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計量計測データバンク ニュースの窓-315-
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計量計測データバンク ニュースの窓-315-
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├計量計測データバンク ニュースの窓-315-日本銀行 経済・物価情勢の展望-日銀金利政策発表-および日本銀行総裁記者会見の内容(2025年7月
31 日)
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├計量計測データバンク ニュースの窓 目次
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├金融政策決定会合の運営 : 日本銀行 Bank of Japan
写真は日本銀行政策決定会議のもよう。
日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(全員一致)。無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.5%程度で推移するよう促す。
開催日時――7月30日(水)14:00~15:51。7 月31日(木)9:00~11:50。
出席委員――議長 植田和男(総裁)、氷見野良三(副総裁)、内田眞一 (副総裁)、野口 旭 (審議委員)、以下同 中川順子、高田創、田村直樹、小枝淳子、増一行。
上記のほか、30日と31日には以下が出席。
7 月30日 財務省 前田努(大臣官房総括審議官)、内閣府 林幸宏(内閣府審議官)(14:00~15:51)。
7 月31日 財務省 斎藤洋明(財務副大臣)、内閣府 瀬戸隆一(内閣府副大臣)(9:00~11:28、11:34~11:50)
公表日時
当面の金融政策運営について――7月31日(木)11:57
経済・物価情勢の展望(基本的見解)――7月31日(木)11:57
(リード)(見出し)日銀金利政策発表 2025年7月31日
日銀は2025年7月31日、金融政策決定会合で現状の金融政策の維持を決めた。政策金利は現在の0.5%程度に据え置いた。日米間の関税交渉が合意に達した一方で、国内外の経済・物価に及ぼす影響について「不確実性は高い状況が続いている」との見解を示した。また、日銀は最新の景気予測となる「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」も公表した。コメなどの食料品が値上がりし、足元の物価が上振れていることから、2025年度の物価上昇率の見通しを前年度比2.2%から2.7%に引き上げた。実質GDP成長率の見通しは0.5%から0.6%に上方修正した。
(本文と見出し)
2025年7月 31 日 日本銀行 経済・物価情勢の展望
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2507a.pdf
【基本的見解】 <概要>
先行きのわが国経済を展望すると、各国の通商政策等の影響を受けて、海外経済が減速し、わが国企業の収益なども下押しされるもとで、緩和的な金融環境などが下支え要因として作用するものの、成長ペースは鈍化すると考えられる。その後については、海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、成長率を高めていくと見込まれる。
物価の先行きを展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、2025年度に2%台後半となったあと、2026 年度は1%台後半、2027年度は2%程度となると予想される。このところの米などの食料品価格上昇の影響は減衰していくと考えられる。この間、消費者物価の基調的な上昇率は、成長ペース鈍化などの影響を受けて伸び悩むものの、その後は、成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。
前回の見通しと比べると、成長率については概ね不変である。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比については、2025 年度は、食料品価格上昇の影響を主因に上振れているが、2026年度と2027年度は概ね不変である。
リスク要因としては様々なものがあるが、とくに、各国の通商政策等の今後の展開やその影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性は高い状況が続いており、その金融・為替市場やわが国経済・物価への影響については、十分注視する必要がある。
リスクバランスをみると、経済の見通しについては、2025年度と2026年度は下振れリスクの方が大きい。物価の見通しについては、概ね上下にバランスしている。
(本基本的見解は、7月30、31日開催の政策委員会・金融政策決定会合で決定されたものである。)
1.わが国の経済・物価の現状
わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。海外経済は、各国の通商政策等の影響を受けて一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば緩やかに成長している。輸出や鉱工業生産は、一部に米国の関税引き上げに伴う駆け込みとその反動の動きがみられるが、基調としては横ばい圏内の動きを続けている。企業収益は改善傾向にあり、業況感は良好な水準を維持している。こうしたもとで、設備投資は緩やかな増加傾向にある。個人消費は、物価上昇の影響などから消費者マインドに弱さがみられるものの、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移している。住宅投資は弱めの動きとなっている。公共投資は横ばい圏内の動きとなっている。わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比をみると、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上昇の影響等から、足もとでは3%台前半となっている。予想物価上昇率は、緩やかに上昇している。
2.わが国の経済・物価の中心的な見通し
(1)経済の中心的な見通し
先行きのわが国経済を展望すると、各国の通商政策等の影響を受けて、海外経済が減速し、わが国企業の収益なども下押しされるもとで、緩和的な金融環境などが下支え要因として作用するものの、成長ペースは鈍化すると考えられる。
すなわち、輸出や生産は、海外経済の減速を背景に、弱めの動きになると見込まれる。こうした動きを受けて、企業収益も、高水準ながらも減少するとみられる。こうしたもと、設備投資は、緩和的な金融環境が下支え要因として作
(通商政策等に関しては、日米間の交渉が合意に至るなど、前向きな動きがみられている。もっとも、各国間の交渉や通商政策等の内外経済・物価に及ぼす影響を巡る不確実性は、高い状況が続いている。今回の展望レポートの中心的な見通しは、これまでの各国間の交渉状況を踏まえているほか、今後、グローバルサプライチェーンが大きく毀損されるような状況は回避されることなどを前提に作成している。なお、今後の各国の政策の帰趨や、それを受けた各国の企業・家計の対応次第で、経済・物価の見通しが大きく変化しうる点には注意が必要である。各政策委員は、既に決定した政策を前提として、また、先行きの政策運営については、市場の織り込みを参考にして、見通しを作成している。)
用するなか、人手不足対応やデジタル関連の投資、成長分野・脱炭素化関連の研究開発投資、サプライチェーンの強靱化に向けた投資は継続されると見込まれるが、海外経済減速の影響を受けて伸び率は鈍化すると見込まれる。雇用・所得環境をみると、経済の成長テンポは鈍化する中にあっても、女性や高齢者などの追加的な労働供給が見込みにくくなってくるもとで、労働需給は引き締まった状態が続くと考えられる。
