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計量計測データバンク ニュースの窓-148-
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計量計測データバンク ニュースの窓-148-
資料・粗鋼生産下位グループの日本製鉄とU.Sスチールの合併の事情

計量計測データバンク ニュースの窓-148-
資料・粗鋼生産下位グループの日本製鉄とU.Sスチールの合併の事情

計量計測データバンク ニュースの窓-148-

計量計測データバンク ニュースの窓-148-資料・粗鋼生産下位グループの日本製鉄とU.Sスチールの合併の事情

とUSスチール合併問題理解のカギ
 
現下、世間を騒がせている日本製鉄とUSスチール合併の二つの問題を理解するカギを以下に用意した。
 粗鋼生産上位30社(日本製鉄ファクトブック 2022)では上位を中国企業が占め、日本製鉄は4位、USスチールは米国でも下位に属し世界24位。製鉄の総合技術は日本製鉄が世界一位である。USスチールが身売りを申し出て日本製鉄が破格の好条件で合併すること米国の安全保障を阻害することなどない。暗礁に乗り上げた合併話の背景と問題点を読み解くカギを資料集として用意した。


新日鉄は技術を中国に盗まれた のではないか

鉄は国家なり AI による概要
「鉄は国家なり」という言葉は、19世紀にドイツを武力統一したビスマルク宰相の演説に由来しています。ビスマルクは「国家は血なり、鉄なり」と述べ、鉄と血液を並べて象徴的に表現しました。
日本では、1901年に初代首相の伊藤博文が官営八幡製鉄所の火入れ式で「鉄は国家なり」と述べたのが最初と言われています。ドイツを範とした明治政府が八幡製鉄所を建設し、富国強兵を急いだことが背景にあります。
鉄は兵器、血は兵士を意味し、大砲や鉄道に欠かせない鉄は国力の源泉でした。鉄鋼生産量は現在でも国力を表す重要な指標です。

「鉄は国家なり?」 「鉄は国家なり」という言葉を日本で最初に使った のは 1901 年、八幡製鉄の高炉火入れに立ち会った 伊藤博文だと言われている。

主要鉄鋼企業−粗鋼生産上位30社(日本製鉄ファクトブック 2022)
主要鉄鋼企業-粗鋼生産上位30社(日本製鉄ファクトブック 2022)
社名 国名 2020 2021 伸び率20/21
1 中国宝武鋼鉄集団 中国 115.3 120.0 4.0
2 ArcelorMittal ルクセンブルク 78.5 79.3 1.0
3 鞍鋼集団 中国 38.2 55.7 45.7
4 日本製鉄 日本 41.6 49.5 19.0
5 江蘇沙鋼集団 中国 44.7 44.2 -1.1
6 POSCO 韓国 40.6 43.0 5.9
7 河鋼集団 中国 43.8 41.6 -4.8
8 建龍集団 中国 36.5 36.7 0.7
9 首鋼集団 中国 34.0 35.4 4.2
10 Tata Steel インド 28.1 30.6 9.0
11 山東鋼鉄集団 中国 31.1 28.3 -9.2
12 徳龍鋼鉄 中国 28.3 27.8 -1.6
13 JFE Steel 日本 24.4 26.9 10.2
14 湖南華菱鋼鉄集団 中国 26.8 26.2 -2.1
15 Nucor アメリカ 22.7 25.7 13.0
16 江西方大鋼鉄集団 中国 19.6 20.0 1.9
17 現代製鉄 韓国 19.8 19.6 -0.9
18 広西柳州鋼鉄集団 中国 16.9 18.8 11.4
19 JSW Steel インド 14.9 18.6 25.1
20 SAIL インド 15.0 17.3 15.8
21 NLMK ロシア 15.8 17.3 9.8
22 IMIDRO イラン 17.4 16.7 -3.9
23 包頭鋼鉄集団 中国 15.6 16.5 5.4
24 U.S. Steel 米国 11.6 16.3 41.1
25 Cleveland-Cliffs 米国 3.6 16.3 352.8
26 中国鋼鉄(CSC) 台湾 14.1 16.0 13.0
27 敬業集団 中国 16.3 15.4 -5.6
28 Techint アルゼンチン 12.6 14.9 18.8
29 河北新華聯合冶金控股集団 中国 14.2 14.3 1.1
30 Gerdau ブラジル 13.0 14.2 9.2

