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伝統の「技」を今に伝える浮ひょうの専門メーカー 横田計器製作所
古き良き技術の継承と発展、新製品の開発、目指すは「信頼と高品質」というブランド
液体の密度や比重・濃度の計測は浮ひょうを使えば簡単にできます。浮ひょうとは、例えると、釣りの浮き具のような形をしたガラス製の計量器です。
計りたい液体試料に浮かべ、その浮ひょうの目盛部分と液面が交差したところの値が、そのまま計測値となり、精度が高い割には、簡単に使用することができる計量器です。
伝統の「技」を今に伝える浮ひょうの専門メーカー 横田計器製作所
伝統の「技」を今に伝える浮ひょうの専門メーカー 横田計器製作所
1、創業が1923年(大正12年)社歴は90年をこえます
弊社は創業1923年(大正12年)で会社設立が1954年(昭和29年)です。戦時中は海軍の指定工場となり、仙台へ工場を移転していたこともありました。現在、創業からかぞえて、初代、現会長、私で社歴は90年をこえます。私が子供のころは、何をつくっている会社なのか全くわからず、不思議に思っていました。
現在の主力製品は浮ひょう(浮秤)であります。浮ひょうは、ボーメ計、比重計とも言い、液体の密度、比重、濃度などを測定する計量器です。
浮ひょうは液体中に浮かべて平衡したとき、浮ひょうの質量と液中にある部分の浮ひょうの体積の質量は等しくなります。密度などを表す目盛りを頸(けい)部に目盛ることによってその量を測ります。
多く使用される分野としては、航空燃料などの石油製品、牛乳やジュース、飲料等の食品、海水やバッテリー液、日本酒・焼酎・ウィスキーやビールなどの酒類、様々な液体の管理に幅広い分野で使用されています。
現在、使用されていない分野でも、未知の使用方法が期待される息の長い計量器です。
1、伝統の技を今に伝える浮ひょうの専門メーカー
やはり製造技術は一朝一夕で取得することはできません。だからと言って、ただ、同じことを繰り返し、「見て覚えろ」ということでは、非効率な面もあります。
現在、私どもは継承されてきた技術を細分化し、浮ひょうの製造工程に落とし込むことを進めております。技術や部品の標準化・共通化をすることで、今までは困難で複雑だった技術や部品を分解し、わかりやすい組み合わせにしております。また、個々の技術やノウハウを製品の仕様書内に記録することで「見える化」し、次の製造の際には、共通の知識として使用するようにすすめております。
また、浮ひょうの専門メーカーでもありますが、特殊なタイプの温度計(醸造用温度計、LPG密度計用温度計)等も製造しております。
1、製造工程をマニュアル化
個々の技術やノウハウを「見える化」することで、経験の浅い社員でも、その仕様書を確認することで、製品の製造上の重要な点を理解することができます。
仕様書やマニュアルはサーバー上に上げてありますから、都度それをみて確認して作業をすることができます。また、新しく工夫したことがあればその内容を確認して仕様書に落とし込むこともします。
もちろん、あってはなりませんがお客様からのクレームなども、情報として記録します。また、頂いたクレームよって改良されることもありますので、全ての情報は大切な記録として残します
1、製造する浮ひょうは何千種類にも
浮ひょうは胴部(浮き部)と頸部(目盛部)から成り立つガラスの組み合わせが重要なポイントとなります。
浮ひょうの原理から、微小な体積量の変化がその最小目盛に影響してきますので、その選定は、浮ひょうの性能を左右します。同じ仕様の浮ひょう(同目盛範囲、同最小目盛)を2本並べてみれば、浮き部や目盛部の体積の違いから、その目盛部分の位置の違いや、目盛の長さの違いがわかります。
この様に、浮ひょうの重要な構成要素であるガラス材料については、ガラス材料の選定を含めてさまざまな事項を数値化して、それにもとづく仕様書を作成しております。
従来は、前回と同じ材料の組み合わせ(胴部・頸部)を繰り返すことで、製造することができました。しかしながら、現在では材料のガラス管の入手が国内ではかなり厳しくなってきております。その頸部の肉厚はコンマミリ単位で使用の可否がきまります。
職人個々の経験でもっていた材料の組み合わせを記録するだけでなく、理論的に計算することで、試作回数を減らすなど、取得したさまざまなデータを盛り込んだ仕様書を作成しております。もちろん、そのまま上手くいくとは限りません。やはり、浮ひょうの製造は手作業によるガラス加工です。人の手の感触が、ここに加味されます。
当社で製造する浮ひょうの種類は細かく、分類すると何千種類ということになります。このような他品種を少量生産するときには単純な機械化はできないのです。機械化よりもそのノウハウをデータ化し文書化すること、そして、そのノウハウを共有する。当社の場合はこの様にマニュアル化とともに巧みな人の手作業とを組み合わせております。
このようなことを通じて作業の効率化が図られたため生産性は以前に比べかなり向上しております。
1、「横田計器製作所ブランド」の継承と発展を大事にする ブランドは信頼
