計量法の解説
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計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(11) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(11) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(目次) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(10) 筆者 高原隆
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計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(11) 筆者 高原隆
筆者は計量行政職員であり現職時に作成した文章です。その後に計量法令は変更になっており、変更のある部分には編集部で注意書きをしております。元になっている文章は 計量計測データバンク「計量法の読み方」 ですので、本文に疑問がある場合には 「計量法の読み方」 を開いて確かめてください。この文章は計量法を理解するための古典ともいえる内容になっております。なお 「計量法の読み方」 が編集の都合によってPGFファイルですので、そのhtlm版として、本稿を作成いたしました。新聞紙面と併せてご利用ください。また経済産業省の穂オームページに掲載の次のページ計量制度の概要(METI/経済産業省)などで内容を確認してください。 「計量法の読み方」(https://www.keiryou-keisoku.co.jp/yomikata/ver.4-101022/yomikata-zenfile20170421.pdf)(計量計測データバンク編集部)
(見出し)
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-筆者 高原隆
(本文)
はじめに----------3
1、 計量法の目的----------4
1-1、計量法の目的とは----------4
1-2、計量法の目的と諸規定----------4
1-3、明示されていない目的----------5
2、定義等----------6
2-1、「計量」と「計量単位」----------6
2-2、「取引」及び「証明」----------7
2-3、「計量器」と「特定計量器」----------10
2-4、製造、改造、修理----------14
2-5、計量器の校正、標準物質、標準物質の値付け----------15
3、計量単位----------18
3-1、メートル条約----------18
3-2、SI単位----------20
3-3、法定計量単位----------22
3-4、非法定計量単位に関する規制----------25
4、適正な計量の実施----------37
4-1、正確な計量----------37
4-2、商品の販売に係る計量----------39
4-3、計量器等の使用----------46
5、定期検査----------53
5-1、定期検査制度----------53
5-2、指定定期検査機関----------69
6、正確な特定計量器等の供給----------81
6-1、正確な計量器の供給----------81
6-2、製造----------82
6-3、修理----------87
6-4、販売----------93
6-5、家庭用特定計量器----------96
6-6、譲渡等の制限----------100
6-7、特殊容器----------101
7、検定等----------110
7-1、検定----------110
7-2、型式承認----------136
7-3、指定製造事業者----------149
7-4、基準器検査----------160
7-5、指定検定機関----------177
8、計量証明の事業----------186
8-1、計量証明事業者制度とは----------186
-1-
8-2、計量証明事業者制度----------188
8-3、計量証明検査----------202
8-4、特定計量証明事業者制度----------210
9、適正な計量管理----------227
9-1、計量士----------227
9-2、適正計量管理事業所----------238
10、計量器の校正等----------247
10-1、トレーサビリティ制度(JCSS)----------247
10-2、公的な計量標準の設定と供給----------254
10-3、民間の計量標準の設定と供給(校正事業者登録制度)----------263
10、雑則----------274
11-1、報告----------274
11-2、立入検査----------278
