアブラコウモリから分離したMERSコロナウイルスに近縁のウイルスは、ヒトの細胞に結合できないことを見いだし、直接人への脅威にはならないと推測していた。

 発生してから対応するというこれまでの対策と異なり、次ぎにヒトに感染するおそれのある病原体を予測(Predict)しようと考えているのである。


志賀潔の子息、志賀亮氏による志賀潔の遺稿にからむ雑記帳

 1871年2月5日(旧歴で明治3年12月18日)宮城県士族佐藤信の第4子(3男)として仙台に生れる、幼名直吉。父は、伊達藩の下級藩士で副奉行つきの書記を務めていた。5歳の頃から父の家塾で漢書の素読を学ぶ。8歳仙台市育才小学校(現片平町小学校),13歳宮城中学(現仙台-高)。この頃母の生家志賀を継ぐ事になり名を潔と改む。志賀家は岩手県花巻の出、五代前から仙台に来り医を業とす、先々代は藩医となり士分であった。

 1887年、東京に遊学。しばらく予備校に学び、翌年大学予備門 (後の旧制一高),1892年、帝国大学医科大学(後の東大医学部)。

 1896年、医科大学卒業、26歳、直ちに伝染病研究所に入り、北里柴三郎先生に師事する。
翌1897年12月、赤痢に関する最初の研究を発表。
 1901年、ドイツ留学のため渡欧、フランクフルトの実験治療研究所でエールリッヒ先生に師事する。化学療法の最初の研究で先生の助手を務める。
1905年、帰朝、医学博士。
1906年、第一回熱帯病学会(フィリピン)
1909年、二回同学会(インド)に出席。
 1912年、渡欧、万国医学会総会(ローマ)に出席。フランクフルトで再びェールリッヒ先生に師事、結核の化学療法を研究。
1913年帰朝。

 私はなぜ医業を修めたか  養家が医業だったから。なぜ基礎医学の方に進んだか?。 病人を看る職業は私の性に合わないと思ったから。然らばなぜ細菌学を選んだのか?。この答えは簡単でないが、当時の細菌学が新興科学随一の花形であった事も理由の一つだろう。もっとも大学ではまだ独立の講座がなく、細菌学は緒方正規先生の衛生学の片隅で講ぜられ、実習の時間もなくて、講義のあとで細菌というものを顕微鏡で順に覗かせてもらった。卒業するとすぐ入所試験を受け伝染病研究所に入ったが、ここで先輩から初めて細菌実習の手ほどきを受けたのである。

 1914年、伝染病研究所の文部省移管に際し北里所長と行を共にして職を辞す。野にあって新研究所の創設に力を致す。
 1920年、朝鮮総督府医院長として渡鮮、京城医専校長を兼ねる。
 1931年までの11年間京城に在り、医学教育の他医事行政などにも関与する。
 1925年、欧米の大学視察のため渡行、ジュネーブ国際血清委貝会に出席。
 1926年、京城大学創立にあたり、医学部教授、同学部長となる。
 1927年、第7回熱帯病学会(インド)に出席。
 1927年、京城大学総長に就任、在職2年7ケ月。

 フランクフルト以来の結核の化学療法研究を続けるベく準備が整った頃、思いがけない事態が発生して身辺は又にわかに多忙になった。いわゆる伝研移管問題の突発である。この年(1914)は私の生涯にとって最も感懐の探い年である。即に10月、伝研の文部省移管に際し当局と所信を異にして職を辞した北里先生に従い、同僚20余名と共に野に下ったのである。恩師エールリッヒ先生に事件の経緯を報告した。やがて頂いた御返事に、北里教授とその門下のこうむったこの度の不幸には同情に堪えない。詳しい事は判らぬが、事情は推察するに難しくない。学問上の問題が学界以外の力で左右されるのは東西に間々見られる遺憾事だ。元気を阻喪せずに将末を期してほしい。という意味の事が書かれてあり、次のドイツの格言が添えて自分を励まして下さった。
 Ehre verloren, nicloren Gold verloren, nichts verlorn Mut werlorn, alles verloren.
 名誉や財産を失ってもそれは何も失った事ではない、勇気を失ったらそれは凡てを失った事だ。

 1931年、京城大学総長辞任、北里研究所顧問。
 1936年、ハーバード大学名誉学位。
 1944年、文化勲章。
 1948年、日本学士院会員。
 1949年、仙台市名誉市民。
 1951年、文化功労賞。
 次に個人的な事頂をまとめる。
 1900年、山口県士族井街清顕の3女市子と結婚 (1901年 長男直、1905年 長女博子、1907年 次男亮、1909年 次女和子、1911年 3女治子、1915年 3男章, 1 917年 4男信男、1919年 4女祥子、誕生)
 1944年6月, 妻市子胃癌のため死亡(63歳)。同7月、長男 直 任地台湾より帰航の途長崎港外で遭難死亡(45歳)。1945年、郷里仙台に疎開、次いで宮城県坂元村(現山元町)に移る。1949年3月、3男 章 戦病癒えずして死亡(34歳)。
 1951年、満80歳の賀宴(北里研究所)。
 1957年、数えで米寿の祝年を迎えたが、1月中句より病床に臥し、同25日朝老衰のため永眠。28日告別式、29日仙台市葬、仙台市北山輪王寺に葬る。4月東京において北里研究所その他の主催で追悼会。