こうしたもと、名目賃金は、当面は本年の春季労使交渉の結果等を踏まえて高い伸び率が続くと見込まれるほか、その後も、企業収益減少の影響を受けて伸び率を幾分鈍化させつつも、増加を続ける可能性が高い。個人消費は、物価上昇の影響で、当面は横ばい圏内の動きとなるものの、雇用者所得の増加が続くもとで、次第に緩やかな増加基調に復していくとみられる。この間、政府によるエネルギー代の負担緩和策や2025年度から実施される税制改正なども、個人消費を下支えすると考えられる。公共投資は横ばい圏内で推移し、政府消費は、医療・介護費の趨勢的な増加を反映し、緩やかに増加していくと想定している。
その後については、海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、わが国経済も成長率を高めていくと見込まれる。輸出や生産は、増加基調に復していくと考えられる。企業収益は内外需要の増加から改善していくとみられ、設備投資は、需要増に対応した能増投資もあって、増加傾向を続けると考えられる。雇用・所得環境をみると、人手不足感が強まるもとで名目賃金は再度伸び率を高め、個人消費は緩やかに増加していくと考えられる。
こうした見通しは、前回の展望レポートにおける見通しから概ね不変である。この間、潜在成長率は、政府による各種の施策の後押しなどもあって、デジタル化や人的資本投資の進展による生産性の上昇、設備投資の増加による資本ストックの伸びの高まりなどを背景に、緩やかに上昇していくとみられる。
(2)物価の中心的な見通し
消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、2025年度に2%台後半となったあと、2026 年度は1%台後半、2027年度は2%程度となると予想される。
(わが国の潜在成長率を、一定の手法で推計すると、足もとでは「0%台半ば」と計算される。ただし、潜在成長率は、推計手法や今後蓄積されていくデータに左右されるうえ、デジタル化の進展などに伴い生産性や労働供給のトレンドがどのように変化するかといった点を巡る不確実性も高いため、相当の幅をもってみる必要がある。)
このところの米などの食料品価格上昇の影響は減衰していくと考えられる。この間、消費者物価の基調的な上昇率は、成長ペース鈍化などの影響を受けて伸び悩むことが見込まれる。もっとも、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは維持され、その後は、成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、基調的な物価上昇率は徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。
こうした見通しを前回の展望レポートにおける見通しと比較すると、2025年度は、食料品価格上昇の影響を主因に上振れているが、2026年度と2027年度は概ね不変である。
消費者物価(除く生鮮食品)の見通しは、原油価格や政府による施策に関する前提にも依存する。原油価格については、先物市場の動向などを参考に、見通し期間終盤にかけて、緩やかに低下していく前提としている。エネルギー価格の変動の直接的な影響を受けない消費者物価(除く生鮮食品・エネルギー)の前年比は、このところの米などの食料品価格上昇の影響が徐々に減衰していくことに加え、成長ペース鈍化などの影響から、いったん2%を下回ると見込まれる。その後は、成長率が高まるもとで、2%程度で推移すると考えている。
物価の基調を規定する主たる要因について点検すると、労働や設備の稼働状況を表すマクロ的な需給ギャップは、振れを伴いつつも、改善傾向をたどっている。先行きの需給ギャップは、上記の経済の見通しのもとで、現状程度で推移したあと、見通し期間終盤にかけて、再び改善していくと予想される。この間、女性や高齢者による労働参加の増加ペースの鈍化もあって、労働需給はマクロ的な需給ギャップ以上に引き締まっている。こうしたもと、多くの業種で企業が労働の供給制約に直面しつつある状況を踏まえると、マクロ的な需給ギャップが示唆する以上に、賃金や物価には上昇圧力がかかるとみられる。
次に、中長期的な予想物価上昇率をみると、緩やかに上昇している。先行きについては、従来より積極化している企業の賃金・価格設定行動は維持され、人件費や物流費を含むコスト上昇を販売価格に反映する動きは継続すると見込まれるものの、成長ペースの鈍化などの影響を受けて伸び悩むとみられる。その後については、成長率が高まり、労働需給の引き締まりがより明確となるもとで、積極的な企業の賃金・価格設定行動は更に広がっていき、再度、予想物価上昇率は緩やかに上昇していくと考えられる。
3.経済・物価のリスク要因
(1)経済のリスク要因
上記の中心的な経済の見通しに対する上振れないし下振れの可能性(リスク要因)としては、主に以下の点に注意が必要である。
第1に、各国の通商政策等の動きやその影響を受けた海外の経済・物価動向である。通商政策等に関しては、日米間の交渉が合意に至るなど、前向きな動きがみられている。もっとも、各国間の交渉や通商政策等の内外経済・物価に及ぼす影響を巡る不確実性は、高い状況が続いている。これまで打ち出された各国の通商政策は、様々な経路を介して内外経済を下押しする方向に作用すると考えられる。広範な関税の導入はグローバルな貿易活動に影響を及ぼすとみられるほか、関税を含む政策の不確実性の高まりが、各国の企業や家計のコンフィデンスや国際金融資本市場に大きな影響を及ぼすと考えられる。これらの政策が内外経済に及ぼす影響やその程度については、今後の政策の帰趨にも大きく依存するため、その動向を十分に注視していく必要がある。この間、ウクライナや中東情勢等の帰趨次第では、海外経済への下押し圧力が高まる可能性がある。中国経済についても、不動産市場や労働市場における調整圧力が続くなか、先行きの成長ペースを巡る不確実性は引き続き高いほか、通商政策の影響も相俟って、一部の財における供給能力の過剰が世界経済・物価に及ぼす影響についても注意を払う必要がある。このほか、最近の米国や欧州等における財政拡張的な動きなどが、世界経済を押し上げる可能性にも留意する必要がある。
第2に、輸入物価の動向である。上記の各国の通商政策等の影響を受けて、グローバルに物流の混乱が生じたり、サプライチェーンの再構築などが進み、そのコストが嵩んだりするようなことがあれば、輸入物価が上昇し、国内需要を下押しする可能性がある。また、資源・穀物価格については、先行き、ウクライナや中東等を巡る地政学的な要因により、大幅に変動するリスクに引き続き注意が必要である。中長期的には、気候変動問題への各国の対応等を巡る不確実性もきわめて高い。また、輸入物価が大幅に上昇することがあれば、家計の生活防衛的な動きが一段と強まり、経済を下押しすることも考えられる。一方、輸入物価が下落すれば、経済が上振れる可能性もある。
第3に、やや長い目でみたリスク要因として、わが国を巡る様々な環境変化が企業や家計の中長期的な成長期待や潜在成長率に与える影響がある。感染症の経験や人手不足の強まり、脱炭素化に向けた取り組みや労働市場改革の進展などは、わが国の経済構造や人々の働き方を変化させるとみられる。人口動態の変化等に伴う人手不足感の強まりは、デジタル化などによる省力化投資の動きを加速させる可能性がある。一方、そうした資本と労働の代替が十分に進展しない場合には、一部の業種における供給制約によって成長率が下押しされるリスクがある。さらに、これまで打ち出された各国の通商政策はグローバル化の潮流に変化を及ぼしていく可能性があり、今後の各国の政策の展開次第では、そうした変化が急速に進むことも考えられる。
(2)物価のリスク要因
以上の経済のリスク要因が顕在化した場合には、物価にも影響が及ぶと考えられる。このほか、物価固有のリスク要因としては、以下の2つに注意が必要である。
第1に、企業の賃金・価格設定行動やそれらが予想物価上昇率に与える影響である。企業の賃金・価格設定行動は、従来よりも積極化しており、中心的な見通しでは、成長ペースが鈍化し、物価に対する下押し圧力として作用するもとでも、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは維持されると想定している。もっとも、今後の各国の通商政策等を巡り不透明感が高い状況が続くことがあれば、コスト削減に注力する傾向が強まる可能性がある。こうしたもと、物価上昇を賃金に反映する動きが弱まることも考えられる。一方、販売価格に賃金を反映する動きが想定以上に強まったり、先行き労働需給が引き締まった状況が続くとの見方が強まるもとで、賃金の上昇圧力が強まっていく可能性もある。こうしたもとで、中長期の予想物価上昇率の高まりを伴いつつ、賃金・物価とも上振れていくことも考えられる。この間、このところの米などの食料品価格上昇については、天候要因等の影響が大きく、消費者物価の押し上げ寄与は次第に縮小していくと想定している。もっとも、最近の価格上昇には、人件費や物流費を販売価格に転嫁する動きも相応に影響しており、企業の賃金・価格設定行動次第では、価格上昇が想定以上に長引く可能性もある。食料品は消費者の購入頻度が高いものであるだけに、価格上昇が長期化した場合には、家計のコンフィデンスや予想物価上昇率の変化を介して、基調的な物価上昇率に二次的な影響を及ぼしうる点にも留意が必要である。