11-3、計量行政審議会----------287
11-4、地方分権改正----------292
11-5、行政手続と不服申立て----------305
11-6、中央省庁再編(中央省庁等改革)に伴う改正----------313
11-7、その他----------317
計量法の解説
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(10) 筆者 高原隆
からの続き。
従って修理をしたときは、経済産業省令(施行則15条)で定めるところにより、これに表示を付することができる。
② ①の表示には、その修理をした年を表示するものとする。
③ 何人も、①に規定する場合を除くほか、特定計量器に①の表示又はこれと紛らわしい表示を付してはならない。
<法50条>
届出製造(修理)事業者は、一定期間の経過後修理が必要な特定計量器として政令(施行令12条)で定めるもの(8器種)について、省令(施行則14条)で定める一定の修理をしたときは省令(施行則15条)で定める表示を付すことができる。
この一定期間の経過後修理が必要な特定計量器については、型式承認表示の付されたものの再検定の際に、省令で定める修理表示が付されていないと、検定の合格条件である「構造に係る技術上の基準」(法71条1項1号)に適合するものと見なされない。(法71条2項括弧書)
一定期間の経過後修理が必要となる特定計量器
法50条1項の政令で定める特定計量器は、別表3第1号イ、ロ、ハ(1)及びホ並びに第2号から第5号までに掲げるものとする。<施行令12条>
政令で定める特定計量器については、水道メーター、温水メーター、ガスメーター、積算熱量計、最大需要電力計、電力量計、無効電力量計、燃料油メーターの一部(自動車給油用)の8機種が定められている。(※燃料油メーターについては、平成11年に追加された。)
修理の基準
法50条1項の経済産業省令で定める基準は、次のとおりとする。
1) ごみ、さび、不要な油等が付着しているかどうかを点検し、付着している場合は、これを除去すること。
2) 塗装のはく離又は変質があるかどうかを点検し、必要な場合は、これを補修すること。
3) 表記が不鮮明なものでないか、又は誤認のおそれがないかどうかを点検し、必要な場合は、これを補修すること。
4) 次の表の上欄(a~e)に掲げる特定計量器に応じ、同表下欄に掲げる部品に摩耗、腐食その他の劣化又は損傷があるかどうかを点検し、必要な場合は、検定証印等の有効期間の満了までに劣化又は損傷により構造に影響を及ぼすことのないように補修又は取替えを行うこと。ただし、次の表の上欄に掲げる自動車等給油メーターについては、経済産業大臣が別に定める点検等の基準に適合する場合はこの限りでない。
a)水道メーター及び温水メーター
回転・しゅう動部品、電子回路部、表示機構、パルス発信機構、パッキン、電池
b)自動車等給油メーター
回転・しゅう動部品、電子回路部、表示機構、パルス発信機構、ホース・ノズル、調整機構
c)ガスメーター
膜、回転・しゅう動部品、電子回路部、表示機構、パルス発信機構、パッキン、電池
d)最大需要電力計、電力量計、無効電力量計
-91-
入力変換回路、電子回路部、電圧コイル、電流コイル、回転部品、調整機構、表示機構、パルス発信機構、電力開閉機構、電池
e)積算熱量計
回転・しゅう動部品、感温部、信号線、電子回路部、表示機構、パルス発信機構、パッキンチ、電池
5) 経年的に摩耗、腐食その他の劣化が生じる部品として、研究所又は日本電気計器検定所が型式の承認のときに指定した部品の取替えを行うこと。
6) 前二号に掲げる部品以外の部品であって、特定計量器の構造に影響を及ぼすものに摩耗、腐食その他の劣化又は損傷があるかどうかを点検し、必要な場合は補修又は取替えを行うこと。
<施行則14条1項>
4)のただし書については、自動車等給油メーターについて経済産業大臣が別に定める点検等の基準に適合する場合に限って、修理義務を免除するという意味である。
施行則14条1項4号ただし書の規定による点検等を行ったときは、経済産業大臣が別に定める方法により、検定の申請を行うものとする。
<施行則14条2項>
施行則1項4号ただし書の「経済産業大臣が別に定める点検等の基準及び検定の申請方法等」については、「計量法施行規則の規定に基づき経済産業大臣が定める自動車等給油メーターに係る点検等の基準等について」(平成11年、通商産業省告示608号)により、定められている。
自動車等給油メーターの修理義務免除(施行則14条1項4号ただし書)
自動車等給油メーターの再検定時の修理義務免除規定については、平成9年~13年における検定の有効期間見直しの際に、業界団体の強い働きかけにより実現したものである。
有効期間の見直し検討については、当時の政府全体の規制緩和推進計画(平成9年3月28日閣議決定)に基づき、経済産業省の計量行政審議会で取り組まれていたものであり、年次計画として対象を5グループに分け、平成9年~13年度までの5年間かけて年度ごとに検討が行われた。
