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私の履歴書 高徳芳忠(たかとく・よしただ)

私の履歴書 高徳芳忠(たかとく・よしただ)(日本計量新報デジタル版)
神戸大学計測工学科をでて製鉄会社で計量管理の仕事をした男の記録 -その12-2- 牧師と教会の人々
私を育ててくださった他大学の関西学院小林信雄氏ほかの偉い先生方



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私の履歴書 高徳芳忠(たかとく・よしただ)(日本計量新報デジタル版)
神戸大学計測工学科をでて製鉄会社で計量管理の仕事をした男の記録 -その12-2- 牧師と教会の人々
私を育ててくださった他大学の関西学院小林信雄氏ほかの偉い先生方

牧師と教会の人々

私を育ててくださった他大学の関西学院小林信雄氏ほかの偉い先生方

 私が1955(昭和30)年に洗礼を受けた甲東教会は、卒業した西宮高等学校がある阪急甲東園の近くにあり大抵は自転車で通った。

 また、同じ地域には関西学院大学があり、当時の牧師はここの神学部助教授の小林信雄先生で、新約聖書学が専門であった。抱擁力に満ちた立派な方であり、後には学部長になった。私に聖書の読み方を紐解いてくださった最初の先生であり、今も指導を受けている。この先生の弟子に千田さんという当時の教会に派遣されていた神学生(後に京都産業大学の倫理学の教授になられた)がいて、椎名麟三とドストエフスキーについて熱情をこめて語ってくれた。教会の近くにあった小林先生のお宅にも通ったが、この千田神学生の仁川の下宿にもよくお邪魔したものである。

 1958(昭和33)年に神戸大学に入学した時も、小林先生が神学生共々すき焼きをご馳走して祝ってくれた。そして入学後はもっと大っぴらに関西学院に通うようになった。高校時代の友達で関西学院の学生であった友は、「お前、神戸大学ではなかったのか?」と聞くほどであった。私は暇を見つけては、文学部と神学部の講義を覗いていたのである。

 文学部には後に院長になられた久山康という教授が「学生兄弟団」というグループを指導しており、ここにもよくお世話になった。偉い先生方に囲まれた夏の研修会では、憧れの椎名麟三さんにも会うことができた。 椎名さんはその後1年振りに会ったとき「君少し痩せたかね」と声を掛けて下さったので、僕が「昨今は運命を考えています」と答えると、氏は「それはしんどい」と同情を示し、励まして下さった。

 小林先生を中心とする、これらの方々は文学によって耕された人生において、キリストを人生論的に語ってくれたのであり、それが若かりし自分には、砂漠でのオアシスの如く、しみいるように受け取れたのだと思っている。

関西学院の小林信雄先生に「お嫁さんが欲しくなりました」と話す

 後に卒業・就職し、千葉の独身寮で日々を送るようになってからも、関西学院の小林信雄先生にはお世話になった。

 1年365日稼動しっぱなし、盆・正月も休み無しの製鉄所では正月出勤はもっぱら独身者の受け持ちであった。その代り「晩は料理で一杯やりましょう」と誘われ、先輩ご夫妻に見送られて寮に帰る道すがら自分も結婚をしようか、と思った。

 1年半振りに西宮に帰省して、早速小林先生を訪ね、「私もお嫁さんが欲しくなりました」と告白。先生は「君のお嫁さんだったら、必死になって探さねば」と言ってくださった。その結果、1964(昭和39)年(東京オリンピックの年)甲東教会で先生ご夫妻と我々は共にバージンロードを歩くことになった。

結婚式 1964(昭和39)年 甲東教会にて。

1964(昭和39)年(東京オリンピックの年)甲東教会で
先生ご夫妻と我々は共にバージンロードを歩くことに。

 若き時代の、先生達のご指導は、実存的な存在としての私の誕生を育み、その流れは今に至っても続いているのである。実に有り難い導きだと言わざるを得ない。

師から教えを受けたドイツの神学者ボンヘッファーのこと

 浪人の頃から始まった千田神学生との交わりも、退職後まで続いた。残念ながら2002(平成14)年に千田さんが他界されたので終わったが、その後奥さんから沢山の本を頂き現在も大切に読ませてもらっている。