第2に、今後の為替相場の変動や国際商品市況を含む輸入物価の動向、およびその国内価格への波及は、上振れ・下振れ双方の要因となる。各国の通商政策等の展開をはじめ世界経済の先行きを巡る不確実性は高く、これが供給サイドから輸入物価を上昇させたり、為替相場や国際商品市況を大きく変動させる可能性がある。この点、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある。
4.金融政策運営
以上の経済・物価情勢について、「物価安定の目標」のもとで、2つの「柱」による点検を行い、先行きの金融政策運営の考え方を整理する。
まず、第1の柱、すなわち中心的な見通しについて点検すると、消費者物価の前年比は、2025年度に2%台後半となったあと、2026年度は1%台後半、2027
年度は2%程度となると予想される。この間、消費者物価の基調的な上昇率は、成長ペース鈍化などの影響を受けて伸び悩むものの、その後は、成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。
次に、第2の柱、すなわち金融政策運営の観点から重視すべきリスクについて点検する。わが国経済・物価を巡るリスクとしては様々なものがあるが、とくに各国の通商政策等の今後の展開やその影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性は高い状況が続いており、その金融・為替市場やわが国経済・物価への影響については、十分注視する必要がある。リスクバランスは、経済の見通しについては、2025
年度と 2026 年度は下振れリスクの方が大きい。
物価の見通しについては、概ね上下にバランスしている。
(「物価安定の目標」のもとでの2つの「柱」による点検については、日本銀行「金融政策運営の枠組みのもとでの「物価安定の目標」について」(2013年1月22日)参照。)
金融面のリスクについてみると、不動産価格の上昇ペースには引き続き留意が必要であるものの、全体としてみれば、資産市場や金融機関の与信活動には過熱感はみられていない。わが国の金融システムは、全体として安定性を維持している。また、内外の実体経済や国際金融市場が調整する状況を想定しても、わが国の金融機関が充実した資本基盤を備えていることなどを踏まえると、全体として相応の頑健性を有している。そのうえで、各国の通商政策等を巡る不確実性が高い状況が続いていることを踏まえると、それが様々な経路を通じて金融システムに及ぼす影響については丁寧にみていく必要がある。
金融政策運営については、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、以上のような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。そのうえで、こうした見通しが実現していくかについては、各国の通商政策等の今後の展開やその影響を巡る不確実性が高い状況が続いていることを踏まえ、内外の経済・物価情勢や金融市場の動向等を丁寧に確認し、予断を持たずに判断していくことが重要と考えている。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。
以上
(参考)
2025~2027 年度の政策委員の大勢見通し ――対前年度比、%。なお、< >内は政策委員見通しの中央値。
(参考)
消費者物価指数
2025 年度
実質GDP
+0.5 ~ +0.7
消費者物価指数
(除く生鮮食品)
+2.7 ~ +2.8
(除く生鮮食品・エネルギー)
+2.8 ~ +3.0
<+0.6>
4月時点の見通し +0.4 ~ +0.6
<+0.5>
<+2.7>
+2.0 ~ +2.3
<+2.8>
+2.2 ~ +2.4
<+2.2>
2026 年度
+0.7 ~ +0.9
+1.6 ~ +2.0
<+2.3>
+1.7 ~ +2.1
<+0.7>
4月時点の見通し +0.6 ~ +0.8
<+0.7>
<+1.8>
+1.6 ~ +1.8
<+1.9>
+1.7 ~ +2.0
<+1.7>
2027 年度
+0.9 ~ +1.0
+1.8 ~ +2.0
<+1.8>
+2.0 ~ +2.1
<+1.0>
4月時点の見通し +0.8 ~ +1.0
<+1.0>
<+2.0>
+1.8 ~ +2.0
<+2.0>
+1.9 ~ +2.1
<+1.9>
<+2.0>
(注1)「大勢見通し」は、各政策委員が最も蓋然性の高いと考える見通しの数値について、最大値と最小値を1個ずつ除いて、幅で示したものであり、その幅は、予測誤差などを踏まえた見通しの上限・下限を意味しない。
(注2)各政策委員は、既に決定した政策を前提として、また先行きの政策運営については市場の織り込みを参考にして、上記の見通しを作成している。
(以上、pdfファイルからの文字おこしの過程で文字抜けがあるので正確な内容は上記のpdfファイルの元に照会すること。計量計測データバンク編集部)
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├日本銀行 総裁記者会見 ――2025年7月31日(木)午後3時30分から約70分 (2025年8月1日)
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk250801a.pdf
総裁記者会見 ――2025年7月31日(木)午後3時30分から約70分
(問)本日の金融政策決定会合の内容について、展望レポートの内容を含めてご説明をお願いします。
(答)まず本日の決定会合で、無担保コールレート・オーバーナイト物を0.5%程度で推移するよう促す、という金融市場調節方針を維持することを全員一致で決定致しました。次に、展望レポートを公表しましたので、これに沿って、経済・物価の現状と先行きについてご説明したいと思います。最初に、今回の見通しの前提についてです。通商政策に関しては、先日、日米間の関税交渉が合意に至りました。今回の合意は大きな前進であり、この間、米国との交渉に尽力された政府関係者の皆さまには、心より敬意を表したいと思います。今回の展望レポートの中心的な見通しは、日米 間の合意を含め、これまでの各国間の交渉状況を踏まえているほか、今後グローバルサプライチェーンが大きく毀損されるような状況は回避されることなどを前提に作成しました。経済についてですが、わが国の景気の現状は一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復していると判断しました。先行きについては、各国の通商政策等の影響を受けて、海外経済が減速し、わが国企業の収益なども下押しされるもとで、緩和的な金融環境などが下支え要因として作用するものの、成長ペースは鈍化すると考えられます。その後については、海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、成長率を高めていくと見込まれます。前回の展望レポートからの比較でみますと、成長率の見通しは概ね不変です。次に、物価ですが、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上昇の影響等から、足元では3%台前半となっています。物価の先行きですが、2025年度に2%台後半となった後、26年度は1%台後半、27年度は2% 程度となると予想されます。前回の展望レポートからの比較でみますと、25年度の物価見通しは、食料品価格上昇の影響を主因に上振れていますが、26、27年度の物価見通しは概ね不変です。消費者物価の基調的な上昇率は、成長ペース鈍化などの影響を受けて伸び悩むことが見込まれます。