余録:「鉄は国家なり」は… | 毎日新聞 2020/3/25
 「鉄は国家なり」は19世紀にドイツを武力で統一したビスマルクの演説に由来するという。大砲や鉄道に欠かせない鉄は国力の源泉だった。ドイツを範とした明治政府が今の北九州市に建設したのが官営八幡製鉄所だ▲流れをくむ八幡製鉄が富士製鉄と合併し新日本製鉄が発足したのは、ちょうど50年前の1970年3月。日本初の売上高1兆円企業が誕生し「世紀の合併」と騒がれた。高度成長をけん引する「鉄は国家」の時代だった▲世界遺産にもなった八幡製鉄所は来月、他の製鉄所と統合され名称が消える。新日鉄の後身の日本製鉄による合理化だ。広島県の呉製鉄所は異例の閉鎖、和歌山製鉄所はシンボルである高炉の休止が決まった。中国の攻勢にさらされ昔日の面影は薄れた▲今後の日本を支える産業は何か。政府はネットで集めた大量のデータを分析しビジネスなどに生かす人工知能(AI)を中核にしたいようだ。安倍晋三首相は「データは成長のエンジン」と強調する▲だが効率的なAIが発達すると、その分、職が失われる懸念がある。「鉄は国家」と呼ばれたのも、製鉄所が各地で多くの雇用を生み出し地域を支えたからだ。コロナ不況が深まる中、今回の合理化による打撃を心配する声は尽きない▲時代に応じた産業の変化が避けられないとすれば、痛みを和らげるのは政治の役割だろう。19世紀ドイツの急速な工業化に伴う貧困対策として、近代的な社会保障制度を世界で最初につくったのは意外にもビスマルクである。