 師から習い始めたのがD・ボンヘッファー(ナチのヒットラー暗殺計画に加担し投獄、処刑されたドイツの牧師兼神学者)であった。昨今はその志を継いで、頂いたこれらの本を読んでいる。

 浪人のころ、千田さんに「高徳君、決して出来心を起すなよ」と言われたことがある。真意は「牧師になるとは言い出すなよ」ということ、なっても良いがその前に「飯が食える職を身に着けておけ」ということであった。ご自身も京都産業大学にて牧会的な仕事はやっておられたが、倫理学の研究と講義はしっかり受け持っておられたと聞く。もとより“物造り”に憧れていた私には全くその気はなかったが、誠に友情に溢れた忠告であったと今もって感謝している。

 もう一つの交わりに神戸大学のYMCAなるものがあり、ここを通して全国的な学生YMCAにも通じていた。

(つづく)

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神戸大学計測工学科をでて製鉄会社で計量管理の仕事をした男の記録-その1-はじめに
西宮高校から神戸大学の計測工学科に進み川崎製鉄千葉製鉄所で計量の仕事を始める

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神戸大学計測工学科をでて製鉄会社で計量管理の仕事をした男の記録-その2-我が家と計量の係わり
祖父の高徳純教が「はかり屋」を始め社名に「メートル」を用いた気概に敬服

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神戸大学計測工学科をでて製鉄会社で計量管理の仕事をした男の記録 -その3-「異人さん」と「神戸メートル協会」
母は大阪の船場の商家の生まれで、“こいさん”(末娘)として育った

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神戸大学計測工学科をでて製鉄会社で計量管理の仕事をした男の記録 -その4- 父(忠夫)のはかり屋「高徳衡機(株)」
裕福な青年期を過ごした父は祖父が始めた「はかり屋」の跡を継いだ

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神戸大学計測工学科をでて製鉄会社で計量管理の仕事をした男の記録 -その5- 私の誕生は1936(昭和11)年9月である
私が誕生したのは神戸の御影という阪急とJRに挟まれた静かな住宅街であった

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神戸大学計測工学科をでて製鉄会社で計量管理の仕事をした男の記録 -その6- 1943(昭和18)年、私は魚崎小学校に入学した
疎開列車は家族揃って城崎温泉に湯治に行ったときと同じ流線形の蒸気機関車

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神戸大学計測工学科をでて製鉄会社で計量管理の仕事をした男の記録 -その7- 1高徳家の由来
酒醸造や両替商を営みかつ庄屋でもあったのが我がご先祖、姫路藩ご用達となり苗字帯刀を許されたらしい

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神戸大学計測工学科をでて製鉄会社で計量管理の仕事をした男の記録 -その8- 疎開地・丹波での小学生時代
疎開先で雑音と音声の途切れる玉音放送をラジオ屋の前で聞き後で戦争に負けたのだと教えられた

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神戸大学計測工学科をでて製鉄会社で計量管理の仕事をした男の記録 -その9- 田畑を耕し薪採りをした中学時代
高校1年生になる1952年までの10年疎開地に居着くことに 1949年に湯川博士のノーベル物理学賞

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神戸大学計測工学科をでて製鉄会社で計量管理の仕事をした男の記録 -その10- 父のはかり屋への復帰
私は京都府立福知山高校入学後の3学期に編入試験を受けて兵庫県立西宮高校に転校した

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神戸大学計測工学科をでて製鉄会社で計量管理の仕事をした男の記録 -その11- 西宮での高校生活
2・3年生の担任は英語教師である「英語は丸覚えなり」と指導され、これに従って何とか様になった

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神戸大学計測工学科をでて製鉄会社で計量管理の仕事をした男の記録 -その12- 文学への傾倒
浪人時代お金はない。参考書代が小説代に化けていった。父は「芳忠には小説を読ませるな」と。

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神戸大学計測工学科をでて製鉄会社で計量管理の仕事をした男の記録 -その12-2- 牧師と教会の人々
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