もっとも、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは維持され、その後は成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、基調 的な物価上昇率は徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には物価安定目標と概ね整合的な水準で推移すると考えられます。こうした見通しを巡るリスク要因は、様々なものがありますが、特に各国の通商政策等の今後の展開や、その影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性は高い状況が続いており、その金 融・為替市場やわが国経済・物価への影響については十分注視する必要があります。経済のリスクバランスですが、各国の通商政策等の影響を踏まえ、前回展望レポート同様、25年度と26年度は下振れリスクの方が大きいとみています。物価の見通しのリスクバランスは概ね上下にバランスしているとみています。次に、今後の金融政策運営についてですが、政策運営は、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえますと、以上のような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。そのうえで、こうした見通しが実現していくかについては、各国の通商政策等の今後の展開や、その影響を巡る不確実性が高い状況が続いていることを踏まえ、内外の経済・物価情勢や金融市場の動向等を丁寧に確認し、予断を持たずに判断していくことが重要と考えています。日本銀行は、2%の物価安定の目標のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて、適切に金融政策を運営していく方針です。
(問)幹事社から二点質問させて頂きます。一つ目は、日米の関税交渉がまとまり、日本経済にとって不確実性が低下したと、総裁も大きな前進という発言ありましたが、 関税措置が不確実性が低下した一方で、関税措置が日本経済に与える影響がなかなかみえない状況です。次の利上げに向けて重視して確認したい点はどういった点でしょうか。二点目は、基調的な物価について伺います。足元のインフレ率は3%を超え、この展望レポートでも、物価見通しを引き上げたかたちです。参議院選挙でも物価高対策が焦点となる中、前回と比べて基調的な物価は高まっていると考えているでしょうか。
(答)まず関税措置の影響のところのご質問ですが、ご指摘頂いた通り、先日の日米間の関税交渉の合意は、わが国経済を巡る不確実性の低下につながると考えています。それでも、いったん成長ペースが今後鈍化し、基調的な物価上昇率が伸び悩むという私どもの中心的な見通しに大きな変化はありません。また、これまでより低下したとはいえ、各国の通商政策等の影響に関する不確実性はなお高い状況が続いています。こうした中、私どもとしましては、これまで同様、経済・物価情勢が改善し、基調的な物価上昇率が高まっていくという見通しの確度やリスクを確認しながら、先行きの利上げの是非やタイミングを、毎回の決定会合において適切に判断していく方針です。その際、通商政策等の影響が各国の経済や国際金融資本市場にどのように表れてくるか、また、そのもとでわが国企業の賃金・価格設定行動における積極的な動きが途切れることがないかどうかといった点をはじめ、内外の経済・物価・金融情勢を幅広く丁寧に確認してまいりたいと考えています。次に、基調的な物価についてですが、これの評価に当たっては、いつも申し上げていることですが、各種の物価指標や人々の物価観を示す中長期的な予想物価上昇率、更には物価変動の背後にあるマクロ的な需給ギャップや労働需給、賃金上昇率など、経済・物価に関する様々な情報をみたうえで総合的に判断していく必要があります。より具体的に少し申し上げますと、一時的な変動の影響を受けにくい物価指標、例えば加重中央値やサービス価格のトレンドあるいは家計や企業、エコノミスト等の予想物価上昇率に関する指標等をみますと、なお2%を下回っています。しかし、 緩やかな上昇傾向を辿っています。また、労働需給は引き締まった状態が続いており、こうしたもとで、賃金上昇を販売価格に転嫁する動きも継続しています。こうした点を踏まえまして、基調的な物価上昇率は引き続き2%に向けて緩やかに上昇しているというふうに判断しています。先行きについては、経済の成長ペース鈍化などの影響を受けて、基調的な物価上昇率はいったん伸び悩むことが見込まれます。しかし、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくというメカニズムは維持され、その後は、成長率が高まるもとで、人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、基調的な物価上昇率は、2%に向けて徐々に高まり、見通し期間後半には物価安定目標と概ね整合的な水準で推移すると考えています。
(問)アメリカの関税政策の日本経済への影響について伺いたいんですけれども、こちら今後見極めていく場合にですね、大体どのくらいの期間を要するというふうに総裁はお考えでいらっしゃいますでしょうか。大体これ3か月くらいで分かるものなのか、それとも半年、1年くらい要するものなのか。あとですね、影響を見極めている間につきましては、こちら利上げだと金融政策変更の決断というのは難しいということになるのかどうかということでご認識を伺います。あともう一点、今回の展望レポートについてなんですけれども、25年度の物価は上方修正されまして、26、27年度は概ね同じとはいえ小幅に引き上がっているという状況であると思います。こうした物価の状況を踏まえまして、総裁としましては利上げの環境というのは整いつつあるというふうにお考えでしょうか。
(答)どちらも今後出てくるデータを、予断を持たずに丁寧にみていきたいというお答えになりますけれども、アメリカの関税政策の影響につきましては、もう少し詳しく申し上げれば、これまでのところ特に駆け込みとその反動の動きが何回にもわたって続くということが起こって、非常にデータがみにくくなっているかと思います。ようやく、少なくとも関税率のある程度の部分が落ち着きどころがみえてきたという点もありますので、今後ははっきりした影響が少しずつ出てくるという局面に入るかと思います。それがどれくらいの期間、どの指標をみないと分からないのかという点については、現時点ではなかなか確定的なことを申し上げにくいなと思います。早めに大きな影響が出て、それでなかなか大変だというふうに判断がつく場合もあるでしょうし、なかなか影響は出ない、しかし本当に出ないかどうか時間をかけてみるっていう場合もあるでしょうし、そこは予断を持たずに丁寧にみていきたいと思っております。それから、26年度と27年度のインフレ、私どものインフレ率見通しが、少し26年、 25から27(注1)ですね、上方修正になっている点に関するご質問だったと思いますけれども、25年度分はかなり大きく上方修正になっていますが、これはほとんど、米を含みます食料品価格のここまでの上昇を反映したものでございます。これが若干の時間がかかるかもしれませんが、今後インフレ率としては低下に向かうというふうに予想していますので、このインフレ率の上方修正だけをもって、金融政策がどっち側に左右されるというような種類のものではないというふうに考えています。
(問)二点お伺いします。物価の見通しのところで25年を大きく上方修正されたと。ただ、食品価格の上昇については、徐々に減衰していくという見通しを示されています。これまでと同様に一時的要因が大きいということですけども、一時的ではない可能性については、従来よりも高まっているというふうにお考えでしょうか。その場合、日銀の対応が後手に回る可能性があると思うんですけども、その辺はどのようにお考えかというところも併せてお願いします。もう一点、参院選の結果を受けて、減税政策や給付金の現実味が出てきていると思います。物価高対策ということですけども、物価には押し上げに効く可能性もあると思いますが、物価への影響についてどのようにお考えでしょうか。また、こうした財政拡張的な政策の評価についてですね、政府・日銀の共同声明などの観点から、総裁はどのようにお考えかという二点をお願いします。