現在、浮ひょうの製造業は過渡期を迎えております。やはり、技術の継承だけでなく、事業の継承の難しさが顕著に表れているように感じます。ここ数年で、国内で実際に製造しているのは、弊社を含めて数社のみとなっております。
私ども、現在の従業員が大事にしているのはブランドの継承と発展です。
大正~昭和~平成と培われてきた「横田計器製作所」というブランドに信頼を寄せ、ご利用いただいているお客様の信頼を維持すること。また、これまで以上にその信頼を保つ企業努力をすすめる取り組みをしていきます。
何千種類の浮ひょうの品質、また、納期といったことを大事にしていきます。私どもで造っている商品がどのような人にどのように使われているかに思いが至らないことがあります。
そうならないよう、常日頃から、お客さまから寄せられたご要望を工場と営業とが共有するような体制をつくっております。売っている、造っている、だけではなくお客さまがどのように使い、どうすれば使いやすいかを考えて行こうということです。
1、浮ひょうは密度や比重・濃度を測定する計量器です
浮ひょうのことは始めの部分で原理や用途のことを述べましたが、まだまだ、世の中には浮ひょうという製品を知らない方が多くいると感じております。どの様な場面で、どの様に使用されるか、何点か事例をあげさせて頂きます。
「密度計(密度浮ひょう)」
先ほど、あげました航空燃料など、航空機等に供給される燃料は給油する前に、必ずその密度の計測を行います。よく飛行機の羽の下で、給油しています。その燃料です。燃料の品質に変わりが無いか、その要因となるのが「密度」です。
その密度を計るのは、密度計(石油用密度計JISⅠ-A型)という製品になります。もちろん、皆様ご存知の「計量法」の特定器量器として検定を受けた計量器になります。
ガラス製密度計、そのメリットは、まず、電源等を使用しない。つまり、燃料などの“可燃物”に利用しても発火する恐れもない。もちろん、起動時間もかからない。また、だれでも簡単に、すぐに使用でき、また、その測定精度も高く、0.0005g/cm3あります。
航空機にお乗りの際には、是非、浮ひょうの事を思い出して頂ければ幸いです。
「酒精計(酒精度浮ひょう)」※1
アルコールの濃度を計測する浮ひょうです。その計測濃度は品質管理上の濃度管理だけではなく、アルコールの製造事業者が酒税として申告する際※2に利用する非常に重要な濃度値として利用されます。
最近では、クラフトビールの製造事業者様への普及が多くみられます。また、平成24年にアルコール濃度の基準が国際化されており、規格(仕様)が変わっております。従来の製品を引き続き使用する際には、メーカー等へご相談ください。
※1 酒精度浮ひょうは、前処理として、試料を蒸留してからの使用となります。
※2 酒税など証明行為に関わりますので、必ず、計量法の検定品をご利用ください。
「LPガス用密度計(LPガス用密度浮ひょう)」
現在、日本国内では弊社でしか製造を行っていない、特殊な仕様になります。液化石油ガスは通常「気体」です。この気体を特殊なシリンダーに充てんし、液化し、その液化した状態で、密度を計ります。
具体的には、耐圧シリンダーと呼ばれる特認容器に耐圧型密度計(ここでいう、LPガス用密度計)をいれておき、中にガスを充てんし、液化させます。この、特認容器の中で浮いた、密度計の目盛を読み取ります。
主にタクシーのオートガススタンドやLPガスの充てん所で使用されます。その実測値は液化石油ガス税の係数として使用できます※3。
実測値はプロパン+ブタンの係数より、小さくなります。プロパンガスへの切り替えと共に、再び需要が増えています。
こちらの製品の派生品として、DME(ジメチルエーテル)を計測できる密度計もございます。是非、お問い合わせください。
※3 課税に使用する際には、事前に最寄りの税務署と必ず協議を行って下さい。
1、浮ひょうの錘(おもり)の材料にステンレス材を用いた製品も
一般的に、浮ひょうのおもりとしては、鉛の球が標準です。しかしながら、現在の国際環境条例等を鑑みると、鉛という物質の扱いが、徐々にグレーゾーンになりつつあります。
弊社では、その様な状況を先取りし、浮ひょうの錘(おもり)の材料にステンレスを用いた製品を用意しております。「酒精計(酒精度浮ひょう)」の標準品で採用しております。
鉛おもりとステンレスおもりでは、同体積あたりの質量、つまり、密度が異なります。すると、浮ひょうの構造上、それぞれの仕様に基づき「おもり室の大きさ(おもりの量)」も変わります。
先ほど、ガラスの材料でふれましたが、おもりの量が変われば、使用できる材料の肉厚も変わります。単純に、おもりを変えれば 良いのではなく、使用する材料から全て、変わってきます。
この様な点でも、ノウハウを数値化、文書化することで、社内で共有し、品質の高い製品の製造、少しでも早く納入できるように努力しております。
1、お客さまの要望があればどのような浮ひょうでも製作する
私どもではお客さまからのご要望があれば「どのような浮ひょうでも製作できます」、と自負しております。もちろん、技術的な裏打ちあっての仕様をご案内させて頂いております。
