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夏至冬至を環状列石に記し計数器を手にしていた縄文人
(縄文時代後期の秋田県鹿角市・湯環状列石にみる数の概念の記録)

 夏至冬至を環状列石に記し計数器を手にしていた縄文人(縄文時代後期の秋田県鹿角市・湯環状列石にみる数の概念の記録)



夏至冬至を環状列石に記し計数器を手にしていた縄文人
(縄文時代後期の秋田県鹿角市・湯環状列石にみる数の概念の記録)



夏至冬至を環状列石に記し計数器を手にしていた縄文人(縄文時代後期の秋田県鹿角市・湯環状列石にみる数の概念の記録)

秋田県鹿角市の縄文後期、大湯環状列石遺跡の全景。


不ぞろいな分銅状の石製品ものの頭部に穴が
あけられて紐(ひも)が通されている。(中列)


数を表記する土版と数を示す土版。1から5までがある。


数を表記する土版と数を示す土版。1から5までがある。裏側には3が二つで6を示す。


土版には数字を表記する窪みが付けられている。


青森県教育庁参事・文化財保護課長岡田康博氏は縄文人が35㎝の
縄文尺を用いていたことを遺構がその倍数であることなどを根拠に説
明する。建物は35㎝を長さの単位として構築されていたことを示す図。


青森県教育庁参事・文化財保護課長岡田康博氏は縄を肘に巻いて
いくとおおよそ35㎝の長さになる。これを単位とした、と説明する。


青森県教育庁参事・文化財保護課長岡田康博氏は大湯環状列石から出土した
土版を三内丸山遺跡に写真展示し、縄文人が数の概念を備えていたことを説く。


(タイトル)
夏至冬至を環状列石に記し計数器を手にしていた縄文人
(縄文時代後期の秋田県鹿角市・湯環状列石にみる数の概念の記録)


(本文)

 秋田市の日の出が一番遅いのは1月2日で7:01、この日の日の入りは16:26。日の出が一番早いのは6月20日で4:11、この日の日の入りは19:11。2018年の場合である。冬至ころ、そして夏至のころの日の出日の入りである。縄文人は自然と深いかかわりをもって生きていた。青森市にある三内丸山遺跡では栗の栽培をしていた。秋田県にある縄文人の集落においても同じようなことであったろう。

 春になるとフキノトウが萌えワラビ、ゼンマイなど山菜が生える。粟やヒエなども栽培していた痕跡がある。日の長さや気温によって自然の動きを知ること神経をかたむけていたことを示すのが環状列石である。秋田県の縄文遺跡にこれがよくみられる。夏至の日に陽が沈む方向を確かめていた。24節季というがそれに似たようなことを縄文人は環状列石を暦代わりにしていた。

 日本において規模が大きく明瞭な形で発掘されたのが現在の秋田県鹿角市にある大湯環状列石である。大湯環状列石(おおゆかんじょうれっせき)は、秋田県鹿角市十和田大湯にある縄文時代後期の大型の配石遺跡だ。遺跡は1931年(昭和6年)に発見された。130mほど隔てた野中堂環状列石、万座環状列石の二つの環状列石を主体とする縄文時代後期(4千年ほど前)の大規模な遺跡。

 1989年(昭和60年)には大湯環状列石から縄文人の文化あるいは文明を知る大きな手掛かりになる出土品があった。それが鹿角市の地元では「どばん君」と呼んでいるスマートホンほどの大きさの計数器である。縄文時代の計数器「どばん君」(どばんくん、土版君)は人の顔を形どった版面の表に1、2、3、4、5を示す窪みを付けている。裏には3に相当する窪みを2列つくって6を表記している。

 鹿角市の関係者が縄文時代の計数器「どばん君」(どばんくん、土版君)の窪みの解説をしている。また鹿角市と遠くはない青森市の三内丸山遺跡には縄文文明を象徴する発掘物として「どばん君」を遺跡館内に写真掲示している。三内丸山遺跡発掘調査が始まった1992年から遺跡に携わる青森県教育庁参事・文化財保護課長岡田康博氏(1957年青森県生まれ)は縄文人が35㎝の縄文尺を用いていたことを遺構がその倍数であることなどを根拠に説明するかたわら、鹿角市の大湯環状列石から出土した縄文時代の計数器「どばん君」によって、縄文人が確かな計数概念を備えていたことを説いている。