(答)まず、食料品価格の上昇について、一時的と判断してよいかどうかというご質問だったと思いますが、申し上げましたように、インフレ率という意味では、今後低下していくというふうに考えています。そういう意味では一時的である。ただし、ここまでかなりの上昇がみられ、消費者心理にも、これはどっちに影響するか難しいところでございますが、消費者心理を悪化させる方向に働くというケースもあるでしょうし、インフレという面ではインフレが長く続いてしまうという方向に働く可能性もありますが、消費者心理あるいは予想物価上昇率に影響して、そこから例えば基調的なところにも影響するというリスクについては、常に意識しながらデータをみていきたいと思っております。それから、選挙の結果等も絡んで、今後の財政政策とその私どもへの影響というご質問だったと思いますが、いつも申し上げてますが、財政政策について直接的にコメントするのは差し控えさせて頂ければと思いますが、いずれにせよ、政策が決まりましたら、その経済あるいは物価への影響を他の要因とともに丁寧に検討し、そのうえで適切に金融政策を行っていくという姿勢に変わりありませんし、政府との関係ということで申し上げれば、引き続き密接に意思疎通を図っていくということでございます。
(問)一点目はですね、基調的物価についてお伺いします。伸び悩んだ後にまた回復する見通しということですけれども、今現状、総裁の認識としては既に伸び悩んでるような状況なのか。次のですね、利上げの判断をするときは伸び悩んでる状況であっても回復に向かうと確信ができれば利上げをするのか、それとも2%にですね、持続的・安定的にアンカーすると確信を持てたら次の利上げに踏み切るのか、その考えについて教えてください。二点目についてはETFの処分の方針について伺います。先日ですね、四半世紀近く続いた、こちらは金融システムの安定を目的としておりますけれども、銀行株の処分が完了致しました。これを受けてETFの処分について、この銀行株の処分をした方法だとかですね、それを参考にして今後検討されるのか教えてください。
(答)まず前段ですけれども、基調的物価の現状ですけれども、まだ関税の影響を受けて足踏みするという局面には入ってなくて、ごくゆっくりですけれども上昇が続いているというふうに思っております。それから、基調的物価と今後の政策との関係ということでは、本当にそれが2[%]に定着するまで待って動くというのではなくて、2[%]に到達していくという道筋、今でもそういう見通しを持っているわけですけれども、それの確度が上がるとか、見通しに自信が持てるということになるかどうかという、それもいろんな段階がありますが、ことの方がポイントになるかと思います。それからETFの処分については、ずっと申し上げてきてるように、時間をかけて検討させて頂いてる最中ですけれども、その検討にあたって、2002年以降の別の枠組みで買い入れた株式の処分が、7月(注2)に無事完了しましたので、関連はどうかというご質問だったと思いますが、私どもとしてはそちらで得た知見も生かして、ETFの処分の検討を進めたいと思っております。
(問)賃金を巡る環境に関してお伺いしたいんですけども、昨年は現状ほど大きな不透明もなくですね、12月にも判断できたと思うんですけども、結局今年の1月の利上げで、24年のときは3月に公表された連合の1回目の集計をみてゼロ金利解除とYCCをやめましたけれども、今回ですと、今年の物価は昨年より上なんで、賃上げの要因かと思うんですけど、人手不足もまた加わってると思います。一方で、展望レポートで言われている収益が下押しされるような影響の中で、更なる賃上げの蓋然性に関してですね、数年前よりも慎重な見極めが必要だと思うんですけど、経済の落ち込みの大きさが分からない中で、企業収益がどの程度落ち込むか分からない中で、それなりに賃金の上げ幅とか蓋然性の判断には時間がかかると思うんですけど、現状ではどのようにお考えかお伺いできればと思います。
(答)来年の春闘がどういう姿になるか、ある程度以上見極められるのはいつ頃かというご質問だと思うんですけど、なかなか確定的なことは申し上げられませんが、おっしゃったように人手不足とか、今年のインフレ率が高めであるということは、賃金にとっては上昇圧力として働くということだと思います。他方で、これもおっしゃいましたが、私どもも気にしていますが、今後、関税の影響を受けて、日本の企業収益、特に製造業のそれが下方に屈折していくということ、そしてそれの賃金への影響が懸念されます。ですので、そこはそれがどの程度の大きさ、強さになるのかというところは、丁寧にみていきたいと思っています。ただもう一つ申し上げるとすると、春闘で賃金をしっかり上げるという動きは複数年続いてきてますので、上げていくということがある種のノルムになりつつあるという点にも留意しておくことが必要かなと思っています。
(問)大きく二点伺います。まず一点目、インフレ下の金融政策運営なんですけれども、 現状、トランプ関税の影響で設備投資を手控えたり様子見したりする企業も少なくありませんが、今後、コロナ禍のペントアップ需要みたいなイメージで、企業の様子見姿勢ですとか、手控えたり、そういう行動が横並びで解けて、需要が過度に集 中して、法人周りの物価の上昇ペースが加速するリスクはないのか、その点を伺いたいのと、また関連して、実際の政策対応として暫く利上げをしていませんが、日銀が展望を見誤った場合は、これまでよりも利上げのペースを速めて調整していくことを想定して、今、政策判断をしているのか。今のちょっと逆の場面に対する質問なんですけれども、現状の認識を伺えればと思います。あと二点目は、デジタル通貨に関してですけれども、アメリカでステーブルコインを規制、整備する法律が成立しました。基軸通貨の動きとして、世界的な影響が出てくる可能性がありますが、中央銀行のデジタル通貨、CBDCの取り組みを進める中銀総裁として、海外の動きを現状どのようにとらえているのか、所感を伺えればと思います。
(答)一番目は、若干今、不確実性の中で設備投資を手控える動きがあるかもしれないけれども、もう少し不確実性が低下すれば、それは一気に手控えていた設備投資が集 中して行われてということが起こるかどうかというご質問だったと思うんですけれども、それはあり得なくはないと思いますけれども、例えば、関税の影響ということで考えてみますと、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、関税率がどうなるかという点に関する不確実性は若干低下したと思いますけれども、関税の影響が、ある程度高い関税がかけられるということはほぼ確定的な中で、その影響がどういうものになるのか、あるいはどこにどういうふうに出てくるのかという点は、これからだと思うんですね。ですから、それが一気に霧が晴れるということはなかなかないのかなというふうに思っております。それから二番目に、それでも需要が強い、あるいは何らかの理由でインフレ率が見通しよりも高く推移して、おっしゃってるのはある種ビハインド・ザ・カーブになったような場合には速いペースで利上げをしていくのかというご質問だったと思うんですけれども、それはそうなってしまえばそうだと思います。ただ、現状ではビハインド・ザ・カーブに陥ってるとは思っていませんし、そうなるリスクが高いとまでは思っておりません。それから、ステーブルコインに関するご質問ですが、おっしゃるように、特にアメリカですかね、そして若干香港ですかね、ちょっと違う面がありますが、政策主導でステーブルコインを広げようとしているという動きをどうみてるかというご質問だと思うんですけれども、新しい金融技術を体現化した決済サービス、あるいは決済サービスを高度化するというあるいは効率化するという望ましい動きであるという面がある一方で、例えば、中央銀行、一般の銀行の外でステーブルコインが広がるというような動きになりますと、決済のフラグメンテーションが進むというリスクも考えられますし、あるいはアメリカドルのステーブルコインが、アメリカ以外の国、特に途上国で広範に使われるということになりますと、そうした国の通貨主権の問題にも影響してくる、あるいは伝統的な銀行部門の外でのステーブルコインの広がりという動きの場合には、伝統的な銀行部門との間で資金が大量に出入りするというかたちで、金融システムの安定性に影響するということも考えられるという、広範なインプリケーションを持つものだと思います。そういうことで、決済システム全体の効率性とか安全性の観点から、私どもとしては適切な姿を考えていきたいと思っています。