「鉄は国家なり」 人類は“鉄”なくしては生きていけない(THE PAGE) - Yahoo!ニュース 2017/3/30(木)
文明維持には大量の資源が必要

 宇宙や惑星、生物の誕生、そして文明の発展などにおいて欠かせない元素として「鉄」があります。私たち人間をはじめすべての生物は鉄がなければ生きていくことはできません。大げさな言い方かもしれませんが、例えば空気を吸い込んだとき、酸素を全身に運びエネルギーを変換する際には鉄が使われています。宇宙空間には強力な放射線が飛んでいますが、地球の中心部に存在する鉄が強大な磁場をつくりだし、地表を安全な環境へと変えているのです。そのほか、鉄はさまざまな工業製品や建物にも使われ、私たちの生活をより豊かなものにしています。
 一見、古く時代遅れな物質と思われがちな鉄。137億年前の宇宙創世期、46億年前の地球誕生、そして現在までの生物と鉄との関わり、さらには「なぜ鉄でなければならないのか」を東京大学システム創成学専攻・教授の宮本英昭さんが解説します。
約46億年前に誕生した特別な惑星“地球”
 私たちの住む地球は、太陽系のほかの天体と同じようにいまから約46億年前に誕生しました。その後の長い歴史は、単純なものではありません。巨大な天体が衝突することで地球の一部が剥ぎ取られたこともあれば、地表が全部凍り付いたこともありました。
 「動かざること山の如し」、というのは人間の時間スケールでの話です。地球の歴史という目でみると、山どころか地球全体が活発に活動していたのです。地下にある莫大な量の放射性元素に由来した猛烈な熱を効率よく宇宙空間に逃がすために、地球規模で内部の物質が対流してきたからです。
 これが地表にある液体の水や生命と複雑な相互作用をもたらし、地球は独特の進化を遂げました。これが太陽系のほかの天体と大きく異なる地球の歴史なのです。化学的にみれば、地球は太陽系の中で最も多彩な天体となり、4000種以上の鉱物で覆われるようになりました。生命がほかの天体ではなく地球にこれほど繁栄した理由は、この多彩さにあるのでしょう。私たち人類の文明も、化学的な多様性に立脚して繁栄していると言うことができます。
 文明の維持にはさまざまな天然資源が不可欠ですが、金属資源や化石燃料などは鉱物資源と呼ばれています。これらは一般に鉱床から採取されますが、鉱床は数万年から数十万年、ものによっては数億年もの長い時間をかけて地球が作りあげてきたものです。
 つまり人類は金属や化石燃料を抽出するため、地球の長い歴史の賜物を消費しているのです。また有用金属を人類が利用できる形に分離するには、膨大なエネルギーを必要とすることが多く、それには温暖効果ガスの放出など環境負荷を伴います。
 つまり地球文明は、地球資源と地球環境に大きな負担をかけながら、資源を利用していることになります。言うまでもなく地球の資源は有限です。資源を大量に消費することは、避けるべきだと感じます。人類にとって快適な環境は文明維持に不可欠なのですから、資源やエネルギーの消費を抑え、循環側社会を作ることは大切です。さまざまな工夫や努力を通じて省エネルギー化や小型化が達成されることにより、これまで考えられなかったほど低い環境負担で済み、それによりかえって利便性が増すものが生まることも、私たちは知っています。
 ところが話はそれほど簡単ではないかもしれません。すでに増えてしまった人口を支えるのに必要な消費資源量は、いずれにしても莫大な量になるのではないか、科学技術に対する根拠のないおそれや重厚長大産業に対する嫌悪感から、少し感傷的になりすぎていないだろうか、という意見もあるからです。
 現代の地球文明はこうした産業によって発展し維持されてきたのだから、それを嫌うのは矛盾していて、このまま果てしない資源確保の道を突き進む方がむしろ自然である、という考えを持つ人もいます。地球環境問題や資源枯渇問題などに目をつむって一方的にこのように考える姿勢は、広く支持されるとは思えません。
 しかし未来永劫、地球という閉鎖系で人類は繁栄しつづけることができるのでしょうか? 将来、無尽蔵のエネルギーと物質がある宇宙に飛び出せば、文明維持のために地球外のエネルギーや物質が利用できるようになるかもしれません。こうして境界条件が異なってくるならば、少し上の意見に対する見方が変わるということはないでしょうか? この連載では、こうした視点から考察していきたいと考えています。
 地球文明の繁栄に必須である要素とは、いったい何なのでしょう? 文明の発達を象徴的に表す資源とは? 
 私は100年以上も前のプロイセン王国およびドイツ帝国、首相のオットー・フォン・ビスマルク(1815-1898)の演説から生まれた「鉄は国家なり」の言葉が示すように、今でも重厚長大産業の基幹でもある鉄の存在こそが最も重要な指標になるのだと思います。当時と比べると現代の文明は省エネルギー・高効率社会へと進化しているとはいえ、やはり多数の人間が生きていく上で大きな構造物や社会インフラが必要です。
 これらを支えるためには構造体が必須であり、いまも大量の鉄がその目的で使われているのです。これは粗鋼生産量が現代においてもほぼ一貫して増大していることからも理解でき、地球全体でみればやはり人類の文明は鉄の文明と考えて差しさわりないと思います。それでは文明の発展と共に鉄を大量に利用するようになったのは、ただの偶然なのでしょうか? ほかの物質でも本当はよかったのでしょうか? 私はそうではなくて、鉄でないと駄目であった理由、確固たる必然性が存在していると思います。これから順に、その理由について見ていくことにします。
最も原子核が安定した元素「鉄」
 私たちは多種多様の鉱物を利用していますが、鉱物に限らず身の回りのありとあらゆるものは、100種類ほどの元素の組み合わせでできています。元素というのは、原子核と電子で形成されていて、その原子核は陽子と中性子でできています。原子核がバラバラにならないのは、核子(陽子または中性子)の間に核力とよばれる引力が働くためです。
 ところが陽子は正電荷を持つので互いに反発しようとします(クーロン力という反発力)から、両者のバランスで原子核として結びつく力(結合エネルギー)の大きさが決まります。この結合エネルギーを核子1つあたりの大きさで見ると、面白いことがわかります。まず核子の数が少ない場合は、核子1個あたりの結合エネルギーは核子の数に応じて増大します。ところがその増え方は次第に小さくなっていって、質量数が60くらいのときに核子1つあたりの結合エネルギーが最大になり、その後は次第に減少します。このちょうどピークになる程度の核子の数を持つ元素が、核子同士の結びつきが最も強い、つまり最も原子核が安定した元素ということになります。その特殊な元素こそ、鉄なのです(※注)。つまり鉄は、この宇宙のどこに行っても、全ての元素の中で最も安定した原子核を持つ元素なのです。
 それでは原子核が安定などと言われても、それでいったいどんなご利益があるのかわかりにくいのですが、実は大変本質的な話なのです。具体的にどう特別な効果が生まれたかという話は、次回以降でご紹介したいと思います。
(東京大学大学院システム創成学専攻・教授 宮本英昭)
(※注)厳密にはニッケルや鉄の特殊な同位体の方が普通の鉄、すなわち56Feよりも結合エネルギーが大きいのですが、これらの存在比は56Feと比べると極めて小さいので、ありふれた物質の中で最も原子核の結びつきが強いのは鉄ということになります。