燃料油メーターについては、第2グループとして平成10年度に検討され、この検討の中で法50条に基づく修理義務についても併せて議論された。その結果、小型車載等を除き有効期間(5年から7年へ)の延長と修理義務を課すことが決定され、平成11年11月1日より実施されることとなった。
この法50条に基づく修理義務については、業界団体の申し入れにより、経済産業大臣が定める点検等の基準等に適合する場合は免除される措置が追加され、検定の申請方法などが告示として定められた。
修理義務が免除される条件(告示608号)
修理義務が免除されるには、器差検査及び構造検査について、計量士の指導の下に適正計量管理事業所又は届出製造(修理)事業者が毎年一回継続して検査し、器差が検定公差を超えないことなどが条件となる。
この場合の適正計量管理事業所は、検査の結果を帳簿に記載して届出製造(修理)事業者に送付し、届出製造(修理)事業者は当該計量器に「点検済表示」(施行則15条2号イ)を付する。
適正計量管理事業所又は届出製造(修理)事業者は、規定の帳簿様式(自動車等給油メーター点検記録帳簿様式)に記載事項を記載保存し、再検定の際に前回検定以降の検査の結果を記載した帳簿を検定申請書に添付する必要がある。
-92-
この規定の実態としては、修理義務(部品交換等)が免除されない計量器に比べ修理点検費用等の検定時の費用負担が軽くなるためであるが、適正計量管理事業所の指定を受けている一部地域(東京、大阪、等)の石油業協同組合の組合員(給油取扱所)が対象となっている。
修理済表示
(修理済表示)
法50条1項の表示(以下「修理済表示」という。)は、次の各号に定めるところにより付するものとする。
① 修理済表示を付する方法は、スタンプ(容易に消滅しないインクを用いたものに限る。)、打ち込み印、押し込み印、すり付け印、焼印又ははり付け印とする。
② 修理済表示の形状は、次のとおりとする。この場合において、次のイ及びロの円内の数字は、修理を行った年を表すものとする。
イ 点検のみをした場合
ロ 補修又は取替えをした場合
③ 修理済表示の大きさは、直径18ミリメートル以上とする。
④ 修理済表示には、当該点検又は補修を行った届出製造事業者又は届出修理事業者の名称、登録商標(商標法 (昭和34年法律第127号)2条5項の登録商標をいう。)又は経済産業大臣に届け出た記号(検則7条3項1号の様式6により届け出たものに限る。)を表示すること。
⑤ 修理済表示を付する特定計量器の部分は、特定計量器の見やすい箇所とする。
<施行則15条>
6-4販売
6-4-1事業の届出
製造(修理)事業者によって製造(修理)された計量器は、最終的には販売事業者を通じてユーザーに引き渡される。計量法では、この販売事業者についても販売上の一定の知識を有することが求められるため、一定の特定計量器について届出を義務付けている。
政令(施行令13条)で定める特定計量器の販売(輸出のための販売を除く。)の事業を行おうと
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する者は、経済産業省令で定める事業の区分(2号において単に「事業の区分」という。)に従い、あらかじめ、次の事項を、当該特定計量器の販売をしようとする営業所の所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。ただし、届出製造事業者又は届出修理事業者が法40条1項又は法46条1項の規定による届出に係る特定計量器であってその者が製造又は修理をしたものの販売の事業を行おうとするときは、この限りでない。
1) 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
2) 事業の区分
3) 当該特定計量器の販売をしようとする営業所の名称及び所在地
<法51条1項>
政令で定める特定計量器の販売(輸出のための販売を除く)事業の届出は、省令で定める事業の区分(質量計)に従い、営業所の所在地を管轄する都道府県知事に対して行う。(※販売事業については、平成5年改正以前の旧計量法では知事への登録制であった。届出制に改められた理由については、計量器の使用方法が比較的容易になったため、専門知識を有する特定の者に限定する必要がなく、一定の説明義務等が果たせれば、広く一般人にも販売事業が行える仕組みにしたとされている。)
(事業の届出)
① 法51条1項の事業の届出をしようとする者は、様式8による届出書をその営業所の所在地を管轄する都道府県知事に提出しなければならない。
② 都道府県知事は、住民基本台帳法30条の8(1項)の規定により前項の届出をしようとする者に係る同法30条の5(1項)に規定する本人確認情報を利用することができないときは、当該届出を使用とする者に対し、住民票の写しを提出させることができる。
<施行則17条>
事業の区分
省令で定める販売事業の区分は、「質量計」となっている。
(事業の区分)
