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吉野彰氏リチウムイオン電池の開発功労で2019年ノーベル化学賞
(計量計測データバンクニュース)

(Akira Yoshino 2019 Nobel Prize in Chemistry for development of lithium-ion batteries)

吉野彰氏リチウムイオン電池の開発功労で2019年ノーベル化学賞
【関連情報のデータベース】ノーベル化学賞吉野彰氏2019年(計量計測データバンク)

吉野彰氏リチウムイオン電池の開発功労で2019年ノーベル化学賞(計量計測データバンクニュース)

2019年ノーベル化学賞に吉野彰氏、ジョン・グッドイナフ氏(米国)、スタンリー・ウィッティンガム氏ら3氏。リチウムイオン電池を開発の功績で

 スウェーデンの王立科学アカデミーは9日、2019年のノーベル化学賞を、スマートフォンなどに使用されているリチウムイオン電池を開発したとして、旭化成名誉フェローの吉野彰氏ら3人に授与すると発表した。吉野氏とともに受賞したのは、ジョン・グッドイナフ氏(米国)とスタンリー・ウィッティンガム氏(英国)。グッドイナフ氏は97歳で最高齢の受賞。

 王立科学アカデミーは「この軽量で再充電可能なパワフルな電池は現在、携帯電話からラップトップコンピューター、電気自動車までさまざまな製品に使われている」と声明した。

 「この充電式電池は、携帯電話やラップトップといったワイヤレス電子機器の基礎を築いた」とし「電気自動車から再生可能エネルギーの備蓄まであらゆるものに利用され、化石燃料ゼロの世界を可能としている」と述べている。

 ウィッティンガム氏は、1970年代初めにリチウムイオン電池の第1号を開発。その後、グッドイナフ氏が、電池の能力を高め、吉野氏は、リチウムイオン電池を安全に使えるようにした。

リチウム電池の原理、開発の経緯と活用の舞台

 リチウムイオン電池は、正極活性物質としてリチウムイオン含有金属酸化物、負極活性物質としてリチウムイオンを吸蔵・離脱し得る炭素質材料を用いた充電可能な二次電池(充電が可能な電池)で、現在では、スマートフォン、ノートパソコン、ビデオカメラ、ハイブリッド自動車、産業機械、航空機等様々な分野において不可欠な電源となっている。

 リチウムイオン電池開発の大きな一歩は、1979年に英国オクスフォード大学教授のジョン・グッドイナフ氏と同大学に留学していた東京大学の水島公一氏により、電極活物質としてリチウムコバルト酸化物が利用できることが発見されたことによる。次いで旭化成工業(現・旭化成)の吉野彰氏らは、グッドイナフらが発見したリチウムコバルト酸化物を正極活物質とし、白川英樹氏が発見したポリアセチレンを負極活物質とした二次電池を試作し、リチウム二次電池としての効果を確認した。

 さらに、ポリアセチレンに代えて、特定の結晶構造を持つ炭素材料を負極活物質とする二次電池を開発し、現在のリチウム二次電池の基礎を確立した。一方、独自のアプローチにより開発を進めていたソニーは、西美緒氏らによりハード・カーボンを負極活物質とするリチウム二次電池を開発し、1991年にソニー・エナジー・テックにより世界に先駆けて出荷を開始した。

 先行して大規模な設備投資を行ったソニーに続いて、1992年には旭化成が東芝・東芝電池との合弁会社エイ・テイーバッリーを設立して生産を開始し、1994年には三洋電機・松下電器産業(現・パナソニック)らによる生産も開始され、20世紀の世界のリチウムイオン市場は日本製品が圧倒するものとなった。

 リチウムイオン電池は、それまでの二次電池を大きく上回る4V以上の起電力を持ち、エネルギー密度が大幅に向上したことから、二次電池に最も求められる小型・軽量化を可能とした。これにより、それまでの主役であったニッカド電池やニッケル水素電池などを瞬く間に凌駕し、小型二次電池の主役となった。また、ビデオカメラ、ノートパソコン、携帯電話等、大容量二次電池を求める製品が次々と出現したこともリチウムイオン電池市場を急激に拡大させるものとなった。2015年のリチウムイオン電池の世界市場は2兆1502億円に達した。

 2014年、全米技術アカデミーは、「小型で軽量のモバイル電子機器を可能としたリチウムイオン二次電池の設計」の功績により、元ソニーの西氏、旭化成の吉野氏らに、「工学のノーベル賞」とも言われるチャールズ・スターク・ドレイパー賞を授与している。