鉄は国家なり - 週刊BCN+ 2014/02/04 15:26
 「鉄は国家なり」という言葉があります。鉄血宰相として知られるプロイセン王国・ドイツ帝国の首相、ビスマルクの演説に由来するこの言葉、鉄鋼生産量は現在でも国力を表す重要な指標です。
 製鉄業は、日本のものづくりを象徴する産業です。その意味で、日本の鉄鋼メーカーは戦後日本の成長を支え、国際社会での存在感の高揚に大きく貢献したといえるでしょう。ただし、近年は中国や韓国など、新興国のメーカーが台頭し、日本勢はやや押され気味です。
 それでも世界規模の存在感を相変わらず放っている企業の一つが、2003年に日本鋼管と川崎製鉄が統合して誕生したJFEスチールです。国内の製鉄所・製造拠点から高品質の製品を世界に提供するグローバル企業の自社技術に対するプライドは非常に高く、生産管理などの基幹システムは、基本的にフルスクラッチでつくり込んで、独自のノウハウを蓄積しています。
 しかし、事業環境が変わり、JFEスチールも一部の製造プロセスを海外に置くことを避けられなくなりました。独自のノウハウが詰まったフルスクラッチシステムを生かすのか、捨てるのか――。パッケージシステムを導入して業務を標準化するのが難しい製造業。最新のITソリューションを使って事業環境の変化に対応しつつ、独自の技術力を発揮するシステムをどのように構築したのでしょうか。(本多和幸)