法51条1項の経済産業省令で定める事業の区分は施行令13条1号に掲げる非自動はかり、分銅及びおもりとし、事業の区分の略称は質量計とする。<施行則16条>
(※事業の区分は、以前は「体温計及び血圧計」と「質量計」の2区分であったが、平成10年改正により「質量計」の1区分に改められた。)
届出対象の特定計量器
届出の対象については、製造及び修理の事業については全ての特定計量器が対象となっているが、販売の事業については政令(施行令13条)で定める特定計量器に限られている。
政令で定める特定計量器は、非自動はかり(家庭用計量器を除く全てが対象)、分銅及びおもりとなっている。(※販売届出対象の質量計については、旧計量法では「一部はかり」(ひょう量150kg以下の手動はかり及び指示はかり(これらの用に供される分銅、おもりを含む))とされていたが、平成5年改正により「家庭用計量器を除く全ての非自動はかり」に対象が拡大された。)
(販売の事業の届出に係る特定計量器)
法51条1項の政令で定める特定計量器は、非自動はかり(施行令14条各号(家庭用計量器)に
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掲げるものを除く。)、分銅及びおもりとする。<施行令13条>
(※届出対象計量器は、以前は「ガラス製体温計」「抵抗体温計」「アネロイド型圧力計」が対象であったが、平成10年改正により削除された。)
届出製造(修理)事業者による販売(法51条ただし書)
届出製造(修理)事業者は、その事業の届出に係る特定計量器を製造(修理)したものの販売については、届出を要さず販売事業を行うことができる。
承継、変更の届出等、廃止の届出
法41条、法42条1項及び2項並びに法45条1項の規定は、法51条1項の規定による届出をした者に準用する。この場合において、法42条1項及び法45条1項中「経済産業大臣」とあるのは、「都道府県知事」と読み替えるものとする。<法51条2項>
販売事業の「承継」「変更の届出等」「廃止の届出」については、製造(修理)事業の規定を準用し、同様の手続となる。
(準用)
施行則7条1項及び2項並びに9条1項の規定は、法51条1項の事業の届出をした者に準用する。この場合において、施行則7条1項中「法42条1項」とあるのは「法51条2項において準用する法42条1項」と、施行規7条1項及び9条1項中「経済産業大臣」とあるのは「届出を受けた都道府県知事」と、施行則7条2項中「法41条」とあるのは「法51条2項において準用する法41条」と、「法42条2項」とあるのは「法51条2項において準用する法42条2項」と、施行則9条1項中「法45条1項」とあるのは「法51条2項において準用する法45条1項」と読み替えるものとする。<施行則18条>
6-4-2遵守事項
販売事業者には、製造(修理)事業では「検査義務」が課せられているのに対して、販売事業について「販売事業者が遵守すべき事項」が定められている。
① 経済産業大臣は、経済産業省令(施行則19条)で、法51条1項の政令で定める特定計量器の販売に当たりその販売の事業を行う者(以下この条において「販売事業者」という。)が遵守すべき事項を定めることができる。
② 都道府県知事は、販売事業者が前項の経済産業省令で定める事項を遵守しないため、当該特定計量器に係る適正な計量の実施の確保に支障を生じていると認めるときは、当該販売事業者に対し、これを遵守すべきことを勧告することができる。
③ 都道府県知事は、前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。
④ 都道府県知事は、①の経済産業省令で定める事項を遵守しないため②の規定による勧告を受けた販売事業者が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることがで
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きる。
<法52条>
販売事業者が遵守すべき事項については、省令(施行則19条)により定められ、この遵守事項を課すことが届出規制の意義でもある。
(遵守事項)
法52条1項の経済産業省令で定める販売事業者が遵守すべき事項は、次のとおりとする。
1) 届出に係る特定計量器の性能及び使用の方法、当該特定計量器に係る法の規制その他の当該特定計量器に係る適正な計量の実施のために必要な知識の習得に努めること。
2) 届出に係る特定計量器を購入する者に対し、適正な計量の実施のために必要な事項を説明すること。
<施行則19条>
1)の規定は、「譲渡等の制限」対象の計量器では検定証印等のないものの販売禁止規定があるため、こうした知識の習得に努めることが必要なためである。
2)の規定は、定期検査対象の計量器では購入者にその旨を周知する必要があること、などから設けられたと言われている。
6-4-3販売事業者が行える修理
