旅行家 甲斐鐵太郎の自然博物誌 15 早咲きの桜の河津桜(カワヅザクラ)
(2月1日に撮影)
(副題)河津桜(カワヅザクラ)は河津川の土手で並木に見事に花を咲かせる
< ホームへ>エッセーの部屋
写真(下)は河津桜(カワヅザクラ)は1月末ころにぱらぱらと開花し、2月にはそれなりに花が咲き3月までの長いあいだ花見ができる早咲きの桜だ。
 
写真(下)は、「カワヅザクラ原木」。2005年2月2日に河津町指定の天然記念物になっている。この原木の幹は太く、枝は大きく広がっていて河津川に近い飯田勝美氏宅の道路に面した庭で元気に花を咲かせている。ぽろぽろと咲き始めた。
写真(下)は、静岡県賀茂郡河津町を流れる河津川沿いの両岸に延長3キロメートルほどの土手にできた河津桜の並木。上流に向かって撮影している。 
 
写真(下)は、静岡県賀茂郡河津町を流れる河津川沿いの両岸に延長3キロメートルほどの土手にできた河津桜の並木。下流に向かって撮影している。 
 
写真(下)は、河津町の海に注ぐ河津川の河口の風景。この向こうに大島がみえる。
 
 
 
(タイトル)
旅行家 甲斐鐵太郎の自然博物誌 15 早咲きの桜の河津桜(カワヅザクラ)


(本文)

 河津桜(カワヅザクラ)は1月末ころにぱらぱらと開花し、2月にはそれなりに花が咲き3月までの長いあいだ花見ができる早咲きの桜だ。1月末に満開になる樹木もある。静岡県賀茂郡河津町を流れる河津川沿いの両岸に延長3キロメートルほどの土手に並木ができていて、テレビで放送されることもあってこの桜見物に150万人から200万人もの観光客が訪れる。河津桜はいままさにブームである。

 河津桜(カワヅザクラ)は、オオシマザクラ とカンヒザクラ の自然交雑種であると報じられている。本当にそうなのか、その論拠が語られないのは残念であるが、カワヅザクラは桜の新種として認定されている。カンヒザクラは漢字では「寒緋桜」と書き、寒(カン)・緋桜(ヒザクラ)という意味だ。私の耳にはヒカンザクラ(緋寒桜)の音が馴染みがある。「緋寒桜」は緋(ひ)・寒桜(かんざくら)だ。彼岸桜とは別である。

 カワヅザクラのもとになったオオシマザクラ(大島桜)は、関東以南の島嶼(とうしょ)の多く分布している。基の高さは15mほどになる。花は白く5つの花弁がある。3月から4月にかけて花を開く。花が咲くのと葉が出るのがほぼ同じであるのがオオシマザクラだ。河津町の海に注ぐ河津川の河口からは大島がみえるが大島など伊豆諸島に多く自生する。オオシマザクラの名前由来はこの大島である。伊豆諸島のほか伊豆半島、房総半島でもその姿を見ることができる。

 カンヒザクラ(寒緋桜)は、沖縄の桜だ。花の色は濃い桃色もあり白もある。つりがね状の花が特徴である。沖縄で桜といえばカンヒザクラを指す。沖縄や奄美でのサクラが咲いたという気象報道はカンヒザクラの開花のことだ。沖縄では1月から2月に開花する。関東以南にもカンヒザクラは植えられていて2月から3月にかけて花を咲かせる。この花期がカワヅザクラ(河津桜)と重なる。カンヒザクラ(寒緋桜)は、中国南部から台湾にかけて分布する。日本では園芸品種であったが、主に沖縄県で野生化して沖縄桜となっている。

 河津桜(カワヅザクラ)は、オオシマザクラ とカンヒザクラ のそれぞれの特徴が混ざり合っている。河津桜(カワヅザクラ)の原木は大きな木であることがオオシマザクラを思わせるし、花が濃い桃色で何とつりがね状であるところがカンヒザクラに重なる。このようなことだから河津桜(カワヅザクラ)は、オオシマザクラ とカンヒザクラ の自然交雑種であるとされるのだ。そのように決めておくと皆が納得するし落ち着きがよい。この二つの桜を交配すれば必ず河津桜のような花ができるわけではないので、これは偶然であり「神のはいざい」と思えばいい。この花の特徴は赤みが強いこと、そして花そのものが大きいこと、そして一つの樹木にあって開花期間が1カ月ほどと長いことである。これはソメイヨシノに対しての比較であって、カンヒザクラなどこの系統の桜の開花期間は長い。

 河津桜(カワヅザクラ)がオオシマザクラとカンヒザクラとの交雑種であるとされるが、その発見とその後の育成にはちょっとした逸話がある。これにかかわる人はこの地の人、飯田勝美氏。同氏は、2月というのに冬枯れの河津川の雑草のなかで芽吹いている桜の苗を見てけて、これを持ち帰って自宅の庭に植えた。その11年後に早咲きの桜として開花した。苗の発見は1955年(昭和30年)の2月で、1966年(昭和41年)に開花したのである。花の特徴は赤みが強い濃い桃色であること、そして花そのものが大きいこと、そして一つの樹木にあって開花期間が1カ月ほどあって長い。

 春を待つ人の心は強く、春と花はかさねられる。水仙(スイセン)や福寿草(フクジュソウ)も春とかさねられる花ではあるが。春を思わせる決定的な花は桜である。ソメイヨシノが南から北に向けて花を咲かせるころは紛れもなく春である。その春のまえに河津桜(カワヅザクラ)は河津川の土手で並木に見事に花を咲かせる。これが1月末からぽろぽろと、2月にはそこそこ見られるように花を咲かせて、3月までつづく。本当の春にはまだ遠いが河津桜(カワヅザクラ)が咲く並木を見物すると人の気持ちは春になる。そうしたことが河津桜(カワヅザクラ)が人に受け入れて人気になっているのであろう。

 現在、河津町がこの花の並木を観光の資源として宣伝していることや2月中旬には満開になる川沿いの両岸に延長3キロメートルほどの桜並木が早春の観光にうってつけであったことなどから、大勢の観光客を呼び寄せている。その数が200万人規模であることは凄い。年々数が伸びている。河津町とその界隈に行くと何でもかんでも河津桜(カワヅザクラ)である。このエネルギーも凄い。熱海から車で2時間ほどで河津町に行くことができ、沿道にも河津桜(カワヅザクラ)が咲く。

 河津桜の発見者は静岡県賀茂郡河津町田中の飯田勝美氏で、2月にすでに河原の雑草のなかで芽吹いている桜の苗木に注目してこれを自宅の庭に移植。11年目に開花して、この桜の花の特徴が素晴らしいので桜の新種「カワヅザクラ」(河津桜)と命名された。この苗木は現在、「カワヅザクラ原木」として2005年2月2日に河津町指定の天然記念物になっている。この原木の幹は太く、枝は大きく広がっていて河津川に近い飯田勝美氏宅の道路に面した庭で元気に花を咲かせている。

河津町では2月上旬から3月上旬にかけて「河津桜まつり」のイベントを開催している。



(写真と文章は旅行家 甲斐鐵太郎) (書き殴って読み返しておりません。誤字、表現の不適切さなどについてはご容赦を)

エッセーの部屋
 

<topへ> < ホームへ>

 


         [ ホーム ]