(問)二点伺います。一点目は、主に供給要因で、3年連続で物価の上昇率が2%超えで推移しております。本来は賃金と物価が相互に上がるというかたちが理想形でしょうけれども、供給主因であれ、緩やかに基調物価も上がってきているとのご認識もおっしゃっていました。以前、例えば、24年3月にマイナス金利を解除したときよりも、デフレに戻ってしまうリスクというのが薄れたというご認識はありますでしょうか。二点目はビハインド・ザ・カーブについてです。先日、経済同友会の新浪代表から、トゥーマッチビハインドになることは良くないという声が上がりました。長らくデフレに浸かってきた国がそれなりの率のインフレを経験すると、米国や欧州など諸外国より、その上昇率の幅が小さくても、そうなったときに経済に与える打撃が大きくなるという可能性は考えられないでしょうか。現状のご認識と、ビハインド状態になることを防ぐために、不確実性が完全に晴れない中でも利上げするという判断があり得るのかどうかもお伺いできればと思います。
(答)例えば、去年の3月と比べて、今後デフレに戻ってしまうリスクの評価が変わったかどうかというのが、一点目のご質問だと思うんですけれども。そうですね、去年の3月ですので、ちょっとデータ的な裏付けとかは何もないですけれども、直感的には、そのときよりもデフレに戻ってしまうリスクは少し低下したというふうにはみています。それから、二番目は、ビハインド・ザ・カーブになるリスク等に関するご質問ですが、まず、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、賃金が物価に影響し、物価が賃金に影響するというメカニズムは続いていますけれども、その中で、例えば、賃金がサービス価格に影響するという基調的物価をどんどん押し上げていくときにコアになるような部分が続いていますけれども、すごい加速しているというふうにはみていません。そういうことはビハインド・ザ・カーブに必ずしも陥ってないということの一つの大きなポイントかなというふうに思います。ただ、基調的物価が以前よりも2%に近づいてきている中で、あるいは同時に予想物価上昇率もある程度高まっている中で、ヘッドラインといいますか、消費者物価総合の動きが、先ほどもちょっと申し上げたかもしれませんが、基調的物価に、あるいは予想物価上昇率に影響を及ぼしてしまうという可能性は、以前よりも注意してみていかないといけないのかなというふうに思っています。そういうことにも配慮しつつ、政策を決めていければなと思います。
(問)一点目は、ちょっとややこれまでの質問の繰り返しになってしまうかもしれないんですが、関税を巡る不確実性についてやや後退して、きわめて不確実性が高いというところからは、不確実性が高い状態が続いているという表現に変わっています。また、物価についても、25年度、大幅に上方修正して、物価のリスクバランスも下振れリスクが強いというところから中立的にしていると。全体でみると、基調インフレが持続的・安定的 2%を達成する蓋然性は、前回展望レポート時よりは高まったと言えるのかどうか、そこをまず確認したいと思います。二点目については、物価のリスクの部分で、食品価格の上昇が長引いて、予想インフレや基調インフレに二次的波及の影響を及ぼす可能性について、やや詳細に展望レポートでは記述がありますけれども、これはやはり物価の上振れリスクに、以前よりは意識が高まっているということでいいのか。その場合、経済の下振れリスクとそうした物価の上振れリスクの両方をみるということだと思うんですけれども、そのバランスというのは、前回の展望レポート対比で変化しているのか、その辺りをお願い致します。
(答)一番目のご質問について申し上げれば、特に、関税を巡る不確実性が、最初に申し上げた日米交渉が合意に至ったこと、あるいはアメリカとその他の国との交渉がいくつか合意に至りつつある、至ったということ等を通じて、そこの部分の不確実性がある程度低下し、端的に申し上げれば、私ども、4月と今回7月、展望レポートの見通しをそんなに変えていない、今年度のインフレ率のところ除きますと、あまり変えてないんですが、その見通し実現の確度のようなものは少し高まったというふうに考えています。それから二番目のご質問は、物価と経済のリスクのバランスというお話だったと思いますけれども、経済の方は下振れリスクが続いてる、つまり、関税の行き着く先はある程度みえてきた部分があるけれども、その影響についてはまだこれから確認しないといけないということで下振れリスクに配慮しているということですが、物価についてですが、いったん25年度の物価見通し、中心的な見通しをかなり大きく引き上げましたので、そこからは物価の上下見通しはバランスしているという姿になっているということだと思います。ちょっと答えになってるかどうか。
(問)そうなるとやはり、経済の下振れリスクの方が政策運営上は重視すべきという理解でよろしいでしょうか。
(答)いえ。金融政策上どっちのリスクをということですけれども、当然、物価の上振れ8リスクは、先ほど来申し上げてますように、見通しで基調的物価上昇率がだんだん2[%]に収束していくというところから更に上振れるリスクのことを意味してるわけですから、それは重視して考えたいと思いますし、経済の下振れリスクの方は、物価にも影響しますけれども、ここから経済あるいは物価が多少下振れた場合に、やはり私どもの立ち位置としましては、政策金利が0.5[%]の低い水準であるということは意識していないといけないかなということだと思います。
(問)二点お伺いします。一つ、またこれ関税の話で恐縮なんですが、日米以外の部分ですね、いくつか合意した交渉がありますけれども、今回の議論に当たってどの辺まで織り込んでいるか、米中はまた3か月延期ということになりましたが、日米以外の部分のやり取りの中で、特に日銀の金融政策を考えるに当たって、リスクとして意識すべき点、おそらく、例えば米中のあり方ですとか、米欧がどういう影響が出てくるかとかいろいろあるかと思うんですが、あるいは東南アジアはどうかとかですね、そういったところについて一点ちょっとご教示頂ければと思います。もう一点が政治の関連なんですが、アメリカでFRBに対してトランプ大統領が利下げを再三要求する展開になっています。片や日本をみますと、先の参院選で減税 等を掲げる国民民主党ですとか参政党ですとかが躍進し、今後政権の枠組みがどうなるかというような状況にあります。例えば、仮の話で恐縮ですが、かつてのようにですね、政権の枠組みが変わるなどして、今後日銀に対してですね、何らかの金 融政策の要求が出てきたような場合に、日銀としてどう対峙していくかということについての総裁のお考えをお聞かせください。
(答)一点目は、日米以外の関税ないし関税交渉の行方を、経済を見通す際にどういうふうに考えているかというご質問だったと思いますが、この中には、非常に大まかにですけれども、日本以外の国に対するアメリカの関税をみてみますと、概ね日本とそんなに違わない関税率になりつつあるということが言えるかと思います。その結果、関税の影響を考える際に、日本だけがものすごい有利になるとか、逆に不利になるとか、そういう部分はそんなに考えなくてよくて、関税率が0に近かったのが、かなり高い水準になるということが、アメリカの例えば消費者あるいは海外の製品を利用する生産者にコスト高になって、そこに影響して、そこからいろんな国に波及していくというルートを中心に考えればいいというかたちで見通しに織り込んでいるということでございます。すみません。二番目のご質問をちょっともう1回お願いします。
(問)端的に申し上げると、日本においてですね、政治から日銀の金融政策について何らかの要求が今後高まってきたような場合に、日銀としてどう対応するか、対峙していくかということです。
(答)まず一般論として、中央銀行の独立性は、物価あるいはマクロ経済の安定にとって重要な制度的工夫であるというふうに思っています。私どもに引き付けてどうするのかというご質問であれば、いろいろなお話はあるかもしれませんけれども、基本的に私どもとしては、経済・物価の姿をみながら物価安定のために、より詳しくは持続的・安定的な2%の目標の達成のために、適切な政策を判断し続けるということに尽きるかと思います。
(問)基調的物価の部分で先ほどですね、ヘッドラインの部分が基調的物価にこれからどういう影響を及ぼしていくかっていうところを、より一層注意してご覧になっていくというお話がありましたが、現状はですね、今の段階ではヘッドライン、消費者 物価という部分がですね、いわゆる二次的な影響というかたちで、基調的な物価に影響を与えるっていう状況にはないというふうにお考えでしょうか。今の現状のとらえ方を教えてください。