旧計量法では、省令で定める検査設備を有する販売事業者が知事に届け出た場合、省令で定める一定の修理を付帯事業として行える規定があった。平成5年改正の新計量法では、これらの規定はないが、新計量法施行日(平成5年11月1日)において旧法の届出をし付帯事業としての修理を行っている販売事業者については、新法以降もこれらの修理ができるように配慮する規定が設けられている。
具体的には、省令(施行則附則5条)で定める検査設備と修理事項について知事に届け出た場合、当該販売事業者は従来どおりの修理行為を行うことができる。(※修理事業の届出は必要。)
(修理の事業)
① 計量法(昭和26年法律207号。以下「旧法」という。)50条2項の届出をした同条1項の販売事業者であって、法の施行の際現に当該届出に係る修理の事業を行っている者は、施行則13条(準用規定)において準用する施行則5条1項(製造事業の区分)の規定にかかわらず、次の表の上欄に掲げる事業の区分ごとに修理の事業の届出をすることができる。
② ①の届出をした者についての法46条1項4号の器具、機械又は装置であって経済産業省令で定めるものは、次の表の上欄の事業の区分に応じ、同表の下欄に掲げるとおりとする。
<施行則附則5条>
販売事業者が行うことができる修理の具体例としては、「棒はかり」の懸垂皿、皿ひも、皿環、つりかぎ、つり環、取緒、取緒環又は不定量おもりのおもり糸若しくはおもり環の補修又は取替え、目盛標識の復元などとなっている。
6-5家庭用特定計量器
6-5-1家庭用計量器制度の経緯
家庭用計量器制度は、昭和47年改正により登場したものである。当時の計量行政審議会では、家庭用計量器の品質の適正化について、婦人団体等の消費者側から粗悪品が出回っているとの指摘やその恐れがあるとして、不満の声が挙がっていた。審議会答申では、こうした問題を放置することは計量行政
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全般の不信を招く恐れがあること、消費者には家庭用計量器の技術的な良否の識別能力がないことなどにより、消費者保護の立場から家庭用計量器の品質性能確保に対する施策を強化整備することとなった。
家庭用計量器制度は、国民生活に密着した計量器であることやこうした強い要望のあったことを踏まえて、指定家庭用計量器の「製造等における基準適合義務」を設けたものである。
なお、「家庭用計量器」は、平成5年改正により、「家庭用特定計量器」とされた。
6-5-2家庭用特定計量器制度
家庭用特定計量器制度の概略は、政令で指定した特定計量器について、国が一定の技術上の基準を設定する。事業者には、その遵守義務を課し、これに合致しているものに一定のマークを表示させ、そのマークが付されたもの以外の販売を禁止している。行政としての対応は、必要に応じて立入検査や試買検査等を行い、基準の遵守状況を監視することとされている。制度としては、検定制度と自主検査との中間的な位置づけとされている。
製造等における基準適合義務
主として一般消費者の生活の用に供される計量器は、取引又は証明に使用される計量器ではないため、検定を受ける必要はない。しかし、一定の特定計量器については、消費者保護の観点から、製造事業者等に特別の義務や制限を設けられている。
① 主として一般消費者の生活の用に供される特定計量器(法57条1項の政令で定める特定計量器を除く。)であって政令(施行令14条)で定めるものの届出製造事業者は、当該特定計量器を製造するときは、当該特定計量器が経済産業省令(施行則20条)で定める技術上の基準に適合するようにしなければならない。ただし、輸出のため当該特定計量器を製造する場合においてあらかじめ都道府県知事に届け出たとき、及び試験的に当該特定計量器を製造する場合は、この限りでない。
② ①の政令で定める特定計量器の輸入の事業を行う者は、当該特定計量器を販売するときは、同項の経済産業省令(施行則20条)で定める技術上の基準に適合するものを販売しなければならない。ただし、輸出のため当該特定計量器を販売する場合において、あらかじめ、都道府県知事に届け出たときは、この限りでない。
<法53条>
①は、政令で定める特定計量器(家庭用特定計量器)の届出製造事業者について、製造等における基準適合義務(省令で定める技術上の基準)を規定している。
括弧書は、「譲渡等の制限に係る特定計量器」についても一般消費者の生活の用に供されるものであるが、譲渡等の前に検定が義務付けられているため、家庭用特定計量器の対象から除外したものである。
ただし書は、製造事業者が輸出のために製造する場合(知事への届出が必要)又は試験的に製造する場合について、当該義務の除外を規定したものである。
②は、輸入事業者が家庭用特定計量器を販売する場合についても、①の適合義務を課すものである。
ただし書は、輸出のために家庭用特定計量器を販売する場合(知事への届出が必要)について、当該義務を除外したものである。
対象計量器
家庭用特定計量器の対象は、ヘルスメーター(一般体重計)、ベビースケール(乳児用体重計)、キッ