日本製鉄 中国 宝山鋼鉄との合弁を解消 事業から撤退と発表 | NHK | 自動車 2024年7月23日
 日本製鉄は中国の鉄鋼メーカー「宝山鋼鉄」との合弁事業を解消し、事業から撤退すると発表しました。1970年代の技術支援から中国の鉄鋼産業の近代化に関わってきましたが、半世紀にわたる関係は大きな節目を迎えることになります。日本製鉄は、世界最大手の鉄鋼メーカーグループ「中国宝武鋼鉄」の傘下にある「宝山鋼鉄」との間で2004年に合弁会社を設立し、自動車向け鋼板の製造や販売を行ってきました。
 この合弁事業の契約期間が来月に期限を迎え、日本製鉄は、契約の更新を見送り、事業から撤退することを決めました。保有する合弁会社のすべての株式は、宝山鋼鉄に日本円でおよそ360億円で売却するということです。
 中国市場では、EV=電気自動車の普及に伴って日本の自動車メーカー各社が販売で苦戦し、撤退などの動きも出ています。こうした中、日本製鉄は、今後の事業の成長が難しいと判断したとみられます。その一方で、会社は、アメリカの大手鉄鋼メーカー「USスチール」の買収を計画していて、今後は、アメリカやインド、東南アジアでの事業に注力していくとしています。
 日本製鉄は、1970年代に日中の経済協力の柱として技術支援を行い、中国の鉄鋼産業の近代化に大きな役割を果たしましたが、現在、中国は世界最大の鉄鋼生産国となっています。今回の合弁事業の撤退でおよそ半世紀にわたる関係は大きな節目を迎えることになります。
日本製鉄と中国の鉄鋼業との関係
 日本製鉄と中国の鉄鋼業との関係は1972年の日中国交正常化をきっかけに始まりました。2国間の経済協力の柱としてまず、現地の鉄鋼メーカーへの技術支援のプロジェクトが行われます。その後、宝山鋼鉄の高炉の建設の支援も行い、1985年の稼働開始につなげました。一方、中国側からは、1978年に当時の※トウ小平副首相が来日した際、当時の新日鉄の君津製鉄所を視察し、中国にとって日本の鉄鋼業の重要性が増していることを印象づけました。
 その後、中国では経済成長に伴って自動車の生産や販売が拡大し、自動車向け鋼板の需要も拡大します。これに対応するため、新日鉄は2004年に宝山鋼鉄との間で合弁会社を設立し、現地での自動車向け鋼板の生産や販売を行ってきました。この間、中国は世界最大の鉄鋼生産国となり、GDP=国内総生産でも日本を抜いて世界第2位の経済大国となりました。
 技術支援から始まった日本と中国の鉄鋼業は、大きく姿を変え、今回の合弁解消でおよそ半世紀にわたる関係が大きな節目を迎えることになります。
※「トウ」は「登」に「おおざと」