(答)例えばここ3年くらいを振り返ってみますと、一つのメカニズムを申し上げれば、ヘッドラインのインフレ率が高いことがある年に、その次の年の賃金上昇率に影響を与えて、そうするとまたサービス価格に跳ねるというかたちで、だんだん基調的 物価にも影響する、そういうメカニズムはあったと思います。従って、ヘッドラインのインフレが高いという状態が長く続くという場合にはある程度注意しないといけないと、基調的物価への影響について注意しないといけないということだと思います。
(問)そうすると今、足元の食料品価格を起因とするものっていうのも、大なり小なり、基調的物価の影響というところを与えているんでしょうか。
(答)それはですから、今後見通し通りに食料品価格が落ち着いてくるかどうかというところに大きく左右されるように思います。
(問)経済界からの声と利上げについてお伺いします。経済同友会の新浪代表幹事が一昨日、物価が非常に高い状況にあり、利上げしない理由が分からないと発言するなど、 経済界からも利上げを求める声が上がっています。こうした声も踏まえて早期の利上げ、年内の利上げがあるのかどうかお伺いしたいと思います。
(答)これは先ほど来、いろいろご質問があってお答えしている点と重なりますけれども、 現状は私どもが重視しています基調的な物価の動きは強くなってきてるけど、まだ2%には届いていないというふうにみています。従って、緩和的な金融環境を維持しているということであります。それに対する懸念としては、そんなことをしていると、どこか近い将来でビハインド・ザ・カーブになるんではないかという懸念だと思いますけれども、それもいくつかご質問があってお答えしたように、今のところそのリスクはそれほど高くないというふうにみているということでございます。
(問)ちょっと為替についてお伺いしたいんですけれども、足元、対ドルで円安というのは進んでいて150円にちょっと近づいてきています。もちろん為替そのものどうこうということではないと思うんですけれども、為替がどのように物価に影響を与えるかっていうのはこれまでも注意深くみてきてらしたと思うんですが、今、為替からくる物価上昇リスクっていうことについて、どういうふうにご覧になっているか。まだ160円とかそういった以前のようなレベルではないんですけれども、総裁のご見解をお願いします。
(答)そうですね。将来為替がどう動くか分かりませんけれども、足元の動きということであれば、私どもの見通しの中で前提としている為替の水準からすごい大きくずれているわけではございませんので、例えば物価の見通しに、直ちに大きな影響があるというふうには今のところみておりませんが、注意してみていきたいという点はこれまで通りでございます。
(問)総裁以前は消費者マインドなどが悪化しているので7月以降のハードデータを確認したいとおっしゃっていましたが、日本を含めて各国で関税交渉の合意が進んでいることで先行きの不透明感が後退し、この先ソフトデータが回復する可能性もあると思うんですが、その場合ハードデータを確認する前に利上げを判断することは可能なのでしょうか。
(答)消費のところで申し上げれば、特に日本ですと、関税というよりはヘッドラインのインフレあるいは食料のインフレで消費者マインドが悪化し、それが消費に若干の悪影響を与えてきたということはあると思います。ただ、消費者マインドに関する足元のデータをみますと、それは、若干ですが好転しているということかなと思います。そのうえでこうしたソフトな情報だけで金融政策の判断をすることがあるかということですけれども、絶対ないとは申し上げられませんが、今の局面では、特に関税政策の影響が様々な輸出・生産、アメリカであれば雇用、その他に、ハードデータにどういう影響が現れてくるかということをみたいなというところではございます。
(問)先の参院選でもですね、物価高対策っていうのが最大の焦点だったわけですね。与 野党からは給付金や消費税減税・廃止という話も出てると。しかしそういう政策っていうのは、むしろ景気刺激的であって、物価を上げるような、むしろ矛盾した政策なわけですけれども、本来であれば、一番物価高対策になる日銀の利上げというのが、あまり焦点にならないのはどうしてなのかということをお伺いしたんですけど。まず先ほど同友会の新浪さんが利上げをとおっしゃったことに対して、総裁が先ほどご回答がありましたけれども、賃金と物価の好循環論とか、あるいは基調的インフレ率がまだ2%を下回ってるっていうそういう説明と、今、世間で言われている物価高に対する何らかの対策をということの話に、非常に矛盾というか噛み合っていないご説明のように聞こえるんですけれども、そこはどういうふうにうまく整合性を持って説明されるんでしょうか。
(答)物価高対策として金融引き締めがストレートにきれいに当てはまるケースというのはちょっと図式的に申し上げますが、需要サイドからの強い圧力で物価が上がっているという場合だと思います。そうしますと、金利を上げることによって、過熱する景気を冷やしつつ物価を下げるということになるということだと思います。これに対して、現在の物価高のかなりの部分が供給サイドの要因によっている。このときに利上げで対応しようとしますと、どういうことになるかというと、必ずしも景気がものすごい過熱しているわけではないのに、景気を利上げで冷やして所得が減るから、例えば食料品に対する支出が減って食料品価格も下がるというルートになります。これは本当に望ましいかどうかということについて、皆さん、考え込んでしまうというところがあるのかなというふうに思っています。
(問)今の企業の値上げ、積極的な行動が続いているというお話なんですけれども、値上げを続けている食品メーカーからは値上げの度に消費者が離れていくということで、そろそろ値上げも限界なんじゃないかといった声や、反対に消費者側はやはり値上げ疲れといったところが指摘されるところなんですけども、日銀としては実質賃金の明確なプラスまで利上げを待つべきとお考えなのか、総裁として、今、実質賃金マイナスなんですけれども、プラス転換をどのぐらいの時期をみてらっしゃいますでしょうか。
(答)先ほど来申し上げてますように、足元の物価上昇の主因であります食料品価格上昇については今後落ち着いてくるというふうにみていますので、一方で今年の春闘は力強い結果に終わっているということと合わせますと、いつからこの実質賃金の今マイナスの伸びがプラスになるのかということを予想するのは難しいですけれども、年後半にいくにつれて実質賃金については良い動きが出てくるというふうにはみております。
(問)先ほどの方は食品会社などがすごく値上げに苦しんでいるという話もありましたし、利上げで物価を抑えるべきではないかというご質問もあったんですけれども、おっしゃる通り、供給サイドからくる場合は、冷やし過ぎてしまうとリスクがあると思うんですけれども、円相場がやはり円安に過ぎるので、為替の方からですね、食品値上げにせざるを得ない状況が生まれてて、今のインフレはかなりの程度に円安の要素もあるんだろうと思うんですけれども。そういう意味では、先ほど予想の範囲内とおっしゃられましたけど、為替が、例えばこれが110円とかに早い段階からなっていたらだいぶ緩和できてたものだと思うんですね。そういう意味で、利上げをすれば、で為替を支えられればだいぶ違うのかなと。今140円台ではあるんですけれども、円ユーロで言うとですね、去年ちょうど1年前利上げされたときの水準にまで下がってきていますし、それからその直前の4月に10兆円の介入をした際も、円ユーロは170円だったんですよね。非常にかなりフリーフォールに陥りかねないようなレベルまで為替はですね、円ドルではまだ少しあるんですけれどもきていると思うので。もちろん、利上げのですね、今すべきかどうかというのは後から振り返ると間違えたと言われるリスクが高い局面ですからしづらいのは分かるんですけれども、機動的にという意味では、いったん若干の利上げをして、インフレに対して歯止めをかけるというのも一つの理屈かなと思うんですけども、為替の面からですね。為替について注視していくとおっしゃっておられますけれども、1年前は利上げの理由に為替も挙げておられましたよね。その点からみて今、為替をどうみておられるのか教えて頂けますか。
(答)為替について、直接のコメントをすることは控えさせて頂いております。それで、全体的には、ご質問全体についてですけれども、これまでの繰り返しで恐縮ですけれども、政策運営としては、やはりインフレ率を持続的・安定的に2%に導いていくという観点から、何が適切かということを考えたいと思っています。
