新 野鳥歳時記 イワヒバリ
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新 野鳥歳時記 イワヒバリ
八ヶ岳の赤岳付近の岩場で人を恐れずに岩から岩への飛び回るイワツバをみるとここは高山なのだと思います。赤岳山頂は標高2,899 mありますから十分に高山です。八ヶ岳に雷鳥はおりません。イタチが雷鳥を襲うか知りませんがキツネがいれば雷鳥は数を減らすことでしょう。イタチより大きいと思われる動物の糞を何度もみております。
八ヶ岳はイワヒバリが多く生息する山域です。2500mを越える山の一番高いところで見かける野鳥の代表がイワヒバリです。スズメより一回り大きなずんぐりとした茶色の体、灰色の頭部をもち、コロ・コロ、フィ・フィという声を発して岩稜帯で餌をついばみます。
イワヒバリは人を恐れない鳥です。歩くのに疲れて休憩している傍でコロ・コロ、フィ・フィと啼いて寄ってきますから、手を出せば捕まえられそうですが、イワヒバリは間合いを知っていてサッと距離をとります。いつかの夏、剣山に登ったときにはイワヒバリの声がずっと聞こえており、この啼き声に励まされての登山となりました。
イワヒバリの生態調査が進んでおります。最近発表された資料では、イワヒバリは雄雌数羽の集団で育雛するというものがありました。交尾も特定のカップルでおこなうものではないといいます。高山の生息条件の厳しいところで繁殖する野鳥にはこの方式が都合がいいからでしょうか。
私がイワヒバリと邂逅するのは中部山岳地帯の八ヶ岳、剣岳などの高山地帯ですが、冬場は高度をずっと下げた地帯に移動するといいます。秩父の三峰山には冬場に現れるということであり、地元の人々はイワスズメと呼んでいます。
夏にイワヒバリに出会える人は元気な人です。イワヒバリが迎えてくれる山に出かけてみたらいかがでしょう。
山の高いところで見かける野鳥は限られております。里山や平地でみる野鳥は種類が多いので覚え切れません。イワヒバリの有難いことはそれをイワヒバリとすぐに確認できることです。
新 野鳥歳時記 イワヒバリ