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チンスケール(調理用はかり)の3種類となっている。
(製造等における基準適合義務に係る特定計量器)
法53条1項の政令で定める特定計量器は、次のとおりとする。
1) ひょう量が20kgを超え、200kg以下の非自動はかりであって、専ら体重の計量に使用するもの
2) ひょう量が20kg以下の非自動はかりであって、専ら乳幼児の体重の計量に使用するもの
3) ひょう量が30kg以下の非自動はかりであって、専ら調理に際して食品の質量の計量に使用するもの
<施行令14条>
対象計量器は、以前は「ガラス製温度計」「バイメタル式温度計」「繊維製巻尺」が対象となっていたが、製造技術の向上等から一定の精度が確保されたこと、厳密な計量としてではなく目安用として扱われること、贈答品やアクセサリーとして用いられる要素が強いとして、平成5年改正の際に規制から除外された。
なお、現在の対象計量器(3種類)が残された理由については、価格競争の激化により品質低下の恐れがあること、消費者からの苦情(不良品が多い)があること、日常生活に密着し国民の信頼維持の視点から重要であること、などであるとされている。
技術上の基準
家庭用特定計量器の技術上の基準は、省令(施行則20条)により、家庭用特定計量器として必要かつ十分な構造(表記事項、機構、性能)及び器差が具体的に定められている。
(家庭用特定計量器の技術上の基準)
① 法53条1項の経済産業省令で定める技術上の基準は、別表2の上欄に掲げる特定計量器の区分に応じ、同表の下欄に掲げるとおりとする。
② 検則2条の規定は、①の別表2中の用語について準用する。
<施行則20条>
この技術上の基準については、取引又は証明用ではなく目安用であることや一般家庭への普及という観点から低価格となっていることから、検定の合格条件よりやや緩いものとなっている。(※平成5年改正においては、輸送時における衝撃及び振動に対する器差の影響を考慮し、耐久性の向上を図るための検査項目(衝撃、振動)が追加されている。)
輸出及び輸入の届出
(家庭用特定計量器の輸出の届出)
① 法53条1項の政令で定める特定計量器(以下「家庭用特定計量器」という。)の届出製造事業者は、輸出のため当該家庭用特定計量器を製造しようとするときは、同項ただし書の規定により、様式9による届出書を当該家庭用特定計量器の製造を行う工場又は事業場の所在地を管轄する都道府県知事に提出しなければならない。
② 家庭用特定計量器の輸入の事業を行う者は、輸出のため当該家庭用特定計量器の販売をしようとするときは、法53条2項のただし書の規定により、様式10による届出書を当該家庭用特定計量器の販売を行う営業所の所在地を管轄する都道府県知事に提出しなければならない。
<施行則21条>
①は、輸出のための家庭用特定計量器を製造する場合であらかじめ都道府県知事に届け出たとき、及
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び試験的に製造する場合には、当該義務は課されない。
②は、家庭用特定計量器の輸入事業者についても、輸出のため販売しようとするときは、都道府県知事に届け出なければならない。
表示
① 法53条1項に規定する届出製造事業者又は同条2項に規定する者は、当該特定計量器を販売する時までに、経済産業省令(施行則22条)で定めるところにより、これに表示を付さなければならない。
② ①の規定は、法53条1項ただし書又は2項ただし書の規定の適用を受けて製造し、又は販売される特定計量器及び検定証印等が付された特定計量器については、適用しない。
③ 何人も、①に規定する場合を除くほか、特定計量器に同項の表示又はこれと紛らわしい表示を付してはならない。
<法54条>
家庭用特定計量器の届出製造事業者及び輸入事業者は、その販売時までに当該家庭用特定計量器に省令で定める表示を付さなければならない。
②は、法53条1項ただし書及び同2項ただし書の場合並びに検定証印等が付されたものについて、表示義務の対象から除外したものである。
③は、これらの場合のほかは、当該表示又はこれと紛らわしい表示を付してはならないことを規定している。
(表示の方法)
法54条1項の表示は、次の各号に定めるところにより、付さなければならない。
1) 表示の方法は、刻印、印刷又ははり付けによるものとする。
2) 表示の形状は、次のとおりとする。
3) 表示の大きさは、直径8ミリメートル以上とする。
4) 表示を付す家庭用特定計量器の部分は、家庭用特定計量器の見やすい箇所とする。
<施行則22条>
法53条1項の政令で定める特定計量器の販売の事業(同項に規定する届出製造事業者又は同条第2項に規定する者が行うその製造又は輸入をした特定計量器の販売の事業を除く。)を行う者は、法54条1項の表示又は検定証印等が付されているものでなければ、当該特定計量器を販売し、又は販売の目的で陳列してはならない。ただし、輸出のため当該特定計量器を販売する場合において、あらかじめ、都道府県知事に届け出たときは、この限りでない。<法55条>