技術開発のイノベーションへの貢献

 発明協会によるイノベーション100選の一つにリチウムイオン電池があげられている。発明協会によるイノベーション10選は内視鏡、インスタントラーメン、マンガ・アニメ
新幹線、トヨタ生産方式、ウォークマン®、ウォシュレット®、家庭用ゲーム機・同ソフト、発光ダイオード、ハイブリッド車である。

イノベーション100選は次のとおり。
A、戦後復興期(年代順)
魚群探知機、溶接工法ブロック建造方式、ビニロン、フェライト、ファスナー、銑鋼一貫臨海製鉄所。
B、高度経済成長期(年代順)
自動式電気炊飯器、トランジスタラジオ、コシヒカリ、回転寿司、公文式教育法、小型(軽)自動車、スーパーカブ、NC 工作機械、ヤマハ音楽教室、接ぎ木(野菜)、座席予約システム、リンゴ「ふじ」、人工皮革、電子式卓上計算機、電子レンジ、自脱型コンバインと田植機、積層セラミックコンデンサ、カラオケ、自動改札システム、柔構造建築、郵便物自動処理装置、ヤクルト、レトルト食品、LNGの導入、クオーツ腕時計、ブラウン管テレビ、脱硫・脱硝・集じん装置、省エネ化、電界放出形電子顕微鏡、産業用ロボット、CVCCエンジン、コンビニエンスストア。
C、安定成長期
オンラインセキュリティシステム、電力用酸化亜鉛形ギャップレス避雷器、炭素繊維・炭素繊維複合材、移動電話(自動車電話、音声符号化等)、高張力鋼、家庭用ビデオ(カセット)、宅急便、三元触媒システム、イメージセンサー(CCD・CMOS)、日本語ワードプロセッサ、全自動横編機、フォトレジスト、レーザープリンター、G 3ファクシミリ、半導体露光装置(ステッパー)、オーロラビジョン、イベルメクチン、インバーターエアコン、カーナビゲーションシステム、ATM、CD・CD -R、X線フィルムのデジタル化
ネオジム磁石、3.5インチフロッピーディスク、直接衛星放送サービス、家庭用カムコーダ、UMAMI、ラップトップ・ノートパソコン、プレハブ住宅、酵素入りコンパクト洗剤(アタック)、光通信用半導体レーザ(DSMレーザ)・光ファイバー製造法(VAD法)、ポリエステル合成繊維(シルク調等)、フラッシュメモリ、薄型テレビ、スタチン、ハイビジョン放送、IHクッキングヒーター、中空糸。
D、現代まで
液晶ディスプレイ、リチウムイオン電池、タクロリムス、スーパーコンピュータ、道の駅
光触媒、QR コード、デジタルカメラ、DVD、(第2世代の)シールド工法、非接触IC カード技術、拡印刷(PETボトル用無菌充填システム)、ドネペジル塩酸塩、高効率石炭火力発電、長大橋建設技術、太陽電池セル、多機能携帯電話(i-mode、カメラ付きなど)、携帯電話等デジタル情報暗号化技術、リサイクル・リユース。


リチウムイオン電池の原理など

リチウムイオン電池(別表記:リチウムイオンバッテリー)Weblio辞書


リチウムイオン二次電池。Wikipedia。
リチウムイオン二次電池(リチウムイオンにじでんち、lithium-ion rechargeable battery)は、正極と負極の間をリチウムイオンが移動することで充電や放電を行う二次電池である。正極、負極、電解質それぞれの材料は用途やメーカーによって様々である。

リチウムイオン電池の豆知識 - リチウムイオン電池の豆知識
正極と負極の間でリチウムイオンが行き来し充電と放電が可能で、繰り返し使用することができるので、リチウムイオン二次電池とも呼ばれます。 その構造は正極・負極と電解質で構成され、一般に、正極にはリチウムの酸化物が、負極には黒鉛(グラファイト)などが、電解質には液状またはゲル状のリチウム塩の有機電解質が用いられています。


図はリチウムイオン電池の原理の模式図

吉野彰。Wikipedia。
吉野 彰(よしの あきら、1948年(昭和23年)1月30日 - )は、日本の技術者、化学者(電気化学)。学位は博士(工学)(大阪大学・2005年)。旭化成株式会社名誉フェロー、名城大学大学院理工学研究科教授、技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究委センター理事長、株式会社KRI特別顧問、九州大学グリーンテクノロジー研究教育センター訪問教授。

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