「まさか中国に漏れるとは」 日鉄元技術者の後悔:日経ビジネス電子版 2022.12.1

「ジャパンクオリティー」根こそぎ 製鉄技術から果実まで 模倣では年3兆円損失:日経ビジネス電子版 2022.12.2
 工業製品、農産物、化粧品──。虎の子の独自技術があっさりと流出している。模倣品による経済損失は世界で70兆円、日本で3兆円を超すと試算される。巧妙化・高度化する手口に、日本企業が振り回されているのが現実だ。
 「(韓国鉄鋼大手の)ポスコ側に技術を教えたのは私です」――。新日本製鉄(現・日本製鉄)八幡製鉄所の技術者として働いていた男性は、静かに口を開き、技術情報を外部に漏らした経緯を詳細に語った。
 日本製鉄は2012年、電力インフラの変圧器などに使う「方向性電磁鋼板」の製造技術情報が盗まれたとして、ポスコとその技術者らを相手取り、提訴した(日鉄とポスコは既に和解)。日鉄側は元技術者4人が情報流出に関与したと名指しした。男性はその一人だ。
 男性は1955年、日鉄に入社。八幡製鉄所内の電磁鋼板工場に配属され、電磁鋼板設備を開発・改良するエンジニアとして37年間勤務、定年を待たずに自主退職した。その後、鋼板の熱処理炉設計などを行う会社を設立し、ポスコなどの外国鉄鋼メーカーと取引するようになった。
 「ポスコがあなたの技術を欲しがっている。韓国に来てほしい」。日鉄OBの知人から、こう頼まれた。男性の説明によると、日鉄時代に取得した電磁鋼板の製造設備装置に関する特許は、出願後20年で切れ、発明者に帰属することになる。それを待ち、2002年ごろにポスコの技術指導者として韓国へ渡り、5年ほど働いた。男性は「開発した技術を多くの人に使ってもらいたかった」と釈明する。男性の会社は06年ごろに2億~3億円を売り上げた。
「あなたの技術は知っている」
 男性は、中国鉄鋼大手の宝山鋼鉄にも自らの技術を売り込んだ。ところが、事態は思わぬ展開に。突然「あなたの技術はもう知っている」と言われたのだ。実際、自分しか知り得ない技術情報を披瀝(ひれき)された。
 「技術指導をしたポスコの誰かが、宝山側に漏らしたに違いない」。それはすぐに判明した。知人のポスコ元社員が、宝山に製造技術を流出させたとして韓国で逮捕、起訴された(08年に有罪確定)。カネに困り、密通したのだ。ポスコ元社員は裁判で、日鉄から教わった技術を宝山に開示したと証言した。
 事態を重くみた日鉄は、提訴に踏み切った。この男性は同社の聴取に応じ、謝罪の意を示したことから訴訟対象外となった。男性は「ポスコから宝山への流出は考えてもみなかった。思いがけない形で技術の“盗難”が起きる怖さを感じた」とうなだれる。日鉄は17年に、4人とは別の元技術者を技術漏洩で提訴。10億2300万円の損害賠償判決が下った。
 日鉄は、トヨタ自動車も使用する宝山鋼鉄製の電磁鋼板が特許を侵害しているとして21年、両社に損害賠償を求めて提訴した。トヨタは日鉄の大口顧客だが、法廷で闘うことを選択した。毅然たる態度を示さなければ、漏洩の脅威から日本の技術を守れないという危機感の表れだ。
 高品質を売りにした日本の技術の情報、製品、サービスの数々が今、海外流出の危機にさらされている。ウクライナ情勢の緊迫化を背景に欧米諸国と共産国家との緊張が高まる中、安全保障の裾野が外交・防衛分野だけでなく、経済分野にも及んでいる。
 22年5月に成立した経済安全保障推進法は、①半導体など重要物資の供給網の強化②電気など基幹インフラの安全確保③官民協力によるAI(人工知能)など先端技術研究推進④特許の非公開化制度の導入──の4本柱に取り組むと定めた。技術流出防止は、経済安保に取り組む上で「技術的優位性を維持・確保する観点から重要課題」(高市早苗・経済安全保障相)。外為法に基づく対内直接投資審査の強化などを図っている。
 日米両政府は今年7月、外務・経済担当閣僚会議「経済版2プラス2」の初会合を開き、量子コンピューターなどに使う次世代半導体などの供給網の強化を図ることを確認。背景には中国などが経済活動を通じて技術を奪ってくることへの危機感がある。

