日本で唯一かあるいは随一の観光客を呼ぶことができる黒四ダム。天空にある湖でもある。 
 
黒部第4ダムは観光のために放水する。黒部第4発電所はダムから下流12キロメートルのところにある。
 
 
黒部第4ダムの歩道。向こうに見える羽は北アルプスの霊峰の立山(雄山、3,003メートル)
 

日本で唯一かあるいは随一の観光客を呼ぶことができる黒四ダム。天空にある湖でもある。

 太平洋戦争に走った大きな要素が石油の確保であった。石炭ら石油を取る方法はまだなく航空機も戦車も戦艦も石油がなければ動かなかった。米国の石油に依存していながら中国戦線を拡大し更に手を広げる愚行が進行していた。

 立山の黒四ダムは戦時中に電力確保のために計画されていた。戦後の復興期に工事がなされて富山県と長野側の地域はダム建設景気に沸いた。日本の電力は原子力発電なしで動いていくのだろうか。原発と縁を切ることで新たな技術開発の道を拓けるのであればうれしい。黒部第四ダムを見物してそのようなことを考えた。

 黒四ダムは日本で唯一かあるいは随一の観光客を呼ぶことができるダム施設である。東京電力の梓ダムの発電所は水力発電をしていながら政府の方針にしたがって電子力発電を宣伝していた。水力発電所も火力発電所も原子力発電所もコイルが巻かれたローターを回して電気を発生させる。水を水蒸気にしてローターを回すことでは火力発電も原子力発電も同じである。

 人はそのようなことを考えているがダムにはアルプスの山々に降った雨が流れ込む。花が咲き蝶が舞いライチョウが向山から立山の雄山に飛ぶ。ここは高山で里の風土とは違う。天空の湖が黒四ダムであり、ロープウエイとケーブルカーに乗れば2400mの高山植物の花園に至る。

(写真と文章は旅行家 甲斐鐵太郎)(誤字、表現の不適切さなどについてはご容赦ください)

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