「計量計測データバンク」サイトマップ measure and measurement data bank of saite map

プランク定数で規定された質量標準はシリコン球の質量計測で実現される
地球を10mの凹凸に見立てられる真円度のシリコン球は物質量を体現


よくつくられたシリコン球は物質量を数えるのに役立ち、シリコン
球の質量を求めることでプランク定数hを精度良く速定位できる。
シリコン球とその外形測定と質量測定によってプランク定数hに
もとづく定義を体現するキログラムを実現できる。

(タイトル)
プランク定数で規定された質量標準はシリコン球の質量計測で実現される
副題(地球を10mの凹凸に見立てられる真円度のシリコン球は物質量を体現)

(本文)

 1875年にメートル条約が世界17ヵ国で締結された。メートル法体系の基準となら長さの単位メートルは赤道から北極点までの子午線の距離を測量し、その1000万分の1を1メートルとして決められた。長さ標準から導きだされた体積計によって、水1リットルを計り取り、この質量を1キログラムとした。升の各辺の誤差は決して小さくないことから、ある時点で白金とイリジウムの合金で1キログラムの分銅をつくってこれを国際キログラムとした。実用上の便宜ではあったが国際キログラム原器は求められる質量の精密測定に対応して130年ほど役目を果たしてきた。

 定義の関係から国際キログラム原器は一つである。国際キログラム原器と精密さの度合いが確認された副原器や各国に渡されているその国のキログラム原器が国際キログラム原器に代役になれなくはない。これは技術上のことであり、定義が国際キログラム原器の質量を1キログラムとしているのだからこれを覆(くつがえす)すことはできない。

 国際キログラム原器にある精密さでつながりが確認されている国のキログラム原器、各種の事業所にある各種等級の分銅は、質量測定とそのトレーサブル体系をつくりだしていくためには便利であり、余程の計測要求がない限り、この後もそのまま役目は変わらない。事業所では質量の単位キログラムの定義が変わったから、それを反映した文書を体系に書き込むことを求められるかもしれない。しかし校正証書は国立計量標準機関などの何次かに相当する基準器などをつうじて値付けされるから、求められるとしても文章変更はわずかである。それも実際にはたてまえに属する範囲のことになる。

 質量の単位キログラム(1キログラム)の定義改定は国際キログラム原器との関係性を切ってしまった。キログラムの定義と直結した形で質量標準としてのキログラムを自分で実現できるのは日本、ドイツ、アメリカ、カナダの 4 カ国である。真円のシリコン球の製作とその表面形状の測定などをつうじて、シリコン球から質量を求める。シリコン球をつうじて実現する質量の精密さは国際キログラム原器を上回る。

 国際キログラム原器によって実現される質量の精密さを求めない多くの国では「自国のキログラム原器」はその国の質量の一次標準として使われる。国際キログラム原器はこの種の分銅が時間の経過、環境条件によってどのように質量変化するかを確かめるためにもこれまでと似た形で保管される。多くの国の質量の一次標準は国際キログラム原器と同等の分銅であるからだ。二次標準ほかは材質が変わるが時間の経過、環境条件によって質量値がどのように変わるかを技術面で追求していくことになる。

 日本国キログラム原器は1991 年に国際 キログラム原器と比較したときに、176 マイクログラム大きい値を示した。実際の測定では世界で最高の精密さをもつ天びんの竿の傾きとしてあらわれる。日本の質量標準器は1キログラム+176マイクログラムとして動作させる。この値を基準にして分銅やハカリに値が移されてきた。


    日本国キログラム原器は1キログラム+176マイクログラム

 質量の計量標準の新定義によって原子の数から質量を決定できる。実現精度は1キログラムに対して10 マイクログラムほどである。これはキログラムからみて 8 桁めである。標準器を換えたことに等しい新技術と新定義によって質量標準の精密さは高まったのである。


            キログラム原器と副原器の質量の比較

 メートル条約が締結されたときの計量単位は、長さ(メートル)と質量(キログラム)であった。それに電流(アンペア)、時間(秒)、熱力学温度(ケルビン)、光度(カンデラ)が加わり、最後に物質量(モル)が追加された。これによって国際単位系(SI)の基本単位は7つとなった。

 7つの基本単位のうち、白金とイリジュウムの合金からつくりだされた人工物によって単位が定義されているのは質量の単位キログラムだけであった。計量学者や関係する技術者は質量の標準を人工物から切り離す方策を求めてきた。よくつくられたシリコン球は物質量を数えるのに役立ち、シリコン球の質量を求めることでプランク定数hを精度良く速定位できる。シリコン球とその外形測定と質量測定によってプランク定数hにもとづく定義を体現するキログラムを実現できる。

 シリコンの熱膨張は大きい。温度を真空中で1万分の1の精度で制御することで1原子間の距離を求める。シリコンの質量を求めるために電磁石によって力を発生させて電気量を求めるという電気の計測技術がかかわっている。その電気量と質量値を対応させる。よくできた真円度のシリコン球の物質量と質量値は電気量として求められる。これをエネルギーとしては等価関係にある物質量MOLとプランク定数hとを相関させて、質量の値を求める。