日鉄の宝山鋼鉄提訴で見えた中国・韓国の技術盗用手口 海外でのビジネス優先に潜む技術立国崩壊の危険性(1/8) | JBpress (ジェイビープレス) 2021.10.25(月)横山恭三
 日本製鉄(以下、日鉄)は、2021年10月14日、特殊鋼材の特許権を侵害されたとして、トヨタ自動車と中国の鉄鋼大手・宝山鋼鉄を相手取り、それぞれに対して約200億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。また、日鉄は、特殊鋼材を使用しているトヨタの電動車(注)の製造・販売差し止めを求める仮処分も同地裁に申請した。
 日本を代表する企業同士が、特許権の侵害を巡って法廷で争うのは異例である。日鉄が特許権の侵害を主張しているのは、「無方向性電磁鋼板」である。「無方向性電磁鋼板」は、電動車のモーターに使われ、モーターの回転効率を左右する。他の鋼板よりも高価で利益率が高く、日鉄の収益源となっている。
 日鉄の提訴を受け、10月14日、トヨタは日鉄から特許侵害の指摘を受けた後に宝山鋼鉄に確認して「問題ない」との回答を得たことを明らかにし、「材料メーカー同士で協議すべき事案で、弊社が訴えられたことは大変遺憾に感じております」とするコメントを公表した。宝山鋼鉄は10月15日、読売新聞の取材に対し、グローバル企業として国内外の事業で各種法規を厳格に順守していると強調。
 「日鉄の一方的な主張は認めない。技術特許訴訟に対して応訴し、会社の権益を断固として守る」と主張し、日鉄と裁判で争う方針を明らかにした。さて、今回の中国企業による日本企業の特許権侵害事案は、まさに我が国の知的財産の侵害である。知的財産の侵害は企業に大きな損失をもたらす。しかし、この被害を金銭的価値に換算することは難しい。盗まれた技術を開発するための実際の経費なのか、将来の収益と利益を見積もるのか、あるいは両者を合計した金額なのか。公式な換算方法が存在しない。
 従って、今回、日鉄が求めた約200億円の損害賠償が多いのか少ないのか筆者には分からない。いずれにしても、我が国において、国の富を守り、産業競争力を確保するために、知的財産の保護は喫緊の課題である。
 今回の事案で筆者は次の3つのことに注目した。
 1つ目は、日鉄の重要技術が宝山鋼鉄に流出したのはこれが2度目であることである。1度目はいわゆるポスコ事件と呼ばれるものである。
 2つ目は、日鉄が虎の子の技術を特許化したことである。
 特許化は出願内容の公開が前提であるため、日本で公開された特許を見て外国で技術を真似された場合には、日本の特許は効力が及ばない。
 3つ目は、なぜトヨタは長年の協力関係のある日鉄製ではなく、特許権侵害の疑いのある中国の宝山鉄鋼製の電磁鋼板を採用したのかである。
 以下、上記の3つの注目点について順次述べる。
(注)電動車とは、バッテリーに蓄えた電気エネルギーをクルマの動力のすべてまたは一部として使って走行する自動車を指す。該当するのは、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV、PHV)、ハイブリッド車(HEV、HV)、燃料電池車(FCEV、FCV)の4種である。