基本的には、現在までに蓄積されている過去の事例と、ご依頼頂きました仕様の分析を行い、計算、設計を行い、希望されている精度や大きさの可否、必要な材料の有無、その他、法的に問題がないか等を踏まえ、最終的な仕様をご案内させて頂いております。出来上がった浮ひょうを見れば、そんなもんか?かもしれませんが(笑)。
その浮ひょうの性能を担保するには、きちんとした仕様がなければ出来ません。たまに、びっくりするような仕様のご依頼もいただきますが、理論的にできない場合は、できる仕様でご案内させて頂いております。
浮ひょうほど簡単でリーズナブルに使用できる計量器は、計量器の中では珍しいと思います。確かに、デジタルの密度計もございます。
弊社と懇意にしておりますアントンパール社(デジタル密度計の先駆者)の担当者様とも、よく話しますが、アナログ式(浮ひょう)とデジタル式では、お客様先でも、綺麗に住み分けている様です。
1、今後の課題、ガラス材料の安定した確保と技術の発展
今まで、ご説明させて頂いた通り、浮ひょうはガラスでできております。そのガラス材料の調達は古くからの課題です。
良いガラス材料を安定確保し、高品質で安定した製品の供給を行う。当たり前のことですが、一番大切なことかと思います。
現在、日本国内浮ひょうのマーケットには、他の計量器と同様、アジア大国の製品がかなり入って来ております。やはり製品単価では勝負になりません。弊社が、勝負するところは、製品の価格では無いと思っております。計量器です。その安定した高品質を供給できる様、日々、研鑽して参りたいと思います。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、弊社の標準品の浮ひょう※4の目盛版は「白色塗装した箔目盛」※5になります。
一般的な「紙」の目盛と比べて、液体に浮かべた時の見易さは明らかです。
また、ジュメット線※6により目盛版を浮ひょう目盛部と融着することで、目盛がずれ、値が変わることを防ぎます。パテントをとった仕様になります。
製造工程及びコストは増えますが、使っていただくお客様に安心してお使い頂ける仕様です。
※4 石油密度計や大形・小形19本組比重計等。
※5 光沢のある見易い目盛です。
※6 ガラスと同じ膨張係数をもつ金属のため、ガラスになじみます。
1、浮ひょう(比重計等)と固体密度のJCSS認定事業者になる
弊社は計量法トレーサビリティ制度によるJCSS認定事業者としてトレーサビリティ校正事業を行っております。
浮ひょう(密度計・比重計・酒精計等)および固体密度の校正事業です。固体密度のJCSS校正は日本では私どもが初めての登録認定となりました。一般的な固体の校正はもとより、シリコン単結晶を参照標準としての供給もできます。試験片の密度測定から、分銅の密度もJCSS校正を行えます。
次が当社のJCSS校正業務の対象です。
・固体密度標準器等、参照標準用シリコン単結晶、固体(金属、ガラス等具体的にはご相談ください)
・浮ひょう、密度浮ひょう、比重浮ひょう、酒精度浮ひょう、重ボーメ度浮ひょう、日本酒度浮ひょう。
以下の対象についてもJCSSロゴ付の校正が行えます(比重からの換算によります)。
軽ボーメ度浮ひょう、牛乳度浮ひょう、しょ糖度浮ひょう、API度浮ひょう、トワッデル度浮ひょう。
株式会社 横田計器製作所
代表取締役社長 横田賢亮
横田賢亮 略歴 上智大学大学院(流体工学専攻)終了後、富士通(株)へ入社、官公庁分向けシステム設計/導入を行う。平成15年(株)横田計器製作所へ入社、平成29年より現職
株式会社横田計器製作所
本社 東京都台東区秋葉原3-7 横田ビル2F
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TEL:03-3251-7088(代)
FAX:03-3251-7084
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ガラス製水銀温度計は今後も使用することができます(日本ガラス製計量器工業組合からのお知らせ)
(2017年7月19日記載)
質量と重さ(重量)を混用してはならない
(執筆 岩田重雄 元日本計量士学会会長)
質量(しつりょう)と重さ(重量)(おもさ、じゅうりょう)を混用してはならない。
気になる計量の言葉づかい「足せるものと足せないものがある」
日本の重力値の新基準とハカリによる質量測定
(2017年7月4日記載)
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国土地理が日本の重力値の基準を40年ぶりに更新。国土地理院が2017年3月15日に公表
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日本の重力値の基準を40年ぶりに更新2017年3月15日に公表
(「日本重力基準網2016(JGSN2016)」)
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(2017年7月4日記載)
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