 私の幼い頃、郷里の仙台藩は辰の役に敗れて朝敵となり肩身の狭い思いをした。下級武士だった父は禄を失って家計は苦しかった。中学生の頃弟のために夏休みを小学読本の書写に過した事もある。不如意と窮乏の味は私の古い記憶につきまとっている。私がやがて80に手がとどく頃になって、祖国日本があのような姿に変わっていくのを見ねばならなかった。父を失った私の幼い孫達は、祖父の幼時にもまさる悲運と窮乏のうちに育てられた。まことに奇しき運命というより他ない。併し、あの時代を生きのびて、日の丸もひるがえり君が代を聞ける今日までに至ったのは、まずまず幸せと言うべきか。

 この80年の間に細菌学は驚くべき発展を成し遂げた。パストゥールが当時としては破天荒の学説だった病原微生物説を唱えたのは、私の生れた頃の事である。それから十余年の間に細菌学研究の基盤はほぼ出来上ったと言えよう。その細菌学がやがて免疫学を生み、血清学が岐れでた。一方伝染病学、疫学の方に枝分かれして公衆衛生学の大切な基礎になってがた。臨床面では初期の予防ワクチン、治療血清の研究が始まり、20世紀科学の華と言われる化学療法が開拓され、抗生物質の発見で更に躍進を続けている。

 微生物の世界も、動物界では原生動物からプロトッオアへ、植物界ではバクテリアからリケッチアへ、リケッチアからウイルスへ、ウイルスから更に生物無生物の境界域まで広がってきた。而して之等一切を包含する奥底には生命現象の本元があり、遺伝学や高分子化学とも関連して、そこは新しい生命科学の色々な分野が拓かれようとしている。自分の様な老人には展望もきかぬまでに拡がってしまった。私の学生時代衛生学の一部分の様に思われていた細菌学が、かくも末広がりに弥栄えてきたのを眺めては、うたた感懐に堪えぬと言うより他ないのである。


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イナゴ捕りが金銭と引き換えられた途端に遊びは賃労働に転換する

白い雲と青い空と山と湖(凍結中)がある諏訪湖の風景

新型コロナウイルスと肺炎疾患を考える-その資料一覧 №2-

説明する児玉龍彦氏(東大先端研がん代謝PT)
児玉龍彦さん(東大先端研がん代謝PT)と金子勝さん(立教大特任教授)にうかがう最新の新型コロナ情報。なんと、日本人を含め東アジア沿岸部は、SARS以降に今回のウイルスに根幹の似たウイルスに暴露し免疫を持っている人が多いのかもしれないという仮説が出てきました。そして、ウイルスの特徴から感染後に重症化する人を見分けてケアし、軽症者の重症化を防ぐ手立ても見えてきました。そのような状況の中で、どうしたら感染を制御して社会生活・経済生活を再開できるのか、それを考えます。収録は、2020年5月16日(デモクラシータイムス)

新型コロナウイルスで死亡した人は世界全体で276,815人(2020年5月10日時点)

新型コロナウイルスと肺炎疾患を考える

新型コロナウイルス感染症で体温計が市場から消えた
百貨店が休業し、ホテルに客が行かない、経済が休んでしまう

新型インフルエンザ薬タミフル誤計量と天秤の改善措置

新型コロナウイルスと肺炎疾患を考える

滋賀県計量協会の平成32年新春賀詞交歓会 2020年1月24日(金)開かれる

計量計測関係の2019年新年会関係の諸行事。

川崎市計量協会2019年初春懇親会開く1月22日、川崎駅前の煌蘭で
「大変革時代における川崎の産業まちづくり」(講師は前川崎市副市長三浦淳氏)を聴く

川崎市の産業と経済と人の生活を知る(横田俊英)
副題「大変革時代における川崎の産業まちづくり」(講師は川崎市産業振興財団理事長三浦淳氏・前川崎市副市長)講演の内容と聴いた印象。


静岡県計量協会2019年(平成31年)新年情報交換会1月17日(木)開かれる

「計量団体・業界・機関合同賀詞交歓会」が1月9日、東京都千代田区のグランドアーク半蔵門で開く。

滋賀県計量協会の平成31年新春賀詞交歓会 2019年1月16日(水)開かれる

京都府計量協会の平成31年新年交歓会 2019年1月9日(水)開かれる

「計量計測データバンク」サイトマップ
measure and measurement data bank of saite map