【知財立国への道〜特許制度130年(中)】産業スパイ天国…産業競争力損なう技術流出を食い止めろ(2/3ページ) - 産経ニュース
 「いずれ工場長にしようと思っていたのに…」健康食品などの原料を生産・販売するベンチャー企業、バイオジェニック(東京)の渡部政博社長は、産業スパイの被害に遭った経験を苦々しく振りかえる。技術を盗んだのは元従業員の中国人男性。中国・昆明市に工場の建設に着手した平成16(2004)年に採用した。真面目で研究熱心、理解するまで質問を繰り返す姿勢を評価し、同社の主力商品、強い抗酸化作用を持つアスタキサンチン(エビやカニなどに含まれる赤橙色の色素)の製造技術をたたき込んだ。ところが一人前になったと思っていた21年、中国人男性が突然退社した。
 「瓜二つの工場がある」-。奇妙な報告を受けたのは翌22年。確認すると、昆明市郊外に外観や製造設備がそっくりのコピー工場があり、アスタキサンチンを生産。しかもバイオ社より安い価格で売っていた。さらに調査すると驚愕の事実が判明した。コピー工場の運営会社の経営に、技術の全てを教えた中国人男性が関わっていたのだ。しかも中国人男性らは、バイオ社在籍中に盗んだ製造技術で日本の特許にあたる実用新案を取得していた。
 中国で実用新案を取得すると、技術がホームページで公開されてしまう。このため第三者による別のコピー工場も出現した。バイオ社の年間売上高6億円に対し被害額は十数億円規模といい、渡部社長は「何年もかけて開発した技術が盗まれた。相手は研究開発費が必要ないので安いのは当然だ」と憤る。バイオ社の事例は、日本企業を標的にした産業スパイ事件の「氷山の一角」にすぎない。経済産業省が25年に発表した企業アンケートによると、調査した国内約3千社のうち14%が過去5年間で「営業秘密が漏洩(ろうえい)した可能性がある」と回答している。
 一方で、被害に気付かない日本企業は多い。その一例が、鋼板の製造技術を不正に取得したとして韓国鉄鋼大手のポスコなどを相手取り鋼板の製造の差し止めなどを求めて提訴した新日本製鉄(現・新日鉄住金)だ。
 被害を確信したきっかけは、ポスコの元研究員が中国の製鉄会社にポスコの情報を漏洩したとして逮捕された事件。公判などで元研究員が「中国側に漏らしたのはポスコが新日鉄から盗んだ技術」と証言し、新日鉄、ポスコ、中国の製鉄会社へと機密情報が流出していた事実が判明した。
 知的財産権に詳しい冨宅恵弁護士は「ポスコの情報を奪った産業スパイの証言で、たまたま被害が明るみにでたケース。大企業でも技術流出に気付かないことが多い」と指摘する。
 産業スパイ天国とも呼ばれる現状を受け、政府もようやく重い腰を上げた。3月13日、情報流出事件で罰則を強化する不正競争防止法の改正案を閣議決定した。被害企業の告発がなくても捜査当局が独自に捜査に乗り出すことができる非親告罪も適用し、取り締まりの強化が期待される。
 ただ、非親告罪は米国や韓国、中国などはすでに営業秘密の漏洩事件で採用しており、特に米国では日本には存在しない情報の漏洩対策に特化した「経済スパイ法」が施行。連邦捜査局(FBI)が経済スパイ事件をテロ対策の次の重要課題に位置づけていることもあり、元特許庁長官の荒井寿光氏は「日本の対策は海外に比べて周回遅れどころか2周遅れ。不正競争防止法の改正も一歩前進にすぎない」と強調する。
半導体や液晶テレビなど日本のお家芸と呼ばれた技術が韓国や中国の企業に追いつかれた背景には、日本人技術者の引き抜きや技術そのものを盗む違法行為があったといわれる。
 技術流出問題に詳しい東レ経営研究所の増田貴司・産業経済調査部門長は「技術の違法流出がこのまま続けば医療や繊維、ロボット技術など強みのある分野も驚異的なスピードで追いつかれ、日本の産業競争力は危険水域に陥る」と訴える。
 知財立国を目指すには技術流出や商標侵害が頻発する新興国に知財の制度や意識を根付かせることが重要となる。

今さら聞けないUSスチール買収計画の「なぜ」…バイデン大統領の阻止に同社CEO激オコ、日本製鉄は猛反発(日刊ゲンダイDIGITAL) - Yahoo!ニュース

日本製鉄のUSスチール買収は成功するのか?(中)|NetIB-News

浜田和幸 - Wikipedia

神戸大学計測工学科をでて製鉄会社で計量管理の仕事をした男の記録 -その1-はじめに
西宮高校から神戸大学の計測工学科に進み川崎製鉄千葉製鉄所で計量の仕事を始める

私の履歴書/高徳芳忠、川崎製鉄の中でも計測機器を使う製鉄所(計量計測データバンク)

海老原嗣生 - Wikipedia
(57) 【年金問題。俗論を斬る!】日本の制度は完成度が高い/俗論と民主党の躓き/「未納率4割」の誤解/積立方式の問題点/賦課方式が世界標準/マクロスライドの意義/「昔の人はもらい得」の誤解【海老原嗣生】 - YouTube

日本計量新報2024年1月1日(1月7日)合併号

「日本計量新報」今週の話題と重要ニュース(速報版)2024年01月04日号「日本計量新報週報デジタル版」

生活インフラとしての電気、ガス、水道のメーター

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2024年郡上おどり日程 (gujohachiman.com)

白銀の山のこと 甲斐鐵太郎

地球大気の温度変化と温度計
「日本計量新報」今週の話題と重要ニュース(速報版)2024年01月11日号「日本計量新報週報デジタル版」

「日本計量新報」今週の話題と重要ニュース(速報版)2023年12月29日号「日本計量新報週報デジタル版」

標高1,600にある私の小さな山荘 八ヶ岳のロッジのこと 甲斐鐵太郎

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