 野中堂環状列石の規模は径44m、万座環状列石は径52m。二つの環状列石に使われている石のほとんどは石英閃緑ヒン岩で、環状列石の東約7㎞にある安久谷川から運ばれてきた。発掘調査により、環状列石を構成する配石遺構は「配石墓」であり、その集合体である環状列石は「集団墓」であることが判明している。

 野中堂環状列石、万座環状列石はいずれも100基以上の配石遺構の集合体で、外帯・内帯とよばれる二重の環状で構成されている。いわゆる「日時計状組石」はそれぞれの環状列石の中心からみて北西側にあり、外帯と内帯の間に位置している。

 環状列石隣接地の発掘調査のにより、それぞれの環状列石を取り囲むように掘立柱建物、土坑、貯蔵穴、遺物廃棄域(もの送りの場)が同心円状に広がっていることがわかった。また環状列石周辺や台地縁の発掘調査も進んでおり、万座環状列石の北東・北西側台地縁からは竪穴住居、北東50m地点からは環状配置の掘立柱建物群、野中堂環状列石南側30m地点からは配石遺構群が発見されている。

 発掘調査がすすんで多くの遺構とともに多量の縄文土器、石器、土製品、石製品が出土した。土器は、後期前葉から中葉に作られたもので、一般的には「十腰内式土器」と呼ばれるが、花弁状の文様やS字を横に連続して施文したものなどは「大湯式土器」とも呼ばれている。

 縄文時代後期になると、用途に合わせたさまざまな形の土器が作られるようになった。大湯環状列石で多く出土した「片口土器」は、この遺跡を代表するひとつ。また環状列石が作られたこの時期は、土偶、キノコ形土製品、動物形土製品、足形付土版などの土製品や、石棒、石刀などの石製品といった祭祀に関係するとみられる道具がたくさん作られていた。土偶や足形付土版は子孫繁栄や子どもの成長を祈り、キノコ形土製品、動物形土製品は豊作を祈り、感謝する祭祀に使用されたものと考えられる。

 冒頭に秋田市の冬至と夏至のことを引き合いにした。大湯環状列石には、夏至の日の入りと冬至の日の出に合わせた石の配置がみられ、また墓や子供の成長を祈る遺物が存在する。このことから季節の変わり目や人生の節目には祭りや儀式が行われたと考えられている。出土品は縄文時代の祭りや儀式の一端を物語るものである。

 夏至の日の入りと冬至の日の出に合わせた石の配置による大湯環状列石によってこの地に暮らした縄文人は暦をもっていて、なおかつ計数器としての土版をこしらえていた。数の概念を備えていたことが明らかである。

 大湯環状列石出土品は325点であり、うち土器26点、石器1点、土製品196点、 石製品102点である。土版の計数器のことは上に示した。気がかりな石製品が大湯ストーンサークル館に5点展示されている。不ぞろいな分銅状の石製品ものの頭部に穴があけられて紐(ひも)が通されている。棒の一端に分銅状の石製品を掛けて、もう一方に何かを吊るせば棒ハカリになる。計量あるいは計測は比べることでもあるから質量の比較もまた行われていたものと想像をたくましくする。木製品は残りにくい。骨も残りにくい。石器と土器は残りやすい。

 「数を記録した土版と縄文人の数の概念の有り様」の記事のうち土版の出土した場所は秋田県鹿角市の場所はを大湯環状列石(おおゆかんじょうれっせき)遺跡です。三内丸山遺跡から出土したという説明は誤りに付き訂正いたします。

取材先と参考資料
大湯ストーンサークル館
大湯環状列石とは
どばんくん(土版君)とは
かづの縄文の風協議会
鹿角市役所
三内丸山遺跡の概要
三内丸山遺跡


夏至冬至を環状列石に記し計数器を手にしていた縄文人
(縄文時代後期の秋田県鹿角市・湯環状列石にみる数の概念の記録)


数を記録した土版と縄文人の数の概念の有り様

三内丸山遺跡

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