(問)今までのお話の中で、関税の影響で経済が鈍化して物価に下押しがかかって、これから基調物価が一度伸び悩んでいく、そういう姿は前回の展望レポートから変わらないということだったと思います。これから経済とか物価が一度落ち込んでいく中で、政策金利を引き上げる、物価の落ち込みが一時的なものなのか、それとも経済が後退局面に入っている可能性もある中で、それをどうやって一時的と判断するんでしょうか。ヘッドラインの物価が下がっている中で、利上げの判断をするのは非常に難しくなるんじゃないかなというふうに感じているんですが、そうなった場合、一度基調的物価がまた上がり出したっていうのを待つとなると、来年ですとか来年度ですとか、かなりまた先になってしまうと思うんですが、そうやってこれから物価が少しずつ下がっていくと見通されてる中で、どうやって国民とかマーケットを納得させながら政策金利の引き上げっていう判断をしていくのか教えてください。
(答)それはきわめて難しい、大事な点だと思いますけれども、こうすれば判断できるという明快な処方箋のようなものがあるわけではないんですけれども、例えばIMFの世界見通しでも、アメリカ経済あるいは世界経済、今年はちょっと減速するけれども、来年以降成長率は少しずつ戻っていくという見通しになっています。つまり、関税の経済減速という影響が一時的であるということを前提にしているんだと思います。そうしたことが様々なデータから、彼らの想定しているメカニズム通り、あるいはわれわれの想定しているメカニズム通りであるかどうかということを、チェックしていくということでしかないかなと思いますし、もう少し具体的なポイントを一つ申し上げれば、賃金と物価が相互にプラスに影響し合うというメカニズムが働き出して、働き続けているわけですが、こういうメカニズムがあまり途切れずに続いていくか、多少率は低下してもですね、プラスに影響し合うというメカニズムが続いていくかどうかという辺りは、一つの大きな判断材料になるかと思っています。
(問)今の質問と重複するのですが、基調的な物価上昇率につきましては、今後関税の影響でいったん伸び悩んだ後に徐々に高まっていくというふうに言っておられまして、外からみえない基調というものがですね、今後複雑な動きをしていくという局面に入るということだと思うんですけれども、総裁はこの基調的な物価上昇について、そういった局面ではより丁寧にですね、より具体的にもっと分かりやすく説明しなきゃいけないというふうにお考えなのか、その必要性をどのように感じておられるかお願いします。
(答)基調的物価上昇率という概念、大事なんですけれども、なかなか分かりにくいし、データでなかなかきちんとみることができない中で、説明を工夫しないといけないなということはずっと思っておりまして、従って今日の冒頭のご説明でも、やや具体的に基調的物価上昇率の、そのものではないですが、それに近いインフレ率と思われる変数いくつかの動きについてご説明したりしました。こういうことは一段の工夫を重ねつつ続けていきたいと思っております。
(問)先ほど、ETFの処分について、まさに今時間をかけて検討している最中だというお答えでしたけども、総裁のご任期、あと2年半以上残っておりますけども、そのご任期の間にですね、処分を開始されるなりあるいは道筋をつけるなり、そういったことをしたいというお考えはあるのか、あるいはそういった任期という要素はあまりそういうETFの処分に関してはあまり考慮されないのか、その辺りはいかがなんでしょうか。
(答)そうですね。それはいつも申し上げているような、原則に照らして適切なやり方があるかどうかということを第一に考えたいと思います。自分の任期中に何が何でも片付けてしまいたいとか、そういうことを考えるのは必ずしも良くないことであるというふうに思います。
(問)ちょっと感覚的なお話で恐縮なんですが、日本銀行は国民の目にどのように映っていると思われますか。というのも、参院選に象徴されるように、国民は物価がだんだん上がることを困ったことだと受け止めていますが、日本銀行は2%インフレを目指していて、未だそこに届いてはいないと言っている。幸か不幸か、日銀のスタンスというのは国民にあまり認識されてないようにも思うんですけれども、どう映っているのか、どう映りたいのかというところに、思いを伺えればなと思います。
(答)どう映ってるかという点、必ずしも的確に把握できてるかどうか分かりませんが、大まかにゼロインフレくらいのときから現在の状態になる中で、インフレ率と賃金 上昇率、両方上がってるということは、必ずしも大きなマイナスであるというふうには考えられてないと思うんですが、しかし、両者を比較してみると、物価の方が大きめに上がっている。その要因としては、サプライショックの影響が大きかったということだと思いますが、そうした中でデフレの克服あるいは2%インフレへの動きが続いているということが、国民への説明あるいはコミュニケーション、非常に難しくしてるということは、常に意識しております。
(問)展望レポートの関連なんですけれども、アメリカの関税政策の日本の物価への影響っていうものが、展望レポートで皆さんが想定されるほど本当に大きなものなのだろうかと。これまでの過去の円安で企業収益は高い水準も続いていますし、追加でかかる関税というのは、これまでの蓄えによってカバーできるのではないかと思うんですけれども、影響の度合いについてどのように考えてらっしゃるか、改めて教えてください。
(答)先ほど来の議論と重なる部分があると思いますけれども、まず、これまでのところはものすごい大きな影響が日本経済、ハードデータに表れているという段階ではないと思います。これに対して、われわれの見通しでは年後半、もう年後半に入りつつありますが、にはある程度のマイナスの影響が発生するということを見込んでいますし、世界の他の調査機関も概ねそういう見通しであるかと思います。そういう見通しを作ってる人たちとよく話をしますけれども、依然としてそういう見通しを変えていない人が多い、あるいは機関が多いというふうに思います。ただし、一部にひょっとしたらそれほど大したことはなくて済んでしまうかもしれない、という人たちが出てきていることも事実かと思います。ただ、現状では私どもも、経済は世界全体あるいは日本を含めて、ここから減速に向かう、その減速の程度を見極めたいという、不確実性が高いので、ということであるかと思います。ただ、その中で、これまでテールリスクとして場合によってはあった、崖を落ちるような動き、これはかなり可能性が少なくなってきたのではないかと、そんなふうに考えております。
(注1)会見では「25と26」と発言しましたが、正しくは「25から27」です。
(注2)会見では「6月ですかね」と発言しましたが、正しくは「7月」です。
以上。
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├2025年7月31日 政策金利0.5%で据え置き 関税合意も「不確実性高い状況続く」/日銀 植田総裁会見【ノーカット】
日銀は2025年7月31日、金融政策決定会合で現状の金融政策の維持を決めました。政策金利は現在の0.5%程度に据え置きます。日米間の関税交渉が合意に達した一方で、国内外の経済・物価に及ぼす影響について「不確実性は高い状況が続いている」との見解を示しました。また、日銀は最新の景気予測となる「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」も公表しました。コメなどの食料品が値上がりし、足元の物価が上振れていることから、2025年度の物価上昇率の見通しを前年度比2.2%から2.7%に引き上げました。実質GDP成長率の見通しは0.5%から0.6%に上方修正しました。
├日銀 金融政策の維持を決定 政策金利0.5%程度に据え置く 植田総裁「一気に霧が晴れることはなかなかない」 | NHK | 日本銀行(日銀)
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├中央省庁の国家公務員給与、大幅引き上げへ…民間企業の給与水準「1000人以上」の大企業並に : 読売新聞
├キャリア官僚の給与を大企業並みに 人事院勧告、改定基準を変更 - 日本経済新聞
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├PDFの改行削除ツール | 039日記
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├純喫茶エルマーナ: 社労士笠島正弘のあれこれ話そう
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