シリコン単結晶体をレーザー干渉計のなかを自動回転させて2000ヵ所から直径を計測する

 電磁石でシリコン球を持ち上げるときに発生する電流で質量を測る。これがプランク定数に関係する。よくできた真円度の高いシリコン球はその状態の精密な測定によって物質量を求めることができる。プランク定数と物質量は相関しているの。物質量を求めることでこれからプランク定数と連動する質量の値が決められる。この二つは分けて表現しているがキログラムの定義改定のための計測作業では相互に連携して行われてきた。

 質量の単位の定義変更と同時に、電流、温度、物質量の単位が再定義された。計量単位はそれよりは上細かくできないものを基準にした。電流の定義の改定は電子1個あたりの電荷量が基準にする方式になった。

 シリコン球を原器にみたてて質量を測定する技術を持っているのは日本のほかに、カナダ、米国、ドイツである。カナダはイギリスが計量標準の確立の業務を国家の仕事としない仕組みに改めたために、この方面の設備と人員などをカナダに譲り渡していている。カナダが4カ国にふくまれているのはこのためである。

 米国は世界の警察のように振る舞ってきていて、計量標準もフランス国にある国際度量衡局に単純には依拠しない。標準の密接なつじつまを保持して、どのようなときにも自国の計量標準でまかなう体制を築くという考え方であり、事実そのようにしている。ドイツは欧州連合の標準局の位置にある。物理学など理学系学問の中心と考えているドイツは計量学および計量標準の確立は国家の大事な任務であると位置づけている。

 スーパーコンピュータの開発で「二番では駄目ですか」と威張って質問した女性政権幹部がいたように、日本では科学技術の振興と連動する計量標準の確立への政府の理解を求めることにドイツでは考えられないほどの労力を要することであろう。官僚の思いつきの域をでない産業振興策はことごとく失敗している。ノーベル賞受賞者たちが口を揃えているように基礎的分野の研究などでは研究費不足で失速寸前である。

 単結晶のの結晶体はロシアの水素爆弾を造るのと同じ遠心分離機を使い、同位体の純度を99.99%に高め、ドイツで単結晶化している。結晶体は5キログラムあった。それから1キログラムの真円の球を2個つくっている。材料費は1キロあたり1億円である。研究の推進者たちは研究業務に従事するのと併せて研究費確保のために説明にも力をいれることになる。

 シリコン単結晶体を球体にするのは体積を精密に測るのに適しているからだ。球体のシリコン単結晶体をレーザー干渉計のなかを自動回転させて2000ヵ所から直径を計測する。両手で手に持てる球体の真円度としては世界最高の状態である。凸凹は100原子間くらいの長さである。球体を地球に対比させると凸凹は10メートル以内である。

2018-12-13-vol-4-mass-standard-is-realized-by-mass-measurement-of-silicon-sphere-


【参考】日本計量新報論説ほか
第26回国際度量衡総会でキログラムほかSIの基本4単位の定義を改定
(副題)「キログラムの大きさは、プランク定数hの値を正確に6.626 070 15×10-34 J sと定めることによって設定される」

キログラムの定義改定を実現したプランク定数測定の方法
(副題)プランク定数測定のためのワット・バランス法とX線結晶密度法

国際単位系(SI )と7つの基本単位の正体
副題(質量だけは国際キログラム原器で定義され130年ほど使われてきた)

プランク定数で規定された質量標準はシリコン球の質量計測で実現される
副題(地球を10mの凹凸に見立てられる真円度のシリコン球は物質量を体現)

質量と重量の違い及び質量の単位キログラムの定義変更
2018年11月16日開催の国際度量衡総会で質量の単位キログラム(kg)を定義変更

【質量と重さ(重量)の区別】
質量と重さ(重量)を混用してはならない(執筆 岩田重雄 元日本計量士学会会長)
気になる計量の言葉づかい「足せるものと足せないものがある

【資料 質量の単位キログラムの定義および新定義に関係する諸事項】
質量の単位であるキログラム(kg)の定義変更と関連する諸事項
2018-11-16-various-matters-related-to-the-definition-change-of-kilogram-which-is-unit-mass-measurement-news-site-

国際度量衡総会のキログラムの定義変更と産業技術総合研究所の発表資料など
2018-11-17-announcement-materials-national-institute-advanced-industrial-science-and-technology-change-definition-kg-

←ホームへ

質量の単位であるキログラム(kg)の定義変更と関連する諸事項
2018-11-16-various-matters-related-to-the-definition-change-of-kilogram-which-is-unit-mass-measurement-news-site-

TOPへ
「計量計測データバンク」サイトマップ measure and measurement data bank of saite map
計量計測データバンク 目次 サイト
計量計測データバンク 目次 サイト(一括閲覧サイト)
社会の統計と計量計測の統計
一括表示版「社会の統計と計量計測の統計」
「計量計測データバンク」小論、評論、随筆、論文、エッセー、文芸ほか(目次版
計量計測データバンク 目次 サイト(一括閲覧サイト) 

計量計測データバンク「計量計測辞書」 measure and measurement dictionary
「計量計測データバンク」



国際度量衡総会のキログラムの定義変更と産業技術総合研究所の発表資料など
2018-11-17-announcement-materials-national-institute-advanced-industrial-science-and-technology-change-definition-kg-
質量の単位であるキログラム(kg)の定義変更と関連する諸事項
2018-11-16-various-matters-related-to-the-definition-change-of-kilogram-which-is-unit-mass-measurement-news-site-
「計量計測データバンク」サイトマップ measure and measurement data bank of saite map