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家庭用特定計量器の販売事業者は、当該表示及び検定証印等が付されたものでなければ、当該家庭用特定計量器を販売又は販売目的で陳列してはならない。
ただし書は、輸出のため販売する場合で知事に届け出た場合は除外する規定である。
改善命令
経済産業大臣は、法53条1項に規定する届出製造事業者又は同条2項に規定する者が同条1項又は2項の規定に違反していると認めるときは、その者に対し、その製造し、又は販売する特定計量器が同条1項の経済産業省令(施行則20条)で定める技術上の基準に適合するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。<法56条>
家庭用特定計量器の届出製造事業者及び輸入事業者が基準適合義務に違反している場合は、大臣はその者に対して、製造又は販売する特定計量器が技術上の基準に適合するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
なお、技術上の基準適合義務は、届出製造事業者が当該計量器を製造する場合及び輸入事業者が当該計量器を販売する場合に課せられるものであり、使用段階又は流通段階にあるものには適用されない。従って、具体的な手順の例としては、流通段階や使用段階において技術上の基準を大きく下回るような製品が見つかったときに、事業者への立入検査等により基準適合義務違反の事実が判明した場合、改善命令が出されることとなる。
6-6譲渡等の制限
6-6-1「譲渡等の制限」規定の趣旨
「譲渡等の制限」とは、政令で定める特定計量器について、取引又は証明に使用すると否とを問わず、検定証印等の付されたものでなければ、当該特定計量器の譲渡、貸し渡し、修理を委託した者への引渡しをしてはならない規定である。
検定制度は、社会に供給される個々の計量器の精度や性能を法的に保証するための制度であり、取引又は証明に使用される特定計量器については「使用の制限」(法16条)規定が適用される。
検定合格前の「譲渡等の制限」規制は、計量器の製造技術が比較的低かった時代には全ての計量器が規制の対象であったが、計量器の製造技術水準が向上し適正計量思想が比較的徹底した段階において、取引又は証明上の計量に使用する特定計量器に限って適用されるようになった。(※全ての検定対象計量器に検定合格前の譲渡等の制限が課せられていたのは、昭和41年改正以前である。)
検定合格前の「譲渡等の制限」が残された計量器については、人命に深くかかわりを持つものであり、粗悪品が流通する場合の影響が大きく、一般市民が広く使用し取締り等による精度や性能のチェックが困難であることから、適正な計量器のみを供給する必要があるとされている。
6-6-2譲渡等の制限の内容
① 体温計その他の政令(施行令15条)で定める特定計量器の製造、修理又は輸入の事業を行う者は、検定証印等(法72条2項の政令で定める特定計量器にあっては、有効期間を経過していないものに限る。次項において同じ。)が付されているものでなければ、当該特定計量器を譲渡し、貸し渡し、又は修理を委託した者に引き渡してはならない。ただし、輸出のため当該特定計量器を譲渡し、貸し渡し、又は引き渡す場合において、あらかじめ、都道府県知事に届け出たときは、
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計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(目次) 筆者 高原隆
計量法の解説- 計量法の構造と機能(目的)-(11) 筆者 高原隆
計量制度の概要(METI/経済産業省)
計量法における単位規制の概要
非法定計量単位による目盛等を付した計量器の販売の届出について
非法定計量単位による目盛等を付した計量器の販売の承認について
計量法における計量器の規制の概要
特定計量器に関する規制の概要
家庭用特定計量器(体重計・調理用はかり)に関する規制の概要
計量士(国家試験・資格認定・登録)
適正計量管理事業所制度
計量法における商品量目制度の概要(特定商品(食品など)の量目公差・内容量表記など)
特殊容器(丸正びん)制度
計量証明の事業
計量標準
法定計量における国際整合化の推進(国際法定計量機関)
普及啓発(計量記念日)
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計量計測トレーサビリティのデータベース(サブタイトル 日本の計量計測とトレーサビリティ)
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計量計測トレーサビリティのデータベース(計量計測トレーサビリティ辞書)
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